年収1000万円の手取り額はいくら？給与から引かれる金額を解説

「年収1000万円」と聞くと、高収入で裕福な暮らしを想像するかもしれません。

しかし、実際には税金や社会保険料で多くが差し引かれ、思ったほど手取りが残らないことも少なくありません。

このような現実を知り、賢くお金を管理することが、より豊かな生活への鍵です。

この記事では、年収1000万円の手取り額や税金の仕組み、そして節税対策を分かりやすく解説し、無駄のないお金の使い方をサポートします。

これから高収入を目指す方や、すでに高収入の方にとっても役立つ内容をお届けします！

はじめに：年収1000万円ってどんなイメージ？

年収1000万円という金額は、多くの人にとって「高収入」と感じられる水準です。

実際、日本の全労働者の中で年収1000万円以上を稼いでいる人は少数派であり、平均年収が約450万円と言われる中で、倍以上の収入を得ることは一つの成功の象徴と言えるでしょう。

では、年収1000万円を稼ぐと、どのような生活が待っているのでしょうか？

まず、家や車など、より高価なものを手に入れる選択肢が増えます。

たとえば、広いマンションに住むことや、最新の家電や高級ブランド品を手に入れることができるかもしれません。

また、旅行や趣味に使えるお金も増え、ライフスタイルがより豊かになると感じられることが多いです。

しかし、年収1000万円には「税金」という大きな壁があります。

高収入になるほど、税金や社会保険料の負担も増えます。

日本の税制度は「累進課税」といって、稼ぐ金額が大きくなるほど税率も高くなります。

年収1000万円ともなると、所得税や住民税の負担がかなり重く、実際に手元に残るお金は思ったより少なくなるかもしれません。

さらに、年収1000万円以上を稼ぐ人たちは、仕事の責任も大きく、ストレスや長時間労働を経験することが多いです。

高収入には多くのメリットがありますが、その分、仕事や生活にかかるプレッシャーも増える可能性があります。

年収1000万円は確かに豊かなライフスタイルを手に入れるための一歩ですが、それと同時に税負担や仕事の責任が増えることも忘れてはいけません。

年収1000万円を目指す上で、そのバランスを理解し、自分に合ったお金の使い方や働き方を見つけることが大切です。

年収1000万円の手取りはいくらになる？

年収1000万円と聞くと

「たくさんのお金が手元に残る」

と思うかもしれませんが、実際に手元に残るお金（「手取り」と言います）は、税金や社会保険料を引かれた後なので、思ったほど多くはありません。

まず、日本では「給与所得控除」と「基礎控除」と呼ばれる仕組みがあります。

これにより、収入の一部は課税されず、税金を計算する前に引かれます。給与所得控除は収入に応じて決まる額で、年収1000万円の場合、約195万円が控除されます。

また、誰にでも適用される基礎控除は、2023年時点で48万円です。

これらの控除を引いた後、残りの金額に対して所得税や住民税が課されます。

具体的には、年収1000万円の人の場合、控除を引いた後の課税対象額は約757万円になります。

この金額に対して、所得税と住民税がかかりますが、所得税は累進課税といって、所得が多いほど税率が高くなる仕組みです。

所得税約23%程度（課税所得によって変わります）、住民税は一律で10%です。

また、これに加えて健康保険料や年金保険料などの社会保険料も差し引かれます。

年収1000万円の場合、社会保険料の合計は約140万円ほどになることが多いです。

これらすべてを引いた結果、年収1000万円の人の手取りはだいたい700万円前後になることが多いです。

つまり、年収1000万円を稼いでも、実際に使えるお金は700万円程度というわけです。

手取り額を知ることは、自分の生活費や貯金を計画する上でとても重要です。

年収が高いと税金や保険料の負担も大きくなるので、収入が増えたからといって安心せず、賢くお金を管理することが大切です。

所得税の仕組み：年収1000万円の納税額を理解しよう

所得税は、働いて得た収入に対してかかる税金です。

日本では「累進課税制度」という仕組みが使われていて、これは収入が多くなるほど税率（税金の割合）が高くなるという制度です。

これにより、収入が増えるほど、払わなければならない税金の割合も高くなります。

所得税率の説明

所得税にはいくつかの段階があり、年収に応じて異なる税率が適用されます。2023年時点では、所得税率は以下のように段階的に決まっています：

これらの税率は「段階的」に適用されるため、年収のすべてに対して一番高い税率がかかるわけではありません。

たとえば、年収1000万円の人の場合、一部の収入に対しては20%や23%の税率が適用され、一部には33%の税率がかかります。

累進課税制度の影響

累進課税制度では、収入が増えると高い税率が適用される部分が増えるため、実際の手取り額が収入に比例して増えるわけではありません。

年収1000万円になると、所得税だけでなく、住民税や社会保険料の負担も増えるため、手取り額が思ったほど増えないと感じることが多いです。

たとえば、年収1000万円の場合、所得税はだいたい150万円から180万円程度になることが多いです。

この金額は、控除を引いた後の課税所得に基づいて計算されます。

具体的には、年収1000万円から給与所得控除や基礎控除を差し引いた金額に対して、段階ごとの税率をかけて計算されます。

税率による実際の負担額

年収1000万円の人が支払う所得税の具体的な金額をもう少し見てみましょう。

たとえば、年収1000万円の人の課税所得は、給与所得控除や基礎控除を差し引いた後、約757万円になります。

この金額に対して、先ほどの税率表に基づいて税金が計算されます。

まず、195万円までは5%、次の135万円には10%、その次の365万円には20%、そして、残りの62万円には23%が適用されます。

これらを合計すると、約150万円から180万円の所得税がかかるという計算になります。

このように、年収1000万円を稼いでも、累進課税によって高い税率がかかるため、実際の手取り額はかなり減ってしまいます。

しかし、税金をしっかり理解することで、より効果的な節税対策を取ることができ、手元に残るお金を増やすことも可能です。

所得税の仕組みを知ることは、将来の計画を立てる上でとても役立ちます。

特に年収が増えるにつれて税金の負担も増えるため、自分の収入に応じたお金の使い方や節税対策を考えることが大切です。

住民税はどのくらい引かれるのか？

住民税は、あなたが住んでいる市区町村や都道府県に納める税金です。

所得税が国に払う税金であるのに対して、住民税は地方自治体に支払うものです。所得税と同じように、収入があると住民税もかかってきます。

住民税の計算方法

住民税は、大きく分けて「所得割」と「均等割」という2つの部分から構成されています。

住んでいる地域による違い

住民税の基本的な計算方法は全国共通ですが、自治体ごとに多少の違いがあることもあります。

たとえば、東京23区など大都市では、財政が豊かなので税金が比較的安定していますが、過疎地や地方の自治体では、財政状況に応じて若干の増減があることもあります。

また、災害復興などの特別な事情がある場合、一時的に住民税の均等割部分が増えることもあります。

ただし、これらの違いは大きな影響を与えるほどではなく、多くの人にとっては住んでいる場所によって住民税額が大きく変わることはあまりありません。

基本的に、全国どこでも10%の所得割が住民税として引かれると考えてよいでしょう。

住民税の納税のタイミング

住民税は、その年の収入に対してではなく、前年の所得に基づいて計算されます。

たとえば、2024年に支払う住民税は2023年の所得に基づいて決定されます。

会社員の場合、住民税は給料から毎月天引きされることが多く、まとめて支払う負担を感じにくい仕組みになっています。

社会保険料の負担額：健康保険、年金、雇用保険の詳細

社会保険料は、私たちが安心して生活できるように、病気や老後、失業に備えて支払う保険料です。

主に「健康保険」「年金保険」「雇用保険」の3つがあり、会社員や自営業者で負担の方法が異なります。

これらの保険料は給料から自動的に天引きされることが多く、知らないうちに毎月支払っています。

社会保険料の内訳とその負担額

会社員と自営業者の違い

社会保険料の負担額は、会社員と自営業者で大きく異なります。

会社員は、社会保険料の半分を会社が負担してくれますが、自営業者の場合はそのすべてを自分で支払わなければなりません。

まとめ

年収1000万円の会社員の場合、健康保険、厚生年金、雇用保険などの社会保険料の合計は年間約140万円ほどになります。

これに対して、自営業者の場合は国民健康保険と国民年金を全額自己負担しなければならず、特に収入が高い人にとっては負担が大きくなります。

社会保険料は日々の生活を守るために欠かせない制度ですが、その負担を理解することで、収入に合わせた賢いお金の使い方を学ぶことが重要です。

特に高収入になればなるほど、税金や保険料の負担が増えるため、支出をしっかり管理することが大切です。

年収1000万円の手取りシミュレーション：年齢や扶養家族で変わる？

年収1000万円を稼ぐ場合、手取り額は単に収入だけでなく、扶養家族や配偶者の有無、年齢などによっても変わります。

これは「扶養控除」や「配偶者控除」といった税金の控除制度が影響するからです。

控除があることで、課税対象となる所得が減り、結果的に支払う税金が少なくなる仕組みです。

独身者と既婚者、子どもの有無による違い

まず、独身か既婚か、そして子どもがいるかどうかによって大きく変わる要素は扶養控除や配偶者控除です。

これらの控除があると、その分だけ課税所得が減るため、支払う税金が少なくなり、手取りが増えます。

扶養控除や配偶者控除の影響

扶養控除や配偶者控除は、手取り額に直接影響を与える大切な要素です。

控除が増えると、課税所得（税金を計算する基準となる所得額）が減り、結果的に支払う税金も少なくなります。

控除が適用されるかどうかは、その年の収入や家族の状況によって変わります。

たとえば、配偶者がパートなどで103万円を超える収入がある場合、配偶者控除は適用されません。

また、子どもが16歳未満の場合、扶養控除は適用されないため、手取り額には影響しません。

しかし、子どもが16歳以上であれば、その分控除が受けられるため、手取り額が増えることになります。

手取り額を増やす方法：控除や節税対策のポイント

手取り額を増やすには、税金を少なくするための「控除」や「節税対策」を上手に活用することが重要です。

控除は、税金を計算する基準となる所得から一定額を差し引くことができる仕組みで、結果的に支払う税金が少なくなり、手元に残るお金（手取り）が増えます。

今回は、「ふるさと納税」や「生命保険控除」、さらに「住宅ローン控除」といった具体的な節税方法をご紹介します。

ふるさと納税の活用法

ふるさと納税は、好きな自治体に寄付をすることで、その寄付額の大部分が翌年の住民税や所得税から控除される制度です。

しかも、寄付をするともらえる「返礼品」として、地域の特産品（お肉やお米、果物など）を受け取ることができるため、非常に人気があります。

具体的には、ふるさと納税をすることで、寄付額の約2000円を超える部分が税金から控除されます。

たとえば、年収1000万円の場合、ふるさと納税で約20万円まで寄付することができ、その金額が控除対象となります。

つまり、2000円だけの負担で特産品を受け取り、さらに税金が減らせるというメリットがあります。

ふるさと納税は簡単な手続きで始められる上に、節税効果が高い方法なので、ぜひ活用して手取りを増やしましょう。

生命保険控除の活用法

生命保険に加入している人は、「生命保険料控除」という節税制度を利用することができます。

生命保険控除では、支払った保険料の一部を所得から差し引くことができ、その分税金が少なくなります。

生命保険控除には、「一般生命保険控除」「介護医療保険控除」「個人年金保険控除」の3つの種類があり、それぞれで控除額が異なります。

たとえば、一般生命保険や医療保険、個人年金に年間8万円以上の保険料を支払っている場合、それぞれで最大4万円の控除を受けることができます。

すべての控除をフルに活用すれば、最大12万円の控除を受けることが可能です。

この控除によって課税所得が減るため、結果的に所得税や住民税が軽減され、手取り額が増えます。

保険に加入している方は、この控除を忘れずに申告することで節税効果を得ることができます。

住宅ローン控除のメリット

住宅を購入するときに住宅ローンを組んだ人には、「住宅ローン控除」という強力な節税制度が適用されます。

この制度では、住宅ローンの年末残高に応じて、その0.7%が最大13年間にわたって所得税から控除されます。

たとえば、年末時点で住宅ローンの残高が3000万円だった場合、その0.7%である21万円がその年の所得税から差し引かれます。

もし、その年の所得税が21万円未満の場合は、控除しきれなかった金額が翌年の住民税から差し引かれるため、税負担が大幅に軽くなります。

年収1000万円の人でも住宅ローン控除を利用することで、年間の税負担を大幅に減らすことができ、手取り額を大きく増やすことができます。

この制度は住宅を購入した場合に限られますが、非常にメリットが大きいため、家を買う際にはぜひ活用したいポイントです。

まとめ：年収1000万円の手取り額をしっかり理解して賢くお金を使おう

年収1000万円は一見高収入に思えるかもしれませんが、税金や社会保険料を考慮すると、手元に残るお金、つまり手取り額は意外と少なくなります。

年収1000万円の場合、所得税、住民税、そして健康保険や年金などの社会保険料がかなりの額を占め、最終的に手取り額は700万円前後に減ってしまいます。

税金や社会保険料は、私たちが暮らす社会を支えるために必要なものです。

しかし、それらの仕組みを理解していないと、無駄な支出や「手取りが思ったより少ない」と感じることがあります。

そこで、まずは自分の収入に対してどれだけの税金や社会保険料が引かれるのかをしっかり把握することが大切です。

さらに、ふるさと納税や生命保険控除、住宅ローン控除といった節税対策を上手に活用することで、税金の負担を軽くし、手取り額を少しでも増やすことができます。

節税をすることで、将来の生活や大切な目標に向けて、賢くお金を使うことができるようになります。

高収入であっても、賢くお金を管理しないと、思わぬ出費やライフスタイルの維持でお金が足りなくなることもあります。

だからこそ、税金や社会保険料の仕組みを理解し、節税の知識を活用して、無駄のないお金の使い方を心がけることが重要です。

最後に、年収が増えるほど支出も増える傾向があるので、収入の多さに安心せず、将来に備えてしっかりとした資産計画を立てましょう。

税金や社会保険料を理解し、賢くお金を使うことが、豊かで安定した生活への一歩です。