住宅ローン控除の計算方法と確定申告の手順を解説

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「住宅ローン控除って、結局いくら戻ってくるの?」

「会社員でも確定申告が必要と聞いたけれど、何から準備すればいいの?」

マイホームを購入したあと、多くの方が最初につまずくのが住宅ローン控除(正式には住宅借入金等特別控除)の手続きです。

制度の名前は聞いたことがあっても、計算方法や必要書類、初年度の確定申告の流れまで理解している方は多くありません。

結論から言うと、住宅ローン控除は「年末の住宅ローン残高等 × 0.7%」を基本に計算する税額控除です。

ただし、住宅の性能、入居年、所得税額、住民税の上限、補助金や贈与の有無によって、実際に控除できる金額は変わります。

この記事では、2026年時点の制度を前提に、住宅ローン控除の計算方法と初年度の確定申告の手順を、お金初心者の方にもわかるように整理します。

この記事の結論
  1. 住宅ローン控除は、原則として年末ローン残高等の0.7%を所得税から差し引く制度です
  2. 会社員でも、控除を受ける初年度は確定申告が必要です
  3. 2年目以降は、会社員なら年末調整で手続きできるのが基本です
  4. 2026年以降は、省エネ性能や子育て世帯・若者夫婦世帯かどうかで借入限度額が変わります
  5. 「控除で戻るから大丈夫」ではなく、購入前に住宅ローン・教育費・老後資金をまとめて確認することが大切です

こんな方に読んでほしい記事です

  • 住宅ローン控除の計算方法をざっくり理解したい
  • 初年度の確定申告で何をすればいいか知りたい
  • 必要書類を早めに確認しておきたい
  • ペアローンや共有名義で申告が複雑になりそう
  • 住宅購入前に、税金面も含めて予算を整理したい

✍️ この記事の監修者

伊藤FPオフィス代表 伊藤貴徳

代表・監修者

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス 代表

CFP®認定者 1級FP技能士 宅地建物取引士 証券外務員1種

千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。

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目次

住宅ローン控除とは何か|所得税から直接差し引く制度

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを新築・購入・増改築した場合に、一定の要件を満たすと所得税が軽くなる制度です。正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。

ポイントは、所得控除ではなく税額控除であることです。

税額控除とは、計算された税金から直接差し引ける仕組みのことです。

たとえば、その年の控除額が21万円で、所得税が25万円ある人なら、所得税が21万円少なくなるイメージです。

所得控除
税金を計算する前の所得を減らす仕組みです。生命保険料控除や扶養控除などが代表例です。
税額控除
計算された税金そのものを減らす仕組みです。住宅ローン控除はこちらにあたります。

国税庁は、住宅ローン等を利用してマイホームを新築・取得した場合、一定の要件に当てはまれば所得税の税額控除を受けられると案内しています。

控除を受ける最初の年は確定申告が必要で、給与所得者は2年目以後、年末調整で適用を受けられます。

参考:国税庁「マイホームを持ったとき」

住宅ローン控除は「戻るお金」ではなく「税金が軽くなる枠」です

控除額が30万円と計算されても、その人が納める所得税や住民税の範囲を超えて、無条件に30万円が振り込まれるわけではありません。

そのため、控除額だけを見て「毎年この金額が必ず戻る」と考えるのは危険です。

FP伊藤

控除額だけを見て購入予算を決める方が、本当に多くいらっしゃいます。
「年間30万円戻るなら、その分多く借りられる」という考え方ですね。
けれども控除は納めた税金の範囲でしか戻りませんし、13年で終わります。
返済は35年続きますので、控除を予算の根拠にしないほうが安全です。

住宅ローン控除の計算方法|基本は「年末残高等 × 0.7%」

住宅ローン控除の計算は、まず次の基本式で考えます。

住宅ローン控除の基本式
年末の住宅ローン残高等 × 0.7% = その年の控除額

ただし、住宅の性能ごとの借入限度額、所得税・住民税の控除上限、補助金や贈与の有無によって、実際に戻る金額は変わります。

ここでいう「年末の住宅ローン残高等」は、単純に銀行から借りた金額すべてではありません。原則として、次のうち低いほうを基準にします。

  • その年の12月31日時点の住宅ローン残高
  • 住宅の取得対価の額(建物・土地などの購入価格。補助金や住宅取得資金贈与の特例を使った金額がある場合は調整されます)

つまり、4,500万円の住宅ローンを組んでいても、対象となる住宅区分の借入限度額が3,000万円なら、控除計算に使えるのは最大3,000万円です。

さらに、補助金を受けた場合や親から住宅取得資金の贈与を受けて特例を使った場合は、住宅の取得対価から差し引いて計算する場面があります。

計算例1:年末残高3,000万円の場合

項目金額・計算
年末の住宅ローン残高3,000万円
控除率0.7%
計算上の控除額3,000万円 × 0.7% = 21万円
実際の控除所得税額・住民税の上限などの範囲で控除

この例では、計算上の控除額は21万円です。ただし、所得税が10万円しかない場合、所得税から控除できるのは10万円までです。所得税から引ききれない分は、一定の範囲で翌年度の住民税から控除されます。

※令和8年分以後の所得税で控除しきれない部分は、翌年度の個人住民税から一定額まで控除されます。財務省の令和8年度税制改正大綱では、所得税の課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)が住民税側の控除限度額とされています。

計算例2:借入限度額に引っかかる場合

項目金額・計算
実際の年末ローン残高4,200万円
住宅区分の借入限度額3,000万円
控除計算に使える上限3,000万円
計算上の控除額3,000万円 × 0.7% = 21万円

借入額が多くても、住宅区分ごとの借入限度額を超えた部分は控除計算に入りません。住宅価格が高い千葉・東京エリアでは、借入額と控除対象額がズレるケースがよくあります。

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「ローン残高 × 0.7% が必ず全額戻る」と考えないでください。
実際の控除額は、住宅性能、借入限度額、所得税・住民税、補助金、贈与、共有割合などで変わります。

控除を受けるための条件|まず対象になるかを確認する

計算方法の前に、そもそも控除の対象になるかを確認しておきましょう。

主な条件は次のとおりです。

  • 自分が住むための住宅であること — 別荘・投資用は対象外
  • 床面積が50㎡以上 — 一定の新築は40㎡以上(ただし所得制限があります)
  • 合計所得金額が2,000万円以下
  • 返済期間が10年以上の住宅ローンであること
  • 引き渡しまたは工事完了から6ヶ月以内に入居すること
  • 新築は省エネ基準への適合が必須 — 適合しない新築は控除の対象外

特に注意したいのが省エネ要件です

省エネ基準を満たさない新築住宅は、住宅ローン控除の対象になりません。

新築を検討するときは、「省エネ基準適合住宅か」「ZEH水準か」「認定住宅か」を必ず確認してください。

物件の広告や重要事項説明書に記載がない場合は、不動産会社に確認しましょう。

※ 適用条件は税制改正で変わることがあります。ご自身が対象になるかは、国税庁のサイトまたは税務署でご確認ください。

2026年以降の借入限度額|住宅性能と世帯区分で上限が変わる

2026年時点では、住宅ローン減税は令和8年度税制改正により、入居日が令和8年1月1日から令和12年12月31日までの期間について延長・拡充されています。

国土交通省は、既存住宅の省エネ性能に対する支援拡充、床面積要件の緩和、令和10年以降の省エネ基準適合住宅や災害レッドゾーンの扱いなどを案内しています。

参考:国土交通省「住宅ローン減税」

主な区分を、2026年以降に入居する場合の目安として整理します。

住宅区分新築・買取再販の借入限度額既存住宅の借入限度額控除期間
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅4,500万円(子育て世帯等は5,000万円)3,500万円(子育て世帯等は4,500万円)13年
ZEH水準省エネ住宅3,500万円(子育て世帯等は4,500万円)3,500万円(子育て世帯等は4,500万円)13年
省エネ基準適合住宅2,000万円(子育て世帯等は3,000万円)2,000万円(子育て世帯等は3,000万円)13年
その他住宅2,000万円(一定の経過措置対象)2,000万円原則10年

※制度の適用可否は、入居年、建築確認日、建築日、住宅性能、床面積、所得要件などで変わります。2028年以降は省エネ基準適合住宅や災害レッドゾーンの扱いに特に注意が必要です。

子育て世帯等とは

国税庁の案内では、令和8年中の制度における特例対象個人について、年齢40歳未満で配偶者がいる方、年齢40歳以上で年齢40歳未満の配偶者がいる方、または年齢19歳未満の扶養親族がいる方と整理されています。

ざっくり言えば、30代〜40代前半の夫婦や、19歳未満の子どもがいる家庭は、上乗せ措置の対象になる可能性があります。ただし、最終判断は入居年の12月31日時点の状況や税法上の要件で確認が必要です。

物件選びの段階で「住宅性能の証明書」を確認しましょう

同じ価格帯の住宅でも、長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅などの区分によって、控除対象となる借入限度額が変わります。

契約後に「この証明書がない」と気づくと、想定していた控除額にならないことがあります。

FP伊藤

確定申告というと身構える方が多いのですが、初年度の1回だけです。
国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に沿って入力するだけで書類ができます。
書類さえそろっていれば、1〜2時間で終わる方がほとんどです。
2年目からは年末調整で済みますので、最初の1回を乗り切りましょう。

初年度の確定申告手順|会社員でも1年目は自分で申告

住宅ローン控除を初めて受ける年は、会社員でも確定申告が必要です。

勤務先の年末調整だけでは、初年度の住宅ローン控除は受けられません。

国税庁の確定申告特集では、住宅ローン控除をはじめて受ける場合、住宅の区分に応じた提出書類を添付して確定申告を行う必要があると案内しています。

また、確定申告書等作成コーナーでは、書類上の数値を入力することで控除額が自動計算されます。

初年度の流れ
  1. 入居した年の年末に、住宅ローン残高や必要書類を確認する
  2. 翌年1月以降、源泉徴収票や契約書、登記事項証明書などをそろえる
  3. 国税庁の確定申告書等作成コーナーで入力する
  4. e-Taxまたは書面で提出する
  5. 還付がある場合は、後日指定口座に入金される

たとえば、2026年中に入居した場合は、原則として2027年の確定申告期に2026年分の申告を行います。2025年中に入居した方は、2026年の確定申告期に2025年分の申告を行うイメージです。

手順1:自分の住宅区分を確認する

最初に確認するのは、購入した住宅がどの区分にあたるかです。ここを間違えると、借入限度額や必要書類が変わってしまいます。

  • 新築住宅か、既存住宅(中古住宅)か
  • 認定長期優良住宅・低炭素住宅に該当するか
  • ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅に該当するか
  • 買取再販住宅か
  • その他住宅に該当するか

手順2:必要書類を集める

住宅ローン控除の確定申告は、書類集めが山場です。税金の知識よりも、「どこから何をもらうか」を早めに整理しておくことが大切です。

手順3:確定申告書等作成コーナーで入力する

国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うと、給与・住宅ローン・住宅取得価格・面積・入居日などを入力しながら申告書を作成できます。住宅ローン控除額も、入力内容に沿って自動計算されます。

手順4:e-Taxまたは書面で提出する

マイナンバーカードや利用者識別番号を使える方は、e-Taxで提出できます。紙で提出する場合は、印刷した申告書と必要書類を所轄税務署へ提出します。e-Taxでも、添付書類をPDFなどのイメージデータで提出できる場合があります。

手順5:還付金の入金を確認する

還付申告になる場合、審査後に指定口座へ還付金が入金されます。入金時期は申告方法や混雑状況により異なります。申告内容に不備や書類不足があると、確認に時間がかかることがあります。

住宅ローン控除の必要書類|どこで入手するかも確認

住宅ローン控除の必要書類は、住宅の種類によって変わります。ここでは、新築住宅・既存住宅に共通してよく使う書類を中心に整理します。

書類入手先確認ポイント
確定申告書国税庁の確定申告書等作成コーナーなどe-Taxなら入力後に作成
住宅借入金等特別控除額の計算明細書国税庁の確定申告書等作成コーナーなど住宅ローン控除額を計算する明細書
住宅ローンの年末残高証明書金融機関調書方式対応の場合は添付不要となることがあります
登記事項証明書法務局など不動産番号の記載で添付省略できる場合があります
売買契約書・工事請負契約書の写し不動産会社・建築会社・手元の契約書取得対価、契約日、物件内容を確認
補助金決定通知書など自治体・補助事業者補助金を受けた場合に必要
贈与税申告書などの写し本人控え住宅取得資金贈与の特例を使った場合に必要
省エネ性能・認定住宅の証明書類建築会社・売主・評価機関・自治体など住宅区分により必要書類が異なります

特に注意したいのは、住宅性能に関する証明書類です。ZEH水準省エネ住宅や省エネ基準適合住宅として控除を受けるには、建設住宅性能評価書や住宅省エネルギー性能証明書など、区分に応じた証明が必要になります。

中古住宅の場合は、1982年1月1日以前に建築された住宅で耐震基準の証明が必要になるケースがあります。

購入前から不動産会社や建築士、金融機関に確認しておくと安心です。

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契約書・証明書・登記関係書類は、引き渡し後にまとめて探すと大変です。
住宅ローン控除で使う可能性がある書類は、契約時から「確定申告用」として一つのフォルダに保管しておきましょう。

FP伊藤

ペアローンや共有名義の場合、ご夫婦それぞれが申告する必要があります。
片方だけ申告して、もう片方を忘れているケースを見かけます。
持分の割合と借入の負担割合がずれていないかも、この機会に確認しておきましょう。
気になる点があれば、税務署か税理士に相談してください。

e-Tax・マイナポータル連携・調書方式の注意点

近年は、住宅ローン控除の手続きも電子化が進んでいます。特に押さえておきたいのが、e-Tax、マイナポータル連携、調書方式です。

用語意味注意点
e-Tax国税の電子申告システムマイナンバーカード等を使ってオンライン提出できます
マイナポータル連携証明書情報などを自動取得する仕組み利用には事前準備が必要で、数日かかる場合があります
調書方式金融機関が税務署へ年末残高調書を提出し、納税者が年末残高情報を受け取る方式金融機関が対応していない場合は従来どおり年末残高証明書が必要です

国税庁のQ&Aでは、借入先の金融機関が調書方式に移行している場合、住宅ローン控除の適用申請書を金融機関に提出し、年末残高情報をマイナポータル等で受け取る流れが案内されています。一方、金融機関が調書方式に移行していない場合は、従来どおり年末残高証明書の添付または提示が必要です。

参考:国税庁「住宅ローン控除の適用に係る手続に関するよくある質問」

電子化されても「何もしなくていい」わけではありません

調書方式に対応している金融機関でも、住宅ローン控除の適用申請書の提出やマイナポータル連携の事前準備が必要になる場合があります。

「自動で反映されるはず」と思い込まず、年末残高情報が取得できる状態か確認しましょう。

スマホ申告で進める場合

スマホとマイナンバーカードで申告できる環境は整っていますが、住宅ローン控除は入力項目と添付書類が多めです。

契約書や登記事項証明書、年末残高情報を手元に置きながら、落ち着いて入力できる時間を確保しましょう。

不安がある場合は、税務署の相談窓口や税理士に確認するのも一つです。

伊藤FPオフィスでは税務申告の代理は行いませんが、住宅購入前後の資金計画や、どの書類を早めに確認すべきかの整理はサポートできます。

2年目以降はどうする?会社員は年末調整が基本

会社員の場合、住宅ローン控除の初年度だけ確定申告を行えば、2年目以降は勤務先の年末調整で手続きできるのが基本です。

年末調整で必要になる主な書類は、次の2つです。

  • 年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(または調書方式による年末残高情報)

個人事業主やフリーランスの方、年末調整を受けない方は、2年目以降も原則として確定申告で手続きします。

また、会社員でも副業、不動産所得、医療費控除、ふるさと納税のワンストップ特例が使えない場合など、別途確定申告が必要になることがあります。

人のタイプ初年度2年目以降
会社員(年末調整あり)確定申告が必要原則、年末調整で手続き
個人事業主・フリーランス確定申告が必要毎年、確定申告で手続き
会社員だが別途申告がある人確定申告が必要状況により確定申告が必要
ペアローン・共有名義それぞれの持分・借入に応じて申告各人の勤務先や所得状況により手続き

ペアローン・共有名義は特に注意

共働き夫婦でペアローンを組んだ場合、それぞれが自分の借入分について住宅ローン控除を受ける形になります。

共有名義や連帯債務の場合は、持分割合や負担割合の整理が重要です。

購入時に「とりあえず半分ずつ」で決めてしまうと、後から控除額、贈与、家計負担の整合性で悩むことがあります。

税金の手続きだけでなく、家計全体の設計として考える必要があります。

よくあるミスと住宅購入前に確認したいポイント

住宅ローン控除はメリットの大きい制度ですが、よくあるミスもあります。

特に次の点は注意してください。

  • 書類不足 — 年末残高証明書、登記事項証明書、性能証明書、契約書の写しなどがそろっていない
  • 住宅区分の誤認 — ZEH水準、省エネ基準適合、その他住宅の区分を誤って計算している
  • 床面積要件の見落とし — 広告面積ではなく登記簿上の床面積で判断する必要がある
  • 入居日の勘違い — 引き渡し日と入居日、居住開始年の整理があいまい
  • 控除額を返済計画に入れすぎる — 控除がある前提で毎月返済をギリギリにしてしまう
  • 譲渡所得の特例との併用不可を見落とす — 3,000万円特別控除などを使う場合、住宅ローン控除が受けられないケースがあります

住宅ローン控除は、家計にとってありがたい制度です。ただし、控除はあくまで税金の軽減であり、住宅ローンそのものを減らしてくれる制度ではありません。

たとえば、毎年20万円前後の控除が見込めるとしても、固定資産税、火災保険、修繕費、教育費、車の買い替え、老後資金まで考えると、家計の余裕は思ったより小さくなることがあります。

購入前に確認したいのは「控除額」より「控除が終わった後の家計」です

住宅ローン控除の期間中は、税負担が軽くなるため家計に余裕が出やすくなります。

しかし、控除期間が終わった後も住宅ローン返済は続きます。教育費が増える時期と重なる家庭も多いため、控除終了後の家計まで見ておくことが大切です。

千葉・東京エリアの30代〜40代子育て世帯で見落としやすいこと

千葉・東京エリアでは、住宅価格が高くなりやすく、共働き前提でペアローンを検討する家庭も多くなっています。

住宅ローン控除の上限だけを見ると「このくらい借りてもよさそう」と感じるかもしれません。

しかし、実際には保育料、習い事、私立進学の可能性、通勤コスト、車の有無、親の介護、働き方の変化まで含めて考える必要があります。

控除額は購入判断の一部であって、購入予算そのものを決める基準ではありません。

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住宅ローン控除で得をするかより、無理なく返し続けられるかが先です。
控除額を最大化するために借入額を増やすのではなく、家族の暮らしが守れる借入額を決めましょう。

見落とすと損をする3つの場面

制度を知っていても、次の3つは見落とされがちです。

① 繰り上げ返済で控除額が減ることがある

控除は年末のローン残高に応じて決まります。

繰り上げ返済で残高を減らすと、その分だけ控除額も減ります。

さらに注意したいのが、繰り上げ返済で返済期間が10年未満になると控除そのものが受けられなくなる点です。

控除期間中は返済を急がず、期間が終わってからまとめて返すほうが合理的なケースもあります。

② 転勤で住まなくなると控除が止まる

控除は「自分が住んでいること」が条件です。

家族全員で転勤して誰も住まなくなると、控除は一時停止します。

単身赴任で家族が住み続ける場合は、継続して受けられます。

再び入居すれば残りの期間分を再開できるため、転勤が決まったら税務署への届出を忘れずに行ってください。

③ ふるさと納税との併用は計算に注意

住宅ローン控除とふるさと納税は併用できます。

ただし、どちらも税金から差し引く制度のため、組み合わせによっては控除の枠を使い切れないことがあります。

ワンストップ特例を使うか確定申告するかでも計算が変わります。

併用する年は、寄付額を決める前に試算しておきましょう。

⚠️

控除期間中の繰り上げ返済は、慎重に判断してください。
返済期間が10年未満になると、残りの期間の控除がすべて受けられなくなります。

住宅ローン控除も含めて、購入前に家計全体を確認しよう

住宅ローン控除は、マイホーム購入後の家計を助けてくれる重要な制度です。

とはいえ、制度の有利不利だけで購入判断をするのはおすすめできません。

大切なのは、住宅ローン控除、毎月返済、教育費、老後資金、保険、固定資産税、修繕費まで含めて、家計全体で無理がないかを確認することです。

伊藤FPオフィスの「マイホーム購入診断」では、住宅購入前の段階で、借入額・返済額・教育費・老後資金への影響をまとめて確認できます。金融機関や不動産会社とは違う中立な立場で、買ってよい金額を一緒に整理します。

マイホーム購入診断で確認できること
  • 住宅ローン控除を含めた購入後の手取り家計
  • 控除期間中と控除終了後の返済負担の変化
  • 教育費・老後資金と住宅ローンの両立
  • ペアローン・収入合算・単独ローンの比較
  • 千葉・東京エリアで無理なく買える予算の目安

控除額だけでなく、購入後の家計まで確認できます

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よくある質問

住宅ローン控除と確定申告でよくある質問をまとめます。

Q. 会社員でも住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要ですか?

はい、必要です。会社員でも、住宅ローン控除を初めて受ける年は確定申告を行います。2年目以降は、年末調整で手続きできるのが基本です。

Q. 住宅ローン控除はいくら戻ってきますか?

基本は年末ローン残高等の0.7%です。ただし、住宅の性能ごとの借入限度額、所得税額、住民税の控除上限、補助金や贈与の有無によって変わります。目安を知るには、借入額だけでなく所得税額も確認しましょう。

Q. 年末残高証明書がない場合はどうなりますか?

金融機関が調書方式に対応している場合は、住宅ローン控除の適用申請書を金融機関に提出し、マイナポータル等で年末残高情報を取得する流れになることがあります。対応していない場合は、従来どおり金融機関から年末残高証明書を受け取り、申告に使います。

Q. ペアローンの場合、夫婦それぞれ確定申告が必要ですか?

原則として、それぞれが自分の借入分について住宅ローン控除を受けるため、初年度は夫婦それぞれの確定申告が必要になります。共有名義や連帯債務の場合は、持分・負担割合も確認しましょう。

Q. ふるさと納税をしていると住宅ローン控除に影響しますか?

影響する場合があります。住宅ローン控除で所得税・住民税の控除枠を使うため、ふるさと納税の上限額が変わることがあります。また、確定申告をするとワンストップ特例は無効になり、ふるさと納税も申告に含める必要があります。

Q. 住宅ローン控除があるなら、借入額を増やしたほうが得ですか?

おすすめしません。控除額は税負担を軽くする制度であり、住宅ローン返済そのものを消してくれるわけではありません。控除のために借入額を増やすより、無理なく返せる予算を先に決めることが大切です。

新NISAとiDeCoの使い分けは、こちらで詳しく解説しています。

会社員が使える節税の制度は、こちらでまとめています。

まとめ|住宅ローン控除は「手続き」と「家計設計」をセットで考える

住宅ローン控除は、マイホーム購入後の税負担を軽くしてくれる心強い制度です。計算方法や確定申告の手順を理解しておけば、必要以上に不安になる必要はありません。

ポイント内容
計算方法原則として年末ローン残高等 × 0.7%
初年度の手続き会社員でも確定申告が必要
2年目以降会社員は原則、年末調整で手続き
必要書類年末残高情報、登記事項証明書、契約書、性能証明書など
注意点控除額は所得税・住民税や住宅区分によって変わる
購入前の視点控除終了後も返済できる家計か確認する

一方で、住宅ローン控除は「いくら借りても大丈夫」と判断するための制度ではありません。控除期間が終わった後も、住宅ローン返済、教育費、老後資金の準備は続きます。

住宅購入を検討している方は、控除額の試算だけでなく、購入後10年・20年の家計まで確認してから判断しましょう。

この記事の監修者

伊藤貴徳(伊藤FPオフィス代表)
伊藤 貴徳(いとう たかのり)
伊藤FPオフィス代表/CFP®・1級FP技能士・宅地建物取引士

証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。金融商品の販売を行わない中立な立場で、住宅購入・保険見直し・ライフプラン設計の相談を行っています。住宅ローン控除についても、制度単体ではなく、購入後の家計や教育費・老後資金への影響を踏まえてアドバイスしています。

保有資格:CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/トータル・ライフコンサルタント(生命保険協会認定)/宅地建物取引士/証券外務員一種
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応
本記事の参考情報・免責をみる
本記事は、国税庁・国土交通省・財務省等の公表情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成しています。税制は改正されることがあり、住宅の種類、入居年、所得、借入内容、補助金、贈与、共有名義などにより取り扱いが変わります。個別の税務判断や申告書作成については、税務署または税理士にご確認ください。伊藤FPオフィスでは税務代理は行いませんが、住宅購入前後の家計設計・借入額・返済計画の相談をお受けしています。

参考:
・国税庁「マイホームを持ったとき」
・国税庁「住宅ローン控除を受ける方へ」
・国税庁「住宅ローン控除の適用に係る手続に関するよくある質問」
・国土交通省「住宅ローン減税」
・財務省「令和8年度税制改正の大綱」

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