「住宅購入の相談は、銀行・不動産会社・FPの誰にすればいい?」
「それぞれ言うことが違って、何を信じればいいの?」
住宅購入を考え始めると、相談先が一気に増えます。
それぞれ役割が違うため、順番を間違えると判断を誤ります。
- 相談先が違うことを言うのは、見ている範囲と収益の仕組みが違うから
- 年収600万円なら、銀行の審査上限は約6,200万円。一方家計から見た目安は2,570万〜3,260万円で、約3,000万円の開きがあります
- 上限まで借りると、住居費が手取りの51%を占めます
- 順番は「予算を決めてから物件を見る」。逆にすると引き返せなくなります
この記事では、千葉・東京エリアで住宅購入を検討している子育て世帯に向けて、相談先の役割の違いと相談する順番を整理します。
こんな方に読んでほしい記事です
- 住宅購入の相談先をどこにすべきか迷っている
- 銀行・不動産会社・FPの違いを知りたい
- 「借りられる」と言われたが、本当に大丈夫か不安
- 千葉・東京エリアで住宅購入を検討している子育て世帯
✍️ この記事の監修者
代表・監修者
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表
千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
家計全体の視点から、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。
なぜ相談先によって言うことが違うのか

相談先が違うことを言うのには、はっきりした理由があります。
見ている範囲と、収益の仕組みが違うからです。
| 相談先 | 見ている範囲 | 収益の仕組み | その結果おきやすいこと |
|---|---|---|---|
| 銀行 | 住宅ローンの審査と条件 | 貸したお金の利息 | 自行の商品での提案になる |
| 不動産会社 | 物件と売買の手続き | 売買が成立したときの仲介手数料 | 購入を前提に話が進みやすい |
| ハウスメーカー・工務店 | 建物の仕様と建築費 | 建築工事の請負 | オプション追加で総額が上がりやすい |
| FP(商品販売あり) | 家計と金融商品 | 保険などの販売手数料 | 扱う商品に寄った提案になりやすい |
| FP(相談料型) | 家計全体 | 相談料のみ | 商品提案がない分、判断は自分で行う |
どこが悪い、という話ではありません
銀行は住宅ローンの、不動産会社は物件の、建築会社は建物の専門家です。
それぞれの領域では、他では得られない情報を持っています。
問題になるのは、担当外のことまで判断材料にしてしまうときです。
「借りられると言われたから大丈夫」という判断が、その典型です。
【試算】「借りられる額」と「返せる額」はここまで違う

この記事で最もお伝えしたいのが、この差です。
銀行の審査は、額面年収に対する返済の割合(返済負担率)で判断されます。
一方、実際に暮らすのは税金と社会保険料を引いた手取りのお金です。
年収600万円のご家庭で、両者を比べてみます。
約6,200 万円
月々の返済 17.5万円
2,570〜3,260 万円
月々の返済 7.2〜9.2万円
その差、約3,000万円
※ 金利年1.0%・35年・元利均等返済で計算した試算です。手取りは額面の約78%、維持費(固定資産税・修繕費など)を月2.5万円と仮定しています。実際の審査基準・適正額はご家庭の状況により異なります。
年収別に並べると、どの水準でも大きな開きがあります。
| 額面年収 | 手取りの月収 | 銀行の審査上限 | 家計から見た目安 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 約32.5万円 | 約5,170万円 | 1,990万〜2,570万円 | 約2,600万円 |
| 600万円 | 約39.0万円 | 約6,200万円 | 2,570万〜3,260万円 | 約2,940万円 |
| 700万円 | 約45.5万円 | 約7,230万円 | 3,140万〜3,950万円 | 約3,280万円 |
| 800万円 | 約52.0万円 | 約8,270万円 | 3,720万〜4,640万円 | 約3,630万円 |
※ 同上の条件で計算した試算です。「家計から見た目安」は手取りの25%〜30%を住居費の上限とした場合の借入額です。
上限まで借りると、暮らしはどうなるか
年収600万円の方が審査上限まで借りた場合の家計を見てみます。
| 借入の水準 | 住居費(返済+維持費) | 手取りに占める割合 | 残るお金 | 教育費ピーク時に残る額 |
|---|---|---|---|---|
| 審査上限まで(6,200万円) | 20.0万円 | 51% | 19.0万円 | 10.7万円 |
| 手取り30%(3,260万円) | 11.7万円 | 30% | 27.3万円 | 19.0万円 |
| 手取り25%(2,570万円) | 9.8万円 | 25% | 29.2万円 | 20.9万円 |
※ 手取り月収39.0万円として計算。教育費ピーク時は年100万円(月8.3万円)を想定した試算です。
審査上限まで借りると、住居費が手取りの半分を超えます。
教育費が本格化する時期には、残るお金が月10.7万円まで落ち込む計算です。
銀行は嘘をついているわけではありません。
「貸せる額」を答えているだけで、「返せる額」を聞かれているわけではないのです。
FP伊藤ご相談で本当によくお聞きするのが、「銀行では6,000万円まで借りられると言われました」というお話です。
その数字を聞いた瞬間、探す物件のグレードが変わってしまうんですね。
でも審査に通る額は、教育費も老後資金も織り込んでいません。
先に家計から上限を出しておけば、その数字に引っ張られずに済みます。
だからこそ、銀行に行く前にご相談いただきたいのです。
相談先ごとの役割と注意点


銀行に相談すべきこと
- 住宅ローンの借入可能額と審査の見込み
- 変動金利・固定金利などの金利タイプ
- 返済期間、毎月返済額、繰り上げ返済の条件
- 団体信用生命保険(団信)の保障内容
- 事務手数料、保証料などの費用
- ペアローン・収入合算・単独ローンの扱い
注意点は、提示されるのが審査上の上限だということです。
また、自行の商品での提案になるため、他行との比較は自分で行う必要があります。
不動産会社に相談すべきこと
- 希望エリアの物件情報と価格帯
- 駅距離、周辺環境、学校、買い物施設
- 売主との価格交渉や条件交渉
- 重要事項説明、契約条件、手付金
- ハザードマップ、用途地域、接道、権利関係
不動産取引では、契約前に宅地建物取引業者から重要事項説明を受けます。
購入の判断に影響する大切な情報を説明してもらう手続きで、水害ハザードマップ上の所在地も説明対象に含まれます。
千葉・東京エリアは、川沿い・海沿い・低地・台地と地形の差が大きい地域です。
災害リスクは必ず確認してください。
「早く決めないと」と言われたときは
良い物件が早く売れるのは事実です。
ただ、急かされて決めた買い物は後悔しやすいのも事実です。
先に予算の上限を決めておけば、その場でも冷静に判断できます。
ハウスメーカー・工務店に相談すべきこと
- 建物価格、標準仕様、オプション費用
- 間取り、収納、家事動線
- 断熱性、耐震性、省エネ性能
- 外構、駐車場、太陽光発電
- 保証、アフターサービス、定期点検
注意点は、最初の見積りから総額が上がりやすいことです。
キッチン・浴室・床材・照明・カーテン・外構・地盤改良など、後から追加になる費用があります。
建物本体価格だけで判断せず、土地・付帯工事・外構・諸費用・家具家電まで含めた総額で比較しましょう。
FPに相談すべきこと
- 無理なく返せる住宅ローンの上限
- 教育費のピーク時を含めた家計シミュレーション
- 頭金と手元資金のバランス
- 団信を踏まえた生命保険の見直し
- NISA・iDeCoなど老後資金との両立
- 複数エリア・複数価格帯の比較
FPに相談する利点は、家計全体を横断して確認できることです。
ただしFPにも立場の違いがあります。
相談料型、金融商品を扱うFP、銀行や不動産会社に所属するFP。
相談前に、料金・商品販売の有無・住宅購入相談の実績を確認しておきましょう。
相談する順番が結果を左右する


順番を間違えると、判断が難しくなります。
よくあるのは、先に物件を見て気持ちが高まり、あとから家計を確認する流れです。
この順番だと、予算オーバーでも引き返しにくくなります。
最初と契約前、2回FPを挟むのがポイントです
1回目は、予算の上限を決めるため。
2回目は、実際の物件で本当に大丈夫かを確かめるためです。
維持費や諸費用は物件ごとに違うため、候補が出てからの再確認が効きます。
相談前に確認しておきたいこと


千葉・東京エリアで住宅購入を考える場合、物件価格だけでなく通勤・教育費・車の費用が家計を大きく左右します。
相談に行く前に、次の項目を整理しておくと話が早く進みます。
- 勤務先までの通勤時間と乗り換え回数
- 保育園・小学校・学童・病院までの動線
- 車が必要か、必要なら年間の維持費はいくらか
- 教育費が増える時期と、住宅ローン返済が重なるか
- 固定資産税・火災保険・修繕費を含めた総額
- 変動金利が上がった場合の返済額
- ハザードマップ上のリスクと避難の動線
- 将来売る・貸す可能性がある場合の駅距離や路線
エリア選びの目安
| エリア | 特徴 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 市川・浦安・船橋 | 都心へ通勤しやすい | 価格が高めになりやすい |
| 松戸・柏・流山 | 勤務先によっては通勤しやすく、広さも取りやすい | 駅近や人気エリアは予算が上がる |
| 千葉市・八千代・印西方面 | 広さや駐車場を確保しやすい | 通勤時間と車の維持費 |
どこに相談すればよいか、迷ったら
公的な無料相談も使えます
「いきなり有料相談は不安」という場合は、公的機関の窓口から始める方法もあります。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)は金融庁所管の認可法人で、中立・公正な立場から金融経済教育を進めている公的機関です。
「はじめてのマネープラン」でお金に関する無料相談が案内されており、金融商品の勧誘は行わないとされています。
日本FP協会でも、FP相談の流れやFPの探し方が案内されています。
最初の疑問整理には十分に役立ちます。
一方で、個別の物件の可否や、通勤・教育費・車の費用まで含めた詳細な診断は、専門のサービスのほうが向いています。
まとめ|役割を分けて使い、順番を守る


住宅購入の相談先は、どこか一つに絞る必要はありません。
役割を分けて使い、物件を見る前に家計の上限を決めておくこと。
これだけで、購入後の後悔はかなり減らせます。
銀行に行く前に、家計の上限を出しませんか
伊藤FPオフィスでは、住宅購入前に家計から予算の上限を割り出しています。
ご相談は商品の販売を前提としておらず、特定の商品をおすすめすることはありません。
- 購入希望額ごとの家計シミュレーション
- 教育費・老後資金との両立確認(キャッシュフロー表の作成)
- 無理なく返せる借入額の上限の試算
- 金利上昇・収入減シナリオでの耐久力チェック
- 団信を踏まえた保険見直しの方向性
千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。
👨👩👧 ご相談事例・お客様の声
同じ悩みを持つ方が、どう解決したかをご覧いただけます
「妊娠を機に、これからの家計が気になる」
「教育費をどのような方法で準備したらいい?」
実際に伊藤FPオフィスへご相談いただいた方の、相談前のお悩みから相談後の変化までをご紹介しています。
掲載中のご相談事例
・30代ご夫婦(市川市・妊娠中)/これからの家計の見直し
・30代ご夫婦(市川市・お子様3歳)/教育資金の準備方法
・貯金がうまくできないというお悩み ほか
よくある質問
気になる質問をタップすると、回答が開きます。
Q. 住宅購入の最初の相談は誰にすべきですか?
家計に合う予算を決めたいなら、最初にFPへ相談するのがお勧めです。物件情報を知りたいなら不動産会社、住宅ローンの審査や金利を知りたいなら銀行に相談しましょう。順番としては、予算を決めてから物件を見るほうが判断がぶれません。
Q. 銀行に「借りられる」と言われたら安心ですか?
審査上は借りられる可能性がありますが、家計に無理がないとは限りません。年収600万円の場合、審査上限は約6,200万円ですが、手取りから見た目安は2,570万〜3,260万円です。上限まで借りると住居費が手取りの51%を占めるため、教育費・車費用・老後資金まで含めて確認しましょう。
Q. 不動産会社の無料FP相談だけで大丈夫ですか?
情報整理には役立ちます。ただし相談の目的と収益の仕組みを確認しましょう。物件購入や保険提案が前提の相談ではなく、家計全体を中立的に見たい場合は、相談料型の独立系FPも候補になります。
Q. FP相談では物件の良し悪しも判断してもらえますか?
FPは家計面の判断が中心です。物件の法的・建築的な確認は、不動産会社、宅地建物取引士、建築士、ホームインスペクション会社などの専門領域になります。FPでは、その物件価格が家計に合うかを確認します。
Q. 相談は購入のどの段階ですべきですか?
理想は2回です。1回目は物件を探し始める前、予算の上限を決めるため。2回目は候補物件が出てから、その価格で本当に大丈夫かを確かめるためです。維持費や諸費用は物件ごとに違うため、候補が出てからの再確認が効きます。
Q. 複数の相談先で言うことが違ったら、どう判断すればいいですか?
それぞれの担当領域で判断してください。ローンの条件は銀行、物件の状態は不動産会社、建物の仕様は建築会社、家計に合うかはFPです。担当外のことまで判断材料にすると、誤った結論になりやすくなります。
この記事の監修者


証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。家計全体の視点から、住宅購入・保険見直し・ライフプラン設計の相談を行っています。不動産会社と金融機関の両方で働いた経験から、それぞれの相談先が何を見ているかを踏まえてご説明しています。
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応
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参考:日本FP協会「FPに相談する」「FP相談に関するQ&A」、J-FLEC「はじめてのマネープラン」、国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」「宅地建物取引業法施行規則の改正について」

