マイホーム購入後の老後資金はどう準備する?NISAとの両立

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「住宅ローンを組んだあとは、毎月の返済で精一杯」

「老後のことは、子どもが独立してから考えよう」

こう思っている方は少なくありません。

ただ、この先送りには大きな代償があります。

この記事の結論
  1. 同じ月3万円でも、35歳開始なら約2,082万円、50歳開始なら約738万円(年4%想定の試算)
  2. 繰り上げ返済のリターンは「確実な住宅ローン金利分」、投資は「不確実な想定利回り」
  3. 住宅ローン控除を受けている期間は、繰り上げ返済のメリットが小さくなります
  4. 大切なのは金額の大小より、ゼロにしないことです

この記事では、住宅購入後の老後資金の準備方法と、新NISAとの両立の考え方を整理します。

こんな方に読んでほしい記事です

  • 住宅ローン返済中で、老後資金の準備が後回しになっている
  • 繰り上げ返済とNISA投資、どちらを優先すべきか迷っている
  • 教育費と老後資金を両立できるか不安
  • 月いくら積み立てればよいか知りたい

✍️ この記事の監修者

伊藤FPオフィス代表 伊藤貴徳

代表・監修者

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス 代表

CFP®認定者 1級FP技能士 宅地建物取引士 証券外務員1種

千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。

🏢 伊藤FPオフィス(千葉県・オンライン対応) プロフィール詳細を見る →
目次

先送りすると何が起きるのか

住宅購入後に老後の準備が遅れるのは、怠慢ではありません。

それだけ「今」の支出が大きいからです。

支出の種類続く時期金額の目安(千葉・東京エリア)
住宅ローンの返済購入から完済まで(35年など)月10万〜15万円前後
教育費子どもが0〜22歳頃まで子ども1人あたり総額1,000万〜1,500万円(試算例)
老後資金の準備できるだけ早く始めたい目標に応じて月1万〜5万円

この3つが重なる時期に「老後は後で」と考えるのは自然なことです。

しかし、先送りの代償は数字にするとはっきりします。

同じ月3万円でも、始める年齢でこれだけ違う

35歳から始めた場合(30年)
元本1,080万円が
約2,082 万円に
vs
50歳から始めた場合(15年)
元本540万円が
約738 万円に

15年の差が、約1,344万円の違いを生む計算です

※ 毎月3万円を65歳まで積み立て、年4%で運用できたと仮定した試算です。想定利回りはあくまで仮定であり、運用成果を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。

積立を始める年齢65歳までの期間積み立てた元本運用後の金額(年4%想定)
35歳30年1,080万円約2,082万円
40歳25年900万円約1,542万円
45歳20年720万円約1,100万円
50歳15年540万円約738万円
55歳10年360万円約442万円

※ 同上の条件による試算です。実際の運用成果は市場環境により変動します。

⚠️

「子どもが独立してから」では、積立期間が10年を切ることがあります。
35歳で購入し、子どもの独立が57〜60歳頃なら、老後まで残り5〜8年です。

老後に必要な金額の考え方

目標を決めるために、まず必要額の考え方を整理します。

年金と生活費の差から考える

厚生年金に加入している夫婦の場合、標準的な年金受給額は月額23万円台とされています。

一方、夫婦2人の老後の最低日常生活費は月額23万円台という調査結果があります。

最低限の生活なら、差はわずかです。

問題は、そこにゆとりを足したときです。

生活のスタイル月の生活費年金との差25年間の不足額
最低限の生活約23.9万円月0.7万円約210万円
少しゆとりのある生活約25万円月1.8万円約540万円
旅行や趣味も楽しむ生活約30万円月6.8万円約2,040万円

※ 年金を月23.2万円と仮定した場合の試算です。年金額は加入期間・収入により大きく異なります。ご自身の見込み額は「ねんきんネット」で確認できます。生活費は生命保険文化センターなどの調査を参考にした目安です。

「老後2,000万円問題」という言葉がありましたが、必要額は生活スタイルによって大きく変わります。

何にお金を使いたいかで、目標額は決まります。

持ち家には大きな強みがあります

住宅ローンを完済していれば、老後に家賃はかかりません。

月10万円の家賃が不要になれば、老後25年間で3,000万円の支出削減になります。

ただし固定資産税と修繕費は続きます。年20万〜40万円ほどは見込んでおきましょう。

必要額を出す3ステップ

  1. 老後の生活費を見積もる — 現在の生活費の80〜90%が目安(住居費が減るため)
  2. 年金の見込み額を確認する — 「ねんきんネット」で試算できます
  3. 差額×老後の年数を計算する — 65歳から85〜90歳までの20〜25年で計算

たとえば生活費25万円・年金20万円・老後25年なら、(25万−20万)×300ヶ月=1,500万円が目安になります。

ここから退職金の見込み額を差し引けば、自分で準備すべき金額が出ます。

【重要】繰り上げ返済とNISA、どちらを優先すべきか

住宅ローンを返しながら投資をすることに、抵抗を感じる方は多くいます。

「借金があるのに投資はおかしいのでは」という感覚です。

この判断を整理するために、両者の性質の違いを見てみましょう。

繰り上げ返済
  • リターンは住宅ローン金利分
  • 結果が確実
  • 元本割れがない
  • 使ったお金は戻せない
VS
NISAでの積立
  • リターンは不確実
  • 元本割れの可能性がある
  • 必要なときに引き出せる
  • 運用益が非課税になる

ここが最も大切な点です。

繰り上げ返済のリターンは「住宅ローンの金利」と同じです。

金利1.0%のローンを繰り上げ返済すれば、確実に1.0%分の利息を減らせます。

一方、投資のリターンは市場次第で、増えることも減ることもあります。

同じ720万円を投じた場合の比較

借入3,000万円・金利年1.0%・35年のローンがある家庭で、月3万円を20年間投じた場合を比べます。

使い道投じた金額効果確実性
繰り上げ返済720万円利息軽減 約161万円
完済が約9年早まる
確実
NISA(年3%想定)720万円増加分 約265万円不確実
NISA(年4%想定)720万円増加分 約380万円不確実
NISA(増えなかった場合)720万円増加分 0円

※ 繰り上げ返済は期間短縮型を毎年36万円行った場合の試算です。NISAの想定利回りは仮定であり、運用成果を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。

住宅ローン控除を受けている期間は注意が必要です

控除は年末のローン残高に応じて計算されます。

繰り上げ返済で残高を減らすと、控除額も減ります。

控除を受けている間は、繰り上げ返済の実質的なメリットが小さくなることがあります。

控除の期間が終わってから、まとめて繰り上げ返済するという考え方もあります。

どちらを優先すべきか

生活防衛資金(生活費6ヶ月分)は確保できていますか?
▼ YES の方
老後資金の積立を始められる段階です。住宅ローンの金利が低いなら、長期の積立を優先する選択も合理的です。
▼ NO の方
まず生活防衛資金の確保が先です。投資も繰り上げ返済も、手元の現金を確保してからにしましょう。

判断の目安を整理すると、次のようになります。

繰り上げ返済を優先したほうがよい場合

  • 住宅ローンの金利が高い(1.5%以上など)
  • 元本割れの可能性を受け入れられない
  • 完済年齢が定年を超えている
  • 住宅ローン控除の期間が終わっている

NISAでの積立を優先しやすい場合

  • 住宅ローンの金利が低い(1.0%前後など)
  • 老後まで20年以上の時間がある
  • 住宅ローン控除を受けている期間中
  • 手元資金を残しておきたい(投資は必要なときに引き出せる)
FP伊藤

ご相談でお伝えしているのは、「どちらか一方を選ぶ必要はない」ということです。
毎月の積立は続けながら、ボーナスなどまとまったお金が入ったときに繰り上げ返済をする。
このリズムなら、多くのご家庭が無理なく続けられます。
大切なのは、どちらかを完全にゼロにしないことです。
特に老後資金は、時間そのものが最大の武器になりますから。

月いくら積み立てればよいのか

目標額と期間が決まれば、毎月の積立額は逆算できます。

目標額20年で達成25年で達成30年で達成
1,000万円月2.7万円月1.9万円月1.4万円
1,500万円月4.1万円月2.9万円月2.2万円
2,000万円月5.5万円月3.9万円月2.9万円
3,000万円月8.2万円月5.8万円月4.3万円

※ 年4%で運用できたと仮定した場合の試算です。想定利回りは仮定であり、運用成果を保証するものではありません。

表を見ると分かるのは、期間が長いほど毎月の負担が軽くなるということです。

2,000万円を目標にする場合、20年なら月5.5万円必要ですが、30年なら月2.9万円で届く計算になります。

住宅ローン返済中の配分の順番

手取り月収から、次の順番で配分すると整理しやすくなります。

  1. 住宅ローンの返済額(最優先)
  2. 生活費(食費・光熱費・通信費・保険料など)
  3. 生活防衛資金の補充(不足している場合は月1〜2万円)
  4. 教育費の積立(学年に応じて金額を調整)
  5. 残りを老後資金へ(月1万円からでも意味があります)

月1万円でも意味があります

「まとまった金額でないと意味がない」と考える必要はありません。

月1万円を25年続けると、元本300万円。年4%で運用できた場合は約514万円になる計算です。

完璧な計画より、無理なく続けられる金額から始めるほうがずっと大切です。

目的別に置き場所を分ける

お金は、使う時期によって置き場所を変えます。

目的使う時期適した置き場所考え方
生活防衛資金いつ必要になるか分からない普通預金生活費の3〜6ヶ月分。元本を減らさない
教育費数年〜10年以内定期預金・学資保険など使う時期が決まっているため、元本の確保を優先
老後資金20〜30年後新NISA・iDeCo長期間あるため、値動きのある商品も選択肢になる
⚠️

教育費と老後資金を同じ口座で管理しないでください。
「老後のため」と思っていたお金が、進学費用で消えてしまうケースは珍しくありません。

iDeCoも選択肢になります

老後資金の準備には、iDeCo(個人型確定拠出年金)という制度もあります。

掛金が全額所得控除になるため、所得税と住民税の負担を軽くできる点が特徴です。

ただし、原則60歳まで引き出せません。

教育費など途中で使う可能性があるお金には向きません。

老後資金と割り切れる分だけをiDeCoに、それ以外はNISAに、という使い分けが基本になります。

年代別・住宅購入後の進め方

30代で購入した場合|時間が最大の武器
老後まで30年以上あります。月1〜2万円の積立でも、期間の長さが効いてきます。住宅ローンの負担が重い時期ですが、最低ラインの積立を止めないことを意識しましょう。
40代で購入した場合|最も苦しい時期
教育費のピークが近づき、老後まで20〜25年。3つの支出が重なる時期です。月5,000円でも構わないので、積立をゼロにしないことが重要です。
50代で購入した場合|完済後の余力を使う
子どもが独立して教育費の負担が減ったら、その分を老後資金に回します。新NISAは年間360万円まで投資でき、生涯の枠は1,800万円です。集中的に積み立てる余地があります。
完済後|返済に充てていた分をそのまま
住宅ローンの返済が終わると、月10万円以上が浮きます。生活水準を上げずにその分を積立に回せば、短期間でも一定の準備ができます。

どの年代でも共通しているのは、積立をゼロにしないことです。

金額の大小より、続けることのほうが結果に効いてきます。

老後にいくら必要かは、こちらで数字をもとにまとめています。

まとめ|ゴールを決めて、逆算して、続ける

この記事のまとめ
1 月3万円でも、35歳開始と50歳開始では約1,344万円の差が出る(年4%想定)
2 繰り上げ返済のリターンは「確実な住宅ローン金利分」
3 投資のリターンは「不確実な想定利回り」。性質が違うものを比べている
4 住宅ローン控除の期間中は、繰り上げ返済のメリットが小さくなる
5 教育費と老後資金は、使う時期が違うので置き場所を分ける
6 金額の大小より、積立をゼロにしないことが結果に効く

「住宅ローンを抱えながら老後の準備なんてできるの?」という不安は、数字にすると輪郭が見えてきます。

まず老後に必要な金額を出し、今月からできる積立額を一つ決めてみてください。

わが家の配分を、数字で組み立てませんか

住宅ローンの返済・教育費・老後資金。

この3つのバランスは、ご家庭の収入と支出によって変わります。

伊藤FPオフィスでは、キャッシュフロー表を使って配分を設計しています。

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  • 住宅ローン返済・教育費・老後資金の配分設計
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  • 繰り上げ返済と積立のバランスの検討
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千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。

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よくある質問

気になる質問をタップすると、回答が開きます。

Q. 住宅ローン返済中でも新NISAを始めるべきですか?

生活防衛資金(生活費3〜6ヶ月分)を確保できているなら、少額からでも始める価値があります。老後資金は時間が最大の武器になるためです。ただし住宅ローンの金利が高い場合や、元本割れを受け入れられない場合は、繰り上げ返済を優先する判断も合理的です。

Q. 繰り上げ返済と投資、結局どちらが得ですか?

性質が違うため、単純に比較できません。繰り上げ返済は「住宅ローンの金利分」を確実に節約できます。投資は想定より増えることも減ることもあります。金利1.0%のローンなら確実に1.0%、投資は不確実な期待値、という違いを踏まえて判断してください。

Q. 教育費と老後資金、どちらを優先すべきですか?

どちらか一方ではなく、目的と時期に合わせて並行して準備します。教育費は使う時期が決まっているため元本を確保できる方法で、老後資金は時間があるため長期運用に向いた方法で。置き場所を分けることが大切です。

Q. iDeCoとNISA、どちらを使うべきですか?

iDeCoは掛金が全額所得控除になる分、税負担を軽くできます。ただし原則60歳まで引き出せません。教育費など途中で使う可能性があるお金はNISA、老後資金と割り切れる分はiDeCo、という使い分けが基本です。

Q. 住宅ローン完済後に一気に積み立てるのでは遅いですか?

完済が60歳近くになると、積立期間が5年程度しか残りません。新NISAは年間360万円まで投資できるため集中投資は可能ですが、期間が短いと運用による増加は限られます。完済前から少額でも始めておくほうが有利です。

Q. 老後の必要額はどうやって計算すればいいですか?

「老後の生活費 × 老後の年数 − 年金の総額 − 退職金」で概算できます。生活費は現在の80〜90%が目安、年金の見込み額は「ねんきんネット」で確認できます。持ち家で完済していれば家賃がかからない分、賃貸より必要額は小さくなります。

この記事の監修者

伊藤貴徳(伊藤FPオフィス代表)
伊藤 貴徳(いとう たかのり)
伊藤FPオフィス代表/CFP®・1級FP技能士・宅地建物取引士

証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。金融商品の販売を行わない中立な立場で、住宅購入・保険見直し・ライフプラン設計の相談を行っています。住宅ローン・教育費・老後資金の配分は、キャッシュフロー表で見える化してからご提案しています。

保有資格:CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/トータル・ライフコンサルタント(生命保険協会認定)/宅地建物取引士/証券外務員一種
対応エリア:千葉県・東京都は対面相談可、全国オンライン対応
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスの購入や契約を勧めるものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。記載した運用の試算はすべて想定利回り(年3〜4%)を仮定したものであり、実際の運用成果を保証するものではありません。市場環境により、元本を下回る可能性があります。返済額・利息軽減額の試算は、借入3,000万円・金利年1.0%・35年・元利均等返済として計算した目安です。年金額・生活費の数値は公的機関や調査機関の公表値をもとにした目安であり、ご自身の年金見込み額は「ねんきんネット」でご確認ください。住宅ローン控除やiDeCoの税制上の取扱いは改正されることがあるため、最新の内容は国税庁のサイトまたは税務署でご確認ください。個別のご相談については、伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。
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