「貯金が500万円たまった。この金額で家は買えるのだろうか」
結論からお伝えすると、十分に買えます。
千葉県で建売住宅を買った人の手元資金は、平均367万円です。
中古戸建なら247万円、中古マンションなら450万円。
貯金500万円は、これらの平均をすべて上回っています。
大切なのは金額ではなく、その500万円をどう配分するかです。
- 貯金500万円は、千葉県で建売・中古を買う人の平均を上回っています
- 配分の順番は「諸費用 → 引っ越し → 残すお金 → 最後に頭金」
- 分かれ目は物件価格ではなく新築か中古かです(仲介手数料の差)
- 新築なら4,500万円でも頭金が残り、中古は3,500万円で足りなくなります
こんな方に読んでほしい記事です
- 貯金500万円前後で住宅購入を考え始めた
- 頭金と諸費用にいくら使っていいか知りたい
- みんなが手元資金をいくら入れているか知りたい
- 新築と中古で迷っている
✍️ この記事の監修者
代表・監修者
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表
千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
家計全体の視点から、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。
【実データ】みんないくら手元資金を入れているか

まず「実際のところ、みんないくら入れているのか」を確認します。
住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」のデータです。
| 住宅の種類(全国) | 所要資金額 | 手持金 | 手持金の割合 |
|---|---|---|---|
| 注文住宅 | 4,262万円 | 840万円 | 19.7% |
| 土地付注文住宅 | 5,313万円 | 481万円 | 9.1% |
| 建売住宅 | 4,215万円 | 429万円 | 10.2% |
| 新築マンション | 5,882万円 | 1,379万円 | 23.5% |
| 中古戸建 | 2,782万円 | 261万円 | 9.4% |
| 中古マンション | 3,602万円 | 591万円 | 16.4% |
※ 出典:住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」。「手持金」は購入資金のうち借入以外の自己資金です。
戸建てでは、手持金は物件価格の1割前後が実態です。
既存の記事などでよく見る「2割は必要」という話とは、かなり違います。
千葉県ならもっと現実的な数字です
同じ調査から、千葉県のデータを抜き出しました。
貯金500万円と比べてみます。
※ 千葉県の手持金の平均額。出典:住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」
貯金500万円は、千葉県で家を買う人としては十分な水準です。
届かないのは新築マンションだけでした。
FP伊藤ご相談で「500万円しかないので、まだ早いでしょうか」と聞かれることがあります。
実際のデータを見ると、むしろ平均より多いくらいです。
問題は金額ではなく、その使い方にあります。
500万円を全部頭金に入れてしまうと、諸費用が払えず購入自体ができません。
配分の順番を知っておくことが、いちばん大切です。
500万円の配分は、順番を間違えないこと


住宅購入にかかるお金は、大きく3つに分かれます。
- 諸費用 — 登記費用・ローン事務手数料・火災保険など。現金払いが基本です
- 引っ越し・家具家電 — カーテンや照明、エアコンの増設なども含みます
- 頭金 — 物件価格のうち現金で払う部分。借入額を減らせます
そして、これらとは別に「使わずに残すお金」が必要です。
配分の順番は、次のとおりです。
500万円を全額頭金に入れることはできません。
頭金に全額使うと、諸費用も引っ越し代も払えなくなります。住宅ローンは物件の引き渡し時に実行されるため、それまでの支払いはすべて手元の現金でまかなう必要があります。「頭金は最後に考える」が、実務上の正しい順番です。
3,500万円の新築物件で配分してみます
登記費用35万・ローン事務手数料77万・印紙税4万・火災保険20万・不動産取得税5万
生活費30万円×6ヶ月分。手をつけません
残ったのはこれだけ。それでも十分に購入できます
※ ローン事務手数料を借入額の2.2%(定率型)として計算した目安です。金融機関によっては定額型(3万〜5万円程度)のところもあります。
【物件価格別】500万円でどこまで買えるか


物件価格を変えて、同じ計算をしました。
結果は、予想と少し違いました。
| 物件価格 | 新築の場合 | 中古の場合 |
|---|---|---|
| 2,500万円 | 諸費用119万円 → 頭金131万円 | 諸費用208万円 → 頭金42万円 |
| 3,000万円 | 諸費用130万円 → 頭金120万円 | 諸費用236万円 → 頭金14万円 |
| 3,500万円 | 諸費用141万円 → 頭金109万円 | 諸費用263万円 → 13万円の不足 |
| 4,000万円 | 諸費用157万円 → 頭金93万円 | 諸費用296万円 → 46万円の不足 |
| 4,500万円 | 諸費用168万円 → 頭金82万円 | 諸費用323万円 → 73万円の不足 |
※ 引っ越し・家具家電70万円と生活防衛資金180万円を確保したうえで残る金額です。「不足」は、生活防衛資金180万円を削らないと購入できない状態を指します。
分かれ目は、物件価格ではありませんでした。
新築か中古かのほうが、はるかに大きく効いています。
新築なら4,500万円でも82万円の頭金が残ります。
一方、中古は3,500万円で足りなくなりました。
理由は仲介手数料です
中古物件は、不動産会社を通して買うのが一般的です。
このとき仲介手数料(物件価格の3%+6万円に消費税)がかかります。
| 物件価格 | 仲介手数料(中古の場合) |
|---|---|
| 2,500万円 | 約89万円 |
| 3,000万円 | 約106万円 |
| 3,500万円 | 約122万円 |
| 4,000万円 | 約139万円 |
| 4,500万円 | 約155万円 |
※ 上限額(物件価格の3%+6万円に消費税)で計算した目安です。売主が直接販売している物件では、仲介手数料はかかりません。
「中古のほうが安い」と考えている方は、この差を計算に入れてください。
同じ3,500万円の物件でも、新築なら諸費用141万円、中古なら263万円。
その差は122万円です。
もちろん、中古には物件価格そのものが安いという大きな利点があります。
千葉県の中古戸建の平均所要資金は2,735万円、建売住宅は4,180万円ですから、その差は1,445万円です。
諸費用の差122万円を考えても、中古のほうが総額は抑えられます。
大切なのは、契約時に必要な現金を見誤らないことです。
頭金に回せる額と、その効果


残った100万円前後を頭金に入れると、どのくらい効果があるのでしょうか。
3,500万円を金利1.0%・35年で借りる場合で計算しました。
| 頭金 | 借入額 | 毎月の返済額 | 35年間の利息の軽減額 |
|---|---|---|---|
| 0円 | 3,500万円 | 98,800円 | — |
| 50万円 | 3,450万円 | 97,389円 | 59.3万円 |
| 100万円 | 3,400万円 | 95,977円 | 118.6万円 |
| 150万円 | 3,350万円 | 94,566円 | 177.8万円 |
| 200万円 | 3,300万円 | 93,154円 | 237.1万円 |
※ 変動金利1.0%・35年・元利均等返済での試算です。
100万円の頭金で、35年間の利息が118.6万円減ります。
入れた金額以上の効果が出る計算です。
頭金の効果は、決して小さくありません。
それでも、順番は変えないでください。
生活防衛資金を削って頭金を200万円に増やせば、利息は237万円減ります。
しかし、その代わりに手元の現金がなくなります。
病気で3ヶ月働けなくなったら。
会社の業績が悪化してボーナスが出なかったら。
そのときに使えるお金がないと、せっかく減らしたローンを返せなくなります。
住宅ローンは、あとから繰り上げ返済(ローンを早めに返すこと)で減らせます。
一度払った頭金は、二度と戻せません。
「先に減らす」より「いつでも減らせる状態を保つ」ほうが安全です。
購入後に必要になるお金も忘れずに
購入したあとも、ローン返済以外の出費が続きます。
| 購入後にかかる費用(月あたり) | マンション | 戸建て |
|---|---|---|
| 管理費 | 約11,500円 | — |
| 修繕積立金 | 約13,100円 | 約16,700円(自分で積み立てます) |
| 固定資産税・都市計画税 | 約10,000円 | 約10,000円 |
| 火災保険・地震保険 | 約1,700円 | 約2,500円 |
| 合計 | 約36,200円 | 約29,200円 |
※ 管理費・修繕積立金は国土交通省「令和5年度マンション総合調査」の月額平均です。戸建ての修繕費は30年で600万円かかると仮定した目安です。固定資産税は物件の評価額によって大きく異なります。
戸建ての場合、修繕費は自分で積み立てる必要があります。
マンションのように自動で徴収されないため、意識して別口座に貯めておかないと、10〜15年後の外壁・屋根の修繕で数百万円が必要になったときに困ります。
足りないと感じたときの3つの対処法


「希望の物件だと500万円では足りない」という場合の選択肢です。
父母や祖父母から住宅取得のための資金をもらう場合、一定額まで贈与税が非課税になる制度があります。
| 住宅の種類 | 非課税の限度額 |
|---|---|
| 省エネ等住宅(耐震・省エネ・バリアフリー) | 1,000万円 |
| 上記以外の住宅 | 500万円 |
※ 2026年12月31日までに贈与を受けた場合。贈与を受ける方が18歳以上で、その年の合計所得金額が2,000万円以下などの要件があります。適用の可否と手続きは、国税庁のサイトまたは税務署・税理士にご確認ください。
この制度を使うには、贈与を受けた翌年に申告が必要です。
非課税になる場合でも申告は必要なので、忘れないようにしてください。
また、住宅の要件や期限は税制改正で変わります。
利用を検討する場合は、必ず最新の条件を確認してください。
千葉県の平均所要資金を比べると、次のようになります。
- 建売住宅 4,180万円
- 中古戸建 2,735万円(建売より1,445万円安い)
- 新築マンション 5,365万円
- 中古マンション 2,722万円(新築より2,643万円安い)
※ 出典:住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」千葉県の数値
諸費用は仲介手数料の分だけ増えますが、物件価格の差のほうが圧倒的に大きくなります。
借入額が減れば毎月の返済も軽くなり、家計に余裕が生まれます。
毎月3万〜5万円の貯蓄を1〜2年続ければ、50万〜120万円を上乗せできます。
その間に家計を見直して貯蓄の習慣がつけば、購入後の返済も安定しやすくなります。
ただし、待つ間の家賃と金利の動きも考えてください。
家賃が月10万円なら、2年で240万円になります。
貯めた120万円より、払った家賃のほうが大きくなる計算です。
それでも待つ価値があるのは、「生活防衛資金が確保できていない場合」です。
頭金を増やすために待つ必要はありません。
残すお金を確保するために待つのなら、意味があります。
借入額ごとの返済額の目安は、こちらで試算しています。


まとめ|500万円は十分な金額です


貯金500万円は、住宅購入のスタートラインとして十分な金額です。
大切なのは、その500万円を使い切らないこと。
諸費用と手元資金を確保する配分ができれば、購入後も落ち着いて暮らせる家計を作れます。
わが家の最適な配分を、一緒に設計しませんか
最適な配分は、ご家庭の収入・家族構成・ライフプランによって変わります。
伊藤FPオフィスのマイホーム購入診断では、500万円の配分をご家庭の実際の数字で設計します。
新築と中古それぞれで必要な現金を計算し、どの価格帯までなら手元資金を残せるかを確認します。
ご相談は商品の販売を前提としておらず、特定の物件や住宅ローンをおすすめすることはありません。
- 貯金の配分設計(諸費用・頭金・残すお金のバランス)
- 新築・中古それぞれで必要な現金の算出
- 手元資金を残せる物件価格の上限の試算
- 無理なく返せる借入額の確認
- 「今買う」と「貯めてから買う」の比較シミュレーション
- 教育費・老後資金まで含めたキャッシュフロー表の作成
千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。
👨👩👧 ご相談事例・お客様の声
同じ悩みを持つ方が、どう解決したかをご覧いただけます
「妊娠を機に、これからの家計が気になる」
「教育費をどのような方法で準備したらいい?」
実際に伊藤FPオフィスへご相談いただいた方の、相談前のお悩みから相談後の変化までをご紹介しています。
掲載中のご相談事例
・30代ご夫婦(市川市・妊娠中)/これからの家計の見直し
・30代ご夫婦(市川市・お子様3歳)/教育資金の準備方法
・貯金がうまくできないというお悩み ほか
よくある質問
気になる質問をタップすると、回答が開きます。
Q. 500万円を全額頭金に入れてはだめですか?
できません。頭金に全額使うと、諸費用(新築3,500万円なら141万円)も引っ越し代も払えなくなります。住宅ローンが実行されるのは物件の引き渡し時なので、それまでの支払いはすべて手元の現金でまかなう必要があります。さらに生活防衛資金として生活費の6ヶ月分程度は必ず残してください。
Q. 貯金500万円は少ないほうですか?
むしろ多いほうです。住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」によると、千葉県の手持金の平均は建売住宅367万円、中古戸建247万円、中古マンション450万円でした。500万円はこれらをすべて上回っています。届かないのは新築マンション(1,034万円)だけです。
Q. 貯金500万円で4,000万円の物件は無理ですか?
新築なら可能です。諸費用157万円と引っ越し70万円、生活防衛資金180万円を確保しても93万円が残ります。一方、中古の4,000万円だと仲介手数料139万円が加わって諸費用が296万円になり、46万円の不足が出ます。中古を検討する場合は、価格帯を下げるか資金を追加する必要があります。
Q. 中古のほうが安いと思っていましたが違うのですか?
物件価格そのものは中古のほうが大幅に安くなります。千葉県の平均では、中古戸建2,735万円に対して建売住宅4,180万円で、1,445万円の差があります。違うのは「契約時に必要な現金」です。中古は仲介手数料の分だけ諸費用が100万円以上多くなります。総額では中古が有利でも、手元の現金は多めに必要になるとお考えください。
Q. 頭金は入れないほうがいいのですか?
そうではありません。3,500万円を借りる場合、頭金100万円で35年間の利息が118.6万円減ります。入れた金額以上の効果です。お伝えしたいのは「順番」です。諸費用・引っ越し費用・生活防衛資金を確保したうえで、残った分を頭金にしてください。生活防衛資金を削ってまで頭金を増やすのは避けましょう。
Q. 親から援助を受ける場合、税金はかかりますか?
住宅取得等資金の贈与の非課税制度を使えば、一定額まで非課税になります。2026年12月31日までの贈与なら、省エネ等住宅で1,000万円、それ以外で500万円までです。贈与を受ける方が18歳以上で、その年の合計所得金額が2,000万円以下などの要件があります。非課税になる場合でも翌年の申告が必要です。適用の可否は国税庁のサイトまたは税務署・税理士にご確認ください。
Q. 購入後、貯金はどのくらいのペースで増やせばいいですか?
まず生活防衛資金を使ってしまった場合は、その回復が最優先です。そのうえで、戸建てなら修繕費の積立(月1.5万〜2万円が目安)、マンションなら管理費・修繕積立金の値上がりに備えた余裕を確保してください。住居費(返済+維持費)を手取りの30%以内に抑えておくと、購入後も貯蓄を続けやすい家計になります。
Q. 諸費用までローンで借りることはできますか?
対応している金融機関もあります。ただし借入額が増えるぶん、毎月の返済と利息総額が増え、審査も厳しくなる傾向があります。また売却が必要になったときに、ローン残高が売却価格を上回る期間が長くなります。手元資金を厚く残すためにあえて借りるという判断はあり得ますが、「現金がないから借りる」という状況なら、購入時期を見直すことをおすすめします。
この記事の監修者


証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。家計全体の視点から、住宅購入・住宅ローンの見直し・ライフプラン設計の相談を行っています。頭金のご相談では、「いくら入れるか」ではなく「手元にいくら残すか」から決めることをお伝えしています。
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