「育休中は、どのくらいもらえるの?」
育児休業を考え始めたとき、最初に気になるのがお金のことです。
育児休業給付金は、額面で見ると休業前の賃金の67%(181日目からは50%)です。
けれども手取りで見ると、まったく違う数字になります。
- 67%の給付は、手取りで見ると約8割。非課税で社会保険料も免除されるためです
- ただし181日目からは手取りの約6割まで落ちます。ここが最大の注意点です
- 夫婦で28日ずつ取得すれば、その期間は手取り10割相当になります
- 2026年8月1日に上限額が改定されました(賃金日額16,540円)
この記事では、最新の上限額での月給別早見表と、手取りベースの実感、そして見落としやすい落とし穴を整理します。
こんな方に読んでほしい記事です
- 育休を予定していて、いくらもらえるか知りたい
- 月給別の受給額を早見表で確認したい
- 「手取り10割」になる新制度の条件を知りたい
- 育休中の家計が回るか、事前に確認しておきたい
✍️ この記事の監修者
代表・監修者
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表
千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。
【2026年8月改定】月給別の受給額 早見表

育児休業給付金は、次の式で計算されます。
(残業代は含み、ボーナスは含みません)
この賃金日額には上限があり、2026年8月1日に改定されました。
- 休業開始時賃金日額の上限 — 16,540円(令和9年7月31日までの額)
- 休業開始時賃金日額の下限 — 3,203円
- 上限に達するのは — 月給が約49.6万円以上の場合
月給別の支給額は、次のとおりです。
| 休業前の月給 (額面) | 最初の28日 (80%) | 〜180日目 (67%) | 181日目〜 (50%) |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 14万9,333円 | 13万4,000円 | 10万円 |
| 25万円 | 18万6,667円 | 16万7,500円 | 12万5,000円 |
| 30万円 | 22万4,000円 | 20万1,000円 | 15万円 |
| 35万円 | 26万1,333円 | 23万4,500円 | 17万5,000円 |
| 40万円 | 29万8,667円 | 26万8,000円 | 20万円 |
| 45万円 | 33万6,000円 | 30万1,500円 | 22万5,000円 |
| 49.6万円以上 | 上限 37万496円 | 上限 33万2,454円 | 上限 24万8,100円 |
※ 厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(2026年8月1日改訂版)の上限額をもとに計算しています。80%は出生後休業支援給付金(13%)を含む28日分、67%と50%は支給日数30日の場合の金額です。実際の支給額は直近6ヶ月の賃金(残業代を含みボーナスを除く)によって決まります。
上限額は毎年8月1日に改定されます。
2026年7月まで賃金日額の上限は16,110円でした。8月1日から16,540円に引き上げられています。1年前の記事に書かれた金額をそのまま信じないよう、ご注意ください。
額面67%が「手取り8割」になる理由と、181日目の崖

「67%しかもらえない」と聞くと、心もとなく感じます。
けれども実際には、思ったほど減りません。
理由は2つあります。
- 育児休業給付金は非課税 — 所得税も住民税もかかりません
- 社会保険料が免除される — 健康保険料・厚生年金保険料が0円になります(将来の年金額には影響しません)
普段の給料からは、この2つで2割前後が引かれています。
それが引かれないため、額面の67%でも手取りの8割前後が残るのです。
月給30万円の方を例に、手取りベースで比べてみます。
※ 月給30万円(賞与なし・40歳未満)の場合の試算です。育休前の手取りを月23.79万円として、給付額が何%にあたるかを示しています。実際の手取りは扶養家族の人数や各種控除によって異なります。
ここで注目していただきたいのが、181日目です。
月給30万円なら、月5万1,000円の減少
給付率が67%から50%に下がるタイミングです。
手取りベースでは、8割強から6割強へ。
月給30万円の方なら、毎月5万1,000円減ることになります。
多くの方は、育休の前半でこの変化を意識していません。
お子さまが生まれてちょうど半年、生活のリズムができてきた頃に訪れます。
181日目からの生活費を、先に計算しておいてください
育休を1年取る場合、後半の半年は手取りの6割で暮らすことになります。
月給30万円なら月15万円。ここから住民税も納めます。
固定費がそのままだと、赤字になるご家庭がほとんどです。
育休に入る前に、後半の半年分の不足額を計算して準備しておくと安心です。
FP伊藤育休の相談では、必ず「後半の半年」の話をします。
前半は給付も多く、貯蓄を取り崩さずに済む方が多いのです。
けれども181日目を過ぎると、毎月の赤字が始まります。
そこから慌てて節約を始めるより、育休前に不足額を貯めておくほうが、ずっと楽です。
夫婦で取ると手取り10割——出生後休業支援給付金


2025年4月に始まった制度が、出生後休業支援給付金です。
通常の67%に13%を上乗せし、合計80%が支給されます。
そして育休中は非課税・社会保険料免除ですから、手取りで見ると10割相当になります。
ただし、この上乗せには条件があります。
合計80%が支給
手取り10割
最大28日間
上乗せはなし
手取り8割
上乗せ分を受け取れません
妻30万円・夫35万円のご夫婦なら、上乗せ分は合計7.9万円
対象になるのは、次の条件を満たす場合です。
- 期間 — 子の出生後8週間以内(母は産後休業後8週間以内)に取得した休業のうち最大28日間
- 条件 — 夫婦それぞれが通算14日以上の育児休業を取得すること
- 例外 — 配偶者が無業者・自営業者・産後休業中などの場合は、片方の取得でも対象になります
- 上限 — 13%分の上乗せは、28日で60,205円が上限です(賃金日額の上限による)
※ 出生後休業支援給付金の詳しい要件は、厚生労働省のリーフレットまたはハローワーク・勤務先にご確認ください。
この制度は、「父親が育休を取ると収入が減る」という心配に応えるものです。
28日という期間限定ではありますが、産後の最も大変な時期を、収入をほぼ保ったまま夫婦で乗り切れる設計になっています。
見落としやすい3つの落とし穴
制度は手厚いのですが、実務では次の3つでつまずく方が多くいらっしゃいます。
延長を前提に育休の計画を立てるのは、避けてください。
2025年4月の見直しで、「入れなかったから延長」が自動的には通らなくなりました。保育所の申込みは、実際に通える範囲・入所の可能性がある園を含めて行う必要があります。延長できなかった場合にどうするかも、あわせて考えておきましょう。
育休1年間で、実際に手元に残る金額
住民税まで含めて計算すると、こうなります。
| 休業前の月給 | 育休1年間の給付総額 | ▲住民税 | 実質的に残る額 |
|---|---|---|---|
| 25万円 | 180.6万円 | ▲11.1万円 | 169.5万円 |
| 30万円 | 216.7万円 | ▲15.1万円 | 201.7万円 |
| 35万円 | 252.9万円 | ▲19.0万円 | 233.9万円 |
| 40万円 | 289.0万円 | ▲22.9万円 | 266.1万円 |
※ 育休を1年間(最初の28日は80%、180日目までは67%、以降50%)取得した場合の試算です。住民税は前年の年収をもとにした概算であり、実際の税額は各種控除によって異なります。
対象になる人・ならない人と、手続きの流れ


まず、受給の条件を確認しておきましょう。
- 雇用保険に加入している — 会社員だけでなく、条件を満たすパートの方も対象です
- 加入期間の条件 — 休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること
- 就業日数 — 育休中に働く場合、就業日数が月10日(10日を超える場合は80時間)以下であること
- 有期雇用の場合 — 子が1歳6ヶ月になるまでに契約期間が満了することが明らかでないこと
一方、次の方は対象外になります。
- 自営業・フリーランス — 雇用保険に加入していないためです
- 専業主婦(主夫) — 同じく雇用保険の被保険者ではありません
- 加入期間が足りない方 — 転職直後の出産では、条件を満たさないことがあります
転職と出産のタイミングは、事前に確認してください。
転職直後に妊娠・出産すると、加入期間12ヶ月の条件を満たさず給付金を受け取れないことがあります。ただし前職と通算できる場合もあるため、諦める前にハローワークで確認してみてください。
支給のスケジュール
いつ何が支給されるのかを、時系列で整理します。
手続きは、基本的に勤務先が行います
本人がやることは、それほど多くありません。
- 育休の1ヶ月前までに、勤務先へ申し出る
- 勤務先が必要書類をそろえてハローワークに申請する(賃金台帳・出勤簿・母子健康手帳の写しなど)
- 支給が決定すると、2ヶ月ごとに指定口座へ振り込まれる
- 2ヶ月ごとに、勤務先を通じて追加の申請を行う(自動で継続されるわけではありません)
なお2026年8月1日から、育児休業等給付の申請手続きの一部が見直されました。
給付の内容や支給要件が変わるものではなく、手続きを簡素化するための変更です。
詳しくは勤務先の担当部署にご確認ください。
お子さまの教育費の総額は、こちらで試算しています。


まとめ|手厚い制度ですが、181日目からは備えが要ります


育児休業給付金は、思っている以上に手厚い制度です。
特に夫婦での取得は、2025年からの新制度でぐっと現実的になりました。
一方で、181日目からの後半と、初回入金までの空白には備えが必要です。
この2つを事前に計算しておけば、安心して育休に入れます。
育休中の家計が回るか、確認しませんか
伊藤FPオフィスでは、育休中から復職後までの収入変化を織り込んだ家計の見通しをお作りしています。
「後半の半年でいくら足りないか」「育休前にいくら貯めておけばよいか」を、ご家庭の数字で計算します。
育休中は時間に余裕がある時期でもあります。
家計とライフプランを整えるのに、適したタイミングです。
- 育休中から復職後までの収入変化を織り込んだ家計の見通し
- 育休の後半(181日目以降)に不足する金額の計算
- 育休・時短勤務を考慮した無理のない住宅予算の試算
- 児童手当を活用した教育費の積立プラン設計
- 出産を機にした保険の見直し
千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。
よくある質問
気になる質問をタップすると、回答が開きます。
Q. パート勤務でも、もらえますか?
雇用保険に加入していて、休業開始前2年間に12ヶ月以上の加入期間があれば対象になります。週20時間以上働く方は雇用保険への加入が原則ですので、まず給与明細で「雇用保険料」が引かれているかを確認してください。引かれていれば加入しています。
Q. 育休中にボーナスは出ますか?
会社の規定によります。査定期間の勤務実績に応じて減額支給されるのが一般的です。なお、育休中にボーナスが支給されても、育児休業給付金が減額されることはありません。ただし月10日(80時間)を超えて就業して賃金を得た場合は、減額または不支給になることがあります。
Q. 給付金だけで、家計は回りますか?
前半は回るご家庭が多いですが、後半は厳しくなります。180日目までは手取りの約8割ですが、181日目からは約6割まで下がるためです。月給30万円なら、後半は月15万円。ここから住民税も納めます。固定費がそのままだと赤字になるご家庭がほとんどですので、育休に入る前に後半の不足額を計算し、その分を貯めておくことをおすすめします。
Q. 2人目の育休でも、同じ条件ですか?
基本の条件は同じです。ただし「休業開始前2年間に12ヶ月以上」という加入期間の計算では、1人目の育休期間を考慮して最大4年までさかのぼれる特例があります。連続して育休を取る場合でも受給できるケースが多いので、諦めずにハローワークまたは勤務先に確認してください。
Q. 育休を延長したいのですが、どうすればよいですか?
保育所に入れないなどの理由があれば、1歳6ヶ月・2歳と2段階で延長できます(給付率50%)。ただし2025年4月から手続きが厳格化されました。市区町村の不承諾通知に加えて、保育所への申込書の写しと延長事由認定申告書が必要です。そのうえで「速やかな職場復帰のための申込みだったか」をハローワークが確認します。入所の可能性が極めて低い園だけを希望していた場合など、復職の意思が確認できないと延長が認められないことがあります。
Q. 上限額は、いつ改定されますか?
毎年8月1日です。2026年8月1日の改定で、休業開始時賃金日額の上限は16,540円になりました(それまでは16,110円)。支給日数30日の場合、67%給付の上限は33万2,454円、50%給付の上限は24万8,100円です。1年前の記事に書かれた金額はすでに古くなっている可能性があるため、厚生労働省またはハローワークの最新情報をご確認ください。
Q. 育休から復帰したあと、時短勤務にすると収入はどうなりますか?
給与は下がりますが、2025年4月に「育児時短就業給付金」という制度が創設されました。2歳未満のお子さまを養育するために時短勤務をする場合、時短中に支払われた賃金の一定割合が支給される仕組みです。また、時短勤務で給与が下がっても将来の年金額が減らないよう、従前の標準報酬月額をもとに年金額を計算する特例(養育期間の特例)もあります。こちらは申請が必要ですので、復職時に勤務先へ確認してください。
この記事の監修者


証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。金融商品の販売を行わない中立な立場で、住宅購入・保険見直し・ライフプラン設計の相談を行っています。育休を控えたご家庭の相談では、額面の給付率ではなく手取りベースの金額と、181日目以降に不足する額を具体的にお伝えしています。
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応
本記事の出典・注意事項をみる
・厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(2026年8月1日改訂版)
・厚生労働省「出生後休業支援給付金」「育児時短就業給付金」(2025年4月創設)
・厚生労働省「育児休業給付の支給対象期間の延長手続」(2025年4月改正)
【注意事項】
本記事の受給額はすべて試算です。実際の支給額は、休業開始前6ヶ月間に支払われた賃金(残業代を含み、ボーナスなど3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く)をもとに算出されるため、記事の金額とは異なります。休業開始時賃金日額の上限額・下限額は毎年8月1日に改定されます。本記事に記載した上限16,540円・下限3,203円は、令和9年7月31日までの額です。手取りベースの割合は、賞与なし・40歳未満・扶養家族なしを前提に計算した概算であり、ご家庭の状況によって異なります。住民税の額も前年の所得と各種控除によって変わります。支給要件・手続きの詳細は、ハローワークまたは勤務先にご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の商品・サービスの購入や契約を勧めるものではありません。個別のご相談については、伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。

