「住宅ローンっていくらまで借りられるの?」
「銀行に審査を出す前に、自分の年収でどれくらいが適正なのか知りたい」
住宅購入を検討しはじめると、最初にぶつかるのがこの疑問です。
不動産会社のシミュレーターで「年収の7〜8倍まで借りられます」と出ても、それは「審査が通る上限」であって、「無理なく返せる金額」とはまったく別の話です。
この記事では、金融機関の審査基準と「本当に無理なく返せる借入額」の考え方を、年収別の目安表とともにわかりやすく解説します。住宅購入前に一度整理しておくことで、後悔のないローン計画を立てることができます。
- 「借りられる額」と「無理なく返せる額」の違い
- 銀行審査で使われる「返済比率」の仕組み
- 年収別・借入上限と無理のない借入額の目安表(年収400万〜1,000万)
- ライフプランで借入額が変わる理由
- 千葉・東京エリアで住宅購入する場合の現実的な判断軸
- よくある失敗パターンと対策
✍️ この記事の監修者
代表・監修者
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表
千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。
「借りられる額」と「無理なく返せる額」は別物

住宅ローンを考えるうえで、最初に理解しておきたい重要な考え方があります。
それは、金融機関が「貸してくれる上限額」と、家計が「無理なく返し続けられる額」は、まったく異なるということです。
銀行の審査は「このお客さまがデフォルト(返済不能)にならないか」を判断するためのものです。
審査が通ったからといって、その金額を借りることが家計にとって最善かどうかは別問題です。
- 審査上の借入上限:金融機関が「貸せる」と判断する最大額。返済比率30〜35%を基準に算出
- 無理なく返せる借入額:教育費・老後資金・生活費を含めた家計全体で、返済を続けられる額。返済比率20〜25%が目安
この2つの差額が、「借りすぎて後悔した」という失敗の温床になります。「審査が通った=安心して借りていい金額」ではない点を、住宅購入の前提として押さえておきましょう。
FP伊藤銀行からの融資承認が下りると、ひとまず安心ですよね。ただし、借りれる額と返せる額は必ずしも同じではないことに注意です。さらに気を引き締めて返済計画に臨みましょう!
銀行審査で使われる「返済比率」とは?


金融機関が住宅ローンの審査で最も重視する指標のひとつが、返済比率(返済負担率)です。
返済比率とは、年収に占める年間返済額の割合のことです。
返済比率(%)= 年間返済額 ÷ 年収 × 100
例)年収500万円・年間返済額125万円(月10.4万円)の場合
125万円 ÷ 500万円 × 100 = 25%
審査基準と理想の返済比率の違い
| 返済比率 | 内容 | 生活への影響 |
|---|---|---|
| 35%以下 | 多くの金融機関の審査上限 | 返済は可能だが生活は厳しくなる可能性あり |
| 25〜30% | 一般的に「無理のない」とされる水準 | 生活費・貯蓄もある程度確保できる |
| 20〜25% | FP推奨の「ゆとりある」水準 | 教育費・老後資金の積立も並行できる |
| 20%未満 | 余裕のある水準 | 家計への影響が小さく、繰り上げ返済も可能 |
フラット35の審査基準は、年収400万円未満で返済比率30%以下、年収400万円以上で35%以下とされています。ただし、審査が通る上限ギリギリで借りることと、生活が豊かであることは別の話です。
年収別|借入上限と無理のない借入額の目安表


以下の表は、変動金利0.5%・返済期間35年を前提とした試算です。実際の借入額は金利・返済期間・家族構成・他のローンの有無によって大きく変わります。あくまで目安としてご参照ください。
| 年収 | 審査上の借入上限目安 (返済比率35%) | 無理なく返せる目安 (返済比率25%) | 月々の返済額目安 (無理なく返せる額) |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 約2,800万円 | 約2,000万円 | 約5.4万円 |
| 500万円 | 約3,500万円 | 約2,500万円 | 約6.8万円 |
| 600万円 | 約4,200万円 | 約3,000万円 | 約8.2万円 |
| 700万円 | 約4,900万円 | 約3,500万円 | 約9.5万円 |
| 800万円 | 約5,600万円 | 約4,000万円 | 約10.9万円 |
| 1,000万円 | 約7,000万円 | 約5,000万円 | 約13.6万円 |
※ 変動金利0.5%・35年返済・ボーナス払いなしの試算。金利上昇・他ローン・保険料等は含みません。



仮に年収が1000万円の世帯でも、扶養家族が多かったり、支出が多いと返済が大変になるケースも少なくありません。現在の我が家の収支はどうなっているかを把握することが大切です。
返済比率だけでは足りない|ライフプランで借入額は変わる


返済比率の計算はあくまでも「現在の年収と返済額の関係」を見たものです。
しかし住宅ローンは35年という長期にわたります。ライフプランの変化を見越したうえで、借入額を決めることが不可欠です。
借入額の判断に影響する主なライフイベント
- 教育費:子ども1人の教育費は幼稚園〜大学卒業まで総額1,000万〜2,000万円超が目安(公立・私立の組み合わせで変動)
- 育休・産休期間:共働き世帯では妻の育休中に世帯収入が20〜30%程度減少するケースが多い
- 老後資金:年金だけでは不足する老後資金の積立を、ローン返済と並行して行う必要がある
- 車・リフォームなどの大型出費:住宅ローン以外の支出も長期で見通す必要がある
- 金利上昇リスク:変動金利の場合、将来の金利上昇で返済額が増加する可能性がある
特に共働き世帯が「2人の収入合算」で借入額を決めるのは注意が必要です。
育休・時短勤務・転職などで一方の収入が減った場合、返済が家計を圧迫するリスクがあります。
借入額の判断は「片方の収入だけでも返済できるか」を基準に持っておくと安心です。
千葉・東京エリアで住宅購入する場合の現実的な判断


千葉・東京エリアでは、新築一戸建ての価格帯が4,000万〜5,000万円台、都内マンションになると5,000万〜7,000万円台が珍しくありません。
年収600万〜700万円の世帯では、「無理なく返せる目安(年収の5倍)」を大きく超えた物件を検討しているケースも多く見受けられます。
この場合に考えたいのが、以下の対応策です。
- 頭金の準備で借入額を圧縮する:500万〜1,000万円の頭金を準備することで、月々の返済を現実的な水準に抑えられる
- 購入エリアの再検討:千葉県の松戸・柏・佐倉エリアなど、都心からやや離れることで3,000万〜4,000万円台の物件を選択肢に加えられる
- 繰り上げ返済の計画を立てる:子どもの独立後など教育費が落ち着く時期に集中返済するプランを事前に設計する



千葉エリアのお客様でも、都市部寄りでお探しの場合は東京エリアとそこまで変わらない相場帯になっていることが多いです。通勤や将来の子育て環境と相談しつつ、現実的な資金計画を立てたいですね。
住宅ローンの借りすぎで起きる失敗パターン


「借りられる上限ギリギリで借りた結果、後悔した」というご相談は少なくありません。
よくある失敗パターンを整理します。
失敗パターン① 教育費との両立ができなくなった
住宅ローンの返済で家計が圧迫され、子どもの進路選択(私立・塾・習い事)を金銭的な理由で制限せざるを得なくなるケースです。購入時に教育費のピーク時期(子どもが小学〜大学在学中)を想定していなかったことが原因です。
失敗パターン② 金利上昇で返済額が想定外に増えた
変動金利を選んだ場合、金利が上昇すると月々の返済額も増加します。2024年以降、日本銀行の利上げ方針を受けて住宅ローン金利は上昇傾向にあります。「いまの金利で計算した返済額」だけで判断すると、将来のリスクを見落とします。
失敗パターン③ 老後資金の準備が後回しになった
住宅ローンの返済期間中は老後資金の積立が滞り、60代で「住宅ローンは完済したが貯蓄がほとんどない」という状況に陥るケースです。住宅購入を機に、老後資金の積立(iDeCo・NISAなど)との両立計画を立てることが重要です。
よくある質問(FAQ)


Q. 世帯年収と個人年収、どちらで借入額を考えればいい?
金融機関の審査は収入合算やペアローンで世帯年収ベースも可能ですが、借入額の判断は「片方の収入だけでも返済できるか」を基準にすることを推奨します。育休・転職・病気などで一方の収入が一時的にゼロになっても返済を続けられる水準が安心です。
Q. 頭金なし(フルローン)でも問題ない?
審査が通ればフルローンも可能ですが、借入額が大きくなるため月々の返済額と総返済額が増加します。また、購入直後に売却が必要になった場合に「残債 > 売却価格」になるリスク(オーバーローン)も高まります。可能であれば物件価格の5〜10%程度の頭金を準備することで、返済の余裕が生まれます。
Q. 返済期間は35年が一般的?短くしたほうがいい?
返済期間を長くすると月々の返済額は下がりますが、総返済額(利息)は増えます。一方、返済期間を短くすると月々の負担は増えますが利息を節約できます。一般的には「35年で組んで、余裕が出たタイミングで繰り上げ返済する」という方法が、家計の柔軟性を保ちながら利息を減らす現実的な戦略です。
Q. 変動金利と固定金利、どちらが得?
一概にどちらが得とは言えません。変動金利は現状の金利が低い分、毎月の返済が抑えられますが、金利上昇リスクがあります。固定金利は返済額が確定するため家計計画が立てやすい反面、現状では変動より金利が高めです。家計のリスク許容度・返済期間・金利動向の見通しをふまえて選択することが大切です。迷う場合はFPへの相談がおすすめです。
まとめ


住宅ローンの借入額は、「銀行が貸してくれる上限額」ではなく「家族全員が生活を豊かに保ちながら返済できる額」で決めることが大切です。返済比率20〜25%を目安にしつつ、教育費・老後資金・金利上昇リスクも含めたライフプランで判断しましょう。
| 確認ポイント | 内容 |
|---|---|
| 審査上の借入上限 | 年収の7倍程度(返済比率35%)が目安 |
| 無理なく返せる目安 | 年収の5倍程度(返済比率25%)が推奨 |
| 共働きの注意点 | 片方の収入だけでも返済できるか確認する |
| ライフプランの反映 | 教育費・育休・老後資金を含めて試算する |
| 千葉・東京エリア | 物件価格が高いため頭金・エリア選定が重要 |
| 金利リスク | 変動金利の場合、将来の金利上昇を織り込む |
「自分の年収でどれくらいの家が買えるのか、具体的に確認したい」という方は、伊藤FPオフィスの住宅購入前診断をご利用ください。家計の収支・教育費・老後資金を整理したうえで、無理のない借入額を一緒に確認します。
※ 本内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融機関・商品の利用を勧めるものではありません。借入可能額・返済額は金利・返済期間・審査条件によって異なります。個別のご相談については、伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。

