「事前審査に通ったのに、本審査で落ちることってあるの?」
答えは「あります」。
しかもその多くは、知っていれば防げた理由で落ちています。
住宅ローンの審査は「事前審査(仮審査)」と「本審査」の2段階です。
- 事前審査は「自己申告での見込み判断」、本審査は「書類と物件込みの最終判定」
- 公的調査では、金融機関の95.1%が「健康状態」を審査項目にしています(年収の93.4%より上)
- 本審査で落ちる原因の大半は「事前審査のあとに状況を変えた」こと
- 鉄則は「融資実行までお金と仕事を動かさない」の一点です
この記事では、2つの審査の違いと落ちる原因、そして今日からできる対策を解説します。
こんな方に読んでほしい記事です
- これから住宅ローンの審査を受ける予定がある
- 事前審査と本審査で何が違うのか知りたい
- 審査に落ちないための準備を知っておきたい
- 過去の借入などで審査に不安がある
✍️ この記事の監修者
代表・監修者
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表
千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。
事前審査と本審査は何が違うのか

- 自己申告ベース
- 即日〜1週間程度
- 書類はほぼ不要
- 「貸せそうか」の見込み
- 正式書類で裏付け
- 1〜2週間程度
- 物件の担保評価あり
- 団信の審査もここ
| 項目 | 事前審査(仮審査) | 本審査 |
|---|---|---|
| タイミング | 物件の申込前後 | 売買契約の後 |
| 審査する主体 | 金融機関 | 金融機関の本部+保証会社 |
| かかる日数 | 即日〜1週間程度 | 1〜2週間程度 |
| 審査の内容 | 自己申告ベースの簡易チェック+信用情報 | 正式書類での裏付け+物件の担保評価+団信の審査 |
| 主な書類 | 本人確認書類・収入がわかるもの程度 | 源泉徴収票・住民税決定通知書・売買契約書・登記事項証明書など多数 |
| 位置づけ | 「貸せそうか」の見込み判断 | 正式な融資の決定 |
事前審査の通過は「内定」であって「合格」ではありません
自己申告した内容をもとにした、見込みの判断だからです。
本審査では、書類でその内容が裏付けられるかを確認されます。
さらに、物件の担保評価と団信の審査という新しい関門が加わります。
【公的データ】金融機関は何を見ているのか

国土交通省が、金融機関に「融資を行う際に考慮する項目」を尋ねた調査があります。
その結果が、こちらです。
出所:国土交通省「民間住宅ローンの実態に関する調査」。調査年度により数値は変動します。最新の結果は国土交通省のサイトでご確認ください。
ここで注目してほしいのが、健康状態が95.1%で、年収の93.4%より上位だという点です。
「審査は年収で決まる」と思われがちですが、実際はそうではありません。
年収が十分でも、団信に入れなければローンは組めません。
住宅ローンでは団体信用生命保険(返済中に亡くなった場合に残債がゼロになる保険)への加入が事実上の条件になっているためです。
そして最上位が「完済時年齢」(98.4%)です。
多くの金融機関が完済時80歳未満を条件としており、借入時の年齢によって組める期間が変わります。
FP伊藤この調査結果は、ご相談の実感ともよく一致します。
年収が十分な方が、健康診断の再検査を理由に団信でつまずくケースは実際にあります。
住宅購入を考え始めたら、健康なうちに動くこと。
これは精神論ではなく、数字が示している現実です。
申込から融資実行までの流れと期間


全体の流れを押さえておくと、どこで何が起こるかが見えてきます。
ここで必ず確認したいのが、売買契約に住宅ローン特約が入っているかです。
本審査に落ちた場合に、契約を白紙解除できる特約です。
これがないと、審査に落ちても手付金が返ってこないおそれがあります。
本審査で必要になる主な書類
- 源泉徴収票・確定申告書(収入の証明)
- 住民税決定通知書・課税証明書
- 売買契約書・重要事項説明書
- 登記事項証明書・物件の図面
- 本人確認書類・住民票・印鑑証明書
- 健康状態の告知書(団信の申込)
事前審査の段階では不要だった書類が、一気に増えます。
早めに準備しておくと、本審査の期間を短縮できます。
事前審査に通ったのに本審査で落ちる5つの原因


最も避けたいのが、このパターンです。
売買契約のあとに本審査で落ちると、計画全体が崩れてしまいます。
①〜④はすべて同じ原因です
事前審査から本審査までの間に、自分で状況を変えてしまったことです。
鉄則はひとつだけ。
融資実行が終わるまで、お金と仕事の状況を動かさないこと。
これさえ守れば、本審査は過度に恐れるものではありません。
事前審査の段階で落ちる主な原因
- 返済負担率のオーバー — 年間返済額が年収の30〜35%を超えると厳しくなる
- 信用情報の傷・他の借入 — 延滞履歴、カードローンやリボの残高
- 勤続年数・雇用形態 — 転職直後、試用期間中、開業直後など
- 健康状態 — 団信に加入できない場合はローン自体が組めない
いずれも、事前に手を打てるものばかりです。
特に信用情報は、CIC(信用情報機関)でインターネットから500円で開示できます。
心配な方は、審査の前に自分の記録を確認しておきましょう。
審査前の準備チェックリスト


審査の2〜3ヶ月前までに、次の8項目を済ませておきましょう。
- カードローン・リボ払い・分割払いをできるだけ完済する
- 使っていないクレジットカード・ローン枠を解約する(枠自体が借入とみなされることがある)
- 信用情報(CICなど)を開示して自分の記録を確認する
- 返済負担率が額面年収の25%以内に収まる予算にする
- 源泉徴収票・住民税決定通知書など収入書類をそろえる
- 転職・独立の予定は融資実行後に延ばす
- 健康診断の結果・持病の治療状況を整理する(団信の告知準備)
- 事前審査は条件の違う2〜3行に出して比較する
複数の金融機関に出すのは普通のことです
審査基準は金融機関ごとに違うため、1行で落ちても他行で通ることは珍しくありません。
ただし短期間に5行以上など極端に多く申し込むと、照会記録が増えて印象が悪くなることがあります。
2〜3行に絞って出すのがお勧めです。
落ちてしまったときの立て直し方


金融機関は落ちた理由を教えてくれません。
それでも、状況から原因を推定して手を打てば、道は残っています。
返済負担率か、信用情報か、団信か、物件の評価か。心当たりのある項目から絞り込みます。借入額が大きすぎたのか、他の借入が響いたのかで、次の一手が変わります。
ネット銀行・地方銀行・フラット35では、それぞれ重視する項目が異なります。特にフラット35は勤続年数の要件がなく、団信も任意加入です。
物件価格の見直し、頭金の追加、収入合算やペアローンの検討。借入額が下がれば返済負担率も下がり、通る可能性が上がります。
延滞の記録は、解消してから約5年で消えます。その間に頭金を貯めて家計の実績を作り、条件を整えてから再挑戦しましょう。
焦って何行にも申し込み続けるのは逆効果です。
申込情報が積み上がり、さらに通りにくくなります。原因への対処を先にしてください。
住宅購入の流れとお金の全体像は、こちらでまとめています。


住宅ローンの手続きや条件については、こちらもご覧ください。


まとめ|審査は正体を知れば怖くない


住宅ローンの審査は、正体を知れば怖いものではありません。
事前の準備と「審査中に動かない」という鉄則さえ守れば、多くの方がスムーズに通過できます。
審査に通る額ではなく、返せる額を確認しませんか
審査は「通ればいい」ものではありません。
審査に通る金額と、無理なく返せる金額は別物だからです。
伊藤FPオフィスでは、家計から見た適正な借入額を割り出しています。
- 現状の家計・収支の整理
- 「審査に通る額」ではなく「無理なく返せる額」の試算
- 審査前の準備ポイントの整理(借入・信用情報・書類)
- 教育費・老後資金との両立確認(キャッシュフロー表の作成)
- 団信と既存保険の整理
千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。
よくある質問
気になる質問をタップすると、回答が開きます。
Q. 事前審査は複数の銀行に出しても大丈夫ですか?
問題ありません。2〜3行に出して条件を比較するのは一般的な進め方です。ただし短期間に極端に多く(5行を超えるなど)申し込むと、信用情報上の照会記録が増えて印象が悪くなることがあるため、絞って出すのがお勧めです。
Q. 事前審査に通れば、本審査はほぼ通りますか?
状況を変えなければ、多くのケースで通ります。逆に言えば、本審査で落ちる主な原因は「審査中の新規借入・転職・延滞」といった状況の変化です。融資実行までお金と仕事を動かさない。これさえ守れば過度な心配は不要です。
Q. スマホの分割払いも審査に影響しますか?
影響します。スマホ端末の分割払いは割賦契約として信用情報に記録され、支払い遅れは延滞情報として残ります。通信料と一緒に引き落とされるため気づきにくく、住宅ローン審査でつまずく原因として非常に多いパターンです。
Q. 転職してすぐだと、何年待てば審査に通りますか?
勤続1年以上を目安とする金融機関が多いですが、同業種へのキャリアアップ転職なら勤続数ヶ月でも通る場合があります(見込み年収での審査)。金融機関により基準が大きく異なるため、事前審査で確認するのが早道です。
Q. 健康診断で指摘を受けています。団信は無理でしょうか?
内容によります。告知は正確に行ったうえで、通常の団信が難しい場合は「ワイド団信(引受条件を緩和した団信・金利上乗せあり)」や、団信への加入が任意であるフラット35という選択肢があります。調査でも95.1%の金融機関が健康状態を見ているため、早めの確認をお勧めします。
Q. 審査にはどれくらいの期間を見ておけばいいですか?
事前審査が即日〜1週間、本審査が1〜2週間程度です。ただし書類の準備や不備の修正で延びることもあるため、余裕をもって1〜2ヶ月を見込んでおくと安心です。物件の引き渡し日から逆算してスケジュールを組みましょう。
この記事の監修者


証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。金融商品の販売を行わない中立な立場で、住宅購入・保険見直し・ライフプラン設計の相談を行っています。審査のご相談では、通る金額ではなく返せる金額から逆算することを大切にしています。
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応

