「子どもが生まれたら学資保険、というのが当たり前だと思っていた」
「でもNISAのほうがいいって聞いて、どちらが正解かわからない…」
教育費の準備を考え始めると、学資保険に入るべきかどうか迷う方はとても多いです。
保険会社の担当者からは学資保険を勧められ、投資の情報では「学資保険より新NISAのほうが有利」という記事があふれています。
どちらが正解かは、家庭の状況や優先することによって異なります。
まずは仕組みを正しく理解することが大切です。
この記事では、学資保険のメリット・デメリットと、代わりになる資産運用の選択肢を整理します。「わが家にとってどちらが合っているか」を判断するための情報をわかりやすく解説します。
- 子どもの教育費はいくら必要か(目安)
- 学資保険の仕組みとメリット・デメリット
- 「学資保険はいらない」と言われる理由
- 学資保険に向いている人・向いていない人の特徴
- 学資保険の代わりになる教育資金の準備方法(新NISA・定期預金など)
✍️ この記事の監修者
代表・監修者
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表
千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。
子どもの教育費、実際いくら必要?

教育費の準備を考えるには、まず「いくら必要か」を把握することが出発点です。
文部科学省の調査(令和5年度 子供の学習費調査)をもとにすると、幼稚園から大学卒業までにかかる教育費の総額は、進路によって大きく変わります。
| 進路パターン | 教育費総額の目安 |
|---|---|
| 幼稚園〜大学まで全て公立・国立 | 約820万円 |
| 幼稚園〜高校は公立、大学のみ私立 | 約1,100万円前後 |
| 幼稚園〜大学まで全て私立 | 約2,200〜2,500万円 |
※上記は学習費調査に基づく目安です。習い事・塾・部活費用などは含まれません。
実際の総額は家庭によって異なります。
特に大学進学時にまとまった費用が集中するのが教育費の特徴です。
入学金・初年度授業料だけで私立大学なら100万〜150万円以上が一気に必要になります。
この「タイミング」に合わせた準備が、教育資金計画のカギになります。
FP伊藤相談にいらっしゃる方の多くは「大学費用が一番怖い」とおっしゃいます。千葉・東京エリアでは私立大学への進学を選ぶ割合が高く、入学までに最低でも100〜150万円は手元に用意しておきたいところです。大学費用だけは「ある時期までに確実に用意できる」仕組みが重要です。
学資保険とは?仕組みをわかりやすく解説


学資保険とは、子どもの進学時期に合わせて教育資金を受け取れる貯蓄型の保険です。
毎月一定額を積み立て、契約時に定めた時期(18歳など)に「学資金」として受け取れます。
- 契約者:親(保険料を払う人)
- 被保険者:子ども
- 保険期間:子どもが18歳になるまでなど
- 保険料払込免除特約:契約者(親)が死亡・高度障害になった場合、以降の保険料が免除され、予定通り学資金を受け取れる
- 返戻率:払い込んだ保険料の合計に対して受け取れる額の割合(例:110%なら100万円払って110万円受け取れる)
返戻率は保険会社・プラン・加入時の子どもの年齢によって異なりますが、現在の低金利環境では105〜120%程度が一般的な水準です(保険会社・プランにより異なります)。
学資保険が「いらない」と言われる3つの理由


近年、「学資保険はいらない」という意見をよく見かけるようになりました。
その背景には、いくつかの合理的な理由があります。
ただし、「全員に不要」ということではなく、家庭の状況によって向き・不向きがあるというのが正確な見方です。
① 返戻率が低く、インフレに弱い
学資保険の返戻率105〜120%というのは、10〜18年間積み立てた結果の数字です。年率換算すると0.5〜1.0%程度の利回りに相当します(試算例。実際の利回りは契約内容によって異なります)。
物価が年1〜2%程度上昇するインフレ環境では、実質的な資産価値が目減りするリスクがあります。「受け取る金額は増えても、物価が上がっているので実際の購買力は同じかむしろ下がる」という状況になりかねません。
② 途中解約すると元本割れする
学資保険を途中で解約すると、受け取れる解約返戻金が払い込んだ保険料の合計を下回ることがほとんどです。契約から数年以内の解約ではとくに損失が大きくなります。
「急に資金が必要になった」「家計が苦しくなった」といった状況で解約せざるを得なくなると、損失が確定してしまいます。定期預金や投資信託なら、必要なときに引き出せる柔軟性があります。
③ 保障と貯蓄が一体化しているため、コスト効率が下がる
学資保険には「払込免除特約(親が亡くなったときに保険料が免除される)」という保障がセットになっています。この保障にかかるコストが含まれるため、純粋な貯蓄商品と比べると資金効率が下がりやすい面があります。
「万が一の保障はかけ捨ての生命保険で安く確保し、教育費は新NISAなどで効率よく増やす」という分離戦略のほうが、コスト面では有利なケースがあります。



学資保険のご相談でいらっしゃる方の多くは、学資保険の仕組みをあまりご存じないまま「周りが入っているから」という理由で検討されているケースが少なくありません。内容をしっかり把握した上で、他の選択肢にも目を向けて比較検討することをおすすめしています。
学資保険のメリット・向いている人の特徴


デメリットばかりを取り上げましたが、学資保険には他の方法では得にくいメリットもあります。「向いている人」には、依然として有効な選択肢です。
- 元本割れがない(満期まで続ければ):投資と違い、満期まで保険料を払い続ければ払込額を上回る額を受け取れる
- 強制積立で確実に貯まる:口座から自動引落しなので、意識しなくても教育費が積み上がる
- 払込免除特約がある:契約者(親)が死亡・高度障害になっても、予定通り学資金を受け取れる保障がある
- 受け取り時期が明確:18歳など進学時期に合わせて受け取れるので、計画が立てやすい
特に「貯蓄が苦手で、放っておくとお金を使ってしまう」という方には、強制積立の仕組みとして学資保険が機能する面があります。
| こんな方には学資保険が向いている | こんな方には他の方法を検討 |
|---|---|
| 貯蓄が苦手・お金を使い込みやすい | 自分でコツコツ積立が続けられる |
| 元本割れリスクを絶対に取りたくない | 多少の値動きは許容できる |
| 万が一の保障も同時に確保したい | 保障は別の保険で確保済み |
| 受け取り時期・金額を確定させたい | 資産を効率よく増やすことを優先したい |
学資保険の代わりになる教育資金の準備方法


「学資保険以外の選択肢も知りたい」という方のために、代表的な方法を整理します。
それぞれ特徴が異なるため、家庭の状況・リスク許容度・優先することによって選び方が変わります。
① 新NISA(つみたて投資枠)で長期積立
2024年から始まった新NISAの「つみたて投資枠」を使い、インデックスファンド(株価指数に連動する投資信託)を毎月積み立てる方法です。
- 年間120万円まで投資可能(つみたて投資枠)
- 運用益・売却益が非課税
- いつでも換金・引き出しが可能(柔軟性がある)
- 口座は親名義で開設(子ども名義では開設不可)
- 元本保証はなく、値下がりリスクがある
長期で積み立てることで、複利効果によって資産が増えることが期待できます。
ただし、投資である以上、元本割れのリスクがある点は理解しておく必要があります。
「18歳時に必ずこの金額を用意する」という使い方には向いておらず、余裕を持たせた計画が必要です。
② 定期預金・自動積立定期
毎月一定額を自動的に定期預金に積み立てる方法です。
元本保証があり、リスクゼロで確実に積み上がります。現在の金利水準では増やす効果は限定的ですが、「絶対に減らしたくない」資金の確保には最も安全な手段です。
新NISAと組み合わせて、「確実に必要な入学金は定期預金で確保、それ以上の教育費はNISAで増やす」というハイブリッド活用も有効です。
③ こどもNISA(2027年開始予定)
2027年から開始が予定されている「こどもNISA」は、子ども名義で運用できる新制度です。
詳細は現時点(2026年5月)で未確定の部分が多いため、制度が確定したタイミングで活用を検討するとよいでしょう。
なお、2023年末で終了したジュニアNISAとは別の新制度です。混同しないよう注意が必要です。



「効率的にお金を増やしたい」というお気持ちが強いなら、学資保険以外の方法も検討する価値があります。ただし、新NISAは投資である以上、必ず増えるとは言えません。「どのくらいのリスクなら許容できるか」「いつまでにいくら必要か」を整理した上で判断することが大切です。
学資保険 vs 新NISA|どちらを選ぶべき?徹底比較


最もよく比較される「学資保険 vs 新NISA」の違いを表にまとめます。
どちらが優れているというわけではなく、何を優先するかによって選び方が変わります。
| 比較項目 | 学資保険 | 新NISA(つみたて投資枠) |
|---|---|---|
| 元本保証 | あり(満期まで継続の場合) | なし(元本割れあり) |
| 期待利回り | 低め(年0.5〜1.0%程度) | 高め(年3〜7%程度が目安)※保証ではない |
| インフレ対応 | 弱い | 強い(株式で実物資産に投資) |
| 途中引き出し | 原則不可(解約返戻金は元本割れ) | いつでも可能 |
| 払込免除保障 | あり(親が亡くなった場合) | なし(別途生命保険が必要) |
| 強制積立効果 | 高い(自動引落し) | 自分で継続する意志が必要 |
| 受け取り時期 | 契約時に確定 | 任意(いつでも) |
| 税制優遇 | 一般的な保険の控除のみ | 運用益・売却益が非課税 |
※利回りは過去の実績に基づく一般的な目安です。将来の運用成果を保証するものではありません。
「確実性」を最優先にするなら学資保険、「増やすこと」を優先するなら新NISAという整理ができます。
実際には、両方を組み合わせて使うのが現実的な選択肢のひとつです。
たとえば「入学金だけは学資保険で確実に確保し、その他の教育費はNISAで増やす」という方法も有効です。
教育資金の準備で失敗しないための3つのポイント


手段を選ぶ前に、教育費の準備全体を設計する上で押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
① 「いつまでにいくら必要か」を先に決める
教育費の準備で最も大切なのは、ゴールを先に設定することです。「大学入学時に最低100万円は現金で持っておきたい」など、具体的な金額・時期を決めた上で手段を選びます。
ゴールが決まると、毎月いくら積み立てる必要があるかが計算できます。逆に「とりあえず学資保険に入った」では、足りるかどうかもわからないまま進んでしまいます。
② 生活防衛資金は別に確保する
教育費の積立とは別に、生活費の6ヶ月分程度は手をつけない緊急予備資金として確保しておくことが重要です。緊急予備資金なしに学資保険に保険料を入れすぎると、急な出費のときに解約して損をするという本末転倒な結果になりかねません。
③ 住宅購入・老後資金とのバランスを確認する
教育費だけを切り取って考えるのではなく、住宅購入・老後資金・緊急予備資金などと合わせてバランスを取ることが重要です。「教育費に全力を注いで老後資金が不足する」という落とし穴は意外と多く見られます。家計全体のキャッシュフロー(年ごとの収支・貯蓄残高の流れ)を整理してから判断することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)


Q. 学資保険はいつまでに入ればいいですか?
一般的に、子どもが0歳〜3歳までに加入すると保険料が低くなりやすく、積立期間も長く取れます。
子どもの年齢が上がるほど保険料が高くなるか、加入できなくなる場合もあります。
迷っている方は早めに比較検討することをおすすめします。
Q. 新NISAで教育費を準備する場合、子ども名義でできますか?
新NISAは18歳未満の子どもは開設できません。
親名義のNISA口座で積み立て、大学進学のタイミングで取り崩して使うという方法が一般的です。2027年開始予定の「こどもNISA」が始まれば、子ども名義での運用が可能になる見込みですが、詳細は制度確定後に確認が必要です。
Q. iDeCoは教育費の準備に使えますか?
iDeCo(個人型確定拠出年金)は原則として60歳になるまで引き出せない制度です。
そのため、教育費(子どもが18〜22歳のときに必要)には使えません。iDeCoは老後資金の準備に特化した制度として活用し、教育費は新NISAや学資保険など別の方法で準備しましょう。
Q. 学資保険と新NISAは両方やるべきですか?
家計に余裕があれば、両方を組み合わせて使う方法も有効です。
「入学金など確実に必要な資金は学資保険で確保し、在学中の費用や授業料はNISAで増やす」という分担が一つの考え方です。ただし、保険料・積立額が家計の負担になりすぎないよう、月々の収支バランスを確認した上で決めることが大切です。
まとめ


「学資保険はいらない」という意見には一定の合理性がありますが、すべての家庭に当てはまるわけではありません。
大切なのは仕組みを正しく理解し、わが家の状況に合った方法を選ぶことです。
| 確認ポイント | 内容 |
|---|---|
| 教育費の目安 | 全公立で約820万円、全私立で約2,200〜2,500万円(目安) |
| 学資保険の特徴 | 元本保証・強制積立・払込免除がある。利回りは低め |
| いらないと言われる理由 | 低利回り・途中解約で損・インフレに弱い |
| 向いている人 | 貯蓄が苦手・元本割れ絶対NG・確実性を優先したい |
| 代替手段 | 新NISA(つみたて)・定期預金・学資保険との組み合わせ |
| 注意点 | iDeCoは教育費に使えない。生活防衛資金の確保が先 |
「学資保険と新NISAどちらが自分に合っているか確認したい」「家計全体のバランスを見た上で教育費の準備方法を決めたい」という方は、伊藤FPオフィスのマイホーム購入診断・家計相談をご利用ください。お子さんの年齢・家計の状況・住宅購入の計画などを踏まえて、あなたに合った方法を一緒に整理します。
※ 本内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の保険商品・金融商品の購入や契約を勧めるものではありません。教育費の目安・利回りは一般的な試算例であり、実際の金額・成果は異なります。個別のご相談については、伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。

