住宅購入前にやるべき家計見直し|FPが伝える7つの確認事項

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「住宅購入の前に、家計を見直したほうがいいのだろうか」

「節約したところで、大した違いはないのでは」

そう思われるかもしれません。

固定費を月1万円減らすと、借入可能額は354万円増えます。

月2万円なら709万円、月3万円なら1,063万円です。

節約は、そのまま「買える家」に直結します。

この記事の結論
  1. 固定費を月1万円減らすと、借入可能額が354万円増えます
  2. 通信費・保険料・サブスクなどで、月23,000円の見直し余地があります
  3. それは35年で966万円。借入に換算すると815万円分です
  4. 住宅購入で増える固定費は、見直しで吸収できます

こんな方に読んでほしい記事です

  • 住宅購入前に何を見直せばいいか知りたい
  • 予算がもう少しほしいと感じている
  • 購入後に家計が苦しくならないか不安
  • 何から手をつければいいか分からない

✍️ この記事の監修者

伊藤FPオフィス代表 伊藤貴徳

代表・監修者

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス 代表

CFP®認定者 1級FP技能士 宅地建物取引士 証券外務員1種

千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
家計全体の視点から、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。

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目次

【核心】固定費を月1万円減らすと354万円多く借りられる

家計見直しの効果は、「毎月いくら浮くか」で語られがちです。

住宅購入の前なら、別の見方ができます。

浮いた分を返済に回せるので、そのまま借入可能額に置き換えられるのです。

月3万円の削減 1,063万円 借入可能額が増える
35年で1,260万円の余裕が生まれます
月2万円の削減 709万円 借入可能額が増える
35年で840万円
月1.5万円の削減 531万円 借入可能額が増える
35年で630万円
月1万円の削減 354万円 借入可能額が増える
35年で420万円
月5,000円の削減 177万円 借入可能額が増える
35年で210万円

※ 金利年1.0%・35年・元利均等返済で、浮いた分をすべて返済に回した場合の試算です。

月5,000円の削減でも、177万円分の差になります。

これは「予算を177万円上げられる」とも、「借入を177万円減らして安全にできる」とも読めます。

どちらを選ぶかは、ご家庭の考え方しだいです。

ただし、この記事でおすすめするのは後者です。

見直しで作った余裕を予算アップに使ってしまうと、結局ぎりぎりの家計に戻ってしまうからです。

FP伊藤

「節約しても大した額にならない」と感じる方は多いと思います。
月5,000円は、たしかに小さな金額に見えます。
けれども住宅ローンは35年続きます。
35年という時間が、小さな差を大きな差に変えます。
しかも固定費の見直しは、一度やれば自動的に続く点が強みです。
毎日の買い物を我慢するのとは、負担がまったく違います。

効果の大きい順に4つ

見直す順番は、効果が大きく、生活の質を下げないものからです。

一般的な水準で、見直しの余地を整理しました。

固定費の見直し余地(一般的な水準) 月23,000円
生命保険料(必要保障額を計算し直す) 10,000円
最も効果が大きく、生活への影響がない項目です
通信費(大手キャリア→格安SIM・2人分) 8,000円
一度手続きすれば、自動的に続きます
使っていないサブスク・会費 3,000円
契約したまま忘れているものを洗い出します
電力・ガスの契約見直し 2,000円
生活は何も変わりません

※ 一般的な水準をもとにした目安です。現在の契約内容によって、削減できる額は大きく異なります。

合計で月23,000円。年276,000円、35年では966万円になります。

借入可能額に換算すると、815万円分です。

① 保険料|必要保障額を計算してから判断する

効果が最も大きいのが保険です。

ただし「とりあえず減らす」のは危険です。

先に必要保障額を計算してください。

計算式はシンプルです。

遺された家族に必要なお金 − 入ってくるお金(遺族年金・配偶者の収入・貯蓄)

この計算をすると、多くのご家庭で「思っていたより必要な保障は小さい」という結果になります。

特に住宅を購入すると、団体信用生命保険(団信)に加入するため、必要な死亡保障は大きく下がります。

月20,000円の保険を、計算し直して月8,000円にできた場合。

期間削減できる金額
10年144万円
20年288万円
35年504万円
⚠️

保険を減らす前に、必ず必要保障額を計算してください。
金額だけを見て減らすと、万一のときに家族が困ります。また、新しい保険が成立する前に今の保険を解約すると、無保険の期間ができます。健康状態によっては入り直せないこともあります。貯蓄型の保険は、解約返戻金と予定利率を確認してから判断してください。

② 通信費|一度手続きすれば自動的に続きます

大手キャリアから格安SIMに変えると、1人あたり月3,000〜5,000円ほど下がることがあります。

夫婦2人なら月8,000円程度です。

通信費の見直しは、生活の質をほとんど下げません。

使い方が変わらないのに支出だけ減るため、取り組む価値が高い項目です。

あわせて、自宅のインターネット回線も確認してください。

スマホとのセット割が使える場合があります。

③ サブスク・会費|使っていないものを洗い出す

動画配信、音楽配信、アプリの有料プラン、ジムの会費、使っていないクレジットカードの年会費。

クレジットカードの明細を12ヶ月分さかのぼって確認してください。

年に一度しか引き落とされないものは、特に見落としやすくなります。

なお、使っていないクレジットカードは解約しておくと住宅ローンの審査でも有利です。

キャッシング枠が借入とみなされることがあるためです。

④ 電力・ガス|生活は何も変わりません

契約プランや会社を見直すだけで、月2,000円程度下がることがあります。

使用量が変わらないので、生活への影響はゼロです。

手間の割に効果があるため、早めに済ませておくとよい項目です。

住宅購入で増える固定費は、見直しで吸収できます

ここまでの話を、住宅購入の場面に当てはめてみます。

家賃12万円の方が、4,000万円のマンションを購入した場合(頭金400万円・借入3,600万円・金利1.0%・35年)の住居費です。

項目月あたりの金額
住宅ローンの返済101,623円
管理費11,503円
修繕積立金13,054円
固定資産税・都市計画税約10,000円
火災保険・地震保険約1,700円
住居費の合計137,880円
今の家賃との差+17,880円

※ 管理費・修繕積立金は国土交通省「令和5年度マンション総合調査」の月額平均です。固定資産税は物件の評価額によって大きく異なります。

住居費は月17,880円増えます。

これを、家計見直しで作った余裕と並べてみます。

住宅購入で増える固定費
月々
17,880 円
家賃12万円との差
VS
家計見直しで作れる余裕
月々
23,000 円
保険・通信費・サブスク・光熱費

見直しをすれば、増加分をすべて吸収できる計算です

「家を買うと家計が苦しくなる」とは限りません。

購入前に固定費を整えておけば、増える分を吸収できます。

むしろ、見直しをせずに購入するほうが危険です。

固定費が高いまま住宅ローンが加わると、教育費が増える時期に耐えられなくなります。

⚠️

ただし、この計算は「今の家賃と同水準の物件」を前提としています。
見直しで作った余裕を使って、より高い物件を買ってしまうと元の木阿弥です。住居費が手取りの30%を超える物件を選べば、月23,000円の見直しでは追いつきません。見直しは、予算を上げるためではなく、余裕を作るために使ってください。

7つの確認事項

固定費の見直しと並行して、次の7項目を確認してください。

確認すること見るポイント住宅購入での意味
1. 収入と支出毎月・年間の黒字額返済に回せる余力を確認する
2. 貯蓄と手元資金頭金・諸費用・残すお金購入後の急な支出に備える
3. 住宅費の総額返済以外の維持費毎月の固定費を正しく見る
4. 教育費進学時期と支出の山返済と教育費の重なりを確認する
5. 保険団信加入後の必要保障額保障不足と払いすぎを防ぐ
6. 借入と固定費車のローン・カード・通信費審査と返済の余力を整える
7. 老後資金と資産形成購入後も積立を続けられるか将来の準備を止めない

特に効くのは6番です

他の借入があると、審査にも家計にも大きく響きます。

自動車ローンで月2.5万円を返済している場合。

審査金利3.5%で計算すると、住宅ローンの借入可能額が605万円減ります。

ほかの借入の返済額(月)借入可能額が減る額
5,000円(スマホ端末の分割など)▲121万円
1万円(奨学金など)▲242万円
2.5万円(自動車ローンなど)▲605万円
3万円▲726万円

※ 審査金利3.5%・35年での試算です。金融機関によって扱いは異なります。

残債が少ないローンは、事前審査の前に完済しておくと枠が戻ります。

残り60万円の自動車ローンを返すだけで、605万円分の借入枠が戻る計算です。

使っていないクレジットカードのキャッシング枠も、借入とみなされることがあります。

解約するか、枠をゼロにしておいてください。

3番も見落とされがちです

住宅ローンの返済額だけを見て予算を決める方が多くいます。

しかし実際の住居費は、返済額に維持費を足したものです。

  • マンション — 管理費・修繕積立金・固定資産税・火災保険で月36,200円程度
  • 一戸建て — 修繕費の積立・固定資産税・火災保険で月29,200円程度(地価の高いエリアではさらに増えます)

この金額を加えた住居費が、手取りの30%以内に収まるかを確認してください。

生命保険の見直しでは、収入保障保険への切り替えで保険料が下がる場合があります。

やってはいけない3つのこと

  • 貯蓄をすべて頭金に入れる — 購入後の急な支出に対応できなくなります
  • ボーナス払いを前提にしすぎる — ボーナスは景気や業績で変動します
  • 保険や積立を一気に止める — 必要な保障まで失ったり、教育費の準備が止まったりします
① 貯蓄をすべて頭金に入れる

頭金を増やせば借入額は減ります。

しかし、手元の現金がなくなると、病気・失業・家電の故障・急な修繕に対応できません。

生活費の6ヶ月分程度(月30万円なら180万円)は必ず残してください。

住宅ローンは繰り上げ返済であとから減らせますが、一度払った頭金は戻せません。

② ボーナス払いを前提にしすぎる

ボーナス払いを組むと、毎月の返済額は下がります。

しかしボーナスは、景気や業績で変動する収入です。

毎月の手取り収入の中で回る返済額に設定し、ボーナスは貯蓄や繰り上げ返済に回すほうが安全です。

ボーナスが出ない年があっても、家計が揺らぎません。

③ 保険や積立を一気に止める

固定費を減らそうとして、保険をすべて解約したり、教育費の積立を止めたりするケースがあります。

保険は、必要保障額を計算したうえで減らしてください。

積立は、金額を下げてもよいので止めないことが大切です。

特に教育費の積立を止めると、進学時期に借入でまかなうことになりかねません。

月8,565円(私立文系・児童手当を貯めた場合)でも、続けることに意味があります。

削るのではなく、優先順位を決める

家計見直しは、我慢の量を増やすことではありません。

何にお金をかけ、何を減らすかを決めることです。

固定費の見直しが優れているのは、生活の満足度を下げずに支出だけを減らせる点にあります。

通信費も電力会社も、変えたところで使い方は変わりません。

保険も、必要な保障が確保できていれば問題ありません。

一方、食費や外食、旅行、習い事を削ると、生活の満足度が直接下がります。

まず固定費から手をつけてください。

変額保険が家計に合うかどうかは、こちらで解説しています。

まとめ|見直しは、買った後の暮らしを守るためです

この記事の要点
1 固定費を月1万円減らすと、借入可能額が354万円増える
2 保険料・通信費・サブスク・光熱費で、月23,000円の見直し余地がある
3 それは35年で966万円。借入に換算すると815万円分
4 住宅購入で増える固定費(月17,880円)は、見直しで吸収できる
5 保険は「必要保障額を計算してから」減らす
6 自動車ローン(月2.5万円)があると、借入可能額が605万円減る
7 見直しは予算を上げるためではなく、余裕を作るために使う

住宅購入前の家計見直しは、節約のためだけではありません。

買った後の暮らしを守るための準備です。

そして、固定費の見直しは一度やれば自動的に続きます。

毎日の買い物を我慢するのとは、負担がまったく違います。

物件を探し始める前に、まず固定費から手をつけてください。

わが家の見直し余地を、一緒に確認しませんか

固定費のうち、最も効果が大きいのは保険です。

ただし、必要保障額を計算せずに減らすのは危険です。

伊藤FPオフィスのマイホーム購入診断では、遺族年金と団信を織り込んだ必要保障額を計算したうえで、保険の過不足を整理します。

あわせて、90歳までの貯蓄残高の推移から無理なく買える物件価格の上限も確認します。

保険も金融商品も販売していないため、見直しを口実に別の商品をおすすめすることはありません。

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  • 遺族年金・団信を織り込んだ必要保障額の計算
  • 維持費まで含めた住居費が家計に占める割合の確認
  • 無理なく買える物件価格と借入額の上限
  • 90歳までの貯蓄残高の推移を1枚の表に
  • 独立系FPによる整理

千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。

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よくある質問

気になる質問をタップすると、回答が開きます。

Q. 節約しても、大した金額にならないのでは?

住宅ローンは35年続くため、小さな差が大きな差になります。固定費を月5,000円減らすだけで、借入可能額は177万円増える計算です。月1万円なら354万円、月2万円なら709万円です。しかも固定費の見直しは一度やれば自動的に続くため、毎日の買い物を我慢するのとは負担がまったく違います。

Q. どの支出から見直すべきですか?

効果が大きく、生活の質を下げないものからです。保険料(月10,000円)、通信費(月8,000円)、使っていないサブスク(月3,000円)、電力・ガス(月2,000円)で、合計月23,000円の見直し余地があります。食費や外食を削ると生活の満足度が直接下がるため、まず固定費からです。

Q. 保険はどのくらい減らしていいですか?

金額から決めるのではなく、必要保障額を計算してください。「遺された家族に必要なお金 − 遺族年金・配偶者の収入・貯蓄」で求めます。住宅を購入して団信に加入すると、必要な死亡保障は大きく下がります。計算した結果、月20,000円を8,000円にできた場合、35年で504万円の差になります。

Q. 頭金を増やすために貯蓄を使い切ってもよいですか?

おすすめしません。生活費の6ヶ月分程度(月30万円なら180万円)は必ず残してください。住宅ローンは繰り上げ返済であとから減らせますが、一度払った頭金は戻せません。購入後の急な修繕や家電の故障、収入減に対応できなくなります。

Q. 家計簿をつけていなくても見直しできますか?

できます。固定費の見直しには家計簿は必要ありません。クレジットカードと銀行口座の明細を12ヶ月分さかのぼって、毎月・毎年引き落とされているものを書き出すだけで十分です。年に一度しか引き落とされない年会費などは、特に見落としやすい項目です。

Q. 車のローンは完済したほうがいいですか?

残債が少なければ、事前審査の前に完済する価値があります。月2.5万円を返済していると、審査上は借入可能額が605万円減る計算です。残り60万円のローンを返すだけで、605万円分の枠が戻ります。ただし、生活防衛資金を削ってまで完済するのは避けてください。

Q. NISAや投資を続けながら住宅ローンを組んでもよいですか?

生活防衛資金が確保できていれば、続ける選択肢はあります。ただし、住宅購入の頭金や数年以内に使う教育費は、値動きのある商品ではなく預貯金で持ってください。また、購入直後は想定外の出費が増えるため、積立額を一時的に下げる判断もあり得ます。

Q. 家計見直しは夫婦で一緒にやるべきですか?

ご一緒にやってください。固定費は、どちらか一方だけが把握していることが多くあります。特に保険とサブスクは、契約者本人しか内容を知らないケースが目立ちます。また、何にお金をかけるかは価値観の問題なので、話し合っておくと購入後の納得感が高まります。

この記事の監修者

伊藤貴徳(伊藤FPオフィス代表)
伊藤 貴徳(いとう たかのり)
伊藤FPオフィス代表/CFP®・1級FP技能士・宅地建物取引士

証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。家計全体の視点から、住宅購入・ライフプラン設計・保険見直しの相談を行っています。家計見直しのご相談では、削る量を増やすのではなく「生活の満足度を下げずに減らせる支出」から手をつけることをお伝えしています。

保有資格:CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/宅地建物取引士/トータル・ライフコンサルタント(生命保険協会認定)/証券外務員一種
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応
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借入可能額の試算は、削減できた固定費をすべて返済に回した場合として、金利年1.0%・35年・元利均等返済・ボーナス返済なしで計算した概算です。固定費の見直し余地(通信費8,000円・保険料10,000円・サブスク3,000円・電力ガス2,000円)は一般的な水準をもとにした目安であり、現在の契約内容によって削減できる額は大きく異なります。まったく削減できない場合もあります。マンションの管理費(月11,503円)・修繕積立金(月13,054円)は、国土交通省「令和5年度マンション総合調査」の月額平均によります。固定資産税・都市計画税は年12万円、火災保険は年2万円と仮定した目安で、物件の評価額・構造・所在地によって大きく異なります。ほかの借入による借入可能額の減少は、審査金利3.5%・35年での試算であり、金融機関によって扱いは異なります。審査金利は各金融機関が公表していないため、一般に言われる水準を用いています。保険の見直しは、必要保障額を計算したうえで行ってください。新しい契約が成立する前に既存の保険を解約すると無保険の期間が生じ、健康状態によっては加入できない場合があります。貯蓄型の保険は解約返戻金と予定利率を確認してから判断してください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の保険・金融商品・通信事業者・電力会社を推奨するものではありません。個別のご相談については、伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。

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