「住宅購入は何から始めればいいのか」
「契約したら、次に何をするのか」
初めての住宅購入では、聞き慣れない言葉と手続きが続きます。
特に分かりにくいのが、お金をいつ、いくら払うのかです。
売買契約の日に、200万円の現金が必要になることをご存じでしょうか。
この記事では、手続きの流れと資金の流れを、あわせて整理します。
- 購入申込みから引き渡しまで、おおむね1.5〜3ヶ月です
- 売買契約の日に手付金200万円を現金で払います(4,000万円の物件の場合)
- ローンで賄えない現金は、合計で449万円必要になります
- 契約後に車のローンを組むと、本審査が通らなくなることがあります
こんな方に読んでほしい記事です
- 住宅購入の全体の流れを先に知っておきたい
- いつ、いくらのお金が必要になるか知りたい
- 契約から引き渡しまでの手続きが不安
- 契約前に何を確認すべきか知りたい
✍️ この記事の監修者
代表・監修者
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表
千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
家計全体の視点から、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。
全体の流れと期間の目安

住宅購入の流れは、物件の種類・売主・金融機関・地域によって変わります。
ここでは一般的な進み方を、期間の目安とあわせて整理します。
購入申込みから引き渡しまでは、おおむね1.5〜3ヶ月です。
お子さんの転園・転校がある場合は、この期間を逆算して動く必要があります。
※ 国土交通省の消費者向けページでも、不動産取引の流れは例として示されており、実際の流れは契約の相手方や不動産業者に確認するよう案内されています。この記事の流れも一般的な目安としてご覧ください。
【重要】いつ、いくら払うのか

住宅購入で最も混乱するのが、資金の流れです。
物件価格の大部分は住宅ローンで払いますが、ローンが実行されるのは引き渡しの日です。
それまでの支払いは、すべて自分の現金でまかなう必要があります。
4,000万円の新築を買う場合で整理しました。
| タイミング | 支払うもの | 金額の目安 | 現金かローンか |
|---|---|---|---|
| 購入申込み | 申込金 | 0〜10万円 | 現金(契約に至らなければ返還されるのが一般的) |
| 売買契約 | 手付金 | 200万〜400万円 | 現金 |
| 売買契約 | 印紙税 | 1万円 | 現金 |
| ローン契約 | 印紙税 | 2万円 | 現金 |
| 決済・引き渡し | 残代金 | 3,600万円 | 住宅ローン |
| 決済・引き渡し | 登記費用(登録免許税+司法書士報酬) | 35万円 | 現金 |
| 決済・引き渡し | ローン事務手数料 | 79万円 | 現金または借入 |
| 決済・引き渡し | 火災保険・地震保険(5年一括) | 20万円 | 現金 |
| 決済・引き渡し | 固定資産税の精算金 | 5万〜10万円 | 現金 |
| 引き渡し後 | 不動産取得税 | 5万円前後 | 現金(数ヶ月後に通知) |
| 引き渡し後 | 引っ越し・家具家電・カーテン | 100万円 | 現金 |
※ 4,000万円の新築(頭金なし・借入3,600万円)を想定した目安です。ローン事務手数料は借入額の2.2%(定率型)として計算しています。金融機関によっては定額型のところもあります。中古物件では、これに仲介手数料(4,000万円なら約139万円)が加わります。
現金で必要な金額を、まとめると次のようになります。
売買契約の日に必要。残代金に充当されます
エアコンの増設や照明も含みます
借入額の2.2%(定率型の場合)
登録免許税+司法書士報酬
5年一括の場合
手付金200万円は、住宅ローンでは払えません。
売買契約は引き渡しの1〜2ヶ月前に行いますが、住宅ローンが実行されるのは引き渡しの日です。その間の資金は、自分で立て替える必要があります。これが「貯金ゼロでの購入は実質難しい」と言われる最大の理由です。
ただし、手付金は最終的に残代金に充当されます。
つまり手付金200万円は、二重に払うわけではありません。
実質的な持ち出しは、449万円から手付金を引いた249万円です。
それでも、契約の日には200万円の現金が必要です。
FP伊藤ご相談で「頭金はゼロでいいと言われたので、貯金は少なくて大丈夫ですよね」と聞かれることがあります。
頭金がゼロでも、契約時の手付金と諸費用は現金で必要です。
さらに、病気や失業に備える生活防衛資金(生活費の6ヶ月分程度)も残しておきたいところです。
生活費が月30万円なら180万円。実質の持ち出し249万円と合わせて、429万円は確保しておきたい水準です。
そのうえで、契約時に手付金200万円を立て替えられる状態が必要になります。
契約前に必ず確認する3つのこと


売買契約を結ぶと、簡単には後戻りできません。
契約前に、次の3つは必ず確認してください。
① 重要事項説明の内容
重要事項説明とは、買う予定の物件について、契約前に知っておくべき内容を宅地建物取引士から説明してもらう手続きです。
宅地建物取引業法にもとづいて義務づけられています。
- 登記簿上の所有者と権利関係
- 用途地域・建ぺい率・容積率などの制限
- 道路との接し方、私道負担、再建築の可否
- 水害ハザードマップ上の所在地(説明が義務づけられています)
- マンションの場合は管理費・修繕積立金・管理規約
- 契約不適合責任の内容
- 手付金・違約金・解除の条件
- 住宅ローン特約の期限と条件
重要事項説明は、契約当日に受けることもあります。
内容が多く、その場ですべて理解するのは簡単ではありません。
可能であれば事前に書面をもらい、分からない言葉や不安な点をメモしておいてください。
なお、条件を満たせばオンラインで受けることもできます(令和4年5月の制度改正により、オンラインでの不動産取引が可能になりました)。
② 住宅ローン特約の期限と条件
住宅ローン特約とは、審査が通らなかった場合に売買契約を白紙解除できるという契約上の取り決めです。
これがないと、ローンが組めなくても契約は有効なままになります。
特約が使えないと、数百万円の損失になる可能性があります。
手付金200万円が戻らないだけでなく、違約金(売買代金の10〜20%が一般的)が発生することがあります。4,000万円の物件なら400万〜800万円です。特約の内容は契約書によって異なるため、必ず自分の目で確認してください。
確認すべきは、次の点です。
- 特約の期限はいつか — この日までに審査結果が出ないと使えません
- 対象になる金融機関と借入金額はどう書かれているか — 特定の金融機関に限定されていることがあります
- 手付解除の期限はいつまでか — 期限を過ぎると違約金の対象になります
- 違約金が発生する条件は何か
③ 手付金の額と返還条件
手付金は、売買契約のときに買主から売主へ支払うお金です。
契約の成立を明確にする意味があり、契約で定められていれば残代金の支払い時に売買代金の一部へ充当されます。
大きな金額になるため、支払う前に次を確認してください。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 金額 | 物件価格の5〜10%が一般的。交渉で減らせる場合もあります |
| 支払先 | 売主か、仲介業者の預り口座か |
| 返還条件 | 住宅ローン特約が使えた場合は返還されるのが一般的 |
| 保全措置の有無 | 売主が宅地建物取引業者の場合、一定額を超えると保全措置が必要です |
手付金を減らす交渉はできますが、極端に少ない手付金は売主に敬遠されることがあります。
人気物件の競争では不利になる可能性があると考えておいてください。
契約から引き渡しまでにやってはいけないこと


売買契約を結んだあとも、住宅ローンの本審査が残っています。
この期間の行動が、審査結果を左右します。
- 車など大きな買い物をローンで組む — 月2.5万円の返済が増えるだけで、借入可能額が605万円減る計算です
- 転職する — 勤続年数がリセットされ、本審査が通らなくなることがあります
- クレジットカードやスマホ料金の支払いを延滞する — 信用情報に記録が残ります
- 新たにカードを作る・キャッシング枠を増やす — 借入とみなされることがあります
- 年収や借入について、事前審査と違う内容を申告する
本審査が通らないと、契約が白紙になるか、違約金の対象になります。
住宅ローン特約が使える場合でも、手続きと期限を守る必要があります。「事前審査に通ったから大丈夫」と考えて行動すると、取り返しがつかないことになります。引き渡しが終わるまでは、家計の現状維持を徹底してください。
この期間にやっておくべきこともあります。
- 火災保険を比較する — 金融機関の紹介以外にも選択肢があります。補償内容と保険料を比べてください
- 引っ越し業者を早めに手配する — 3月・4月は料金が上がり、予約も取りにくくなります
- 必要な現金を用意する — 決済日には登記費用・事務手数料・火災保険料などをまとめて支払います
- 転園・転校の手続きを確認する — 自治体によって期限や必要書類が異なります
引き渡し後にも支払いがあります
鍵を受け取れば終わりではありません。
- 不動産取得税 — 数ヶ月後に納税通知が届きます(軽減後で5万円前後)
- 翌年からの固定資産税・都市計画税 — 一戸建てなら年24万〜29万円程度
- 引っ越し・家具家電・カーテン・照明 — 100万円程度
- 修繕費の積立 — 一戸建てなら30年で600万円を見込んで、月1.7万円程度
入居して数ヶ月後に届く不動産取得税の通知は、忘れた頃にやってきます。
あらかじめ資金を確保しておいてください。
FPに相談するタイミング


住宅購入の流れの中で、家計を確認するタイミングは2回あります。
契約後でも相談はできますが、できることは限られます。
手付金を払ったあとでは、引き返すのに大きな負担がかかります。
なお、この2回のうち1回目のほうがはるかに重要です。
物件を見てから予算を決めると、「この物件を買うにはどうすればよいか」という発想になりがちだからです。
まとめ|流れを知ると、落ち着いて進められます


住宅購入は、手続きの数が多く、初めての言葉が続きます。
けれども、流れと資金の動きを先に知っておけば、落ち着いて進められます。
特に「いつ、いくらの現金が必要か」を把握しておくと、資金が足りずに慌てることがなくなります。
物件を探し始める前に、予算の上限を決めませんか
この記事の流れの中で、最も重要なのはステップ1の予算確認です。
ここを飛ばすと、あとの手続きがすべて「この物件を買うには」という発想に引きずられます。
伊藤FPオフィスのマイホーム購入診断では、90歳までの貯蓄残高の推移を作成し、無理なく買える物件価格の上限を確認します。
借入額を変えた複数のパターンも比べられるため、「この価格帯なら大丈夫」という基準を持って物件探しを始められます。
不動産会社からの紹介料も、保険や金融商品の販売手数料も受け取っていません。
- 無理なく買える物件価格と借入額の上限
- 手付金・諸費用として必要な現金の算出
- 90歳までの貯蓄残高の推移を1枚の表に
- 借入額を変えた複数パターンの比較
- 金利上昇・収入減など複数シナリオの試算
- ご夫婦で見返せる資料をお渡しします
千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。
宅地建物取引士として、契約書や重要事項説明書の見方もお伝えできます。
👨👩👧 ご相談事例・お客様の声
同じ悩みを持つ方が、どう解決したかをご覧いただけます
「妊娠を機に、これからの家計が気になる」
「教育費をどのような方法で準備したらいい?」
実際に伊藤FPオフィスへご相談いただいた方の、相談前のお悩みから相談後の変化までをご紹介しています。
掲載中のご相談事例
・30代ご夫婦(市川市・妊娠中)/これからの家計の見直し
・30代ご夫婦(市川市・お子様3歳)/教育資金の準備方法
・貯金がうまくできないというお悩み ほか
よくある質問
気になる質問をタップすると、回答が開きます。
Q. 物件探しと住宅ローンの相談は、どちらが先ですか?
家計から見た予算の確認が先です。銀行の事前審査で示される額は「借りられる可能性がある額」で、年収600万円なら4,234万円という判定になることがあります。一方、家計から見た適正額は2,862万円です。先に自分の基準を持ってから、物件を見に行ってください。
Q. 契約の日に、いくら現金が必要ですか?
手付金として物件価格の5〜10%が必要です。4,000万円の物件なら200万〜400万円になります。住宅ローンが実行されるのは引き渡しの日なので、契約時は自分で立て替える必要があります。これに印紙税1万円が加わります。
Q. 頭金がゼロなら、貯金は少なくても大丈夫ですか?
そうではありません。頭金がゼロでも、手付金・登記費用・ローン事務手数料・火災保険・引っ越し費用などで現金が必要です。4,000万円の新築なら合計449万円、手付金は残代金に充当されるため実質の持ち出しは249万円です。さらに生活防衛資金180万円を残すなら、429万円は確保しておきたい水準です。
Q. 手付金は必ず戻ってきますか?
条件によります。住宅ローン特約が使える場合(審査が通らなかった場合)は返還されるのが一般的です。一方、自己都合で解除する場合は戻りません。さらに手付解除の期限を過ぎると、違約金(売買代金の10〜20%が一般的)が発生することがあります。4,000万円の物件なら400万〜800万円です。
Q. 事前審査に通れば、本審査も必ず通りますか?
通らないことがあります。本審査では書類の裏付け確認に加え、団体信用生命保険の健康告知と物件の担保評価が加わるためです。また、事前審査のあとに転職したり、車のローンを組んだりすると結果が変わることがあります。月2.5万円の返済が増えるだけで、借入可能額は605万円減る計算です。
Q. 重要事項説明は、契約当日に聞けば大丈夫ですか?
できれば事前に書面をもらってください。内容が多く、その場ですべて理解するのは簡単ではありません。特に住宅ローン特約の期限、手付解除の期限、水害ハザードマップ上の所在地、マンションの管理費・修繕積立金は落ち着いて確認したい項目です。
Q. 引き渡しまでに、家計で一番注意すべきことは何ですか?
家計の現状維持です。車など大きな買い物をローンで組む、転職する、クレジットカードの支払いを延滞する。これらは本審査に影響し、契約が白紙になったり違約金の対象になったりします。引き渡しが終わるまでは、大きな決断を控えてください。
Q. 引き渡しが終われば、支払いは終わりですか?
終わりではありません。数ヶ月後に不動産取得税の通知が届き(軽減後で5万円前後)、翌年からは固定資産税・都市計画税がかかります(一戸建てで年24万〜29万円程度)。また一戸建てなら、修繕費として30年で600万円程度を積み立てる必要があります。
この記事の監修者


証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。家計全体の視点から、住宅購入・ライフプラン設計・保険見直しの相談を行っています。宅地建物取引士として、契約書や重要事項説明書の見方も含めてお伝えできることが強みです。
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