「出産や育児って、結局いくらかかるの?」
「もらえるお金がいろいろあるらしいけど、よく分からない」
初めての出産を控えたご家庭から、必ずいただく質問です。
結論からお伝えすると、出産そのものの費用は給付金でほぼ相殺できます。
ただし、住んでいる地域と働き方によって、金額は大きく変わります。
- 正常分娩の費用は千葉県52.9万円・東京都64.8万円と、地域で12万円違います
- 千葉県なら給付金でほぼ相殺できますが、東京都では約10万円の持ち出しになります
- 出産から1歳までに受け取れる総額は、働き方によって363万円変わります
- 出産費用の無償化は2027〜2028年度の見込み。待つ必要はありません
この記事では、厚生労働省の最新データをもとに、費用の実額と受け取れるお金を整理します。
こんな方に読んでほしい記事です
- 妊娠中・妊活中で、出産費用の目安を知りたい
- もらえる給付金を漏れなく把握しておきたい
- 千葉県・東京都での実際の費用を知りたい
- 出産を機に、家計や教育費の計画を立てたい
✍️ この記事の監修者
代表・監修者
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表
千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。
出産費用は地域で24万円違う——千葉・東京の実額

よく「出産費用は約50万円」と言われます。
これは全国の平均値です。
けれども実際には、都道府県によって大きく違います。
厚生労働省が令和6年度のデータから算出した、正常分娩の平均出産費用を見てみましょう。
※ 厚生労働省が出産育児一時金の直接支払制度の請求データ(令和6年度)から算出した、正常分娩の平均出産費用です。室料差額・産科医療補償制度の掛金・その他の費目を除いた金額になります。
東京都と熊本県の差は、24万3,898円。
同じ出産でも、これだけの開きがあります。
千葉・東京にお住まいの方に関わる差を見てみましょう。
東京都と千葉県では、11万8,474円の違いがあります。
この金額には、含まれていない費用があります
上の数字は「室料差額・産科医療補償制度の掛金・その他」を除いたものです。
実際には、次のような費用が上乗せされます。
- 産科医療補償制度の掛金 — 1万2,000円(ほぼ全員が対象)
- 個室を選んだ場合の室料差額 — 6日間で9万円前後
- 無痛分娩を選んだ場合 — 10万〜20万円の追加
千葉県で個室を選んだ場合、合計は約63万2,000円。
出産育児一時金50万円との差は、13万2,000円になります。
FP伊藤病院を決めるとき、費用を比べる方は意外と少ないのです。
けれども同じ市内でも、施設によって10万円以上違うことがあります。
厚生労働省の「出産なび」というサイトで、各施設の費用を確認できます。
設備やお産の方針とあわせて、費用も比較材料に入れてみてください。
帝王切開になった場合は、むしろ負担が軽くなることも
意外に思われるかもしれませんが、帝王切開などの異常分娩は健康保険が適用されます(自己負担3割)。
さらに高額療養費制度の対象になるため、自己負担に上限がかかります。
民間の医療保険に加入している場合は、給付の対象になることも多くあります。
帝王切開の可能性があるなら、限度額適用認定証を事前に用意してください。
加入している健康保険に申請すると発行されます。これを病院に提示すれば、窓口での支払い自体が自己負担の上限額までで済みます。後から高額療養費を請求する手間も、一時的な立て替えも不要になります。
働き方で、受け取れる総額が363万円変わる


出産・育児で受け取れるお金は、大きく2つに分かれます。
全員がもらえるものと、働き方によってもらえるものです。
この違いが、思っている以上に大きな差を生みます。
妻の年収を400万円として、出産から1歳までに受け取れる総額を計算しました。
会社員と自営業では、363万円の差が生まれます
※ 妻の年収を400万円、育児休業を1年間取得した場合の試算です。育児休業給付金は最初の28日が80%(出生後休業支援給付金を含む)、180日目までが67%、以降50%として計算しています。実際の支給額は標準報酬月額や取得日数によって異なります。
会社員・公務員の場合、出産手当金と育児休業給付金が加わります。
この2つだけで313万円。
さらに産休・育休中は社会保険料が免除されるため、実質的な価値はもっと大きくなります。
一方、自営業・フリーランスの方にはこの2つがありません。
国民健康保険には、出産手当金の制度が事実上ないためです。
雇用保険にも加入していないため、育児休業給付金も対象外になります。
自営業・フリーランスの方は、自分で備える必要があります
会社員なら受け取れる313万円が、自分で用意すべき金額になります。
働けない期間の収入をどう確保するかを、妊娠が分かった時点で考えておいてください。
なお、国民年金保険料は産前産後の4ヶ月間が免除されます(免除されても、その期間は納付したものとして年金額に反映されます)。
この免除は申請が必要です。出産予定日の6ヶ月前から届出ができます。
もらえるお金の一覧
制度ごとの内容を整理しておきます。
| 制度 | もらえる額 | 対象になる人 |
|---|---|---|
| 出産育児一時金 | 子ども1人につき50万円 | 健康保険の加入者(全員) |
| 妊婦のための支援給付 | 妊娠時5万円+子の人数×5万円 | 妊婦(全員) |
| 妊婦健診の公費補助 | 14回分の補助券(約10万円相当) | 妊婦(全員・自治体) |
| 児童手当 | 0〜3歳未満は月1.5万円 3歳〜高校生年代は月1万円 第3子以降は月3万円 | 子育て世帯(所得制限なし) |
| 出産手当金 | 産休中、給与日額の約3分の2 | 会社員・公務員 |
| 育児休業給付金 | 育休中、賃金の80%→67%→50% | 雇用保険の加入者 |
| 乳幼児医療費助成 | 医療費が無料〜少額に | 自治体(多くは高校生まで) |
| 高額療養費制度 | 帝王切開などの医療費に上限 | 健康保険の加入者 |
| 医療費控除 | 年間10万円超で税金の一部が戻る | 確定申告をした人 |
※ 2026年時点の制度概要です。金額・条件は変更される場合があるため、最新の情報は自治体・加入している健康保険・厚生労働省のサイトでご確認ください。
【試算】千葉で産むと、実質いくらかかるか


では、実際の持ち出しはいくらになるのでしょうか。
千葉県で正常分娩をした場合で計算します。
※ 個室を選ばず、大部屋で出産した場合の試算です。妊婦健診の自己負担は補助券で賄えなかった分の目安になります。
千葉県の平均的な費用なら、むしろ1万8,000円ほど手元に残る計算です。
出産そのものの費用は、給付金でほぼ相殺できる設計になっています。
では、東京都で出産した場合はどうでしょうか。
給付金で相殺すると
+1.8 万円
手元に残ります
給付金で相殺しても
▲10.0 万円
持ち出しになります
同じ条件でも、地域によって11.8万円の差が出ます
東京都で出産する場合は、10万円前後の持ち出しを見込んでおきましょう。
個室や無痛分娩を選ぶなら、さらに10万〜20万円が加わります。
これにベビー用品の準備費用を足す必要があります。
ベビーカー、チャイルドシート、ベビーベッド、衣類など。
新品で一式そろえると15万〜20万円が目安です。
- 千葉・埼玉で大部屋を選ぶ場合 — 準備資金は20万〜30万円で足ります
- 東京で出産する場合 — 30万〜40万円を見ておくと安心です
- 個室・無痛分娩を希望する場合 — さらに10万〜20万円を上乗せします
出産費用の無償化はいつから——待つ必要はない


2026年5月29日、改正健康保険法が成立しました。
正常分娩の費用を公的医療保険で全額まかなう、新しい制度が決まっています。
ただし、実際に始まるのはもう少し先です。
- 制度の内容 — 標準的な出産費用について全国一律の価格を定め、公的保険から給付する仕組み
- 対象 — 正常分娩で出産するすべての方(帝王切開などは現在も保険適用)
- 施行時期 — 法律上は「公布後2年以内」。早くて2027年度、現実的には2028年度ごろの見込み
- それまで — 現行の出産育児一時金50万円の仕組みが続きます
※ 制度の詳細・施行時期は今後変わる可能性があります。最新の情報は厚生労働省の発表をご確認ください。
あわせて、妊婦健診の自己負担をゼロにする方向でも検討が進んでいます。
「無償化を待って出産の時期を調整する」必要はありません。
現行の制度でも、千葉県の平均的な費用なら実質負担はほぼゼロです。施行は早くても2027年度で、詳細もまだ固まっていません。今できることは、もらえる給付金を漏れなく受け取ることです。
育児1年目の費用と、申請の落とし穴


出産後の1年間にかかる費用も見ておきましょう。
※ 予防接種の定期接種は無料です(任意接種は数千円から)。保育園に入る場合の保育料は世帯収入によって決まり、3歳からは無償化されます。
児童手当は0〜3歳未満で月1万5,000円、年18万円です。
1年目は初期購入があるため、これだけでは足りません。
けれども2年目以降は、児童手当だけでほぼ賄えます。
だからこそ、児童手当は生活費に混ぜないでください。
全額を別口座に貯めておくと、将来の教育費の土台になります。
234万円は、国立大学の学費(約243万円)にほぼ届く金額です。
受け取ったら自動で子ども用の口座へ移す設定にしておきましょう。
申請のタイミング——もらい漏れを防ぐ
これらの制度は、申請しないと1円ももらえません。
時期ごとに何をすべきかを整理しておきます。
児童手当は、申請した翌月分からの支給です。さかのぼって受け取れません。
出生届と同時に申請するのを、必ず忘れないでください。1ヶ月遅れると、0〜2歳なら1万5,000円を取り逃がすことになります。



産後は、想像以上に慌ただしい時期です。
だからこそ、産前に申請リストを作っておくことをおすすめしています。
ご主人に手続きを担当してもらうご家庭も増えました。
出生届は14日以内なので、産院を出る前に必要な書類をそろえておくと安心です。
お子さまの教育費の総額は、こちらで試算しています。


まとめ|制度を知っているかどうかで、数十万円の差がつきます


出産・育児のお金は、制度を知っているかどうかで数十万円の差がつきます。
けれども、複雑に見えて、やることは2つだけです。
もらえるものを漏れなく受け取ること。
児童手当は教育費として貯めること。
この2つができていれば、スタートとしては十分です。
出産後の家計がどう変わるか、確認しませんか
出産は、家計を見直す最も良いタイミングです。
収入が一時的に減り、支出が増え、そして教育費という長期の目標が生まれるためです。
伊藤FPオフィスでは、育休中の収入減を織り込んだ家計の見通しと、教育費の積立プランを一緒に設計しています。
- 出産・育休による収入変化を織り込んだ家計の見通し
- 受け取れる給付金の確認と、もらい漏れのチェック
- 児童手当を活用した教育費の積立プラン設計
- 子育て世帯の無理のない住宅予算の試算
- 出産を機にした保険の見直し(医療・死亡保障)
千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。
よくある質問
気になる質問をタップすると、回答が開きます。
Q. 出産費用は、事前に全額用意しないといけませんか?
多くの病院では「直接支払制度」が使えます。出産育児一時金50万円が健康保険から病院へ直接支払われるため、窓口では差額だけを精算する形になります。千葉県の平均的な費用なら、差額は3万円前後です。まとまった現金を事前に用意する必要は、基本的にありません。ただし直接支払制度に対応していない小規模な施設もあるため、病院に確認しておいてください。
Q. 専業主婦(主夫)でも、給付金はもらえますか?
もらえるものと、もらえないものがあります。受け取れるのは、出産育児一時金(配偶者の健康保険から)、妊婦のための支援給付、妊婦健診の公費補助、児童手当です。合計で88万円ほどになります。一方、出産手当金と育児休業給付金は働いている方向けの制度のため対象外です。会社員の方(458万円)との差は363万円になりますので、家計の計画にはこの前提を織り込んでおいてください。
Q. 自営業・フリーランスですが、育休中の収入はどうなりますか?
育児休業給付金の対象外のため、収入は基本的にご自身で確保する必要があります。会社員なら受け取れる313万円が、そのまま自己負担になると考えてください。ただし国民年金保険料は産前産後の4ヶ月間が免除され、しかもその期間は納付したものとして年金額に反映されます。この免除は申請が必要で、出産予定日の6ヶ月前から届出ができます。妊娠が分かった時点で、市区町村の窓口に確認してください。
Q. 帝王切開になった場合、費用は増えますか?
手術・入院費は健康保険が適用され(自己負担3割)、高額療養費制度で自己負担に上限がかかります。そのため、正常分娩より負担が軽くなるケースも珍しくありません。事前に加入している健康保険で「限度額適用認定証」を発行してもらい、病院に提示しておくと、窓口での支払い自体を上限額までに抑えられます。また民間の医療保険に加入している場合、手術給付金・入院給付金の対象になることが多くあります。証券を確認しておきましょう。
Q. 双子の場合は、どうなりますか?
出産育児一時金は人数分が支給されます。双子なら100万円です。妊婦のための支援給付も子の人数分(妊娠時5万円+出産後に5万円×2人=15万円)、児童手当も2人分になります。一方で、育児用品も保育費用も2人分かかりますし、多胎妊娠は管理入院が必要になることもあります。自治体によっては多胎児家庭向けのヘルパー派遣や移動支援があるため、妊娠が分かった時点で窓口に確認しておくことをおすすめします。
Q. 出産費用の無償化を待ったほうがいいですか?
待つ必要はありません。改正健康保険法は2026年5月に成立しましたが、施行は「公布後2年以内」とされており、実際に自己負担がゼロになるのは早くて2027年度、現実的には2028年度ごろの見込みです。また現行の制度でも、千葉県の平均的な費用なら実質負担はほぼゼロです。出産の時期は、ご家庭の状況とお身体を優先して考えてください。
Q. 医療費控除は、何が対象になりますか?
分娩・入院費、妊婦健診の自己負担分、通院のための交通費(公共交通機関)などが対象です。出産育児一時金や保険金で補填された分は差し引く必要があります。世帯の医療費を合算できるため、ご家族の分もまとめて計算してください。なお出産費用は年をまたぐことがあるので、支払った日がどちらの年になるかも確認しておきましょう。詳しい対象範囲は、国税庁のサイトまたは税務署でご確認ください。
この記事の監修者


証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。金融商品の販売を行わない中立な立場で、住宅購入・保険見直し・ライフプラン設計の相談を行っています。出産を控えたご家庭の相談では、全国平均ではなくお住まいの地域の実額と、働き方に応じた受給額をもとに家計の見通しをお伝えしています。
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応
本記事の出典・注意事項をみる
・厚生労働省保険局「出産費用の見える化等について」(令和6年度の直接支払制度の請求データより算出)
・厚生労働省「育児休業給付」「出生後休業支援給付金」
・こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
・改正健康保険法(2026年5月29日成立)
【注意事項】
本記事の出産費用は、正常分娩について室料差額・産科医療補償制度の掛金・その他の費目を除いた平均額です。医療機関・分娩方法・入院日数によって実際の金額は大きく異なります。受け取れる給付金の試算は、妻の年収400万円・育児休業を1年間取得した場合のものであり、実際の支給額は標準報酬月額・取得日数・加入している健康保険によって変わります。給付金の金額・条件は制度改正により変更される場合があります。出産費用の無償化については、施行時期・対象範囲ともに今後変わる可能性があります。最新の情報は、お住まいの自治体・加入している健康保険・厚生労働省のサイトでご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の商品・サービスの購入や契約を勧めるものではありません。個別のご相談については、伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。

