住宅ローンと教育費が重なるときの家計管理術

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「住宅ローンを返しながら、子どもの教育費もかかってきて、家計がきつい…」

住宅ローンと教育費は、人生の3大支出のうちの2つです。

しかもこの2つは、同じ時期に重なりやすいという厄介な性質があります。

いつ、いくら重なるのか。まず数字で把握しましょう。

この記事の結論
  1. 山場は親が53〜56歳のころ(子ども2人・3歳差の場合)
  2. そのピーク年は、住宅ローンと教育費で月26.8万〜31.8万円が必要になります
  3. 世帯年収600万円だと、残るお金は月12.2万円。私立高校なら7.2万円
  4. 山場の時期と金額が分かっていれば、10年前から準備できます

この記事では、教育費のピークを特定する方法と、乗り切るための家計管理術を解説します。

こんな方に読んでほしい記事です

  • 住宅ローン返済中で、これから教育費が本格化する
  • 子どもの進学ラッシュで家計が苦しくなってきた
  • 教育費とローンを両立できる家計管理のコツを知りたい
  • これから住宅購入する予定で、教育費との両立が不安

✍️ この記事の監修者

伊藤FPオフィス代表 伊藤貴徳

代表・監修者

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス 代表

CFP®認定者 1級FP技能士 宅地建物取引士 証券外務員1種

千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。

🏢 伊藤FPオフィス(千葉県・オンライン対応) プロフィール詳細を見る →
目次

教育費は実際いくらかかるのか

まず、敵の大きさを知りましょう。

文部科学省の調査によると、幼稚園から高校卒業までの15年間でかかる学習費は次のとおりです。

すべて公立
幼稚園〜高校の15年間
596 万円
VS
すべて私立
幼稚園〜高校の15年間
1,976 万円

その差、約1,380万円(子ども1人あたり)

出所:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」。幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間の推計値です。学校外の習い事・塾の費用を含みます。

同じ調査では、公立高校の学習費が年間59万7,752円と、前回調査から8万4,781円増えています。

教育費は年々上がっているという点も、計画を立てるうえで押さえておきたい事実です。

大学費用を足した総額

ここに大学の費用が加わります。

進路のパターン高校まで(15年)大学(4年)合計
すべて公立+国公立大596万円約250万円約846万円
すべて公立+私立文系596万円約400万円約996万円
高校から私立+私立文系約800万円約400万円約1,200万円
すべて私立+私立文系1,976万円約400万円約2,376万円
すべて私立+私立理系1,976万円約550万円約2,526万円

※ 高校までは文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」、大学費用は日本政策金融公庫の調査などをもとにした目安です。下宿の場合は、さらに仕送りが必要になります。

子ども1人あたり、846万円から2,526万円

進路によって3倍の開きがあります。

わが家の山場はいつ来るか

教育費は、均等にかかるわけではありません。

特定の数年に集中します。

35歳で第1子、38歳で第2子が生まれたご家庭の例で見てみましょう。

親35〜47歳|子どもは小学生まで 【貯めどき】
教育費は比較的軽い時期です。この期間に、いかに貯められるかで山場の乗り切り方が決まります。児童手当を手をつけずに貯めるだけでも、大きな備えになります。
親48〜52歳|中学・高校 【増加期】
塾・部活・受験費用で支出が増え始めます。第1子が高校に入ると、年間60万円前後(公立)が固定費として乗ります。
親53〜56歳|大学と高校が重なる 【山場】
第1子が大学、第2子が高校。ここが最も苦しい時期です。入学金と授業料が重なる年は、年間200万円を超えることもあります。
親56〜57歳|2人とも大学 【第2の山】
重なり方によっては、2人同時に大学という年も発生します。この年を事前に特定しておくことが、準備の第一歩です。
親58歳〜|独立 【老後資金のラストスパート】
教育費が終わった分を、そのまま老後資金に振り向けられる時期です。生活水準を上げずに積立に回せるかが分かれ目になります。

自分のピーク年を計算してみてください

「第1子が18歳になる年 = 自分は何歳か」を出すだけです。

その年から4年間が、教育費の山場になります。

第2子がいる場合は、その4年間に第2子が何歳かも確認しましょう。

⚠️

最も警戒すべきは「進学が重なる年」です。
入学金と授業料が同じ年に重なると、単年で200万円を超えることがあります。

【核心】ピーク年に月いくら必要か

山場の年に、実際どれくらいのお金が必要になるのでしょうか。

第1子が私立大学1年、第2子が高校1年という年で計算します。

費目第2子が公立高校の場合第2子が私立高校の場合
第1子の大学費用(入学金+授業料)約130万円約130万円
第2子の高校費用約60万円約120万円
教育費の合計(年)約190万円約250万円
月あたり約15.8万円約20.8万円

※ 私立大学文系の初年度納付金、高校の学習費をもとにした目安です。学部・学校により大きく異なります。

ここに住宅ローンが加わります。

借入3,000万円(毎月8.47万円)+維持費2.5万円=住居費10.97万円とすると、こうなります。

ピーク年の手取りに占める「住居費+教育費」(第2子が公立高校の場合)
世帯年収600万円(手取り39.0万円) (残り12.2万円)
69%
世帯年収700万円(手取り45.5万円) (残り18.7万円)
59%
世帯年収800万円(手取り52.0万円) (残り25.2万円)
52%

※ 住居費10.97万円+教育費15.8万円=月26.8万円として計算した試算です。手取りは額面年収の約78%として概算しています。

世帯年収600万円のご家庭では、住居費と教育費だけで手取りの69%

残るのは月12.2万円です。

ここから食費・光熱費・通信費・保険料・車の費用をすべてまかなうことになります。

⚠️

第2子が私立高校の場合、残るお金は月7.2万円まで落ちます。
この時期に貯蓄を続けるのは、現実的にかなり難しくなります。

だからこそ、山場が来る前の10年間で備えておくことが決定的に重要になります。

FP伊藤

この試算をお見せすると、多くの方が驚かれます。
住宅ローンの返済額だけを見ていると、教育費と重なったときの姿が想像しにくいんですね。
ただ、悲観する必要はありません。
この時期が来るのは10年以上先で、しかもいつ来るかが正確に分かっているのです。
分かっている支出には、必ず準備ができます。

重なる時期を乗り切る5つの管理術

優先度の高い順にご紹介します。

1
「貯めどき」に教育費を先取りする
子どもが小学生までの期間が最大の貯めどきです。児童手当(3歳未満は月1.5万円、その後は月1万円)を全額貯蓄に回すだけで、高校卒業までに約234万円を確保できます。国公立大学の費用(約250万円)にほぼ届く金額です。
2
固定費から見直す
食費を削るより、固定費の見直しのほうが効果が続きます。優先順位は、①住宅ローンの借り換え・金利引き下げ交渉、②保険の重複整理(団信と生命保険の重複はよくあります)、③通信費・サブスクの整理。月2〜3万円下がれば、年間30万円前後の教育費の原資になります。
3
繰り上げ返済は教育費のピーク前に判断する
余裕資金があると繰り上げ返済したくなりますが、教育費の直前に手元資金を減らすのは危険です。「大学費用の見通しが立ってから繰り上げ返済」の順番が安全です。迷ったら手元資金の確保を優先してください。
4
ボーナスの使い道を先に決める
ボーナスを生活費の補填に使う家計は、山場で行き詰まりやすくなります。「ボーナスの50%は教育費と老後資金の積立」など、比率を先に決めておくと貯蓄ペースが安定します。
5
使える制度を確認する
高等学校等就学支援金、大学の給付型奨学金や授業料の減免、自治体の助成など、使える制度は年々変わっています。進学の1〜2年前には最新の内容を確認しましょう。

児童手当だけで土台ができます

3歳未満は月1.5万円、その後高校卒業まで月1万円。合計で約234万円です。

これは国公立大学の4年間の費用(約250万円)にほぼ相当します。

「大学費用の土台は児童手当、上乗せは月々の積立」という2階建てで考えると設計しやすくなります。

※ 第3子以降は月3万円に増額されています。金額・支給要件は制度改正で変わるため、最新の内容をご確認ください。

すでに苦しいときの対処法

すでに山場の中にいて家計が苦しい場合は、順番が大切です。

STEP
固定費を総点検する

保険・通信・サブスク・車関係から見直します。特に団信に加入していれば、生命保険の死亡保障は減らせる可能性があります。

STEP
金融機関に返済条件の相談をする

返済期間の延長などで、毎月の負担を下げられる場合があります。滞納する前に相談することが鉄則です。

STEP
奨学金・教育ローンを比較する

金利の低い順に検討します。給付型奨学金 → 貸与型奨学金 → 国の教育ローン → 民間の教育ローン、という順番です。

STEP
働き方を見直す

扶養の範囲内から外に出る、勤務時間を増やすなど、収入を増やす選択肢も検討します。

⚠️

最も大切なのは、滞納する前に動くことです。
住宅ローンの滞納は信用情報に記録され、借り換えなどの選択肢が一気に狭まります。

「苦しくなりそう」と感じた段階で、金融機関やFPに相談してください。

早い段階なら、打てる手は多く残っています。

これから購入する方へ

この記事を購入前に読んでいる方は、とても有利な位置にいます。

住宅ローンと教育費の衝突は、購入前の計画でほぼ防げるからです。

  • 「今の家計」ではなく「教育費ピーク時の家計」で借入額を決める
  • ローン返済+維持費を手取りの25〜30%以内に抑える
  • 児童手当の先取り貯蓄を、購入と同時に始める
  • キャッシュフロー表で「50歳前後の貯蓄残高」を確認してから契約する

特に最後の項目が効きます。

キャッシュフロー表を作れば、教育費ピーク時に貯蓄が底をつかないかが事前に分かります。

学資保険という商品そのものについては、こちらで解説しています

人生全体のお金の流れを整理する方法は、こちらでまとめています。

まとめ|分かっている支出には準備できる

この記事のまとめ
1 幼稚園〜高校の15年間で、すべて公立なら596万円、すべて私立なら1,976万円
2 大学まで含めると、子ども1人あたり846万〜2,526万円
3 山場は親が53〜56歳のころ(子ども2人・3歳差の場合)
4 ピーク年は住居費と教育費で月26.8万〜31.8万円が必要
5 世帯年収600万円だと、残るお金は月12.2万円(私立高校なら7.2万円)
6 児童手当を貯めるだけで約234万円。国公立大の費用にほぼ相当する

住宅ローンと教育費の両立は、多くの家庭が通る道です。

山場の時期と金額が事前に分かっている分、早めに動けば必ず対策できます。

まずは、ご自身のピーク年が何歳のときかを計算してみてください。

わが家のピーク年を、数字で確認しませんか

「わが家の教育費ピークがいつで、いくら必要か」

伊藤FPオフィスでは、教育費との両立を最重要ポイントとしてシミュレーションしています。

16
FP業界での経験
5資格
CFP®・宅建士ほか
0
商品販売の手数料収入
マイホーム購入診断
税込29,800円 / オンライン対応
  • 現状の家計・収支の整理
  • お子さまの進路希望に合わせた教育費の見積もり
  • 教育費ピークでも無理のない借入額の試算
  • キャッシュフロー表による「50歳の貯蓄残高」の見える化
  • 保険・児童手当・制度活用を含めた家計の最適化

すでに購入済みの方の「教育費と返済の両立相談」もお受けしています。

千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。

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よくある質問

気になる質問をタップすると、回答が開きます。

Q. 教育費と繰り上げ返済、どちらを優先すべきですか?

原則は「教育費の確保が先」です。住宅ローンは低金利で長期に借りられますが、教育費は必要な時期を選べません。また教育ローンの金利は住宅ローンより高めです。大学費用の見通しが立ってから繰り上げ返済を検討する順番をお勧めします。

Q. 児童手当だけで教育費は足りますか?

児童手当の総額は約234万円(第1子・第2子の場合)で、国公立大学の費用(約250万円)にほぼ相当します。「大学費用の土台は児童手当、上乗せは月々の積立」という2階建てで考えると無理なく準備できます。私立や下宿を想定する場合は、さらに上乗せが必要です。

Q. 子ども2人の進学が重なる年が心配です

入学金と授業料が重なる年は、単年で200万円を超えることもあります。その年をキャッシュフロー表で特定し、「その年までにいくら貯めておくか」から逆算するのが確実です。重なる年が事前に分かっていれば、打ち手は十分に間に合います。

Q. 今すでに苦しいのですが、家を売るしかないですか?

売却は最後の手段です。その前に、固定費の見直し、金融機関への返済条件の相談、奨学金や支援制度の活用など、打てる手は複数あります。滞納する前の早い段階でご相談いただければ、選択肢を広く保てます。

Q. 教育費は年々上がっているのですか?

上がっています。文部科学省の令和5年度の調査では、公立高校の学習費が59万7,752円と、前回調査から8万4,781円増加しました。公立の中学・高校、私立の小・中学校で過去最高になっています。計画を立てるときは、現在の水準より多めに見込んでおくと安心です。

Q. 私立か公立かで、どれくらい違いますか?

幼稚園から高校までの15年間で、すべて公立なら596万円、すべて私立なら1,976万円。その差は約1,380万円です(文部科学省 令和5年度の調査)。進路の希望が固まっていない段階では、私立の可能性も含めて余裕をもった計画にしておくと安心です。

この記事の監修者

伊藤貴徳(伊藤FPオフィス代表)
伊藤 貴徳(いとう たかのり)
伊藤FPオフィス代表/CFP®・1級FP技能士・宅地建物取引士

証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。金融商品の販売を行わない中立な立場で、住宅購入・保険見直し・ライフプラン設計の相談を行っています。子育て世帯のご相談では、教育費のピーク年を特定してから借入額を検討しています。

保有資格:CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/トータル・ライフコンサルタント(生命保険協会認定)/宅地建物取引士/証券外務員一種
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応
本記事の注意事項・免責をみる
幼稚園から高校までの学習費は文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によるもので、学校外の習い事・塾の費用を含む推計値です。大学費用は日本政策金融公庫の調査などをもとにした目安であり、学部・学校により大きく異なります。返済額の試算は借入3,000万円・金利年1.0%・35年・元利均等返済として計算しています。手取り額は額面年収の約78%として計算した概算です。児童手当をはじめとする支援制度は内容・金額・支給要件が変更される場合があるため、最新の内容は各機関・自治体の窓口でご確認ください。個別のご相談については、伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。

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