がん特約付き住宅ローンは必要?団信オプションの選び方

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がん特約付きの団信は、上乗せ0.2%で付けられることがあります。

借入4,000万円なら、35年で150万円。月に直すと3,574円です。

この金額をどう考えるかは、保障の中身しだいです。

そして、がん団信の保障には大きな特徴があります。

年々減っていくのに、払う金額は変わらないのです。

この記事の結論
  1. がん団信の保障額はローン残高と同じ。4,000万円が35年後には0円になります
  2. 一方、上乗せ0.2%のコストは月3,574円のまま変わりません
  3. 保障1,000万円あたりのコストは、30年目には加入時の6.5倍になります
  4. 50%保障でも返済は半分に。上乗せなしの商品もあります

こんな方に読んでほしい記事です

  • がん団信を付けるか迷っている
  • すでにがん保険に入っていて、重複が気になる
  • 50%保障と100%保障のどちらを選ぶか決めかねている
  • 上乗せ0.2%が高いのか安いのか分からない

✍️ この記事の監修者

伊藤FPオフィス代表 伊藤貴徳

代表・監修者

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス 代表

CFP®認定者 1級FP技能士 宅地建物取引士 証券外務員1種

千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
家計全体の視点から、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。

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目次

団信の基本と、がん特約でできること

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの返済中に亡くなった場合や所定の高度障害状態になった場合に、保険金でローンの残りが返済される仕組みです。

多くの金融機関では、住宅ローンを借りる条件になっています。

一般団信の保険料は、金利に含まれているのが一般的です。

この団信に、がんの保障を追加したものががん特約付き団信です。

がんと診断されたときに、ローンの残高がゼロになる(または半分になる)というものです。

がん団信でできること

  • 治療に専念しやすくなる — 毎月の返済がなくなれば、働き方を変える判断がしやすくなります
  • 収入が減っても住まいを守れる — 治療で収入が減っても、住居費の負担が消えます
  • 加入の手続きが簡単 — 住宅ローンの手続きの中で完結します

特に大きいのは、1つ目です。

がんの治療では、入院より通院が中心になることが増えています。

働きながら治療する方も多く、その際に「収入が減っても大丈夫か」が問題になります。

毎月10万円の返済がなくなれば、働き方を調整する余地が生まれます。

これは、金額以上の価値になることがあります。

ただし、確認すべき点があります

  • 支払事由 — 診断されただけで支払われるのか、所定の状態が続くことが条件か
  • 対象外となるがん — 上皮内がん・皮膚がんの一部などが対象外とされることがあります
  • 免責期間 — 加入後90日間などは対象外になる商品があります
  • 加入できる年齢 — 上限が設けられています
  • 告知の内容 — 持病がある場合は加入できないことがあります

商品名だけでは判断できません。

同じ「がん保障」でも、条件は商品ごとに大きく異なります。

【核心】保障は減るのに、コストは変わらない

がん団信を評価するうえで、最も大切な点をお伝えします。

保障額は、そのときのローン残高と同じです。

つまり、返済が進むほど保障は小さくなっていきます。

がん団信(100%保障)の保障額の推移
縦軸:がんと診断された場合に返済される金額(=ローン残高)
4,000万
0年目
35歳
3,471万
5年目
40歳
2,928万
10年目
45歳
2,371万
15年目
50歳
1,800万
20年目
55歳
1,215万
25年目
60歳
615万
30年目
65歳
0円
35年目
70歳

※ 借入4,000万円・金利年0.5%・35年・元利均等返済での試算です。35歳で借り入れた場合の年齢を併記しています。

35年間の平均は2,115万円です。

では、コストのほうはどうでしょうか。

毎月の返済額35年の総額
一般団信(上乗せなし)103,834円—
がん100%保障(+0.2%)107,408円—
差(=がん保障のコスト)3,574円150万円

※ 借入4,000万円・基準金利0.5%・35年での試算です。上乗せ幅は商品によって異なります。

コストは、35年間ずっと月3,574円のままです。

保障は4,000万円から0円まで減るのに、払う金額は変わりません。

保障1,000万円あたりのコストで見ると

この関係を、別の角度から見てみます。

加入時(35歳) 保障4,000万円 894円/月
月3,574円 ÷ 4.0
10年目(45歳) 保障2,928万円 1,221円/月
月3,574円 ÷ 2.9
20年目(55歳) 保障1,800万円 1,985円/月
月3,574円 ÷ 1.8
30年目(65歳) 保障615万円 5,810円/月
月3,574円 ÷ 0.6

※ 保障1,000万円あたりの月額コストに換算した数字です。

30年目には、加入時の6.5倍まで割高になります。

これは商品が悪いという話ではありません。

住宅ローンに連動する保険である以上、こうなるのが自然です。

ただ、この性質を知らずに「一生分の保障」と考えてしまうと、判断を誤ります。

FP伊藤

ご相談では「がん保険の代わりになりますよね」と聞かれることがあります。
半分は正しく、半分はそうではありません。
ローンが多く残っている前半は、非常に手厚い保障です。
4,000万円の保障を月3,574円で持てるのは、民間の保険では難しいでしょう。
けれども後半になるほど割高になり、完済すればゼロになります。
「前半に効く保険」と考えると、位置づけがはっきりします。

50%保障と100%保障の違い

がん団信には、保障の割合が異なる商品があります。

50%保障は上乗せなしで付けられる商品もあります。

がん50%保障
上乗せなしの商品もある
35年のコスト 0円
15年目に診断された場合
残高2,371万円 → 1,186万円が返済
残り1,186万円は返済が続く
月103,834円 → 月51,917円
VS
がん100%保障
上乗せ+0.2%が一般的
35年のコスト 150万円
15年目に診断された場合
残高2,371万円 → 全額が返済
返済は終了
月107,408円 → 月0円

※ 借入4,000万円・金利年0.5%・35年での試算です。上乗せ幅と保障の割合は商品によって異なります。50%保障が上乗せなしとは限りません。

50%保障でも、返済は半分になります。

月103,834円が月51,917円になれば、働き方を調整する余地は十分に生まれます。

差額の150万円を、別の保障に使うという考え方もあります。

判断の目安

こういう場合考え方
がん保険に入っていない100%保障を検討する価値があります
すでにがん保険に入っている50%保障との組み合わせも選択肢になります
借入額が大きく、返済が家計を圧迫している100%保障で確実に消したい場面です
借入額が小さい(2,000万円以下など)上乗せの効果が限られます
共働きで、片方の収入だけでも返済できる50%保障でも足りる可能性があります

「どちらが正解」ではなく、ほかの保障と合わせてどうかで決まります。

民間のがん保険との違い

がん団信と民間のがん保険は、性質が異なります。

どちらが優れているという話ではありません。

がん団信民間のがん保険
保障の形ローン残高が返済される一時金・給付金が支払われる
保障額年々減っていく契約した金額で一定
お金の使い道住宅ローンの返済のみ治療費・生活費・収入の補填など自由
保障の終わり完済すると終了契約内容による(終身もある)
保険料金利に上乗せ(返済とセット)別に支払う
見直し途中で変更しにくい見直し・解約ができる
加入時の告知住宅ローンの手続きの中で行う個別に告知する

大きな違いは、お金の使い道です。

がん団信で消えるのは、住宅ローンの返済だけです。

治療費・通院の交通費・収入が減った分の補填には使えません。

一方、民間のがん保険の一時金は使い道が自由です。

治療費に充てることも、生活費に回すこともできます。

⚠️

がん団信を付けたら、加入中の保険を見直してください。
がん団信を付けたのに、同じ保障の保険もそのまま続けている。この状態だと、二重に保険料を払っていることになります。住宅ローンを組むときは、保険を見直す最もよいタイミングです。住宅を購入すると、遺族が住む家が確保されるため、生命保険の必要保障額そのものが下がることも多くあります。

生命保険の見直しにもつながります

団信に加入すると、亡くなった場合に住居費がかからなくなります。

これは、生命保険で用意すべき金額が減るということです。

たとえば、これまで家賃12万円を見込んで保険に入っていたなら、その分は不要になります。

ただし、維持費(管理費・修繕積立金・固定資産税)は残ります。

マンションなら月3.6万円程度、一戸建てなら月2.9万円程度です。

見直しで保険料が下がれば、その分をがん団信の上乗せに充てるという考え方もできます。

どう組み合わせるかを考える

ここまでの内容をふまえて、考え方を整理します。

ご家庭の状況別の考え方
A
がん保険に入っていないご家庭 100%保障を検討
がん団信を付ける価値は高くなります。特に借入額が大きい前半は、月3,574円で数千万円の保障を持てる計算です。100%保障を検討する価値があります。ただし、支払事由・免責期間・対象外となるがんの条件は必ず確認してください。
B
すでにがん保険に入っているご家庭 組み合わせを確認
保障が重複している可能性があります。50%保障(上乗せなしの商品があれば)とがん保険の組み合わせも選択肢のひとつです。50%保障でも返済は半分になり、月103,834円が月51,917円まで下がります(15年目に診断された場合の試算)。がん保険の一時金は使い道が自由なので、治療費にも使えます。
C
完済後の備えも考えたいご家庭 団信だけでは不足
団信の保障は完済すると終わります。35歳で35年ローンを組めば、保障が終わるのは70歳です。完済後も備えたい場合は、民間の保険を別に持つ必要があります。団信だけで一生分をまかなうことはできません。
D
持病があり、加入に不安があるご家庭 先に確認を
一般団信に加入できないと、住宅ローンそのものが借りられないことがあります。その場合は、告知条件を緩やかにしたワイド団信の取り扱いがある金融機関や、団信の加入が任意とされているフラット35を確認してください。早めに事前審査で確認しておくと安心です。

上乗せ金利を決める前のチェックリスト

団信オプションを決める前に確認したいこと

  • 上乗せ金利が、35年でいくらになるかを計算した
  • 支払事由を確認した(診断だけで支払われるか、所定の状態が必要か)
  • 対象外となるがん(上皮内がんなど)を確認した
  • 免責期間があるかを確認した
  • 加入中のがん保険・医療保険と重複していないか確認した
  • 生命保険の必要保障額を、住宅購入後の金額に見直した
  • 完済後の備えをどうするか考えた
  • 50%保障という選択肢も検討した

あとから追加できるかも確認してください

団信の保障は、あとから追加や変更ができないのが一般的です。

借り換えをすれば新しい団信に入り直せますが、そのときの健康状態で審査を受けることになります。

また借り換えには諸費用が約100万円かかります。

契約の前に決めておく必要がある、という点は覚えておいてください。

迷ったときは、「今の家計で、月3,574円を払い続けられるか」「その分を別の保険に回したほうが自由度が高くないか」の2つで考えると、判断しやすくなります。

まとめ|前半に効く保険として位置づける

この記事の要点
1 がん団信の保障額はローン残高と同じ。4,000万円が35年後には0円になる
2 上乗せ0.2%のコストは月3,574円で35年間変わらない(総額150万円)
3 保障1,000万円あたりのコストは、30年目には加入時の6.5倍
4 前半は非常に手厚く、後半は割高。「前半に効く保険」と考える
5 50%保障でも返済は半分に(月103,834円→月51,917円)
6 団信は完済すると保障が終わる。35歳で借りれば70歳でゼロ
7 付けるなら、加入中のがん保険・生命保険の見直しとセットで

がん団信は、付けるべきとも不要とも申し上げられません。

すでにある保障と、家計の状況によって答えが変わるからです。

ただ、性質ははっきりしています。

ローンが多く残っている前半に、強く効く保険です。

そして完済すれば、保障は終わります。

この前提で、ほかの保障と組み合わせて考えてみてください。

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よくある質問

気になる質問をタップすると、回答が開きます。

Q. がん団信は付けたほうがよいですか?

すでにある保障と家計の状況によって変わるため、一概には申し上げられません。ただし性質ははっきりしています。ローンが多く残っている前半は、月3,574円で数千万円の保障を持てる計算になり、非常に手厚い保障です。一方、後半になるほど割高になり、完済すれば保障は終わります。「前半に効く保険」と位置づけて、ほかの保障と組み合わせて考えてください。

Q. がん保険に入っていれば、がん団信はいりませんか?

重複している部分はありますが、性質が違います。がん団信は住宅ローンの返済だけが対象で、治療費や生活費には使えません。民間のがん保険の一時金は使い道が自由で、完済後も続けられます。50%保障(上乗せなしの商品があれば)とがん保険の組み合わせも選択肢のひとつです。どちらか一方に決める前に、保障の中身を並べて確認してください。

Q. がん50%保障と100%保障は、どちらがよいですか?

50%保障でも返済は半分になります。借入4,000万円で15年目に診断された場合、残高2,371万円の半分が返済され、毎月の返済は103,834円から51,917円になる計算です。50%保障は上乗せなしで付けられる商品もあります。その差額(35年で150万円)を別の保障に回すという考え方もできます。

Q. 上乗せ0.2%は高いですか?

借入4,000万円なら月3,574円、35年で150万円です。加入時は保障4,000万円に対して月3,574円なので、保障1,000万円あたり月894円という計算になります。ただし30年目には保障が615万円まで減るため、1,000万円あたり月5,810円と、加入時の6.5倍まで割高になります。

Q. 団信の保障は、あとから追加できますか?

一般的にはできません。借り換えをすれば新しい団信に入り直せますが、そのときの健康状態で審査を受けることになります。また借り換えには諸費用が約100万円かかります。契約の前に決めておく必要があります。

Q. 持病があると、団信に入れませんか?

一般団信に加入できないと、住宅ローンそのものが借りられないことがあります。その場合は、告知条件を緩やかにしたワイド団信の取り扱いがある金融機関や、団信の加入が任意とされているフラット35を確認してください。ワイド団信は金利が上乗せされるのが一般的です。早めに事前審査で確認しておくと安心です。

Q. 団信に入ったら、生命保険は減らせますか?

見直しの対象になります。団信に加入すると、亡くなった場合に住居費の返済がなくなるためです。これまで家賃分を見込んで保険に入っていたなら、その分は不要になります。ただし維持費は残ります。マンションなら月3.6万円程度、一戸建てなら月2.9万円程度です。この分は必要保障額に含めて考えてください。

Q. 保障の中身は、どこを見ればよいですか?

支払事由(診断だけで支払われるか、所定の状態が必要か)、対象外となるがん(上皮内がん・皮膚がんの一部など)、免責期間(加入後90日など)、加入できる年齢の上限。この4つは必ず確認してください。商品名だけでは判断できず、同じ「がん保障」でも条件は大きく異なります。

この記事の監修者

伊藤貴徳(伊藤FPオフィス代表)
伊藤 貴徳(いとう たかのり)
伊藤FPオフィス代表/CFP®・1級FP技能士・宅地建物取引士

証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。家計全体の視点から、住宅購入・ライフプラン設計・保険見直しの相談を行っています。団信については、上乗せ金利を保険料に換算し、加入中の保険と重ねて見ることをお伝えしています。

保有資格:CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/宅地建物取引士/トータル・ライフコンサルタント(生命保険協会認定)/証券外務員一種
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応
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保障額の推移・上乗せ金利のコストはすべて、借入4,000万円・基準金利年0.5%・35年・元利均等返済・ボーナス返済なしで計算した試算です。がん保障の上乗せ幅(+0.2%)、保障の割合(50%・100%)、50%保障が上乗せなしで付けられるかどうかは、金融機関・商品によって大きく異なります。実際の条件は、各金融機関の商品概要説明書および団信の約款でご確認ください。団信の支払事由・免責期間・対象外となるがんの範囲・加入年齢の上限・告知の内容も、商品ごとに異なります。記事中の年齢(35歳で借り入れた場合の推移)は、保障額の変化を分かりやすくするために置いた前提です。維持費(マンション月36,200円・一戸建て月29,200円)は、国土交通省「令和5年度マンション総合調査」等をもとにした目安です。借り換えの諸費用(約100万円)は残高3,000万円の場合の目安です。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融機関・住宅ローン商品・団信・保険の加入を勧めるものではありません。保険の加入・見直しにあたっては、約款および契約のしおりを必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。個別のご相談については、伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。

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