「年収500万円あるのに、毎月ぜんぜん余裕がない」
そう感じている方は、決して少なくありません。
そしてこれは、家計管理が下手だからではありません。
実際に数字を並べてみると、そうなるのが自然な構造だと分かります。
- 年収500万円の手取りは年390万〜402万円。家族構成で12万円変わります
- 毎月の手取りは約24.8万円。二人以上世帯の平均支出は月31.4万円です
- つまり毎月6.6万円足りないのが平均的な姿。ボーナスで埋めているのが実態です
- 固定費を見直せば年30万〜96万円が変わります。ここが最も効きます
この記事では、手取りの正確な金額から、現実的な配分表、そして住宅予算までを数字で整理します。
こんな方に読んでほしい記事です
- 年収500万円前後で、毎月の家計に余裕がないと感じている
- 手取り額と、現実的な支出の配分を知りたい
- 何から見直せば効果が大きいのか知りたい
- この年収で住宅を購入できるのか気になっている
✍️ この記事の監修者
代表・監修者
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表
千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。
年収500万円の手取りは、家族構成で12万円変わる

まず、手取りの金額を正確に確認します。
額面500万円から、社会保険料と税金が引かれます。
※ 協会けんぽ(東京都)の料率・40歳未満・一般の事業を前提とした試算です。40歳以上は介護保険料が加わり、手取りはさらに8万円ほど下がります。
社会保険料だけで年73.5万円。
税金と合わせると、110万円が手元に残りません。
そして手取りは、家族構成によって変わります。
| 世帯の構成 | 所得税 | 住民税 | 手取り年収 |
|---|---|---|---|
| 独身(扶養家族なし) | 12.6万円 | 24.2万円 | 約390万円 |
| 夫婦のみ(配偶者を扶養) | 9.3万円 | 20.9万円 | 約396万円 |
| 夫婦+子1人(中学生以下) | 9.3万円 | 20.9万円 | 約396万円 |
| 夫婦+子2人(中学生以下) | 9.3万円 | 20.9万円 | 約396万円 |
| 夫婦+子2人(うち1人が高校生) | 7.4万円 | 17.6万円 | 約402万円 |
※ 2026年の税制(所得税の基礎控除62万円)で計算した目安です。各種控除の適用状況によって実際の金額は異なります。
子どもが生まれても、税金は減りません
この表を見て、気づかれたでしょうか。
「夫婦のみ」と「夫婦+子2人」の手取りが、まったく同じです。
これは間違いではありません。
16歳未満のお子さまは、扶養控除の対象外だからです。
かつては年少扶養控除がありましたが、児童手当の導入に伴って廃止されました。
お子さまへの支援は、税金ではなく児童手当という形で行われています。
扶養控除が復活するのは、お子さまが16歳になってからです。
高校生になると38万円の扶養控除が適用され、手取りが年6万円ほど増えます。
2026年の税制改正で、手取りはどれくらい増えたか
2026年から、所得税の基礎控除が58万円から62万円に引き上げられました。
「年収の壁が178万円に」というニュースで話題になった改正です。
ただし年収500万円の場合、増える手取りは年2,000円〜4,000円にとどまります。
住民税の基礎控除は据え置きのため、影響は所得税だけだからです。
この改正で家計が楽になる、という期待はしないほうがよいでしょう。
年収500万円は、どのあたりの水準か
国税庁の令和6年分の調査によると、給与所得者の平均給与は478万円でした。
過去最高の水準です。
一方、正社員に限ると平均は545万円になります。
- 給与所得者全体の平均 478万円(前年比+3.9%)
- 正社員(正職員)の平均 545万円
- 男性の平均 587万円/女性の平均 333万円
- 男性で最も人数が多いのは 年収400万〜500万円の層(493万人・16.9%)
つまり年収500万円は、全体の平均は上回るものの、正社員の平均は下回る水準です。
「平均より上なのに苦しい」という感覚には、根拠があるということです。
「余裕がない」の正体——毎月6.6万円足りない

ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。
手取り年収396万円を、月々とボーナスに分けて考えます。
ボーナスが年4ヶ月分ある会社の場合、こうなります。
そして総務省の家計調査によると、二人以上の世帯の消費支出は月31.40万円です(2025年平均)。
この2つを並べてみます。
夫婦+子1人の手取り
24.8 万円
ボーナスは別に年99万円
平均的な消費支出
31.4 万円
総務省「家計調査」2025年平均
毎月6.6万円足りません。年間では約80万円です
※ 総務省「家計調査」2025年平均の二人以上の世帯の消費支出は月31万4,001円(前年比 名目4.6%増)です。世帯人数・地域によって実際の支出は異なります。
年間80万円の不足を、ボーナス99万円で埋めている。
これが「年収500万円でも貯まらない」の正体です。
やりくりが下手なのではありません。
平均どおりに暮らすと、そうなる構造になっているのです。
FP伊藤この数字をお見せすると、多くの方がほっとした表情をされます。
「自分の管理が悪いのだと思っていました」とおっしゃるのです。
けれども構造の問題だと分かれば、打ち手も変わります。
気合いで支出を減らすのではなく、仕組みを変えればいいのだと分かるからです。
物価上昇のペースが、手取りの伸びを上回っています。
2025年の消費支出は前年より名目で4.6%増えました。同じ暮らしをしているつもりでも、支出は毎年増えています。「去年と同じ」では、少しずつ苦しくなっていきます。
手取り24.8万円の、現実的な配分表


では、どう配分すればよいのか。
平均を目指すのではなく、わが家の配分表を作ることが出発点です。
千葉・東京にお住まいの、夫婦+お子さま1人のご家庭を想定した例です。
| 費目 | 割合の目安 | 金額(手取り24.8万円) | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 住居費 | 25% | 6.2万円 | 最も大きく、最も見直しが効く費目です |
| 食費 | 16% | 4.0万円 | 外食を含みます。削りすぎると続きません |
| 水道光熱・通信 | 10% | 2.5万円 | 通信は格安プランで大きく下がります |
| 保険 | 4% | 1.0万円 | 月2万円を超えていたら見直しの余地があります |
| 車関係 | 8% | 2.0万円 | 駐車場・保険・税金・ガソリン・車検の積立 |
| 子ども費 | 8% | 2.0万円 | 習い事・学用品・被服。学年とともに増えます |
| 日用品・被服・娯楽・こづかい | 17% | 4.2万円 | ここが生活の楽しみの部分です |
| 先取り貯蓄 | 12% | 3.0万円 | 給料日に自動で別口座へ移します |
※ 手取り月24.8万円を100%として配分した例です。住居費が6.2万円を超える地域では、他の費目で調整する必要があります。
この配分で年間にどれだけ貯まるかを計算します。
子育て世帯の貯蓄率の目標は、手取りの15〜20%です。
この配分なら、目標を上回ります。
ポイントはボーナスの使い方です。
平均どおりに暮らすと、ボーナスは毎月の赤字の穴埋めで消えます。
毎月の支出を手取りの範囲に収めれば、ボーナスがまるごと貯蓄に回せます。
児童手当は、家計に混ぜないでください
生活費の口座に入れてしまうと、必ず使ってしまいます。
受け取ったら自動で子ども用の口座へ移す設定にしてください。
2024年10月の制度改正で高校卒業まで支給されるようになり、全額を貯めれば約234万円になります。
国立大学の学費(約243万円)に、ほぼ届く金額です。
固定費の見直しで年30万〜96万円が変わる


配分表を作ると、「超えている費目」が見えてきます。
そこで手をつけるべきは、固定費です。
食費を削るのは苦しく、続きません。
固定費は一度見直せば、効果がずっと続きます。
年間に直すと、30万〜96万円です。
そしてこの効果は、何年も続きます。
お子さまが0歳のときに固定費を月2.5万円下げれば、大学入学までに540万円の差が生まれます。
これは私立大学の学費が賄える金額です。
どこから手をつけるか——効果が大きい順



ご相談で最も多く見つかるのが、保険の重複です。
住宅を購入すると団体信用生命保険に加入しますが、その分だけ死亡保障は減らせるはずなのに、そのままの方が多いのです。
購入してから保険を見直していない場合は、一度確認してみてください。
月1万円下がれば、35年で420万円になります。
固定費の見直しは、1つずつ進めてください。
一度にすべてを変えようとすると、途中で挫折します。まず効果の大きい1項目から手をつけて、1ヶ月後に効果を確認する。この進め方のほうが、結果的に多くの項目を見直せます。
年収500万円で家を買うなら——金利上昇後の適正額


「この年収で家を買えるのか」は、多くの方が気にされる点です。
結論から言うと、買えます。
ただし金額の目安は、数年前とは変わっています。
金利が上がり、借りられる額が減りました
2026年8月時点で、主要銀行の変動金利は年1.0%を超えています。
2024年頃は0.4%前後でしたから、大きな変化です。
同じ返済額でも、352万円少なくなりました
※ 2026年8月時点の主要都市銀行の変動金利(中央値1.025%)を用いた試算です。適用される金利は金融機関・審査結果によって異なります。
さらに、変動金利は今後も上がる可能性があります。
だからこそ、今の金利で借りられる上限まで借りるのは危険です。
借入額別に、住居費の重さを判定する
住宅ローンの返済だけでなく、固定資産税・火災保険・修繕積立を含めた「住居費」で見ます。
維持費は月2.5万円と想定しました。
※ 金利1.025%・35年・元利均等返済で試算しています。維持費は固定資産税・火災地震保険・修繕積立の合計を月2.5万円と想定しました。
片働きで年収500万円の場合、無理なく買えるのは借入2,000万〜2,500万円というのが試算の答えです。
金融機関の審査には通っても、3,000万円は家計にとって重い金額になります。
「借りられる額」と「無理なく返せる額」は違います。
金融機関は額面年収に対する返済負担率で審査します。けれども実際に払うのは手取りからで、しかも維持費が上乗せされます。この2つのずれが、購入後に苦しくなる最大の原因です。
共働きなら、選択肢は広がります
世帯年収が上がれば、当然ながら余裕が生まれます。
夫500万円+妻200万円(パート)の場合、世帯の手取りは約560万円です。
| 借入額 | 住居費(月) | 世帯手取り560万円に対して | 片働きに戻ったら |
|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 11.00万円 | 24% | 33% |
| 3,500万円 | 12.42万円 | 27% | 38% |
| 4,000万円 | 13.84万円 | 30% | — |
注目していただきたいのが、右端の列です。
育休や時短勤務で配偶者の収入がなくなると、住居費の重さは一気に跳ね上がります。
共働きを前提に借りるなら、片働きに戻る期間があることも織り込んでください。



共働きの世帯年収で審査を通し、その上限まで借りる方がいらっしゃいます。
けれども第二子の産休・育休が入ると、収入は一時的に下がります。
その期間を乗り切れるかどうかを、借りる前に確認しておきたいところです。
目安として、片働きに戻っても住居費が手取りの30%以内に収まる金額が安心です。
人生全体のお金の流れを整理する方法は、こちらでまとめています。


まとめ|構造が分かれば、打ち手も見えてきます


年収500万円は、平均を上回る水準です。
それでも余裕を感じにくいのは、支出の水準が上がっているからです。
けれども構造が分かれば、打つ手は明確になります。
毎月の支出を手取りの範囲に収める。
固定費を1つずつ見直す。
この2つを進めるだけで、年間100万円近い貯蓄は十分に届く目標です。
わが家の配分表を、一緒に作りませんか
伊藤FPオフィスでは、ご家庭の収入と支出を整理し、見直すべき費目を金額で示しています。
そして住宅購入をお考えなら、教育費と両立できる借入額を具体的に試算します。
この記事の数字は、あくまで一般的な目安です。
お住まいの地域、家族構成、お勤め先によって、答えは変わります。
- 現状の家計・収支の整理と、見直すべき固定費の洗い出し
- ご家庭に合わせた配分表の作成
- 金利上昇を織り込んだ、無理のない住宅予算の試算
- 教育費・老後資金との両立確認(キャッシュフロー表の作成)
- 保険の重複チェックと保障の整理
千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。
よくある質問
気になる質問をタップすると、回答が開きます。
Q. 年収500万円で、貯蓄はいくらあれば安心ですか?
最初の目標は「生活防衛資金=生活費の6ヶ月分」です。月の支出が25万円なら150万円になります。これが確保できたら、次は目的別に積み上げます。教育費(児童手当+積立)、住宅の頭金、老後資金の順です。貯蓄率は手取りの15〜20%を目安にしてください。手取り396万円なら、年60万〜80万円が目標になります。
Q. 片働きで手取り24.8万円。どうしても余りません
まず1ヶ月だけ支出を記録して、記事の配分表と比べてみてください。多くの場合、住居費・保険・車・通信のどれかが目安を超えています。そして超えている費目は、たいてい1つか2つです。食費のような変動費を削るより、その1〜2項目を見直すほうが効果が大きく、ストレスもかかりません。住居費が手取りの30%を超えている場合は、住み替えも選択肢に入れて考えてみてください。
Q. ボーナスをあてにした家計は、危ないですか?
危険というより、変動リスクを抱えている状態です。ボーナスは業績によって減ることがあり、支給されない年もあり得ます。理想は、毎月の支出を毎月の手取りの範囲に収めて、ボーナスは貯蓄と特別支出(旅行・家電の買い替え・帰省費用など)に充てる形です。いきなりは難しいので、まずボーナスの半分を貯蓄に回すところから始めてください。
Q. 子どもが生まれたのに、手取りが増えないのはなぜですか?
16歳未満のお子さまは、扶養控除の対象外だからです。以前は年少扶養控除がありましたが、児童手当の導入に伴って廃止されました。税金ではなく、児童手当という形で支援される仕組みになっています。扶養控除が適用されるのは、お子さまが16歳になってからです。高校生になると38万円の扶養控除が適用され、手取りが年6万円ほど増えます。
Q. 2026年の税制改正で、手取りは増えましたか?
年収500万円の場合、増えたのは年2,000円〜4,000円程度です。所得税の基礎控除が58万円から62万円に引き上げられましたが、住民税の基礎控除は据え置きのため、効果は所得税だけにとどまります。「年収の壁が178万円に」というニュースで大きく報じられましたが、恩恵が大きいのは主にパート・アルバイトなど収入が少ない層です。
Q. 年収500万円で3,000万円の住宅ローンは無謀ですか?
無謀とは言えませんが、余裕は多くありません。借入3,000万円だと返済が月8.50万円、固定資産税や修繕積立を含めた住居費は月11.00万円になります。これは手取り年収396万円の33%にあたります。さらに金利が3%まで上がると住居費は月14.05万円(43%)となり、教育費との両立が難しくなります。片働きなら2,000万〜2,500万円、共働きが続くなら3,000万円という考え方が現実的です。
Q. 新NISAは、いくらから始めるべきですか?
生活防衛資金(生活費の6ヶ月分)の確保が先です。それができていれば、月5,000円〜1万円の少額から始めて、家計に無理がないことを確認しながら増やすのが現実的です。配分表の先取り貯蓄3万円のうち、1万円を新NISAに、2万円を預貯金に、という分け方から始める方が多くいらっしゃいます。なお10年以内に使う予定のあるお金は、投資に回しすぎないようご注意ください。
この記事の監修者


証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。金融商品の販売を行わない中立な立場で、住宅購入・保険見直し・ライフプラン設計の相談を行っています。家計のご相談では「節約が足りない」ではなく、数字の構造を一緒に確認したうえで、見直す費目を絞ってお伝えしています。
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応
本記事の出典・注意事項をみる
・国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
・総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均」
・全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料額表
・国税庁「所得税の税率」「令和8年分以降の基礎控除」
【注意事項】
本記事の手取り額は、協会けんぽ(東京都)の料率・40歳未満・一般の事業を前提に計算した試算です。40歳以上は介護保険料が加わるため、手取りはさらに下がります。お勤め先の健康保険組合の料率、各種控除の適用状況によって実際の金額は異なります。税額の計算では調整控除等を概算で処理しているため、実際の税額とは差が生じます。住宅ローンの試算は2026年8月時点の主要都市銀行の変動金利(中央値1.025%)を用いたもので、適用される金利は金融機関・審査結果によって異なります。変動金利は将来上昇する可能性があり、本記事の金利上昇シナリオは将来を予測するものではありません。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の商品・サービスの購入や契約を勧めるものではありません。個別のご相談については、伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。

