生命保険にはさまざまな種類がありますが、なかには積立型の生命保険というものもあります。
なぜ積立型の保険が選ばれているのか。その魅力はどこにあるのでしょうか?
この記事では、積立型保険の基本的な概念から、具体的な特徴、そしてメリットとデメリットまで、わかりやすく解説します。

伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス代表
【保有資格】
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- CFP®︎ CERTIFIED FINANCIAL PLANNER
- 宅地建物取引士
- 証券外務員1種
生命保険には「掛け捨て型」と「積立型」がある

生命保険は大きく分けて、「掛け捨て型」と「積立型」の二つがあります。
これらの保険は、加入する目的やメリットが異なるため、自分や家族の状況や目的目的に合わせて選ぶことが重要です。

掛け捨て保険、積立型保険どちらを選ぶべき?
どちらの保険を選ぶかは、あなたのライフスタイルや将来の計画によりさまざまです。
それぞれの保険が向いている方の特徴を挙げます。
- 短期間の保障を求める方
- 必要最小限の保険料で保障を得たい方
- 大きな保障を得たい方
- 一生涯の保障を得たい方
- 貯蓄も兼ねながら保険を続けたい方
- 効率的に資産を増やしていきたい方



それぞれの特徴を押さえて、目的に合わせた保険選びをしましょう!
掛け捨て保険、積立保険の特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。
掛け捨て型の生命保険について


掛け捨て型保険は、文字通り保険料を「掛け捨て」にするタイプです。
つまり、保障を得るためだけに保険料を支払い、保険期間が終わっても保険料は返ってきません。
このタイプの保険は、比較的安い保険料で大きな保障を受けることができます。
定期保険


定期保険は、設定された一定期間(例えば10年、20年、30年など)のみ保障がある保険です。
この期間内に万一のことが起きた場合には、保険金が支払われますが、期間が終了すれば保険の効力も終了し、保険料は戻ってきません。
保険料が比較的安いため、大きな保障を少ない費用で得ることができます。
収入保障保険


収入保障保険は、被保険者が亡くなった際に遺族に対して一定期間、月々の保険金を支払う保険です。
この保険は、残された家族の生活をサポートすることを目的としていて、年金で保険金が支払われます。
保険料は掛け捨てとなり、定期保険よりも比較的安い保険料で保障を得ることができます。
積立型の生命保険について


積立型保険は保障機能の他に、貯蓄機能も兼ね備えています。
このタイプの保険では、保険料の一部が将来のために積み立てられ、やめたときにはにはそのお金が戻ってくるという特徴があります。
このため、将来の資金計画にも役立ち、老後の備えや子供の教育資金など、長期的な目的で加入する人に適しています。
終身保険の種類について見ていきましょう。
終身保険


終身保険は、その名の通り、被保険者が生きている限り保障が続く保険です。
この保険の最大の特徴は、一生涯保障があることと、解約時に保険料が戻ってきます。
保険料は比較的高めですが、長期間にわたって安定した保障を求める方に適しています。



解約したときにいくら戻ってくるかは、契約時に定められます。
養老保険
養老保険は、終身保険に似ていますが、定められた期間が終わると、満期保険金としてお金が戻ってくる点が異なります。
もし被保険者が期間中に亡くなった場合には、死亡保険金が支払われます。
これは、将来の大きな資金計画に備えたい方に適しています。
現在はあまり販売されていません。
学資保険
学資保険は、子どもの教育費用を目的として設計された保険です。
特定の時期、例えば子どもが大学に入学する際に、保険金が支払われる設計になっています。
また、保護者に万が一のことがあった場合、残りの保険料の支払いが免除される特約が付いていることが多いです。
別の積立型保険の方が条件が良いケースもあり、学資保険以外の保険で準備をされる家庭も多いです。
個人年金保険
老後の生活資金を準備するための保険です。定年退職後に受け取りを開始することが多く、一定期間、または生涯にわたって年金を受け取ることができます。
この保険は、老後の安定した収入源を確保したい方に適しています。
変額保険


変額保険は、積立型生命保険の一種で、保険料の一部が投資に用いられることが特徴です。
この保険は、投資の成果によって保険金額や解約返戻金が変動するため、市場の動向によっては高いリターンを期待できる一方で、リスクも伴います。
積立型保険のメリット
積立型保険は、ただの保障ではなく、将来のための貯蓄も目的としています。この保険のメリットについて、わかりやすく説明します。
1. 保障と貯蓄の二重の利点


積立型保険の最大の魅力は、保障と貯蓄が一体となっている点です。
例えば、終身保険や学資保険は、保険の期間中にもしものことがあれば保険金が支払われ、満期や解約をすれば満期保険金として貯蓄した金額も受け取ることができます。
これにより、将来の不確かなリスクに備えつつ、確実に資金を蓄えることが可能です。
2. 税制面での利点


多くの積立型保険は、税制上の優遇措置が受けられる場合があります。
たとえば、一定の条件を満たす個人年金保険や終身保険に加入すると、所得税や住民税の控除が適用されまます。
これを生命保険料控除と呼びます。
これにより、節税しながら資金を準備することができるため、家計にやさしい選択肢となります。
3. 効率的な運用が可能


積立型保険では、契約内容に応じて解約返戻金を受け取ることができます。
特に長期間保険料を支払い続けると、満期時には積立てた金額以上の返戻金を得られることが多いです。このように、将来的には大きな資金が必要となる可能性がある際に、予め用意しておくことができます。
4. 万一の保障


積立型保険の基本は生命保険としての役割です。
万が一の時に備えて、遺族への経済的な保障を提供することができます。
これにより、家族が経済的な困難に直面することなく、安心して生活を続けることができます。
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伊藤FPオフィス代表
伊藤 貴徳
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積立型保険のデメリット
積立型保険は多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも理解しておく必要があります。
積立型保険の主なデメリットをわかりやすく説明します。
- 1. 保険料の高さ


積立型保険は、掛け捨て型保険と比較すると、保険料が高く設定されていることが多いです。
これは、保障だけでなく、貯蓄機能も備わっているためです。
特に終身保険のような形態では、保障を生涯にわたって受けられるため、その分、保険料が高くなりがちです。
2. 解約時の損失


積立型保険を途中で解約する場合、解約返戻金が支払われます
途中解約の場合、解約返戻金が保険料の累計額を下回ることがあります。
特に加入初期の数年間は解約返戻金が少なく、予定していた金額よりも少ない返金となることがあります。
3. 複雑さ


積立型保険はその性質上、掛け捨て型保険よりも契約内容が複雑になりがちです。
保障内容、解約返戻金、満期金など、理解しなければならない要素が多く、保険初心者にとっては分かりにくい場合があります。
4. 長期で続ける必要がある


長い期間、保険に加入する必要があります。
積立型保険は、その効果を最大限に享受するためには、長期間保険料を支払い続ける必要があります。
一般的に積立の効果を得るためには10年以上の契約期間が必要です。
そのため、経済状況の変化によっては、保険料の支払いが負担になることも考えられます。
考えに合わせた積立型保険の選び方とは?


積立型保険を選ぶ際には、自分自身や家族のライフスタイル、将来の計画、そして経済的な状況を考慮することが大切です。
以下に、積立型保険を選ぶ際のチェック項目を紹介します。
1. 年齢とライフステージ
- 若年層:若い頃はまだ大きな病気にかかるリスクも低いため、積立型よりも掛け捨て型の方が適していることがあります。
将来のための貯蓄や投資が目的であれば、終身保険や変額保険、個人年金保険を検討しましょう - 中年層:子どもの教育費や老後の資金準備が主な懸念事項となる年齢です。
終身保険を中心に、掛け捨ての保険も組み合わせた保障を検討すると良いでしょう。 - 高齢層:老後の収支を圧迫させないような掛け捨ての保険を中心に検討しましょう
一時払い保険などで、まとまった資金を運用させるのも効果的です。
2. 経済的状況
- 収入が安定している:収入が安定している場合は、長期的な視点で積立を行えるため、終身保険や個人年金保険などの長期的な保険が適しています。
- 収入が不安定または限られている:財政的な余裕が少ない場合は、掛け捨ての保険を中心に必要保障を補う設計が良いでしょう。
3. 家族構成
- 独身:自分自身の将来のためだけでなく、高齢になった際の医療費などを考慮して、終身保険や医療保険の積立型を選ぶことが多いです。
- 子供がいる家庭:子どもの将来の教育費用を考え、学資保険や終身保険が適しています。特に学資保険は、子どもの大学進学時に大きな支出が予想されるため、準備しておくと安心です。
4. 保険の目的
- 教育資金を準備したい:子どもの教育費用を確保したい場合、学資保険が最適です。
終身保険などで代用するケースも少なくありません。 - 老後の資金を確保したい:長期的な資金準備として、個人年金保険や終身保険がおすすめです。
- 一生涯の死亡保障を得たい:終身保険を中心に必要保障を考えましょう。
具体的な活用の事例紹介


積立型保険をどのように活用するか、いくつかの具体的な事例を通じて理解を深めましょう。
教育資金の準備:終身保険で準備を行うケース
多くの親が子どもの将来を考え、教育資金準備のための保険に加入します。
この保険は、子どもの大学入学時に合わせて解約することで、解約返戻金を受け取ることができるため、教育費の負担を軽減できます。
万が一の場合には保険金が支払われ、子どものための教育費、生活費などに充てることができます。
このように終身保険は、計画的に教育資金を準備するのに最適です。
一時払い終身保険を活用した老後資金の確保
一時払い終身保険とは、まとめて保険料を支払うことで、月々保険料を支払うよりも効果的に増やすことのできる保険です。
例えば、定年退職まであと10年とした場合、10年満期の一時払い終身保険に加入することで定年時に満期金を受け取ることができます。
退職後の安定した収入源としてこの保険を活用することができます。
解約金は年金受け取りを選択することもできるため、老後の生活費の一部として活用できます。
まとめ
積立型保険に加入することで、これらのメリットを受けつつ、将来にわたって家族を守ることが可能です。
ただし、保険にはそれぞれ特性があるため、自分にとって最適な保険を選ぶことが重要です。
保険の選び方については、信頼できる保険会社や専門家に相談することをお勧めします。