「東京で家を買うのは高すぎる。千葉なら現実的に買えるだろうか」
千葉・東京エリアで住宅購入を検討している方から、よくいただくご相談です。
実際、公的な調査でも価格差ははっきり出ています。
新築マンションの所要資金は、千葉県5,365万円に対して東京都7,884万円。
ただし、この差がそのまま家計の余裕になるとは限りません。
車を持つかどうかで、差の大半が消えてしまうことがあるからです。
- 新築マンションの価格差は2,519万円。返済額では月71,108円の差です
- ただし千葉で車を1台持つと、35年で2,011万円かかります
- 車2台なら、価格差を上回ります
- 価格差が最も大きいのは中古マンション(1㎡あたり2.3倍)です
こんな方に読んでほしい記事です
- 東京と千葉、どちらで買うべきか迷っている
- 千葉なら予算内に収まりそうだと考えている
- 市川・船橋・浦安・松戸・柏・千葉市周辺で探している
- 車を持つかどうかで迷っている
✍️ この記事の監修者
代表・監修者
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表
千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。
【実データ】千葉と東京の価格差

まず、実際に購入した人のデータを見てみましょう。
住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」の都道府県別集計です。
| 住宅の種類 | 千葉県の所要資金 | 東京都の所要資金 | 差 |
|---|---|---|---|
| 建売住宅 | 4,180万円 | 5,958万円 | 1,778万円 |
| 新築マンション | 5,365万円 | 7,884万円 | 2,519万円 |
| 中古戸建 | 2,735万円 | 4,971万円 | 2,236万円 |
| 中古マンション | 2,722万円 | 5,681万円 | 2,959万円 |
※ 出典:住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」。フラット35利用者の平均値であり、市場全体の相場そのものではありません。エリア・駅距離・築年数・広さによって実際の価格は大きく異なります。
金額の差が最も大きいのは、中古マンションでした。
1㎡あたりで比べると、差はもっとはっきりします
同じ調査では、住宅面積も千葉県のほうが広い傾向が出ています。
新築マンションは千葉県が約71㎡、東京都が約64㎡。
中古マンションは千葉県が約73㎡、東京都が約65㎡です。
価格を面積で割ってみます。
※ 所要資金額を平均住宅面積で割った概算です。土地・建物の内訳や諸費用を含むため、坪単価とは異なります。
1㎡あたりで見ると、中古マンションの差が最も大きくなります。
東京の中古マンションは千葉の2.3倍、新築でも1.6倍です。
「千葉で中古を選ぶ」という組み合わせが、金額面では最も差が出ることになります。
FP伊藤ご相談でよくあるのが「東京で探すと予算オーバーだけれど、千葉なら希望条件に近づく」というケースです。
ただし千葉でも、市川・浦安・船橋などの駅近は価格が高く、東京の郊外とあまり変わらないこともあります。
都県名だけで判断せず、そのエリア・その物件・その返済額で家計が回るかを確認してください。
価格差を月々の家計に置き換える


2,519万円という差は、毎月の返済額でいうといくらでしょうか。
頭金500万円・金利1.0%・35年で計算しました。
137,332 円/月
35年の総返済 5,768万円
208,440 円/月
35年の総返済 8,754万円
月々71,108円、35年で2,987万円の差になります
※ 頭金500万円・金利年1.0%・35年・元利均等返済での試算です。
中古マンションで比べると、差はさらに大きくなります。
| 千葉県の中古マンション | 東京都の中古マンション | |
|---|---|---|
| 所要資金 | 2,722万円 | 5,681万円 |
| 借入額(頭金500万円) | 2,222万円 | 5,181万円 |
| 毎月の返済額 | 62,724円 | 146,252円 |
| 35年の総返済額 | 2,634万円 | 6,143万円 |
月々の差は83,528円です。
この差は、教育費や老後資金に回せる金額そのものになります。
月8万円を30年積み立てれば、それだけで2,880万円です。
ここまでは「千葉が有利」という話です。
しかし、この計算には入っていないものがあります。
【重要】車の維持費が差を縮めます


千葉県では、エリアによって車があると生活が便利です。
大型商業施設、郊外型スーパー、公園、子どもの習い事。
車があることで、暮らしの選択肢は確かに広がります。
その車に、年間いくらかかるでしょうか。
買い替えのための積立と考えてください
戸建てで敷地内に停められる場合は不要です
※ 一般的な水準をもとに積み上げた目安です。車種・走行距離・保険の条件・駐車場の相場によって大きく変わります。
年間574,500円、月あたり47,875円です。
これを35年続けると、2,011万円になります。
先ほどの価格差と並べてみます。
万円(35年)
万円
車を1台持つだけで、差の3分の2が消えます
千葉で車を2台持つ場合、価格差は消えてなくなります。
2台分の維持費は年1,149,000円。35年で4,022万円になります。新築マンションの返済額の差2,987万円を上回る計算です。「千葉のほうが安い」という前提が、成り立たなくなります。
もちろん、東京でも車を持つ方はいます。
その場合は駐車場代が高くなるため、23区で車を1台持つと年779,500円ほどかかる計算です。
大切なのは、車の有無を最初に決めることです。
「千葉なら安いから」と物件を決めてから車が必要だと分かると、想定していた家計の余裕がなくなります。
- 車を持たない前提なら — 千葉の価格の安さがそのまま家計の余裕になります。駅近を選ぶ必要があるため、物件価格は上がります
- 車を1台持つなら — 価格差の3分の2が維持費に消えます。それでも約976万円の差は残ります
- 車を2台持つなら — 価格差を上回ります。東京で車なしの生活と比べて、総額では不利になる可能性があります
これは「車を持つべきでない」という話ではありません。
車のある暮らしに、それだけの価値を感じるかどうかという判断です。
週末の外出、実家への移動、子どもの送迎。
そこに年57万円の価値があると思えるなら、合理的な選択になります。
通勤時間という見えないコスト


もうひとつ、金額に表れないコストがあります。
通勤時間です。
| 東京勤務との片道の差 | 1年間で増える時間 | 35年間の合計 |
|---|---|---|
| 15分 | 120時間 | 4,200時間(175日分) |
| 30分 | 240時間 | 8,400時間(350日分) |
| 45分 | 360時間 | 12,600時間(525日分) |
※ 年間240日の通勤を前提とした試算です。
片道30分の差は、35年で350日分に相当します。
ほぼ1年分の時間です。
ただし、この時間の価値は人によって違います。
- 時間を失うと考えるなら — 通勤時間の短いエリアを優先する価値があります。在宅勤務の頻度が低い方は、特に影響が大きくなります
- 使える時間と考えるなら — 座って通勤できる路線を選べば、読書や仕事の時間になります。始発駅の近くを選ぶという判断もあります
大切なのは、実際に平日の朝に乗ってみることです。
混雑の程度、乗り換えの負担、座れるかどうか。
時刻表の所要時間だけでは分からないことが多くあります。
なお、在宅勤務の頻度が高い場合は、通勤時間の重みは大きく下がります。
週1回の出社なら、片道30分の差は年48時間です。
働き方が変わる可能性も含めて判断してください。
エリア別の考え方と購入前チェック


千葉県といっても、エリアによって条件は大きく変わります。
| エリア | 特徴 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 市川・浦安 | 東京に近く、通勤の利便性が高い | 千葉県内では価格が高め。駅距離と災害リスクを確認 |
| 船橋・津田沼 | 交通・商業施設・生活利便性のバランスが良い | 人気エリアは価格上昇。駅近と駅遠の差が大きい |
| 松戸・柏 | 常磐線・つくばエクスプレス方面の通勤と相性が良い | 職場の場所によって通勤ルートの相性が分かれる |
| 千葉市周辺 | 広さと価格のバランスを取りやすい | 都心通勤の場合は時間と交通費を確認 |
| 郊外エリア | 土地・建物の広さを確保しやすい | 車が前提になりやすい。売却時の流動性も確認 |
注意したいのは、郊外ほど車が前提になることです。
物件価格は下がりますが、車の維持費が上乗せされます。
価格の安さと車の費用を、必ずセットで計算してください。
千葉県の地価も上がっています
「千葉なら安い」と一括りにはできません。
令和8年地価公示では、千葉県の地価は住宅地・商業地・工業地・全用途平均のすべてで上昇しています。
東京都も住宅地が上昇しており、区部全域の変動率は9.0%、多摩地区全域は3.9%でした。
過去の感覚だけで予算を決めず、最新の物件価格で確認してください。
購入前のチェックリスト
物件を決める前に確認したいこと
- 平日の朝に、実際の通勤ルートを乗ってみた
- 駅までの徒歩・バス・自転車のルートを歩いて確認した
- 車を持つかどうかを決めた(持つなら年57万円を家計に入れた)
- 保育園・学校・病院・スーパーまでの距離を確認した
- ハザードマップで洪水・高潮・液状化・土砂災害を確認した
- 固定資産税・修繕費・管理費・修繕積立金を入れて試算した
- 教育費のピーク時も返済を続けられるか確認した
- 老後資金の積立を止めずに済むか確認した
- 将来売却・賃貸に出す可能性も考えた
特に3つ目が抜けやすい項目です。
車の有無は、物件価格と同じくらい家計に影響します。
住宅購入の流れとお金の全体像は、こちらでまとめています。


千葉エリアの住まい選びは、こちらでも解説しています。


まとめ|価格ではなく、総額で判断してください


千葉県での住宅購入は、東京と比べて家計の余力を作りやすい可能性があります。
ただし、それは車を持たない場合、あるいは1台に抑えた場合の話です。
物件価格だけを比べると、判断を誤ることがあります。
そして、どちらが正解ということもありません。
通勤時間を優先するか、広さを優先するか、家計の余裕を優先するか。
ご家庭の優先順位で決めるものです。
複数のエリアで、家計を比べてみませんか
千葉と東京、あるいは千葉県内の複数エリア。
それぞれで買った場合の家計を、同じ条件で並べると判断しやすくなります。
伊藤FPオフィスのマイホーム購入診断では、複数のエリア・価格帯で家計シミュレーションを行います。
車の維持費、通勤費、管理費・修繕積立金まで含めて計算するため、「物件価格は安いのに家計は苦しい」という事態を防げます。
不動産会社からの紹介料を受け取っていないため、特定のエリアや物件をおすすめすることはありません。
- 複数エリア・複数価格帯での家計シミュレーション
- 車の維持費・通勤費まで含めた総額の比較
- 維持費を含めた住居費が家計に占める割合の確認
- 教育費のピーク時・完済時の貯蓄残高の確認
- 金利上昇・収入減など複数シナリオの試算
- 不動産会社と利害関係のない立場での整理
千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。
千葉・東京エリアの土地勘を持つFPとして、エリアごとの生活実感も含めてお話しできます。
よくある質問
気になる質問をタップすると、回答が開きます。
Q. 東京より千葉で買ったほうが得ですか?
車を持たない、または1台に抑えるなら、家計の余力を作りやすくなります。新築マンションの返済額の差は35年で2,987万円ですが、千葉で車を1台持つと35年で2,011万円かかるため、実質の差は約976万円になります。車2台なら価格差を上回るため、総額では不利になる可能性があります。
Q. 千葉県で買うなら、どのエリアがおすすめですか?
職場の場所・予算・お子さんの年齢・車の有無によって変わります。東京駅や大手町方面なら市川・船橋・浦安方面、上野・北千住方面なら松戸・柏方面も候補になります。おすすめエリアを先に決めるより、通勤ルートと家計の上限から絞るのが安全です。
Q. 車は本当に必要ですか?
エリアと生活スタイルによります。駅近の物件を選べば車なしで暮らせるエリアも多くありますが、その分だけ物件価格は上がります。郊外で価格を抑えるほど、車が前提になりやすくなります。年間57万円という金額に見合う価値があるかどうかで判断してください。
Q. 千葉県で戸建てとマンション、どちらが向いていますか?
戸建ては広さや駐車場を確保しやすく、駐車場代(年12万円程度)がかかりません。一方、修繕を自分で管理する必要があり、30年で600万円程度を見込んでおく必要があります。マンションは駅近を選びやすく管理が楽ですが、管理費・修繕積立金が月2.5万円程度かかります。返済額だけでなく、維持費込みで比べてください。
Q. 中古マンションが一番お得ということですか?
1㎡あたりの価格差で見ると、千葉の中古マンション(37万円/㎡)と東京の中古マンション(87万円/㎡)の差が最も大きくなっています。ただし中古は諸費用に仲介手数料が加わり、新築より100万円以上多くかかります。また築年数によって修繕積立金の水準や設備の状態が変わるため、個別の確認が欠かせません。
Q. 通勤時間はどのくらいまで許容できますか?
人によって答えが違います。片道30分の差は35年で350日分の時間になりますが、座って通勤できる路線なら読書や仕事の時間として使えます。在宅勤務の頻度が高ければ、影響は大きく下がります。時刻表の所要時間だけで判断せず、平日の朝に実際に乗ってみてください。
Q. 千葉県の地価は上がっているのですか?
上がっています。令和8年地価公示では、千葉県の地価は住宅地・商業地・工業地・全用途平均のすべてで上昇しました。東京都も区部全域の住宅地変動率が9.0%、多摩地区全域が3.9%と上昇しています。「千葉なら安い」という過去の感覚だけで予算を決めないでください。
Q. 千葉で買う前にFPへ相談する意味はありますか?
あります。千葉県は東京より価格を抑えやすい一方、車の維持費・通勤費・住宅の維持費まで含めると、家計への影響はご家庭ごとに違います。複数のエリア・価格帯で同じ条件のシミュレーションを並べると、「物件価格は安いのに家計は苦しい」という事態を避けられます。
この記事の監修者


証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。不動産会社からも金融機関からも手数料を受け取らない中立な立場で、住宅購入・ライフプラン設計・保険見直しの相談を行っています。エリア選びのご相談では、物件価格だけでなく車の維持費や通勤の実態まで含めた総額で比べることをお伝えしています。
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応

