一戸建てとマンションの管理費・維持費の比較

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「一戸建てなら管理費がかからないので、マンションより安いのでは」

よく聞く考え方です。

30年分を計算すると、確かに一戸建てのほうが255万円安くなりました。

ただし、これは条件つきです。

駐車場代を入れると差は795万円に広がり、逆に修繕費を積み立てていなければ一戸建てのほうが苦しくなります。

この記事の結論
  1. 30年の維持費は、マンション1,305万円・一戸建て1,050万円
  2. 駐車場代を入れると、差は795万円に広がります(月15,000円の場合)
  3. マンションの修繕積立金は新築時の2〜4倍まで上がることがあります
  4. 一戸建ては10年ごとに150万円前後がまとまって出ます

こんな方に読んでほしい記事です

  • 一戸建てとマンションで迷っている
  • 管理費・修繕積立金が高いと感じている
  • 一戸建ての修繕費がいくらかかるか知りたい
  • 維持費まで含めて総額で比べたい

✍️ この記事の監修者

伊藤FPオフィス代表 伊藤貴徳

代表・監修者

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス 代表

CFP®認定者 1級FP技能士 宅地建物取引士 証券外務員1種

千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
家計全体の視点から、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。

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目次

【30年で比較】どちらがいくらかかるか

最初に、維持費の内訳を金額で並べます。

住宅ローンの返済は含まず、それ以外にかかる費用です。

費用項目マンション一戸建て
管理費11,503円—
修繕積立金/修繕費の積立13,054円16,667円(自分で積み立てます)
固定資産税・都市計画税約10,000円約10,000円
火災保険・地震保険約1,700円約2,500円
駐車場代0〜30,000円0円(敷地内の場合)
合計(駐車場代を除く)36,257円29,167円

※ 管理費・修繕積立金は国土交通省「令和5年度マンション総合調査」の月額平均です。固定資産税は物件の評価額によって大きく異なります(ここでは年12万円と仮定)。一戸建ての修繕費は30年で600万円かかると仮定した目安です。火災保険は、木造の一戸建てのほうが鉄筋コンクリートのマンションより保険料が高くなる傾向を反映しています。

これを30年分にすると、こうなります。

マンション
月36,257円
30年で
1,305 万円
駐車場代は含みません
VS
一戸建て
月29,167円
30年で
1,050 万円
敷地内に駐車できる前提

差は 255万円。一戸建てのほうが安くなります

ただし、この差は「一戸建てが得」という意味ではありません。

違うのは金額だけでなく、支払いの形だからです。

マンション一戸建て
支払いの形毎月ほぼ一定10年ごとにまとまって出る
管理する人管理組合と管理会社自分
積み立ての強制力毎月自動的に徴収される自分で貯める必要がある
費用の見えやすさ明細で見える見えにくい

一戸建てで注意したいのは、最後の2つです。

毎月の支払いが少ないぶん、積み立てておかないと修繕のときに資金が足りなくなります。

FP伊藤

ご相談で「一戸建ては管理費がないので安いですよね」と聞かれることがあります。
金額だけを見れば、そのとおりです。
けれどもマンションの修繕積立金は、強制的に貯めてくれる仕組みでもあります。
一戸建てで同じことをするには、月16,667円を別口座に貯め続ける必要があります。
「安い」のではなく「自分で管理する」と考えてください。

マンションの維持費|修繕積立金は上がります

マンションの維持費は、毎月の支払いとして明細で見えます。

ただし、購入時の金額がずっと続くわけではありません。

修繕積立金は段階的に上がります

多くのマンションでは、修繕積立金を段階的に増額する方式が採られています。

新築時は低く設定され、築年数とともに上がっていく形です。

新築時 月6,000円
パンフレットや販売資料には、この金額が書かれています。この数字だけを見て判断すると、実態とずれます。
6年目〜 月10,000円
1回目の見直しで上がることが多い時期です。
11年目〜 月15,000円
最初の大規模修繕(12〜15年目が一般的)に向けて増額されます。
16年目〜 月20,000円
2回目の大規模修繕に備えます。
21年目〜 月25,000円
新築時の4倍以上になっています。30年間の合計は606万円、平均すると月16,833円です。

※ 段階増額方式の一例です。実際の金額と増額のペースはマンションごとに異なります。長期修繕計画で確認してください。

⚠️

販売資料の修繕積立金は、新築時の金額です。
月6,000円と書かれていても、20年後には25,000円になっているかもしれません。住宅ローンの返済額は35年変わりませんが、管理費と修繕積立金は変わります。購入前に長期修繕計画を見せてもらい、増額の予定を確認してください。

購入前に確認したいこと

国土交通省は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」や長期修繕計画の標準様式を公開しています。

また、管理計画認定制度では、管理組合の運営・管理規約・管理費と修繕積立金の区分経理・長期修繕計画などが認定基準になっています。

  • 長期修繕計画 — いつ・どこを・いくらで修繕する予定か
  • 修繕積立金の増額予定 — 何年後にいくらになるか
  • 積立金の残高 — 計画に対して足りているか
  • 大規模修繕の履歴 — 実施済みか、次はいつか
  • 滞納の状況 — 滞納が多いと計画が崩れます
  • 管理組合の運営状況 — 総会が機能しているか

中古マンションでは、これらの確認がより重要になります。

積立金が不足していると、大規模修繕の際に一時金の徴収が必要になることがあります。

管理費は何に使われるか

管理費は、共用部分を日常的に維持するためのお金です。

清掃、設備点検、管理会社への委託費、共用部分の電気代などに使われます。

次のようなマンションでは、管理費が高くなりやすくなります。

  • 管理人が常駐している
  • エレベーターが多い、機械式駐車場がある
  • 共用施設(ラウンジ・ゲストルーム・ジムなど)が充実している
  • 戸数が少ない(1戸あたりの負担が大きくなります)

共用施設は魅力ですが、使わなければ費用だけがかかります。

実際に使う頻度を想像してから判断してください。

一戸建ての維持費|自分で積み立てる必要があります

一戸建てには、管理費も修繕積立金もありません。

そのぶん、修繕が不要になるわけではありません。

30年間で必要になる修繕を、時期ごとに整理しました。

10〜15年目 外壁・屋根の塗装 約150万円
外壁塗装、屋根の補修、防水、雨どいの交換など。後回しにすると、雨漏りや構造部分の傷みにつながります。
15〜20年目 給湯器・水回りの設備交換 約150万円
給湯器、キッチン、浴室、トイレ、洗面台。設備の寿命が重なる時期です。
20〜25年目 外壁・屋根の再塗装 約150万円
1回目の塗装から10年程度で、2回目が必要になります。
25〜30年目 屋根の葺き替えなど 約150万円
屋根材の交換、シロアリ対策、その他の補修。30年間の合計は約600万円。月16,667円の積立が必要な計算です。

※ 一般的な目安です。建材・工法・立地・面積によって大きく異なります。実際の見積もりは、複数の業者に依頼して比較してください。

⚠️

修繕費は、10年ごとにまとまって出ます。
毎月の支払いがないぶん、積み立てていないと150万円が必要になったときに借入で対応することになります。リフォームローンの金利は住宅ローンより高いのが一般的です。購入直後から、別口座で積み立てておいてください。

そのほかにかかる費用

  • 庭・外構の維持 — 草木の手入れ、門扉・フェンスの補修
  • 防犯設備 — 防犯カメラ、センサーライト、宅配ボックス
  • 火災保険 — 木造は鉄筋コンクリートより保険料が高くなります
  • シロアリ対策 — 5年ごとの点検・防除が一般的です

一方で、一戸建てには自由度という利点があります。

修繕の時期を自分で決められること、業者を選んで費用を抑えられること、リフォームの内容を自由に決められること。

マンションでは、共用部分の修繕は管理組合の決定に従うことになります。

【最大の変数】駐車場代

ここまでの比較には、駐車場代を入れていませんでした。

実は、これが最も大きく効きます。

一戸建てなら、敷地内に停められれば駐車場代はかかりません。

マンションでは、敷地内でも月額の負担があるのが一般的です。

駐車場代 30,000円(都心部) 1,335万円(30年の差)
マンション月66,257円 vs 一戸建て月29,167円
駐車場代 20,000円 975万円(30年の差)
駐車場代 15,000円 795万円(30年の差)
駐車場代 10,000円 615万円(30年の差)
駐車場代 なし(車を持たない) 255万円(30年の差)
駅近マンションで車なしなら、差は小さくなります

※ 30年間の維持費の差(一戸建てのほうが安い金額)です。一戸建ては敷地内に駐車できる前提としています。

駐車場代が月15,000円なら、30年で795万円の差になります。

車を持つ予定があるなら、この差は無視できません。

逆に、車を持たない前提なら差は255万円まで縮まります。

駅近のマンションを選んで車なしで暮らす、という選択も合理的です。

機械式駐車場には注意が必要です

機械式駐車場があるマンションでは、設備そのものの維持費と将来の更新費用が管理組合の負担として発生します。

更新には数千万円規模の費用がかかることもあり、修繕積立金の増額や一時金の徴収につながる場合があります。

また、空き区画が増えると駐車場収入が減り、管理組合の収支が悪化することもあります。

長期修繕計画に、駐車場設備の更新が織り込まれているかを確認してください。

どちらが向いているか

維持費の観点から、向き不向きを整理しました。

維持費から見た向き・不向き
マ
マンションが向いているご家庭 管理を任せたい
修繕費を自分で管理するのが難しいと感じる方に向いています。毎月自動的に徴収されるため、修繕の資金が確実に貯まります。また、駅近を選んで車を持たない生活ができれば、一戸建てとの差は255万円まで縮まります。共用部分の管理を任せられる点も、負担が少なくなります。
戸
一戸建てが向いているご家庭 車を持つなら
車を持つ予定があり、修繕費を自分で積み立てられるご家庭です。駐車場代が月15,000円かかるエリアなら、30年で795万円の差になります。また、修繕の時期と業者を自分で選べるため、費用を抑えられる可能性もあります。ただし、月16,667円を別口座に貯め続ける必要があります。
注
一戸建てで注意が必要なご家庭 積立が前提
修繕費の積立が続けられない場合、10〜15年目の外壁・屋根の修繕(約150万円)で資金が足りなくなります。リフォームローンは住宅ローンより金利が高いのが一般的です。「毎月の支払いが少ないから一戸建て」という判断は危険です。
中
中古マンションを検討している場合 計画の確認を
修繕積立金の残高と長期修繕計画を必ず確認してください。積立金が不足していると、大規模修繕の際に一時金の徴収が必要になることがあります。また滞納が多い管理組合では、計画そのものが崩れる可能性があります。

購入前のチェックリスト

維持費について確認したいこと

  • 車を持つかどうかを決めた(駐車場代で30年795万円の差が出ます)
  • マンションなら、長期修繕計画と修繕積立金の増額予定を確認した
  • マンションなら、積立金の残高と滞納の状況を確認した
  • 一戸建てなら、修繕費として月16,667円を積み立てる計画にした
  • 固定資産税の概算を確認した(前所有者の納税額の目安でも可)
  • 火災保険の見積もりを取った(構造によって保険料が変わります)
  • 維持費を含めた住居費が、手取りの25〜30%に収まるか確認した

まとめ|管理費がない住まいほど、自分で見える化する

この記事の要点
1 30年の維持費は、マンション1,305万円・一戸建て1,050万円(差255万円)
2 駐車場代が月15,000円なら、差は795万円に広がる
3 マンションの修繕積立金は、新築時6,000円が21年目に25,000円になることも
4 販売資料の修繕積立金は新築時の金額。長期修繕計画で増額予定を確認する
5 一戸建ての修繕費は10年ごとに150万円前後。30年で約600万円
6 一戸建ては月16,667円を自分で積み立てる必要がある
7 違うのは金額より「支払いの形」と「管理する人」

一戸建てとマンションの維持費は、金額の差より仕組みの差が本質です。

マンションは、強制的に貯めてくれる代わりに、金額も時期も自分では決められません。

一戸建ては自由に決められる代わりに、自分で貯めておかないと困ります。

管理費がない住まいほど、修繕費を自分で見える化してください。

維持費を含めた住居費で、予算を確認しませんか

住宅ローンの返済額だけで予算を決めると、維持費のぶんだけ家計が苦しくなります。

マンションなら月36,257円、一戸建てなら月29,167円。

駐車場代を入れれば、さらに増えます。

伊藤FPオフィスのマイホーム購入診断では、検討中の物件の維持費を見積もったうえで、住居費が家計に占める割合を確認します。

一戸建てとマンションを同じ条件で比べることもできます。

不動産会社からの紹介料を受け取っていないため、どちらかをおすすめすることはありません。

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千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。

宅地建物取引士として、長期修繕計画や管理規約の見方もお伝えできます。

物件を決める前に、維持費まで含めて比べておきましょう

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よくある質問

気になる質問をタップすると、回答が開きます。

Q. 一戸建ては管理費がないので、マンションよりお得ですか?

30年の維持費で比べると、一戸建てのほうが255万円安くなります(マンション1,305万円・一戸建て1,050万円)。駐車場代が月15,000円かかるエリアなら、差は795万円まで広がります。ただし、これは月16,667円を自分で積み立て続けられた場合の話です。積み立てていないと、10〜15年目の修繕(約150万円)で資金が足りなくなります。

Q. マンションの修繕積立金は上がることがありますか?

多くのマンションで、段階的に上がります。新築時に月6,000円だったものが、6年目に10,000円、11年目に15,000円、21年目には25,000円になるといった例があります。販売資料に書かれているのは新築時の金額なので、長期修繕計画で増額の予定を確認してください。

Q. 一戸建ての修繕費は、毎月いくら積み立てるべきですか?

月16,667円が目安です(30年で600万円)。10〜15年目に外壁・屋根の塗装で約150万円、15〜20年目に給湯器・水回りの交換で約150万円というように、10年ごとにまとまって出ます。生活費の口座とは分けて、別口座に貯めておくことをおすすめします。

Q. 駐車場代はそんなに影響しますか?

最も大きな変数です。一戸建てなら敷地内に停められれば0円ですが、マンションでは月10,000〜30,000円かかるのが一般的です。月15,000円なら30年で540万円。維持費全体の差255万円と合わせると、795万円の違いになります。

Q. 中古マンションで、特に確認すべきことは何ですか?

修繕積立金の残高と長期修繕計画です。積立金が計画に対して不足していると、大規模修繕の際に一時金の徴収が必要になることがあります。また、滞納が多い管理組合では計画そのものが崩れる可能性があります。大規模修繕の履歴と、次回の予定もあわせて確認してください。

Q. 機械式駐車場のあるマンションは避けたほうがよいですか?

一概には言えませんが、確認は必要です。機械式駐車場は設備そのものの維持費がかかり、更新には数千万円規模の費用が必要になることもあります。空き区画が増えると駐車場収入が減り、管理組合の収支が悪化することもあります。長期修繕計画に、駐車場設備の更新が織り込まれているかを確認してください。

Q. 火災保険は一戸建てのほうが高いのですか?

構造によって変わります。木造の一戸建て(H構造)は、鉄筋コンクリートのマンション(M構造)より保険料が高くなるのが一般的です。また一戸建ては建物全体が対象になるのに対し、マンションは専有部分が中心で、共用部分は管理組合が加入していることが多くなります。

Q. 子育て世帯は、どちらが安心ですか?

維持費の観点だけでは決められません。車を持つ予定があり、修繕費を積み立てられるなら一戸建て。駅近で車を持たず、管理を任せたいならマンション、という整理になります。そのうえで、間取り・音・セキュリティ・学区・通勤など、暮らし方の条件で判断してください。

この記事の監修者

伊藤貴徳(伊藤FPオフィス代表)
伊藤 貴徳(いとう たかのり)
伊藤FPオフィス代表/CFP®・1級FP技能士・宅地建物取引士

証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。家計全体の視点から、住宅購入・ライフプラン設計・保険見直しの相談を行っています。一戸建てとマンションの比較では、金額だけでなく「修繕費を自分で管理できるか」まで含めてお話ししています。

保有資格:CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/宅地建物取引士/トータル・ライフコンサルタント(生命保険協会認定)/証券外務員一種
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応
本記事の出典・試算条件をみる
マンションの管理費(月11,503円)・修繕積立金(月13,054円)は、国土交通省「令和5年度マンション総合調査」の月額平均によります。固定資産税・都市計画税は年12万円、火災保険はマンション年2万円・一戸建て年3万円、一戸建ての修繕費は30年で600万円かかると仮定した目安です。これらは物件の評価額・構造・所在地・面積によって大きく異なります。修繕積立金の段階増額の例(新築時6,000円→21年目25,000円)は一例であり、実際の金額と増額のペースはマンションごとに異なります。長期修繕計画で個別にご確認ください。一戸建ての修繕のタイミングと金額(10〜15年目に外壁・屋根の塗装で約150万円など)も一般的な目安であり、建材・工法・立地・面積によって変わります。駐車場代は地域と物件によって大きく異なり、一戸建てでも敷地内に駐車できない場合は費用が発生します。国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」「長期修繕計画標準様式」および管理計画認定制度の内容は、国土交通省のサイトでご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の物件・住宅の種類・不動産会社・保険を推奨するものではありません。個別のご相談については、伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。

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