親からの住宅購入資金援助|贈与税の基礎と非課税制度

  • URLをコピーしました!

親から住宅購入資金を援助してもらえることになった。

ありがたい話ですが、使い方を間違えると税金がかかります。

500万円をそのまま受け取れば、贈与税は48.5万円。

さらに見落としやすいのが、登記の持分割合です。

ここを間違えると、450万円の贈与税がかかる計算になることもあります。

この記事の結論
  1. 非課税制度を使えば、省エネ等住宅で1,000万円・それ以外で500万円まで非課税
  2. 制度を使わないと、500万円で48.5万円・1,000万円で177万円の贈与税
  3. 非課税枠内でも申告は必要です(翌年2月1日〜3月15日)
  4. 登記の持分割合を出資割合と合わせないと、別の贈与税がかかることがあります
はじめに
本記事は一般的な情報の整理であり、税務相談ではありません。贈与税の取り扱いは、資金の流れ・契約の内容・住宅の性能証明などによって変わります。記事中の税額はすべて試算例です。実際の判断は、必ず所轄の税務署または税理士にご確認ください。

こんな方に読んでほしい記事です

  • 親から住宅購入資金を援助してもらう予定がある
  • 贈与税がいくらかかるのか知りたい
  • 夫婦で共有名義にする予定がある
  • 援助してもらった資金の使い方に迷っている

✍️ この記事の監修者

伊藤FPオフィス代表 伊藤貴徳

代表・監修者

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス 代表

CFP®認定者 1級FP技能士 宅地建物取引士 証券外務員1種

千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
家計全体の視点から、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。

🏢 伊藤FPオフィス(千葉県・オンライン対応) プロフィール詳細を見る →
目次

【金額で見る】制度を使うかどうかで、いくら違うか

親から住宅購入資金をもらう場合、税金の世界では基本的に「贈与」として扱われます。

贈与税は、1月1日から12月31日までにもらった財産をもとに計算します。

基礎控除は年110万円です。

まず、制度を使わなかった場合の税額を見てください。

もらった金額課税価格
(−基礎控除110万円)
贈与税額
300万円190万円19.0万円
500万円390万円48.5万円
700万円590万円88.0万円
1,000万円890万円177.0万円
1,500万円1,390万円366.0万円

※ 18歳以上の方が直系尊属(父母・祖父母など)から受け取る場合の特例税率で計算した試算例です。ほかに贈与を受けていない前提としています。

この税額をゼロにできるのが、住宅取得等資金の贈与税非課税制度です。

非課税限度額は500万円か1,000万円

国税庁の案内では、令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に住宅取得等資金の贈与を受け、一定の要件を満たす場合に、次の金額まで非課税になるとされています。

住宅の種類非課税限度額使わなかった場合の税額
省エネ等住宅1,000万円まで177.0万円
それ以外の住宅500万円まで48.5万円

省エネ等住宅とは、家屋の区分に応じて省エネルギー性能・耐震性能・バリアフリー性能のいずれかの基準に適合し、住宅性能証明書など一定の書類で証明された住宅です。

令和6年度の税制改正により、新築住宅の省エネ性能要件はZEH水準が求められる方向になっています。

「省エネ住宅っぽいから大丈夫」という自己判断は危険です。

証明書を取得できるかどうかを、販売会社や建築会社に確認してください。

⚠️

非課税限度額は「もらう人ひとりあたり」の金額です。
父から1,000万円、祖父から1,000万円というように複数の方から受け取っても、非課税になるのは合わせて1,000万円までです。贈与する人ごとに枠があるわけではありません。

FP伊藤

ご相談では「制度があるから大丈夫ですよね」とおっしゃる方が多くいます。
ただ、この制度は使えば自動的に非課税になるものではありません。
要件を満たしたうえで、期限内に申告して初めて適用されます。
そして実務でより多いのは、制度は正しく使えたのに、登記の持分で別の贈与税がかかるケースです。
こちらは記事の後半でお伝えします。

制度を使うための要件と、申告の手続き

この制度は、親から住宅資金をもらえば自動的に使えるものではありません。

もらう人と、住宅の両方に要件があります。

もらう人の主な要件

  • 贈与を受けたときに、贈与する人の直系卑属(子や孫)であること
  • 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること
  • 合計所得金額が原則2,000万円以下であること
  • 翌年3月15日までに、資金の全額を住宅の取得等に充てること
  • 翌年3月15日までに居住すること、またはその後遅滞なく居住する見込みであること

※ 床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅では、合計所得金額の要件が1,000万円以下になります。

住宅側の主な要件

  • 日本国内にある住宅であること
  • 登記簿上の床面積が原則40㎡以上240㎡以下であること
  • 床面積の2分の1以上が、自分の居住用であること
  • 中古住宅の場合、一定の築年数・耐震基準などの要件を満たすこと
  • 増改築の場合、一定の工事内容や工事費などの要件を満たすこと

制度の対象になるかどうかは、物件資料だけでは判断できないことがあります。

契約前に、不動産会社・建築会社・税務署・税理士へ確認してください。

非課税枠の中でも、申告は必要です

この制度で最も見落とされやすいのが、申告です。

「非課税の範囲内だから申告しなくてよい」と思われがちですが、特例を受けるには申告書と一定の書類の提出が必要とされています。

① 贈与を受ける
資金を受け取ります。振込の記録が残る形にしてください。贈与契約書を作成しておくと、あとで確認しやすくなります。
② 翌年3月15日までに|住宅を取得し、居住する
受け取った資金の全額を住宅の取得等に充て、その住宅に住み始めます(またはその後遅滞なく居住する見込みであること)。
③ 翌年2月1日〜3月15日|贈与税の申告
納税地の所轄税務署へ、贈与税の申告書と添付書類を提出します。戸籍謄本、売買契約書や請負契約書の写し、住宅性能証明書など。申告が遅れると、特例を使えない可能性があります。
④ 翌年12月31日まで|居住の確認
この日までに居住していない場合、原則として特例を受けられず、修正申告が必要になるとされています。注文住宅やリノベーションで工期が延びる場合は、特に注意してください。
⚠️

贈与のタイミングは、契約・着工・引き渡し・入居の予定とセットで決めてください。
「先にお金だけ受け取っておく」と、翌年3月15日までに住宅の取得や居住が間に合わないことがあります。工期が延びやすい注文住宅や中古のリノベーションでは、特に注意が必要です。

よくある誤解

この場合は、制度の対象になりません
×
配偶者の親からの援助 対象外
この制度は自分の直系尊属からの贈与が対象です。配偶者の親は直系尊属に含まれないため、原則として適用を受けられないとされています。夫婦それぞれが自分の親から援助を受ける、共有名義にするなど、贈与先と持分の整理が必要になります。
×
住宅ローンの返済のための贈与 対象外
対象になるのは、住宅の新築・取得・増改築等の対価に充てるための金銭です。住宅ローンを返済するために受けた贈与は、この特例の対象にならないとされています。「買ったあとに親から返済を助けてもらう」場合は、別の贈与として扱われる可能性があります。
×
不動産そのものの贈与 対象外
対象は住宅取得等資金、つまり金銭の贈与です。居住用不動産そのものの贈与は、この特例の対象ではないとされています。親名義の土地や建物を譲り受ける場合は、別の税務確認が必要です。
△
親から「借りる」形にする場合 実態が必要
借入として認められるには、返済の実態が必要です。金銭消費貸借契約書を作成し、返済期間・金利・返済方法を定め、実際に返済の記録を残してください。いわゆる「ある時払いの催促なし」は、贈与とみなされる可能性があります。

【最大の落とし穴】登記の持分割合

非課税制度を正しく使えても、登記の持分割合で別の贈与税がかかることがあります。

実務では、こちらのほうが見落とされがちです。

原則は「出したお金の割合=登記の持分割合」です。

具体例で見ていきます。

4,000万円の物件を購入する場合
  • 夫の住宅ローン    3,000万円
  • 夫の貯金        500万円
  • 妻の親から妻へ贈与   500万円
→ 出資割合は 夫87.5% : 妻12.5%(=夫7/8・妻1/8)

この状態で、登記の持分をどうするかで結果が変わります。

登記の持分割合と、贈与とみなされる額
○
夫7/8・妻1/8で登記する 贈与税0円
出資割合とぴったり一致します。妻の持分は500万円で、実際に出した500万円と同じ。贈与とみなされる部分はありません。
△
夫3/4・妻1/4で登記する 贈与税 約53万円
妻の持分は1,000万円になりますが、実際に出したのは500万円。差額の500万円が、夫から妻への贈与とみなされる可能性があります。
×
夫1/2・妻1/2で登記する 贈与税 約450万円
妻の持分は2,000万円になりますが、実際に出したのは500万円。差額の1,500万円が夫から妻への贈与とみなされる可能性があります。夫婦間の贈与は一般税率が適用されるため、税額も大きくなります。

※ 一般税率(夫婦間など)で計算した試算例です。実際の判定は資金の流れ全体で行われ、住宅ローンの借り方(ペアローン・連帯債務など)によっても変わります。婚姻期間20年以上の夫婦には配偶者控除の特例もあります。登記の前に、必ず税務署または税理士へご確認ください。

「夫婦なんだから半分ずつ」という発想が、最も危険です。

登記は司法書士が手続きしますが、持分をどうするかを決めるのはご自身です。

持分を決める前に整理すること

資金の出どころを全部書き出してください

  • 夫の住宅ローンはいくらか
  • 妻の住宅ローンはいくらか(ペアローンの場合)
  • 夫の貯金からいくら出すか
  • 妻の貯金からいくら出すか
  • 夫の親からの贈与はいくらか(夫の出資として扱われます)
  • 妻の親からの贈与はいくらか(妻の出資として扱われます)
  • 諸費用は誰が払うか

これを合計した割合が、登記の持分割合になります。

端数はどうするか、諸費用をどう扱うかなど、細かい判断が必要になる場面もあります。

契約の前に、税務署または税理士へ相談しておくと安心です。

もらった資金を、どう使うか

税金の確認が終わったら、次は使い方です。

すべて頭金に入れるのが正解とは限りません。

頭金に入れると、いくら得をするか

500万円を頭金に入れた場合の効果を計算しました。

借入4,000万円
(頭金に入れない)
借入3,500万円
(頭金に入れる)
毎月の返済額112,914円98,800円
35年の総返済額4,742万円4,150万円
支払う利息742万円650万円
住宅ローン控除の見込み309.6万円270.9万円

※ 金利年1.0%・35年・元利均等返済での試算です。住宅ローン控除は省エネ基準適合住宅・子育て世帯(借入限度額4,500万円)として13年分を計算した見込み額であり、実際は年末残高と納めた所得税・住民税の範囲内になります。

利息は93万円減りますが、住宅ローン控除も38.7万円減ります。

差し引き54.1万円のメリットです。

金額としては、頭金に入れたほうが有利になります。

ただし、全額を入れるのは別の話です。

500万円のうち、頭金に回せるのはいくらか

購入後にも、現金が必要になる場面があります。

親からの援助500万円の使い道合計 500万円
生活防衛資金(生活費30万円×6ヶ月) 180万円
引っ越し・家具家電・カーテン・照明 100万円
固定資産税・不動産取得税の備え 30万円
頭金に回せる額 190万円

500万円もらっても、頭金に入れられるのは190万円という計算になります。

生活防衛資金は、必ず残してください。

病気・失業・家電の故障・急な修繕。

住宅ローンは繰り上げ返済であとから減らせますが、一度払った頭金は戻せません。

⚠️

親からの援助があると、予算を上げてしまいがちです。
500万円もらったから500万円高い物件を、という発想になると、毎月の返済額は変わらないまま総額だけが増えます。援助は「予算を上げるため」ではなく「家計に余裕を作るため」に使ってください。

相続時精算課税という選択肢もあります

大きな援助を受ける場合、相続時精算課税を検討することもあります。

相続時精算課税とは、一定の贈与について贈与時に課税関係を整理し、贈与した方が亡くなったときに相続税で精算する仕組みです。

毎年110万円の基礎控除と、累計2,500万円の特別控除があるとされています。

令和6年1月1日から令和8年12月31日までに住宅取得等資金の贈与を受ける場合、要件を満たせば、住宅取得等資金の非課税特例と相続時精算課税を併せて適用できるとされています。

⚠️

相続時精算課税は、一度選ぶと暦年課税に戻れません。
その贈与者からの贈与について、以後は暦年課税を選べなくなります。将来の相続にも関わる制度です。相続税がかかる可能性があるご家庭では、必ず税理士へ相談してから判断してください。

親の老後資金は大丈夫か

最後に、忘れられがちな視点をお伝えします。

援助した側の家計です。

65歳・貯蓄2,000万円・公的年金だけでは月5万円足りないご家庭を例に計算しました。

援助しない 98歳まで
貯蓄2,000万円 ÷ 年60万円 = 33.3年分
500万円を援助 90歳まで
残り1,500万円 ÷ 年60万円 = 25.0年分
1,000万円を援助 82歳まで
残り1,000万円 ÷ 年60万円 = 16.7年分
1,500万円を援助 73歳まで
残り500万円 ÷ 年60万円 = 8.3年分

※ 退職金を受け取ったあとの貯蓄が2,000万円、公的年金だけでは月5万円不足する家庭を想定した試算例です。年金額・支出・医療費・介護費によって大きく変わります。

1,000万円を援助すると、82歳で貯蓄が尽きる計算になります。

介護が必要になれば、さらに早まります。

親御さんは「大丈夫」とおっしゃることが多いものです。

けれども、親の老後資金が足りなくなれば、結局は子世帯が支えることになります。

そのときは、住宅ローンと教育費が重なっている時期かもしれません。

FP伊藤

援助の話が出たら、金額を決める前に親御さんの老後の見通しを一緒に確認することをおすすめしています。
「いくらまでなら出せるか」ではなく「いくら残しておく必要があるか」から考える形です。
言い出しにくい話ではありますが、あとで困るより先に話しておくほうが、お互いに安心できます。
第三者が間に入ると話しやすい、という声もよくいただきます。

援助を受ける前のチェックリスト

親から援助を受ける前に確認したいこと

  • 贈与する方が自分の父母・祖父母など直系尊属か確認した
  • 贈与を受ける年と、住宅の取得・入居の時期を確認した
  • 省エネ等住宅に該当するか、証明書を取得できるか確認した
  • 非課税限度額が500万円か1,000万円かを確認した
  • 非課税枠内でも贈与税の申告が必要なことを理解した
  • 資金の出どころを全部書き出し、登記の持分割合を決めた
  • 援助を頭金・諸費用・生活防衛資金にどう分けるか決めた
  • 教育費のピーク時にも返済が続けられるか確認した
  • 親御さんの老後資金に無理がないか確認した
  • 税務署または税理士へ確認すべき点を整理した

まとめ|税金と家計を、セットで確認する

この記事の要点
1 非課税制度を使わないと、500万円で48.5万円・1,000万円で177万円の贈与税
2 非課税限度額は省エネ等住宅で1,000万円、それ以外で500万円
3 限度額は「もらう人ひとりあたり」。贈与者ごとに枠があるわけではない
4 非課税枠内でも、翌年2月1日〜3月15日に申告が必要
5 登記の持分割合を出資割合と合わせないと、別の贈与税がかかることがある
6 500万円もらっても、頭金に回せるのは190万円という計算になる
7 1,000万円を援助すると、親の貯蓄は82歳で尽きる計算(試算例)

親からの援助は、家計にとって大きな助けになります。

ただし、税金の確認と家計の確認は別のものです。

非課税制度を使えたとしても、持分割合を間違えれば別の贈与税がかかります。

全額を頭金に入れれば、手元の現金がなくなります。

金額を決める前に、両方を確認してください。

援助の金額と使い道を、一緒に整理しませんか

親からの援助は、金額が決まってから相談されることが多くあります。

ただ、本当に確認したいのは金額を決める前です。

伊藤FPオフィスのマイホーム購入診断では、援助を受けた場合と受けない場合の両方で、90歳までの貯蓄残高の推移を作成します。

「いくら援助してもらえば家計が回るか」を数字で確認できます。

資金の出どころを整理して、登記の持分割合をどう考えるかもご一緒に確認します。

税務判断については
ファイナンシャルプランナーは、個別の税務判断や申告の代行はできません。具体的な税額の計算や申告手続きが必要な場合は、税務署または税理士へのご相談をご案内しています。必要に応じて、確認すべき点を整理したうえでお繋ぎします。
16年
FP業界での経験
5資格
CFP®・宅建士ほか
0円
商品販売・紹介料の収入
マイホーム購入診断
税込29,800円 / オンライン対応
  • 援助を受けた場合・受けない場合の家計の比較
  • 頭金・諸費用・生活防衛資金への配分の整理
  • 資金の出どころの整理(持分割合を考える材料に)
  • 教育費のピーク時・完済時の貯蓄残高
  • 90歳までの貯蓄残高の推移を1枚の表に
  • ご夫婦・ご両親と見返せる資料をお渡しします

千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。

援助の金額を決める前に、確かめておきましょう

\ 特定の物件・金融機関をおすすめすることはありません /

マイホーム購入診断を申し込む

オンライン対応・千葉県市川市

👨‍👩‍👧 ご相談事例・お客様の声

同じ悩みを持つ方が、どう解決したかをご覧いただけます

「妊娠を機に、これからの家計が気になる」
「教育費をどのような方法で準備したらいい?」
実際に伊藤FPオフィスへご相談いただいた方の、相談前のお悩みから相談後の変化までをご紹介しています。

掲載中のご相談事例
・30代ご夫婦(市川市・妊娠中)/これからの家計の見直し
・30代ご夫婦(市川市・お子様3歳)/教育資金の準備方法
・貯金がうまくできないというお悩み ほか

ご相談事例・お客様の声を見る →

よくある質問

気になる質問をタップすると、回答が開きます。

Q. 親から500万円もらっても、贈与税はかかりませんか?

住宅取得等資金の非課税制度の要件を満たし、必要な申告をすれば、500万円まで非課税になる可能性があります(省エネ等住宅なら1,000万円まで)。制度を使わない場合は、500万円で48.5万円の贈与税がかかる計算です。非課税枠内でも申告は必要なので、忘れないようご注意ください。

Q. 父と母からそれぞれ1,000万円ずつもらえますか?

非課税限度額は「もらう人ひとりあたり」の金額です。父から1,000万円、母から1,000万円というように複数の方から受け取っても、非課税になるのは合わせて1,000万円までとされています。贈与する人ごとに枠があるわけではありません。

Q. 妻の親から、夫名義の家に援助してもらう場合は使えますか?

この制度は自分の直系尊属からの贈与が対象で、配偶者の親は直系尊属に含まれないため、原則として適用を受けられないとされています。妻が援助を受けて妻の持分として登記する、夫婦それぞれが自分の親から援助を受けるなど、贈与先と持分の整理が必要になります。個別の取り扱いは税務署または税理士へご確認ください。

Q. 夫婦で半分ずつの持分にしても問題ありませんか?

出資割合と持分割合がずれると、その差が贈与とみなされる可能性があります。夫が3,500万円、妻が500万円を出した4,000万円の物件で半分ずつの持分にすると、1,500万円が夫から妻への贈与とみなされ、約450万円の贈与税がかかる計算になります。登記の前に、必ず税務署または税理士へご確認ください。

Q. 親から借りる形にすれば、贈与税はかかりませんか?

借入として認められるには、返済の実態が必要です。金銭消費貸借契約書を作成し、返済期間・金利・返済方法を定めたうえで、実際に返済した記録を残してください。いわゆる「ある時払いの催促なし」や、返済の実態がないものは贈与とみなされる可能性があります。

Q. 非課税特例を使ったお金は、相続のときに戻されますか?

住宅取得等資金の非課税特例で非課税とされた部分は、相続財産に加算されないとされています。一方、相続時精算課税を選んだ場合は、贈与した方が亡くなったときに相続税で精算する仕組みです。どちらを使うかで扱いが変わるため、相続税がかかる可能性があるご家庭では税理士へご相談ください。

Q. もらった500万円は、全部頭金に入れるべきですか?

全額を入れることはおすすめしていません。生活防衛資金180万円(生活費30万円×6ヶ月)、引っ越し・家具家電で100万円、固定資産税や不動産取得税の備えで30万円。これらを差し引くと、頭金に回せるのは190万円という計算になります。住宅ローンは繰り上げ返済であとから減らせますが、頭金は戻せません。

Q. 援助してもらえるなら、その分いい物件を買ってもよいですか?

500万円もらったから500万円高い物件を、という考え方はおすすめしていません。毎月の返済額は変わらないまま、総額と維持費だけが増えるためです。援助は「予算を上げるため」ではなく「家計に余裕を作るため」に使うことをおすすめしています。

この記事の監修者

伊藤貴徳(伊藤FPオフィス代表)
伊藤 貴徳(いとう たかのり)
伊藤FPオフィス代表/CFP®・1級FP技能士・宅地建物取引士

証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。家計全体の視点から、住宅購入・ライフプラン設計・保険見直しの相談を行っています。親御さんからの援助については、税制の確認だけでなく「援助する側の老後資金」まで含めてお話ししています。

保有資格:CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/宅地建物取引士/トータル・ライフコンサルタント(生命保険協会認定)/証券外務員一種
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応
本記事の出典・試算条件と、ご注意をみる
本記事は一般的な情報の整理であり、税務相談ではありません。ファイナンシャルプランナーは、個別の税務判断や申告の代行を行うことはできません。記事中の税額はすべて一定の条件を置いた試算例であり、実際の税額は資金の流れ・契約の内容・住宅の性能証明・ほかの贈与の有無などによって変わります。実際の判断は、必ず所轄の税務署または税理士にご確認ください。贈与税額は、直系尊属から18歳以上の方への贈与に適用される特例税率(持分に関する試算は夫婦間などに適用される一般税率)を用い、ほかに贈与を受けていない前提で計算しています。住宅取得等資金の贈与税非課税制度の内容(令和6年1月1日から令和8年12月31日までの贈与、非課税限度額、受贈者・住宅の要件、申告の期限、相続時精算課税との併用)は、2026年8月時点で確認できる国税庁のタックスアンサー・質疑応答事例および国土交通省の案内をもとにしています。税制は改正されることがあるため、贈与を受ける前に最新の情報をご確認ください。返済額はすべて金利年1.0%・35年・元利均等返済・ボーナス返済なしでの試算です。住宅ローン控除の見込み額は、省エネ基準適合住宅・子育て世帯(借入限度額4,500万円・控除率0.7%・13年)として計算した目安であり、実際は年末残高と納めた所得税・住民税の範囲内になります。親御さんの老後資金の試算は、65歳時点の貯蓄2,000万円・公的年金だけでは月5万円不足するという想定で計算した一例であり、年金額・支出・医療費・介護費によって大きく変わります。本記事は特定の物件・金融機関・保険を推奨するものではありません。個別のご相談については、伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次