「5,000万円の住宅ローンって、うちの年収で大丈夫?」
都内や千葉の駅近マンション・新築戸建を探すと、5,000万円クラスは珍しくありません。
この金額帯は、単独の年収では届きにくく、共働きの世帯収入で組むケースが大半です。
そこに、この価格帯ならではのリスクがあります。
- 毎月の返済は約14.1万円。維持費を足した住居費は約17.6万円
- 世帯年収800万円だと住居費は手取りの35%。余裕をもつなら世帯1,000万円以上
- 夫600万+妻500万なら手取りの25%。しかし妻の収入が途切れると45%に跳ね上がります
- この価格帯の本質的なリスクは、世帯収入への依存度の高さです
この記事では、返済額の試算と、共働きで組むときの落差を数字で確認します。
こんな方に読んでほしい記事です
- 5,000万円前後の物件購入・借入を検討している
- 共働き(ペアローン・収入合算)で組むか迷っている
- 毎月の返済額・必要な世帯年収を知りたい
- 「きつい」と後悔しないための判断基準がほしい
✍️ この記事の監修者
代表・監修者
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表
千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。
毎月いくら返すことになるのか

5,000万円を35年で借りた場合の返済額です。
| 適用金利 | 毎月の返済額 | 総返済額 | 利息の総額 |
|---|---|---|---|
| 年0.5% | 12.98万円 | 約5,451万円 | 約451万円 |
| 年1.0% | 14.11万円 | 約5,928万円 | 約928万円 |
| 年1.5% | 15.31万円 | 約6,430万円 | 約1,430万円 |
| 年2.0% | 16.56万円 | 約6,957万円 | 約1,957万円 |
※ 借入5,000万円・返済期間35年・元利均等返済で計算した試算です。実際の金利は金融機関・審査条件・時期により異なります。
借入額が大きい分、金利の影響も大きくなります。
金利が1.0%から2.0%に上がると、毎月2.45万円の増加。
35年の総額では約1,029万円の差になります。
金利変動のインパクトが大きい価格帯です
3,000万円なら金利1%の上昇で毎月1.5万円の増加でした。
5,000万円では2.45万円。同じ1%でも、影響は1.7倍です。
変動金利を選ぶなら、この増加に耐えられるかを必ず確認してください。
維持費も高くなります
5,000万円クラスの物件では、維持費も上がります。
- 固定資産税 — 年20万〜30万円程度(軽減措置の適用状況による)
- マンションの管理費・修繕積立金 — 月2万〜3万円程度
- 戸建ての修繕積立(自主積立) — 月2万円程度
合計すると月3.5万円前後が目安です。
つまり実際の住居費は、返済14.11万円+維持費3.5万円=約17.6万円になります。
世帯年収別・手取りで見た余裕度

額面の返済負担率と、手取りベースの住居費割合を並べてみます。
| 世帯年収(額面) | 額面の返済負担率 | 手取りの月収 | 住居費17.6万円の割合 | 残るお金 |
|---|---|---|---|---|
| 800万円 | 21.2% | 約50.0万円 | 35% | 32.4万円 |
| 900万円 | 18.8% | 約56.2万円 | 31% | 38.6万円 |
| 1,000万円 | 16.9% | 約62.5万円 | 28% | 44.9万円 |
| 1,200万円 | 14.1% | 約75.0万円 | 23% | 57.4万円 |
| 1,400万円 | 12.1% | 約87.5万円 | 20% | 69.9万円 |
※ 手取りは額面年収の約75%として計算した概算です(高所得帯は税・社会保険料の負担率が上がるため、他記事の78%より低く見積もっています)。住居費は返済14.11万円+維持費3.5万円で計算しています。
額面の返済負担率で見ると、世帯年収800万円でも21.2%で目安内に見えます。
しかし手取りで見ると、住居費は35%を占めます。
住居費が手取りの3割を超えると、教育費や老後資金の積立が圧迫されます。
余裕をもって返すなら、世帯年収1,000万円以上が現実的なラインです。
この水準で、住居費が手取りの28%に収まります。
単独年収で借りる場合
| 基準 | 必要な額面年収 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 返済負担率35%以内 | 484万円以上 | 審査は通る可能性があるが、家計は成立しない |
| 返済負担率25%以内 | 677万円以上 | 額面で見た最低ライン |
| 返済負担率20%以内 | 847万円以上 | 額面で見た推奨ライン |
| 手取りの25〜30%以内 | 1,000万円以上 | 実際に余裕をもてるライン |
※ 借入5,000万円・金利年1.0%・35年で計算した試算です。
単独年収1,000万円に届く方は限られます。
だからこそ、この価格帯では共働きの世帯収入で組むことになるのです。
【核心】片方の収入が抜けたときの落差

ここが、5,000万円クラスで最も重要な論点です。
夫の年収600万円、妻の年収500万円、世帯1,100万円のご家庭で見てみます。
住居費は手取りの
25 %
残り52.1万円
住居費は手取りの
45 %
残り21.4万円
同じ住居費でも、割合は25%から45%へ跳ね上がります
※ 夫の年収600万円・妻の年収500万円として計算した試算です。手取りは額面の約76〜78%として概算しています。
2人で働いている間は、住居費は手取りの25%。
まったく問題のない水準です。
ところが妻の収入が途切れると、同じ17.6万円が手取りの45%を占めることになります。
残るのは月21.4万円。ここから食費・光熱費・教育費をすべてまかなうことになります。
収入が減る期間は必ず来ます
産休・育休を取得した場合の推移を見てみましょう。
※ 育児休業給付金は休業開始から180日は67%、その後50%として計算した試算です。給付金には上限額があり、非課税で社会保険料も免除されるため、実際の手取りへの影響は上記より小さくなります。
育休の期間なら、住居費は手取りの29〜32%。
苦しくはありますが、乗り切れる範囲です。
問題は、時短勤務が長く続いた場合や、退職を選んだ場合です。
「ずっと2人フルタイム」は前提にできません
35年の返済期間中には、いろいろなことが起こります。
出産、育児、親の介護、体調の変化、転職、会社の業績。
どちらか一方の収入が減る可能性は、決して低くありません。
その状態でも家計が回るかを、借りる前に確認しておく必要があります。
FP伊藤5,000万円クラスのご相談で、必ずお見せするのがこの比較です。
世帯年収1,100万円なら、住居費の割合は25%。数字の上では余裕があります。
けれども、その25%は「2人とも働き続ける」という条件つきの数字なんですね。
片方が抜けた瞬間に45%になる。この落差が、この価格帯の本当のリスクです。
だから私は、主たる収入だけでも成立する借入額かどうかを必ず確認します。
共働きで組むときの4つのリスク
5,000万円クラスでは、ペアローンや収入合算で組むケースが大半です。
借入額を増やせて住宅ローン控除も活用しやすい一方、知っておくべきリスクがあります。
- 産休・育休で世帯収入が下がる — 収入が減っても返済額は変わらない
- 時短勤務・転職・退職の可能性 — 「ずっと2人フルタイム」の前提は崩れることがある
- 離婚時の整理が複雑 — ペアローンは互いに連帯保証が残り、片方だけ抜けられない
- 団信は各自の借入分にしか効かない — 一方に万が一があっても、もう一方のローンは残る
住宅ローン控除の枠にも注意
見落とされやすい点があります。
住宅ローン控除には、住宅の性能に応じた借入限度額が設定されています。
借入が5,000万円でも、限度額を超えた部分は控除の対象になりません。
ペアローンで2人分の枠を使えば対象にしやすくなりますが、それでも上限があります。
※ 借入限度額・控除率・控除期間は税制改正で変わります。適用の可否は国税庁のサイトまたは税務署でご確認ください。
安全に組むための考え方
借入額を決めるときは、次の2つを両方満たすかで判断します。
- 世帯の手取りの25〜30%以内 — 平常時に無理がない水準
- 主たる収入だけになっても、生活と返済が回る — 収入が減る期間も破綻しない水準
2つ目を満たせない場合は、次のいずれかの備えが必要です。
- 借入額そのものを下げる(物件価格の見直し・頭金の追加)
- 収入が減る期間をまかなえる貯蓄を、購入前に用意しておく
- 一方の借入額を控えめにして、配分を調整する
きつくならないための対策


わが家は大丈夫か、判定してみる
年収から借入額の目安を引ける早見表はこちらです


借入額を決める前に、住宅購入全体の流れも確認しておくと判断しやすくなります。


まとめ|世帯収入への依存度を確認する


5,000万円の住宅ローンは、世帯年収1,000万円以上なら現実的な選択肢です。
ただしその数字は、2人とも働き続けることが前提になっています。
前提が崩れたときにどうなるかを、借りる前に確認しておいてください。
収入が減る期間まで含めて、確認しませんか
「わが家の世帯年収で5,000万円は無理がないのか」
この答えは、ご家庭ごとのシミュレーションでしか出せません。
伊藤FPオフィスでは、片方の収入が抜けた状態まで含めて試算しています。
- 現状の家計・収支の整理
- 世帯年収と家計にもとづく「無理なく返せる借入額」の試算
- ペアローン・収入合算・単独の組み方比較
- 産休・育休・収入減・金利上昇シナリオのシミュレーション
- 団信と既存保険の重複チェック
ご夫婦そろってのご参加を推奨しています。
千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。
よくある質問
気になる質問をタップすると、回答が開きます。
Q. 世帯年収800万円(夫500万+妻300万)で5,000万円は大丈夫ですか?
額面の返済負担率は約21.2%で目安内に見えますが、手取りで見ると住居費が35%を占めます。さらに妻の収入が途切れると、夫の手取りだけでは住居費が45%を超える計算になります。借入額を下げるか、収入が減る期間分の貯蓄を用意してから検討することをお勧めします。
Q. ペアローンと収入合算、どちらがいいですか?
ペアローンは2人とも住宅ローン控除を使える一方、諸費用が2本分かかり、離婚時の整理も複雑になります。収入合算(連帯保証型)は手続きがシンプルですが、控除も団信も主債務者のみです。収入バランス・産休の予定・リスクの許容度で選ぶため、個別に試算して比べることをお勧めします。
Q. 頭金はいくら入れるべきですか?
頭金500万円で借入4,500万円にすると、毎月の返済は約1.41万円軽くなります。ただし生活防衛資金(生活費6ヶ月分)と教育費の準備資金は必ず手元に残してください。5,000万円クラスは諸費用も250万〜500万円かかるため、「残すお金」を先に決めてから頭金を決める順番が安全です。
Q. 金利が上がったらどれくらい負担が増えますか?
5,000万円・35年の場合、金利1.0%から2.0%で毎月14.11万円から16.56万円へ、約2.45万円増えます。3.0%まで上がると約5万円の増加です。借入額が大きいほど影響も大きくなるため、変動金利を選ぶなら耐えられるかの確認が欠かせません。
Q. 住宅ローン控除は5,000万円全額が対象になりますか?
なりません。住宅ローン控除には住宅の性能に応じた借入限度額があり、それを超えた部分は対象外です。ペアローンで2人分の枠を使えば対象にしやすくなりますが、それでも上限があります。限度額は税制改正で変わるため、国税庁のサイトまたは税務署でご確認ください。
Q. 5,000万円と4,500万円で迷っています
毎月の返済の差は約1.41万円、35年の総額では約593万円です(金利年1.0%の試算)。その差額で得られる立地や広さの価値と、家計の余裕を比べてください。特に5,000万円クラスでは、片方の収入が抜けたときに耐えられるかどうかが判断の分かれ目になります。
この記事の監修者


証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。金融商品の販売を行わない中立な立場で、住宅購入・保険見直し・ライフプラン設計の相談を行っています。共働きご夫婦の借入額は、片方の収入が抜けた状態まで試算してからご提案しています。
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