「お金を増やすって、どうやるの?」そんな疑問を持つみなさんに、2024年からスタートする新NISAの魅力をわかりやすくお伝えします。
新NISAは、これまでのNISAよりもっと自由に、もっと長く、お金を増やすことができる制度となりました。
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス代表
【保有資格】
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- CFP®︎ CERTIFIED FINANCIAL PLANNER
- 宅地建物取引士
- 証券外務員1種
新NISAの全貌:2024年の大改正とは
2024年、NISAは大きな改正を迎えました。
非課税保有期間が無期限になり、非課税保有限度額が1800万円に拡大となりました。
これにより、より多くの人々が投資を通じて資産形成の機会を得ることができるようになりました。
この制度は、投資で得た利益に税金がかからないという大きなメリットがあります。それでは、新NISAの変更点を見ていきましょう。
変更点1: つみたて投資枠と成長投資枠の併用
新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠を使って投資ができます。
これまでのNISAでは、一般NISAとつみたてNISAを一緒に使うことはできませんでしたが、新NISAではこれが可能になります。
これにより、より多くのお金を投資に使えるようになります。
変更点2: 制度の恒久化と非課税期間の無期限化
新NISAでは、投資ができる期間に制限がなくなります。
これまでは、一般NISAは2023年まで、つみたてNISAは2042年までと期間が決まっていましたが、新NISAではいつでも投資を始められ、非課税のメリットをずっと受けられます。
変更点3: 年間投資枠の増加
新NISAでは、1年間に投資できる金額の上限が大きくなります。
つみたて投資枠では年間120万円、成長投資枠では年間240万円まで投資でき、合わせて年間360万円まで投資が可能になります。
これにより、より多くの資金を投資に回せるようになります。
変更点4: 非課税保有限度額の増加
新NISAでは、非課税で保有できる総額が1,800万円まで増えます。
ただし、成長投資枠で使えるのはそのうちの1,200万円までです。これにより、長期間にわたってより多くの資産を非課税で運用できるようになります。
変更点5: 売却時には限度額の再利用ができる
新NISAでは、売却した金額分の投資枠を再利用できます。
これまでは、一度売却するとその分の非課税枠を失っていましたが、新NISAでは売却してもその枠を再び使うことができるようになります。
これらの変更により、新NISAはより使いやすく、長期的な資産形成に役立つ制度になります。
ただし、現行のNISAで運用している資産を新NISAに移すことはできないので、その点は注意が必要です。
新NISAで投資できる商品にも条件があるので、どんな商品に投資するかもよく考えましょう。
新NISAは、お金を増やしたい人にとってとても良い制度です。これから投資を始める人も、すでに投資をしている人も、新NISAを上手に活用して、将来のためにお金を増やしていきましょう。
投資の三原則:長期・積立・分散
投資の世界では「長期・積立・分散」が鍵となります。
長期間にわたって投資を続け、定期的に資金を投じ、さまざまな資産に分散投資することでリスクを管理し、安定した成果を目指します。
新NISAの枠組みは、この原則に基づいて効果的に運用することができます。
投資を始めるときに大切なのは、「長期」「積立」「分散」という三つの原則です。これらの原則を守ることで、リスクを抑えつつ、資産を着実に増やしていくことができます。
長期投資のメリット
「長期」投資のポイントは、時間を味方につけることです。
短期間で売買を繰り返すよりも、長い期間、じっくりと投資を続ける方が、複利の効果で利益が増えやすいです。
複利とは、利益が再び利益を生むことを言います。たとえば、100万円を投資して10万円の利益が出たら、次の年は110万円が元本になります。このようにして、年々元本が増えていき、利益も大きくなっていくんです。
複利の効果
複利の効果は、投資や貯蓄において非常に重要な概念です。
具体的にいうと、運用で得た収益を元本に加えて再投資することで、利益が利益を生む効果を指します。
複利と単利の違い
- 単利: 利息を元本に加えずに、元本のみで利息が計算される方法です。例えば、100万円を年利3%で運用した場合、毎年3万円の利息が得られますが、元本は100万円のままです。
- 複利: 利息を元本に加えて、新しい元本として利息が計算される方法です。同じく100万円を年利3%で運用した場合、1年目は3万円の利息が得られますが、2年目からは103万円を元本として利息が計算されます。
複利の効果
複利の効果は、時間が経つにつれて顕著になります。
長期間にわたって投資や貯蓄を続けることで、利息が利息を生む効果が大きくなり、資産が大きく増加します。
例えば、100万円を年利5%で20年間複利で運用すると、約270万円に増えますが、単利の場合は160万円となります。
複利を活かすためのポイント
- 早期からの投資開始: 複利の効果を最大限に活かすためには、早い段階から投資を始めることが重要です。
- 長期間の運用: 複利の効果は時間が経つほど大きくなるため、長期間にわたって投資を続けることが効果的です。
- 再投資の継続: 得られた利息や収益を再投資することで、複利の効果を高めることができます。
積立投資のメリット
「積立」は、毎月決まった金額を投資する方法です。
これにより、市場の価格が高いときも低いときも一定の金額を投資するため、平均的な購入価格を抑えることができます。
これを「ドルコスト平均法」と言います。
例えば、株価が高いときは少ない株数を、低いときは多くの株数を買うことができるので、長期的に見ると有利になるんです。
ドルコスト平均法とは?
ドルコスト平均法は、毎月などの一定期間ごとに、同じ金額を投資する方法です。
例えば、毎月1万円を株や投資信託に投資します。市場の価格が高い時は少ない数を、価格が低い時は多くの数を買うことになります。
これにより、長期間にわたって投資すると、購入単価の平均を下げることができます。
ドルコスト平均法のメリット
- リスクの軽減: 市場の価格が変動しても、高い時には少なく、安い時には多く買うことで、価格変動のリスクを分散できます。
- 始めやすい: 市場のタイミングを見計らう必要がなく、いつからでも始めやすいです。
- 少額からの投資が可能: 大きな資金がなくても、少額からコツコツと投資を始めることができます。
ドルコスト平均法のデメリット
- 大きな利益を狙いにくい: 市場の底値で大量に購入することができないため、一括投資に比べて大きな利益を得るのが難しい場合があります。
- 手数料の負担: 定期的な投資のたびに手数料がかかる場合があり、長期間にわたると手数料の負担が大きくなることがあります。(つみたてNISAは購入時手数料はかかりません)
分散投資のメリット
「分散」投資は、リスクを分けることです。
すべてのお金を一つの株や国に投資するのではなく、いろいろな国や業種、資産に分けて投資します。
これにより、一つの市場が下がっても他の市場の上昇で補うことができ、全体のリスクを減らすことができます。
例えば、日本の株だけでなく、アメリカやヨーロッパ、新興国の株や債券にも投資することで、リスクを分散できます。
分散投資とは?
分散投資は、投資をする際に、すべての資金を一つの商品や市場に集中させず、異なる種類の資産や市場に分けて投資する方法です。
例えば、株式だけでなく債券や不動産、国内だけでなく海外の市場にも投資することで、リスクを分散させます。
分散投資のメリット
- リスクの低減: 一つの市場や資産が下落しても、他の市場や資産がカバーすることで、全体のリスクを減らすことができます。
- 安定したリターンの可能性: 異なる市場や資産クラスはそれぞれ異なる動きをするため、一方が悪いパフォーマンスを示しても、他方がそれを補うことがあります。
- 長期的な安定性: 分散投資は、市場の短期的な変動に左右されにくいため、長期的な視点で安定した成長を目指すことができます。
分散投資の方法
- 資産クラスの分散: 株式、債券、不動産など、異なる種類の資産に投資します。
- 地域の分散: 国内だけでなく、海外の市場にも投資を行います。
- 時間の分散: 投資のタイミングを分散させることで、市場の変動リスクを減らします(ドルコスト平均法)。
これらの原則を守ることで、投資のリスクを抑えつつ、長期的に資産を増やすことができます。
投資は、一夜にして大金を得る方法ではなく、コツコツと時間をかけて行うものです。みなさんも、これらの原則を理解して、将来のための賢い投資を始めてみましょう。
選ぶべき投資信託:投資信託の種類と特徴
投資信託は、新NISAの主要な投資対象です。
初心者は、低コストで分散投資が可能な「つみたてNISA専用ファンド」から始めることが推奨されます。
経験を積んだ後は、より多様な資産に投資することで、投資の幅を広げることができます。
選ぶべき投資信託のポイント
投資信託は、初心者から上級者まで幅広く利用される便利な金融商品です。
しかし、選ぶ際にはいくつかのポイントを押さえることが大切です。
投資信託の種類と特徴
- インデックス型投資信託: これは、特定の株価指数に連動するように運用される投資信託です。例えば、日経平均株価やTOPIXに連動するものがあります。インデックス型は、市場全体の平均的な運用成果を目指すため、信託報酬が低く抑えられているのが特徴です。
- アクティブ型投資信託: こちらは、ファンドマネージャーが積極的に投資対象を選び、市場平均を上回るリターンを目指します。しかし、その分コストが高くなる傾向があります。
- バランス型投資信託: 複数の資産クラス(株式、債券など)に分散投資するタイプです。リスク分散効果が期待でき、初心者にも適しています。
- レバレッジ型投資信託: レバレッジを利用して、少ない資金で大きな投資成果を狙うタイプです。リスクが高いため、上級者向けです。
選ぶ際のポイント
- 自分に合った商品を選ぶ: 投資信託にはリスクとリターンが異なるため、自分のリスク許容度に合った商品を選ぶことが重要です。
- コストを確認する: 投資信託には様々なコストがかかります。特に信託報酬は長期的なリターンに影響するため、コストの低い商品を選ぶことが望ましいです。
- 運用資金の大きさに注目: 純資産残高が大きい投資信託は、多くの資金を運用している証拠であり、一定の信頼性があります。
- 運用成績を比較する: 長期にわたる安定した運用成績がある商品は、将来的にも良い成績を期待できます。
投資信託を選ぶ際は、これらのポイントをしっかりと理解し、自分に合った商品を選ぶことが大切です。また、投資はリスクが伴うため、慎重に選択しましょう。
株式投資のススメ:新NISAでのチャレンジ
新NISAでは、株式投資も可能です。
これは、より積極的な資産形成を目指す投資家にとって魅力的な選択肢です。個別株への投資はリスクが伴いますが、しっかりと仕組みを理解した上で臨めば、大きなリターンを期待できます。
新NISAの成長投資枠とは?
新NISAでは、年間360万円までの投資が可能で、このうち240万円までが「成長投資枠」に割り当てられています。
成長投資枠では、投資信託やETFのほかに日本株や外国株、REITなども購入できます。
これにより、投資の幅が広がり、より高い収益を目指すことができるようになります。
株式投資のメリット・デメリット
株式投資は、企業の株式を購入して、その価値の上昇や配当金を通じて利益を得る方法です。株式投資のメリットとデメリットを具体的に説明します。
株式投資のメリット
- キャピタルゲイン(売買差益): 株価が上昇した際に売却することで得られる利益です。株価が購入時より高くなれば、その差額が利益となります。
- インカムゲイン(配当金): 企業が利益を出した場合、その一部が株主に配当金として支払われます。株を持っている間、定期的に収入を得ることができます。
- 株主優待: 企業が株主に対して提供する特典で、商品やサービスの割引などがあります。
- 経営参加権: 株主は株主総会で議決権を行使でき、企業の経営に一定の影響を与えることができます。
株式投資のデメリット
- 価格変動リスク: 株価は常に変動しており、投資した株が値下がりするリスクがあります。市場の状況や企業の業績によっては、損失を被る可能性があります。
- 信用リスク: 企業の経営不振や倒産により、株価が暴落するリスクがあります。最悪の場合、投資した資金を失うこともあります。
- 流動性リスク: 売りたい時にすぐに売れない、または想定した価格で売れないリスクがあります。特に取引量が少ない銘柄では、このリスクが高まります。
- 為替変動リスク: 外国株式に投資する場合、為替の変動によるリスクがあります。円高になると、外国株式の価値が下がる可能性があります。
新NISAの活用法:FPが教える賢い運用戦略
新NISAを最大限に活用するためには、自身のライフプランと投資目標を明確にすることが重要です。
それぞれのの状況に合った投資戦略を立てることが、成功への鍵となります。
新NISAは、長期的な資産形成を目指す人にとって、有効な投資方法となります。
新NISAの活用法:FPが教える賢い運用戦略
新NISAを最大限に活用するための運用方法を、ファイナンシャルプランナーの視点から解説します。
新NISAの特徴と活用のポイント
新NISAは、非課税投資枠の拡大や売却した場合の再利用が可能になるなど、柔軟な運用が可能です。以下のポイントを押さえて、効果的に活用しましょう。
- 投資対象の選定: 新NISAでは、投資信託や株式など幅広い投資対象があります。特に世界株式インデックスファンドなど、長期的な成長が見込める投資先を選ぶことが重要です。
- 非課税枠の再利用: 売却した簿価分の非課税投資枠は翌年から再利用が可能です。これにより、ライフイベントに合わせた資産の取り崩しや再投資が柔軟に行えます。
- 長期・積立・分散投資: 安定的な投資成果を得るためには、「長期・積立・分散投資」が基本です。特に新NISAの恒久化により、長期的な視点での運用が可能になりました。
新NISAでの資産形成とは?
- 教育資金や住宅資金の運用: 新NISAを利用して、教育資金や住宅資金などのライフイベントに必要な資金を運用し、必要に応じて取り崩します。
新NISAの活用法:教育資金や住宅資金の準備に使える?
新NISAでは、前述の通り非課税枠が拡大しました。
これにより、いろんな目的に合わせた準備として活用することが可能です。
具体的には、つみたて投資枠と成長投資枠を活用して、長期的な資産形成を目指すことで目的を達成させるための準備を行います。
- つみたて投資枠の活用: 年間120万円まで投資が可能で、積立専用の口座です。この枠を利用して、教育資金の準備に向けた積立投資を行います。
- 成長投資枠の活用: 年間240万円まで投資が可能で、株式や投資信託の一括購入もできます。この枠を利用して、老後資金の準備に向けた投資を行います。
教育資金の準備
教育資金の準備には、つみたてNISAは適していると言えるでしょう。
特に、子供の大学進学に向けた資金準備には、長期的な積立投資が有効です。日本政策金融公庫 教育費負担の実態調査結果によると、私立大学4年間の教育費は子供一人あたり680万円程度となっています。
住宅資金の準備
住宅資金の準備については、新NISAの活用は限定的といえます。
住宅購入には大きな一時金が必要になるため、長期的な投資よりも、安全性の高い定期預金などでの準備が基本となります。
ただ、繰上げ返済を計画しているのであれば、住宅購入時から積立NISA等で運用しながら準備しておき、数年後に取り崩しながら繰上げ返済をするのも良いでしょう。住宅ローン控除での還付金を積立NISAに充当することによって、戻ってきたお金を運用させて増やし、繰上げ返済させて金利負担分を減らすといった良いサイクルが生まれます。
まとめ
新NISAは、お金を増やすための強力なツールです。これらのポイントを理解し、賢く活用して、将来のための資産形成を目指しましょう。
ポイントまとめ
1. 新NISAの全貌:2024年の大改正とは
新NISAでは、年間360万円まで投資が可能で、非課税保有期間が無期限になった。これにより、長期的にお金を増やすチャンスが広がる。特に、つみたて投資枠と成長投資枠を上手に使い分けることが大切。
2. 投資の三原則:長期・積立・分散
投資を成功させるためには、「長期・積立・分散」の三原則を守ることが大事。長期間投資を続け、定期的に少しずつお金を投じ、さまざまな資産に分散して投資することで、リスクを減らしながら資産を増やすことができる。
3. 選ぶべき投資信託:投資信託の種類と特徴
投資信託は、初心者から上級者まで幅広く使える投資方法。リスクとリターンを考えながら、自分に合った投資信託を選ぶことが重要。特に、インデックス型やアクティブ型、バランス型など、さまざまな種類があるので、それぞれの特徴を理解することが大切。
4. 株式投資のススメ:新NISAでのチャレンジ
新NISAでは、株式投資も可能。株式投資は高い収益を得るチャンスがありますが、リスクも伴う。市場の変動や企業の情報をしっかりと把握し、長期的な視点で投資を行うことが大切。
5. 新NISAの活用法:FPが教える賢い運用戦略
新NISAを活用する際は、自分のライフプランに合わせて投資計画を立てることが大切。特に、老後資金の形成には、長期的な視点での積立投資や分散投資が有効となる。また、リスク管理をしっかりと行い、無理のない範囲で投資を進めることが大切。