子どもが生まれる前に家を買うべき?後にすべき?FPが解説

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「子どもが生まれる前に家を買ったほうがいいのか」

「それとも、生まれてからのほうが失敗しないのか」

これから家族が増えるご家庭にとって、大きな悩みどころです。

結論からお伝えすると、どちらが正解ということはありません。

ただし、金額と完済年齢は確実に変わります。

この記事の結論
  1. 実際の調査では「出産前派」と「出産後派」がほぼ拮抗しています
  2. 32歳と38歳では、総額で463万円、完済年齢で6歳変わります
  3. 一方、出産後ならフラット35の子育てプラスで金利優遇が大きくなります
  4. どちらを選ぶにせよ、育休中の家計を先に確認しておくことが大切です

この記事では、タイミングによる違いを金額で示したうえで、判断の軸を整理します。

こんな方に読んでほしい記事です

  • これからお子さまを考えていて、住宅購入のタイミングに迷っている
  • 妊娠中・育休中に住宅ローンを組めるか不安がある
  • 出産前と出産後、それぞれのメリットを金額で比べたい
  • 子育てと住宅ローンの両立が心配

✍️ この記事の監修者

伊藤FPオフィス代表 伊藤貴徳

代表・監修者

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス 代表

CFP®認定者 1級FP技能士 宅地建物取引士 証券外務員1種

千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。

🏢 伊藤FPオフィス(千葉県・オンライン対応) プロフィール詳細を見る →
目次

みんなはいつ買っているか

まず、実際のデータを見てみましょう。

国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、初めて住宅を購入する人の年齢は30代が最も多くなっています。

結婚・出産といったライフイベントと重なる時期です。

では、出産との前後関係はどうでしょうか。

子育て経験のある女性300名を対象にした民間の調査では、こうした結果が出ています。

家を買うベストなタイミング割合
第2子を出産した後46.3%
家族構成が固まってから
第1子を出産する前39.3%
身軽なうちに・早くローンを始める
その他(第1子の後など)約14%

※ マイナビニュース掲載の民間調査(子育て経験のある女性300名)をもとに作成しています。

注目したいのは、「出産前派」と「出産後派」がほぼ拮抗していることです。

どちらのタイミングにも合理性があり、実際に選ぶ人も分かれています。

だからこそ、わが家の条件で判断する必要があります。

出産前・出産後——それぞれの特徴

まず、金額以外の面での違いを整理します。

比較する項目出産前に購入出産後に購入
物件選びの余裕じっくり選びやすい育児で時間が取りにくい
間取りの決めやすさ人数・性別が読みにくい家族構成に合わせられる
住宅ローンの審査共働きの収入合算がしやすい育休中は工夫が必要
引っ越しの負担身軽に動ける赤ちゃん連れで大変
家計の見通し出産後の変化が読みにくい支出の実態が見えている
学区・保育園選び情報収集でカバーできる実体験をもとに選べる
金利の優遇若年夫婦なら▲0.25%子の人数で▲0.25〜0.75%

どちらにも強みがあります。

出産前は「動きやすさ」、出産後は「精度」が強みだと言えます。

FP伊藤

ご相談では「出産前に買ったほうがいいですか」と聞かれることが多いのです。
答えは「動けるうちに決めたいならそうです」になります。
産後は本当に時間が取れません。内見も打ち合わせも、想像以上に大変です。
ただし、間取りを実態に合わせられないという代償もあります。

【試算】タイミングで、金額と完済年齢はこう変わる

では、金額はどう変わるのか。

夫32歳・妻30歳のご夫婦が、物件3,500万円を購入する場合で計算しました。

待つ間は家賃10万円を払い、頭金を月3万円ずつ貯める前提です。

ケースA 出産前に購入(夫32歳)
借入3,500万円 → 月9.92万円。完済は67歳。65歳の定年時点で残高236万円(残り2年)。ただし返済開始の直後に産休・育休が来る可能性があります。
ケースB 第1子の出産後に購入(夫35歳)
3年間の家賃360万円を払い、頭金108万円を貯めた状態。借入3,392万円 → 月9.61万円。完済は70歳。65歳時点の残高562万円(残り5年)。総額はケースAより231万円多くなります。
ケースC 第2子の出産後に購入(夫38歳)
6年間の家賃720万円を払い、頭金216万円を貯めた状態。借入3,284万円 → 月9.31万円。完済は73歳。65歳時点の残高858万円(残り8年)。総額はケースAより463万円多くなります。

※ 変動金利1.025%・35年・元利均等返済で計算した試算です。物件価格が変わらないことを前提としています。

待つほど、総額は増え、完済年齢は上がります。

頭金を貯めても、その間に払う家賃のほうが大きいためです。

⚠️

38歳で購入すると、定年後も8年間の返済が残ります。
65歳時点のローン残高は858万円。退職金で一括返済する前提なら、その分だけ老後資金が減ります。「いつ完済するか」は、購入時期を決める重要な判断材料です。

ただし、これは金額だけを見た場合の話です。

出産後に買うことで得られるものもあります。

次の章で、その代表例を見ていきます。

出産後なら、金利の優遇が大きくなります

フラット35には「子育てプラス」という制度があります。

子育て世帯・若年夫婦世帯を対象に、当初5年間の金利を引き下げるものです。

そして引き下げ幅は、お子さまの人数によって変わります。

世帯の状況引き下げ幅当初5年の金利月々の返済
(借入3,500万円)
引き下げなし3.290%14.04万円
若年夫婦またはこども1人▲0.25%3.040%13.55万円
こども2人▲0.50%2.790%13.06万円
こども3人▲0.75%2.540%12.59万円

※ 2026年8月時点のフラット35の金利(返済期間21〜35年・融資率9割以下)3.290%をもとに計算した試算です。引き下げの期間・要件は制度改正により変わることがあるため、住宅金融支援機構のサイトでご確認ください。

当初5年間で軽くなる金額を計算すると、こうなります。

引き下げ幅月々の軽減額5年間の合計
▲0.25%(若年夫婦・こども1人)0.49万円約30万円
▲0.50%(こども2人)0.98万円約59万円
▲0.75%(こども3人)1.46万円約87万円

お子さま2人が生まれてから購入すれば、1人のときより29万円多く優遇を受けられる計算です。

2026年3月から、借り換えでも使えるようになりました

これまで子育てプラスは新規の借り入れが対象でした。

2026年3月の制度拡充により、他の金融機関からフラット35へ借り換える場合にも適用できるようになっています。

つまり「出産前に買って、子どもが増えてから借り換える」という選択肢も生まれました。

ただし借り換えには諸費用がかかるため、金利差と手数料を含めた総額で比較してください。

なお、この優遇はフラット35(全期間固定)の制度です。

2026年8月時点でフラット35の金利は3.290%、変動金利は主要行の中央値で1.025%。

優遇を受けても、変動金利のほうが低い水準にあります。

「優遇があるからフラット35」ではなく、金利タイプそのものの比較が先です。

どちらを選んでも、必ず確認しておくこと

タイミングよりも大切なことがあります。

出産後の家計の変化を、先に数字で確認しておくことです。

育休中は、住居費の比率が上がります

夫年収450万円・妻年収400万円の共働き世帯で、妻が1年間の育休を取る場合を計算しました。

住宅ローンの返済+維持費(月12.42万円)が世帯手取りに占める割合
育休前(世帯手取り月41.81万円)
30%
育休中(世帯手取り月34.10万円)
36%

9ポイント上がります(世帯手取りは年92万円の減少)

※ 借入3,500万円・変動金利1.025%・35年で計算しています。育児休業給付金は最初の28日が80%、180日目までが67%、以降50%として算出しました。

育休中の1年間は、世帯の手取りが年92万円減ります。

出産前に購入すると、返済開始の直後にこの期間が来る可能性があります。

⚠️

出産前に買うなら、育休期間の不足分を先に貯めておいてください。
年92万円が目安です。お子さまを2人予定しているなら、2年分の184万円。この金額を購入前に用意しておけば、育休中に慌てずに済みます。

片働きに戻っても、返済できるか

もうひとつ、共働きのご家庭に確認していただきたいことがあります。

働き方が変わったときに、返済を続けられるかです。

働き方別・住居費を手取りの30%に収める場合の借入上限
共働きを続ける場合 借入3,543万円
世帯手取り月41.81万円(夫450万円+妻400万円)。住居費を30%に収めるなら月12.54万円まで。維持費2.5万円を引くと、借入額は3,543万円が上限になります。
妻が育休中の場合 借入2,727万円
世帯手取りは月34.10万円まで下がります。同じ基準なら借入額は2,727万円。3,500万円を借りていると、住居費は手取りの36%になります。
妻が退職して片働きになった場合 借入1,456万円
世帯手取りは月22.09万円。同じ基準なら借入額は1,456万円です。3,500万円を借りていた場合、住居費は手取りの56%になります。

共働きを前提に借りると、片働きに戻ったときの負担は極めて重くなります。

「絶対に共働きを続ける」と言い切れるかどうか。

そこが借入額を決める分かれ目です。

FP伊藤

出産前のご相談では、必ずこの表をお見せしています。
第2子が生まれたら妻が退職を考える、というご家庭は珍しくありません。
その可能性が少しでもあるなら、片働きでも耐えられる金額に抑えておく。
そのほうが、結果的に選択肢が広がります。

妊娠中に購入を検討する場合の実務

「妊娠が分かってから購入を考え始めた」というご家庭も多いので、実務上のポイントを整理しておきます。

1
収入合算・ペアローンは、早めのタイミングで
妊娠後期や産休の直前になると、収入合算やペアローンの利用が難しくなる金融機関があります。夫婦の収入でローンを組む予定なら、働いている期間の早めのタイミングで審査を受けるのが安全です。
2
育休中でも審査は受けられます
育休中でも、出産前の年収や復職後に見込まれる年収を考慮してもらえる金融機関があります。復職証明書や育休前の源泉徴収票が必要になる場合があるため、事前に金融機関へ確認してください。
3
体調を最優先にスケジュールを組む
物件の見学、契約、引っ越しは想像以上に体力を使います。引っ越しを出産前に終えるか、産後に落ち着いてからにするか。無理のないスケジュールで進めてください。

まとめ|正解はないが、確認すべきことは同じ

この記事の要点
1 実際の調査では「出産前派」39.3%と「第2子後派」46.3%がほぼ拮抗
2 32歳と38歳では総額463万円、完済年齢が6歳変わる(67歳と73歳)
3 38歳で購入すると、65歳の定年時点で残高858万円が残る
4 出産後ならフラット35子育てプラスで金利優遇が大きくなる(子2人で5年間59万円)
5 育休中は世帯手取りが年92万円減り、住居費の比率が30%→36%に上がる
6 片働きに戻る可能性があるなら、その場合でも払える金額に抑えておく

出産前と出産後、どちらにもメリットがあります。

金額だけを見れば早いほうが有利ですが、間取りの精度や金利の優遇では出産後に分があります。

どちらを選んでも、育休中と片働きに戻った場合の家計を先に確認しておけば大丈夫です。

両方のタイミングを、数字で比べてみませんか

伊藤FPオフィスでは、「出産前に買う場合」と「出産後に買う場合」の両方を、家計の変化まで含めてシミュレーションしています。

産休・育休・復職のタイミングをキャッシュフロー表に並べると、「わが家の買いどき」が数字で見えてきます。

「今は買わない」という結論をお伝えすることもあります。

16
FP業界での経験
5資格
CFP®・宅建士ほか
0
商品販売の手数料収入
マイホーム購入診断
税込29,800円 / オンライン対応
  • 現状の家計・収支の整理
  • 出産前・出産後それぞれで購入した場合のシミュレーション
  • 産休・育休・復職を織り込んだキャッシュフロー表の作成
  • 片働きに戻った場合でも返済できる借入額の試算
  • 教育費・老後資金との両立の確認

千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。

わが家の買いどきが、数字で見えてきます

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よくある質問

気になる質問をタップすると、回答が開きます。

Q. 妊娠中でも、住宅ローンは組めますか?

組めるケースが多くあります。ただし妊娠後期など産休が近い場合、収入合算やペアローンが使いにくくなることがあります。夫婦の収入でローンを組む予定なら、働いている期間の早めのタイミングで審査を受けるのが安全です。タイミングによって選べるローンの形が変わるため、早めに確認しておいてください。

Q. 育休中で収入が下がっていても、審査に通りますか?

通る可能性があります。育休中でも、出産前の年収や復職後に見込まれる年収を考慮してもらえる金融機関があるためです。復職証明書や育休前の源泉徴収票が必要になる場合があるので、事前に金融機関へ確認してください。一時的に収入が下がっていても、本来の収入が十分であれば諦める必要はありません。

Q. 結局、出産前と後、どちらがおすすめですか?

ご家庭の状況によって異なります。金額だけを見れば早いほうが有利で、32歳と38歳では総額463万円、完済年齢が6歳変わります。一方、出産後なら間取りを実態に合わせられ、フラット35の子育てプラスで金利優遇も大きくなります。実際の調査でも「出産前派」39.3%、「第2子後派」46.3%とほぼ拮抗しています。大切なのは、育休中と片働きに戻った場合の家計を確認しておくことです。

Q. 子どもが何人になるか分からず、間取りが決められません

「可変性のある間取り」を選ぶ方法があります。広いリビングを間仕切りで分けられる、将来2部屋に分割できる子ども部屋にしておく、といった形です。また、そもそも広い家が必要なのはお子さまが独立するまでの期間です。35年ローンのうち、その期間は20〜22年ほど。残りの期間は使わない部屋に払い続けることになる点も、判断材料に入れてみてください。

Q. フラット35の子育てプラスは、どのくらい効果がありますか?

借入3,500万円の場合、当初5年間でこども1人なら約30万円、2人なら約59万円、3人なら約87万円の軽減になります。ただしこれはフラット35(全期間固定)の制度です。2026年8月時点でフラット35は3.290%、変動金利は主要行の中央値で1.025%。優遇を受けても、変動金利のほうが低い水準にあります。「優遇があるからフラット35」ではなく、金利タイプの比較が先です。

Q. 出産前に買うと、育休中の返済が不安です

その不安は正しい感覚です。妻が1年間の育休を取ると、世帯の手取りは年92万円減ります。住居費(返済+維持費)の比率は30%から36%に上がります。対策としては、この92万円を購入前に貯めておくことです。お子さまを2人予定しているなら2年分の184万円。この金額があれば、育休中も慌てずに済みます。

Q. 共働きの収入で借りても大丈夫でしょうか?

「絶対に共働きを続ける」と言い切れるかどうかで判断してください。夫450万円+妻400万円の世帯で3,500万円を借りると、共働きなら住居費は手取りの30%ですが、妻が退職して片働きになると56%になります。第2子の出産を機に退職を考える可能性が少しでもあるなら、片働きでも耐えられる金額に抑えておくほうが安全です。

この記事の監修者

伊藤貴徳(伊藤FPオフィス代表)
伊藤 貴徳(いとう たかのり)
伊藤FPオフィス代表/CFP®・1級FP技能士・宅地建物取引士

証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。金融商品の販売を行わない中立な立場で、住宅購入・保険見直し・ライフプラン設計の相談を行っています。これから家族が増えるご家庭の相談では、産休・育休・復職を時系列に並べたうえで、どのタイミングでも家計が回るかを確認してお伝えしています。

保有資格:CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/トータル・ライフコンサルタント(生命保険協会認定)/宅地建物取引士/証券外務員一種
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応
本記事の出典・注意事項をみる
【出典】
・国土交通省「住宅市場動向調査」
・マイナビニュース掲載の民間調査(子育て経験のある女性300名)
・住宅金融支援機構【フラット35】子育てプラスの制度概要および金利
・厚生労働省「育児休業給付」

【注意事項】
本記事の金額はすべて試算・目安です。返済額は変動金利年1.025%(2026年8月時点の主要都市銀行の中央値)・35年・元利均等返済で計算しており、フラット35は同時点の金利(返済期間21〜35年・融資率9割以下)3.290%を用いています。「出産後に購入する場合」の試算は、物件価格が変わらないことを前提としたものです。【フラット35】子育てプラスの引き下げ幅・期間・要件は制度改正により変わることがあるため、住宅金融支援機構のサイトで最新の内容をご確認ください。住宅ローン審査の可否は金融機関の判断によります。育児休業給付金の額は標準報酬月額・取得日数によって異なります。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の商品・サービスの購入や契約を勧めるものではありません。個別のご相談については、伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。

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