住宅購入にかかる諸費用の目安|見落としがちな費用を解説

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「物件価格3,000万円なら、3,000万円あれば買える」

実はこれ、大きな誤解です。

物件価格とは別に、諸費用と呼ばれるお金がかかります。

しかもその額は、選び方次第で2.7倍も変わります。

この記事の結論
  1. 同じ3,000万円の物件でも、諸費用は93万円〜255万円と2.7倍の開きがあります
  2. 差を決めるのは「仲介手数料の有無」と「ローン事務手数料のタイプ」の2つだけ
  3. 諸費用のほかに、引越し・家具家電などで100万〜500万円かかります
  4. 契約時の手付金はローンでは賄えません。現金で立て替える必要があります

諸費用の内訳・支払いタイミング・抑えるコツを、試算とともに解説します。

こんな方に読んでほしい記事です

  • 住宅購入を検討し始めて、諸費用の全体像を知りたい
  • 「いつ・いくら」現金が必要になるのか知りたい
  • 見落としやすい費用まで含めて資金計画を立てたい
  • 諸費用を少しでも抑えるコツを知りたい

✍️ この記事の監修者

伊藤FPオフィス代表 伊藤貴徳

代表・監修者

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス 代表

CFP®認定者 1級FP技能士 宅地建物取引士 証券外務員1種

千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。

🏢 伊藤FPオフィス(千葉県・オンライン対応) プロフィール詳細を見る →
目次

【核心】諸費用の差は2つの選択で決まる

「諸費用は物件価格の3〜10%」とよく言われます。

この幅の広さが、資金計画を立てにくくしています。

実は、差を生んでいるのはたった2つの項目です。

最も安いパターン
売主から直接購入
+定額型の事務手数料
約93 万円
物件価格の3.1%
VS
最も高いパターン
仲介会社を通して購入
+定率型の事務手数料
約255 万円
物件価格の8.5%

同じ3,000万円の物件でも、162万円の差

※ 物件価格3,000万円・借入3,000万円で試算した目安です。実際の金額は物件・金融機関・地域により異なります。

差を生む2つの項目

項目かかる場合かからない(安い)場合3,000万円での差
仲介手数料仲介会社を通して買う
(中古・一部の建売)
売主から直接買う
(新築マンション・売主直販の建売)
約106万円
ローン事務手数料定率型(借入額の2.2%)
=66万円
定額型(3〜5万円)約61万円

仲介手数料は「物件価格×3%+6万円+消費税」が上限です。

3,000万円なら約106万円。これがかかるかどうかで、諸費用は大きく変わります。

物件を選ぶ時点で、諸費用の大半は決まっています

新築マンションは売主(不動産会社)から直接買うため、仲介手数料がかかりません。

中古住宅は仲介会社を通すのが一般的なので、必ずかかります。

建売住宅は、売主直販の場合と仲介の場合があります。広告に「取引態様:売主」とあれば仲介手数料は不要です。

一方、ローンの事務手数料は金融機関を選ぶ段階で決まります

定率型(借入額の2.2%)と定額型(3〜5万円)があり、借入額が大きいほど差が開きます。

金利だけで金融機関を選ぶと、この差を見落とすことになります。

FP伊藤

諸費用のご相談では、まず「取引態様」を確認します。
物件広告の隅に小さく書かれている項目ですが、ここに「売主」とあれば仲介手数料はかかりません。
3,000万円なら106万円の違いです。
同じような物件で迷っているなら、この点も比較材料に入れてみてください。

諸費用の内訳と物件価格別の目安

3,000万円の物件を購入する場合の内訳です。

費用の項目仲介あり・定率型売主直販・定額型内容
仲介手数料105.6万円0円物件価格×3%+6万円+消費税(上限)
ローン事務手数料66.0万円5.0万円定率2.2% または定額
登記費用40.0万円45.0万円登録免許税+司法書士報酬
火災保険・地震保険30.0万円30.0万円10年分の目安
印紙税3.0万円3.0万円売買契約書・ローン契約書
不動産取得税0〜10万円0〜10万円軽減措置でゼロになることも
固定資産税の精算金10.0万円10.0万円引き渡し日以降の日割り分
合計約255万円約93万円

※ 一般的な水準をもとにした試算です。登記費用は物件の評価額により変わります。火災保険は補償内容・築年数・地域で大きく異なります。

物件価格別の目安

物件価格仲介あり・定率型売主直販・定額型
2,000万円約200万円約87万円113万円
3,000万円約255万円約93万円162万円
4,000万円約310万円約99万円211万円
5,000万円約365万円約105万円260万円

※ 同上の条件による試算です。物件価格が上がるほど、仲介手数料と定率型手数料の負担が増えます。

⚠️

物件価格が高いほど、選択の差は大きくなります。
5,000万円の物件なら、その差は260万円。頭金1年分に相当する金額です。

いつ・いくら現金が必要か

諸費用で最も注意したいのが、支払いのタイミングです。

住宅ローンが実行される「前」に、現金で払うお金があります。

① 売買契約のとき|ローンでは賄えない現金が必要
手付金(物件価格の5〜10%)、印紙税、仲介手数料の半金(会社による)。手付金は最終的に購入代金に充当されますが、この時点では現金で立て替える必要があります。3,000万円の物件なら150万〜300万円です。
② 住宅ローンの契約時|印紙税など
金銭消費貸借契約を結びます。印紙税がかかります。この段階では大きな支出はありません。
③ 引き渡しのとき|残りの諸費用をまとめて
登記費用、ローン事務手数料、火災保険料、固定資産税の精算金、仲介手数料の残金。ローンの実行と同じ日に決済することが多く、借りたお金から支払える項目もあります。
④ 入居後|忘れた頃に来る請求
不動産取得税の納税通知が数ヶ月後に届きます。翌年からは固定資産税も始まります。「もう終わった」と思っていると慌てるので、備えておきましょう。

手付金はローンに組み込めません

売買契約はローンの実行より前に行われるためです。

3,000万円の物件なら、150万〜300万円を契約の時点で用意する必要があります。

「頭金なしで買える」という話でも、この現金だけは避けられません。

諸費用の「外」にかかるお金

諸費用のリストに入っていない出費があります。

これが資金計画を狂わせる原因になります。

項目金額の目安備考
引越し費用15万〜25万円3〜4人家族。3〜4月の繁忙期は1.5〜2倍になることも
家具・家電の買い替え50万〜100万円新居に合わせて買い替えるケースが多い
カーテン・照明15万〜30万円建売・注文住宅では付いていないことが多い
エアコン30万〜45万円3台分の目安(本体+工事)
外構工事100万〜300万円戸建てで本体価格に含まれていない場合
修繕積立基金20万〜80万円新築マンションで入居時に一括負担

※ 一般的な目安です。実際の金額は物件・世帯人数・地域により大きく異なります。

これらを合わせると、100万〜500万円になることもあります。

特に戸建ての外構工事は、本体価格に含まれているかどうかを契約前に必ず確認してください。

  • 「諸費用は250万円」と聞いて、それだけ用意していた
  • 引越しと家具家電で100万円かかり、貯金がほぼ空になった
  • 外構が別途と知らず、契約後に150万円の追加が判明した
  • 不動産取得税の通知が半年後に届き、慌てて工面した

こうした事態を避けるために、資金計画は「物件価格+諸費用+入居関連費」の3点セットで考えてください。

諸費用を抑える5つのコツ

1
ローン事務手数料のタイプを比較する
定率型(借入額の2.2%)と定額型(3〜5万円)で、3,000万円なら61万円の差が出ます。金利が0.05%低くても、手数料の差で逆転することがあります。手数料込みの総額で比べてください。
2
火災保険は複数社で見積もる
補償内容と保険会社によって保険料は大きく変わります。不動産会社に勧められたプランをそのまま契約せず、必要な補償を選んで比較するだけで数万円変わります。水災を付けるかどうかは、ハザードマップと合わせて判断しましょう。
3
税金の軽減措置を確認する
一定の要件を満たす住宅は、不動産取得税・登録免許税に軽減措置があります。適用されればゼロになることもあります。適用漏れがないか、税務署や都道府県税事務所で確認してください。
4
引越しは繁忙期を避ける
3〜4月は同じ条件でも料金が1.5〜2倍になります。時期を選べるなら、繁忙期を外すだけで数万円の節約になります。
5
仲介手数料は「上限」だと知っておく
「3%+6万円+消費税」は法律上の上限で、必ずこの額というわけではありません。手数料の割引をうたう不動産会社もあります。ただしサービスの質とのバランスで判断してください。

諸費用もローンに組み込めるのか

現金が足りない場合、諸費用をローンに組み込める金融機関もあります。

ただし、次の点に注意が必要です。

  • 借入額が増える分、毎月の返済と利息の総額が増える
  • 審査が厳しくなる傾向がある
  • 手付金など契約時の現金は組み込めない
  • 売却時に、ローン残高が物件の価値を上回りやすくなる

原則は「諸費用は現金で」と考え、組み込みは補助的な手段と位置づけるのが健全です。

FP伊藤

ご相談でお伝えしているのは、購入に必要な現金の目安です。
3,000万円の物件なら、諸費用に加えて入居費と生活防衛資金。
合わせて450万〜550万円あれば、余裕をもって進められます。
頭金はその上でさらに余裕があれば、という順番です。
手元を空にしてまで頭金を入れる必要はありません。

住宅ローンの全体像を先に押さえたい方は、こちらをご覧ください

火災保険の見直しについては、こちらで詳しく解説しています

購入にかかるお金の全体像は、こちらで整理しています。

まとめ|諸費用は選び方で2.7倍変わる

この記事のまとめ
1 同じ3,000万円の物件でも、諸費用は93万円〜255万円と2.7倍の開きがある
2 差を決めるのは「仲介手数料の有無」と「ローン事務手数料のタイプ」の2つ
3 物件広告の「取引態様:売主」なら仲介手数料は不要(約106万円の差)
4 契約時の手付金はローンで賄えない。150万〜300万円を現金で立て替える
5 諸費用のほかに、引越し・家具家電・外構などで100万〜500万円
6 資金計画は「物件価格+諸費用+入居関連費」の3点セットで考える

諸費用は「物件価格のおまけ」ではなく、数百万円規模の支出です。

そして選び方で大きく変わる費用でもあります。

全体像と支払いのタイミングを知っておけば、直前になって慌てることはありません。

結局いくら用意すればいいのか、確認しませんか

伊藤FPオフィスでは、諸費用と入居関連費まで含めた「本当に必要な資金の総額」を試算しています。

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よくある質問

気になる質問をタップすると、回答が開きます。

Q. 諸費用は値引きできますか?

項目によります。税金(印紙税・登録免許税・不動産取得税)は値引きできません。一方、仲介手数料・ローン事務手数料・火災保険料は、比較や交渉で抑えられる余地があります。特にローンの事務手数料と火災保険は、比較の効果が大きい項目です。

Q. 手付金は諸費用に含まれますか?

含まれません。手付金は最終的に購入代金に充当されるお金です。ただし売買契約の時点で現金で支払う必要があり、住宅ローンでは賄えません。3,000万円の物件なら150万〜300万円を、諸費用とは別に用意しておく必要があります。

Q. 貯金はいくらあれば購入に踏み切れますか?

目安は「諸費用+入居関連費+生活防衛資金(生活費6ヶ月分)」です。3,000万円の物件なら、諸費用250万円+入居費50万〜100万円+生活防衛資金150万〜200万円で、450万〜550万円程度が安心のラインになります。頭金はその上で余裕があれば検討しましょう。

Q. 仲介手数料がかからない物件はありますか?

あります。売主である不動産会社から直接購入する場合は不要です。新築マンションの多くと、一部の建売住宅が該当します。物件広告の「取引態様」の欄に「売主」と書かれていれば、仲介手数料はかかりません。「仲介」「媒介」とあればかかります。

Q. 新築マンションの「修繕積立基金」とは何ですか?

新築マンションの入居時に一括で支払う、修繕積立金の頭金のようなお金です。20万〜80万円程度が目安になります。毎月の修繕積立金とは別にかかる初期費用なので、販売資料で金額を確認しておきましょう。

Q. 諸費用ローンを使うと審査に影響しますか?

借入額が増える分、返済負担率が上がるため審査は厳しくなる傾向があります。また売却時にローン残高が物件価値を上回りやすくなります。諸費用まで借りないと買えない状況なら、「今は買いどきではない」というサインと捉えて、まず諸費用分の貯蓄から始めるほうが安全です。

この記事の監修者

伊藤貴徳(伊藤FPオフィス代表)
伊藤 貴徳(いとう たかのり)
伊藤FPオフィス代表/CFP®・1級FP技能士・宅地建物取引士

証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。金融商品の販売を行わない中立な立場で、住宅購入・保険見直し・ライフプラン設計の相談を行っています。資金計画のご相談では、物件価格だけでなく「いつ・いくら現金が必要か」まで整理してお伝えしています。

保有資格:CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/トータル・ライフコンサルタント(生命保険協会認定)/宅地建物取引士/証券外務員一種
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応
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本記事の金額はすべて一般的な目安・試算です。物件価格3,000万円・借入3,000万円として計算しており、実際の金額は物件・金融機関・地域・保険内容により大きく異なります。登記費用は物件の評価額、火災保険料は補償内容や築年数によって変わります。仲介手数料の「3%+6万円+消費税」は法律上の上限額です。不動産取得税・登録免許税の軽減措置の適用可否は、税務署または都道府県税事務所でご確認ください。個別のご相談については、伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。

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