「転職したばかりだけど、住宅ローンは組めるの?」
「これから転職も家の購入も考えている。順番はどうすればいい?」
結論から言うと、転職直後でも住宅ローンは組めます。
ただし、転職と購入の順番を間違えると、選択肢が一気に狭まります。
- 勤続年数の目安は「1年以上」。ただし要件を緩和する金融機関が増えています
- 同業種へのキャリアアップ転職なら、前職と勤続年数を通算してくれる金融機関もあります
- 年収が上がる転職でも、前職の年収で審査されると約738万円分の枠を失うことがあります
- 最もやってはいけないのが審査中〜融資実行前の転職です
この記事では、勤続年数の壁の実態から、転職と購入の安全な順番まで解説します。
こんな方に読んでほしい記事です
- 転職して1〜2年以内で住宅購入を考えている
- 転職と住宅購入、どちらを先にすべきか迷っている
- 勤続年数が審査にどう影響するか知りたい
- 転職直後でも申し込める選択肢を探している
✍️ この記事の監修者
代表・監修者
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表
千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。
勤続年数の壁は何年あれば越えられるのか

まず、勤続年数ごとに審査がどう変わるかを整理します。
| 勤続年数 | 審査の現実 |
|---|---|
| 3年以上 | ほぼすべての金融機関で問題なし |
| 1年以上 | 多くの金融機関の最低ラインをクリア |
| 6ヶ月〜1年未満 | 申込不可の金融機関もあるが、対応できる先もある |
| 3ヶ月〜6ヶ月 | 正社員なら審査対象とする金融機関がある(書類の追加が必要) |
| 3ヶ月未満 | 見込み年収で審査できる金融機関に絞られる |
※ 勤続年数の要件は金融機関により異なります。検討時に各金融機関へご確認ください。
目安は「1年以上」ですが、近年は転職が一般化したこともあり、要件を緩和する金融機関が増えています。
「転職直後だから門前払い」ではなく、「申し込める金融機関を選ぶ」問題に変わってきているのが実態です。
金融機関が勤続年数で見ているもの
年数そのものではありません。
知りたいのは「これから35年、安定して返し続けられる人か」ということです。
勤続年数は、それを測る目安のひとつにすぎません。
だからこそ、年数以外で安定性を示せれば、道は開けます。
転職直後でも通るケース・厳しいケース

同じ「転職直後」でも、内容によって評価は大きく変わります。
前向きに評価されやすい転職
- 同業種・同職種へのキャリアアップ — 経験の継続性がある。前職と勤続年数を通算してくれる金融機関もある
- 年収が上がる転職 — 雇用契約書や採用通知書の「見込み年収」で審査してもらえることがある
- 安定性の高い転職先 — 上場企業・公務員など
- 正社員としての採用 — 雇用形態が安定していること自体が評価される
評価が厳しくなりやすい転職
- 異業種への転職 — 経験の継続性を説明しにくい
- 年収が下がる転職 — 低いほうの年収で審査される
- 正社員から契約社員・派遣への転換 — 雇用の安定性が下がったと見られる
- 短期間に複数回の転職 — 定着性を疑われる
あなたの転職はどちらですか
年収が上がった転職では「どちらの年収で審査されるか」が決定的
ここは見落とされがちですが、借入枠に大きく響きます。
前職450万円から転職後550万円になったケースで比べてみます。
| 審査に使われる年収 | 借入額の目安 | 差 |
|---|---|---|
| 前職の年収450万円(源泉徴収票ベース) | 約3,320万円 | — |
| 転職後の見込み年収550万円 | 約4,060万円 | +738万円 |
※ 返済負担率25%・金利年1.0%・35年・元利均等返済で計算した目安です。実際の借入可能額は金融機関の審査基準により異なります。
転職して収入が増えても、前年の源泉徴収票で審査されると、その増加分は評価されません。
見込み年収で審査してくれる金融機関を選べるかどうかが、700万円以上の差につながります。
そのために必要な書類がこちらです。
- 雇用契約書・採用通知書(見込み年収の証明)
- 転職後の給与明細(数ヶ月分)
- 職務経歴書(キャリアの継続性の説明)
- 前職の源泉徴収票(転職前の実績として)
転職時に受け取った書類は、捨てずに保管しておいてください。
FP伊藤ご相談を受けていて感じるのは、転職時の書類を残していない方が意外に多いことです。
採用通知書や雇用契約書は、入社してしまうと見返す機会がありません。
でも住宅ローンの審査では、これが年収を証明する唯一の材料になることがあります。
転職したら、関係書類はひとまとめにして保管しておきましょう。
転職と購入、どちらを先にすべきか


これから両方を予定している方への答えは、はっきりしています。
住宅の購入(融資実行)が先、転職は後です。
この順番なら、今の勤続年数と年収で審査を受けられます。
逆に、絶対に避けたいのが次のパターンです。
審査中から融資実行までの間に転職すると、審査はやり直しになります。
事前審査が無効になり、本審査で否決されることも珍しくありません。
住宅ローンの審査は「申込時の勤務先」を前提に行われます。
融資が実行されるまでの間に勤務先が変われば、前提が崩れてしまうのです。
転職の内定が出ていても、入社日を融資実行後にずらせないかを検討する価値があります。
絶対にやってはいけないこと
転職を金融機関に伝えずに、そのまま手続きを進めることです。
審査書類に事実と異なる勤務先を書くことも同様です。
発覚すれば契約違反となり、借りたお金の一括返済を求められるおそれがあります。
正直に申告して審査をやり直すか、入社日を調整するか。この二択で考えてください。
なお、転職が先になってしまった場合は、1年(できれば2〜3年)勤めてから購入するのが安全です。
転職した月で「いつ買えるか」が変わる


意外に知られていないのが、転職した月による違いです。
審査では源泉徴収票が求められますが、これは1月から12月までの1年分を示す書類です。
つまり転職した月によって、丸1年分の源泉徴収票が手に入る時期が変わります。
| 転職した時期 | その年の年末に出る源泉徴収票 | 丸1年分がそろう時期 |
|---|---|---|
| 1月〜3月 | 在籍10〜12ヶ月分(ほぼ1年分) | その年の年末(=翌年1月に受領) |
| 4月〜6月 | 在籍7〜9ヶ月分 | 翌年の年末(=翌々年1月に受領) |
| 7月〜9月 | 在籍4〜6ヶ月分 | 翌年の年末(=翌々年1月に受領) |
| 10月〜12月 | 在籍1〜3ヶ月分 | 翌年の年末(=翌々年1月に受領) |
※ 年の途中で転職した場合、前職分と合わせて年末調整されることもあります。実際の書類の扱いは勤務先にご確認ください。
年明けすぐの転職が、書類のうえでは有利です
1月に転職すれば、その年の12月にほぼ丸1年分の源泉徴収票が出ます。
翌年1月には、新しい勤務先での年収を証明できる状態になります。
一方、10月の転職だと、丸1年分がそろうのは翌々年の1月です。
同じ「転職1回」でも、購入できる時期が1年変わることがあります。
転職の時期を選べる立場なら、この点も判断材料に入れてみてください。
転職後1年未満で購入する4つの対策


どうしても今、購入したい物件がある場合の打ち手です。
転職理由は、書類に一言添えると伝わる
審査は書類だけで判断されるため、転職の背景は伝わりません。
同じ転職でも、理由が分かれば印象は変わります。
担当者に口頭で伝える、または補足資料を添える形で、次のように説明しておきましょう。
「前職と同じ業界で、同じ職種の仕事を続けています。
今回は担当範囲が広がるポジションでのお話をいただき、年収も◯万円上がりました。
業界での経験は通算◯年になります。」
ポイントは、経験の継続性と、収入が増えた事実の2点です。
この一言があるかどうかで、審査部門の受け止め方は変わります。



金融機関の担当者も、稟議を通すために材料を必要としています。
「転職したばかりです」だけでは、説明のしようがありません。
同業種でのキャリアアップだと分かれば、その形で稟議を上げてもらえます。
聞かれていなくても、こちらから伝えておくことをお勧めしています。
住宅購入の全体像は、こちらでまとめています。


まとめ|順番さえ間違えなければ両立できる


転職と住宅購入は、どちらも人生の大きな決断です。
順番とタイミングさえ間違えなければ、両方を実現することは十分に可能です。
転職を含めたマネープランを、一緒に整理しませんか
転職によるキャリアの変化は、住宅予算にも大きく影響します。
伊藤FPオフィスでは、収入の変化を織り込んだ資金計画をお作りしています。
- 転職後の収入見込みを踏まえた家計整理
- 無理なく返せる借入額の試算
- 転職と購入のスケジュール整理、審査準備のアドバイス
- 教育費・老後資金との両立確認(キャッシュフロー表の作成)
- 収入が変動したときの備えの設計
「転職を考えているが、家の購入とどちらを先にすべきか」という段階のご相談も歓迎です。
千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。
よくある質問
気になる質問をタップすると、回答が開きます。
Q. 転職して3ヶ月ですが、どうしても今買いたい物件があります
フラット35や勤続要件の緩い金融機関なら、見込み年収での審査が可能です。雇用契約書・給与明細をそろえ、借入額を返済負担率25%以内に抑えて申し込むのが現実的な戦略になります。複数の金融機関に事前審査を出して、通る土俵を早めに見つけましょう。
Q. 審査中に転職の内定が出ました。黙っていて大丈夫ですか?
いけません。融資実行前の転職は金融機関への申告事項であり、黙って進めると契約違反として一括返済を求められるおそれがあります。入社日を融資実行後にずらす調整をするか、正直に申告して審査をやり直すか、いずれかを選んでください。
Q. 転職で年収が上がりました。審査にプラスになりますか?
同業種でのキャリアアップ転職なら、収入増はプラスに評価されることが多いです。ただし源泉徴収票がそろわない期間は「見込み年収」での審査になるため、その扱いに対応している金融機関を選ぶ必要があります。前職450万円から550万円に上がった場合、見込み年収で見てもらえるかどうかで借入枠が約738万円変わります。
Q. 契約社員・派遣でも住宅ローンは組めますか?
組める金融機関はありますが、正社員より選択肢は狭まります。勤続年数が長い、収入が安定している、借入額が控えめ、といった条件をそろえるほど可能性は上がります。フラット35は雇用形態を問わず年収ベースで審査されるため、有力な選択肢になります。
Q. 同業種なら、前職の勤続年数も足してもらえますか?
そうした扱いをする金融機関があります。同じ業界・職種で経験が続いていることを、職務経歴書などで説明できる状態にしておきましょう。ただしすべての金融機関が対応しているわけではないため、事前に確認することをお勧めします。
Q. 転職後に住宅ローン控除は使えますか?
使えます。住宅ローン控除は勤続年数と関係なく、住宅と借入の要件を満たせば適用されます。ただし入居した年の分は、転職の有無にかかわらずご自身で確定申告する必要があります。2年目以降は年末調整で手続きできます。
この記事の監修者


証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。金融商品の販売を行わない中立な立場で、住宅購入・保険見直し・ライフプラン設計の相談を行っています。転職や独立を控えた方には、購入と働き方の変化をどの順番で進めるかからご相談に乗っています。
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