変額保険は、保険でありながら資産運用の要素を持つ一風変わった商品です。
「投資をしながら、保障も得たい」
と考える人にとって魅力的に見えるかもしれませんが、実はその裏にあるリスクやデメリットを十分に理解していないと、後悔してしまう可能性も。
この記事では、変額保険を検討する前に知っておくべき
「変額保険の加入をやめた方がいい人」
の特徴を詳しく解説し、あなたにとって本当に適した商品かどうかを見極めるポイントをお伝えします。
ぜひ最後まで読んで、自分に合った判断をしましょう!
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス代表
【保有資格】
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- CFP®︎ CERTIFIED FINANCIAL PLANNER
- 宅地建物取引士
- 証券外務員1種
変額保険とは?基本的な仕組みを簡単に解説
変額保険とは、生命保険の一種でありながら「投資」の要素も持っている保険です。
通常の生命保険と違い、保険料の一部が株式や債券などの「投資信託」に運用されるため、運用結果によって受け取る金額が変動するのが大きな特徴です。
これが「変額」という名前の由来です。
具体的には、毎月支払う保険料の一部が保険としての保障に使われ、残りが投資に回されます。
投資信託がうまくいけば、契約時に約束された保障額以上のリターンが得られる可能性がありますが、逆に運用がうまくいかない場合は、最終的に受け取る金額が減ることもあります。
つまり、良い時にはお金が増えることもありますが、悪い時には元本割れといって、払った額よりも少なくなるリスクもあるのです。
このように、変額保険には「リターンの可能性」と「リスク」が共存しています。
そのため、リスクを取ってでも、長期的な運用でお金を増やしたいと考える人に向いていますが、逆に「お金が減るのは避けたい」という人にはあまり適していません。
変額保険は、投資をしながら保障も得たいという人にとっては魅力的ですが、運用リスクや手数料の高さなど、しっかり理解してから加入する必要があります。
初心者の場合は特に、自分に合った保険かどうかをよく検討することが大切です。
それでは、変額保険の加入をやめた方が良い人の特徴を見ていきましょう。
特徴1:リスク許容度が低い人には不向き
変額保険は、保険でありながら投資の要素を持つ商品なので、運用の結果によっては受け取るお金が増えることもあれば、逆に減ってしまうこともあります。
この
「お金が減ってしまうかもしれない」
というリスクがあるため、リスクを取ることが苦手な人や、お金が減るのが心配な人には向いていません。
リスク許容度が低い人というのは、たとえば、毎月の貯金が確実に増えていくことを好む人や、投資に対して不安を強く感じる人のことです。
変額保険では、株式や債券といった投資商品にお金が運用されるので、経済状況や市場の変動によって、毎月の運用結果が変わってしまいます。
特に、景気が悪くなると投資の価値が下がり、将来的に受け取る保険金額が少なくなる可能性があるのです。
たとえば、保険料を毎月払っていても、投資がうまくいかない場合には「元本割れ」といって、払い込んだ保険料よりも少ないお金しか受け取れなくなることがあります。
このような状況になると、保険としての役割が十分に果たせず、結果的に損をしてしまうこともあります。
リスク許容度が低い人にとって、このような不確実性や変動はストレスの元になります。
「お金が減るかもしれない」という心配を常に抱えて生活するのは、精神的にも負担が大きくなってしまいます。
そのため、安定した保障や確実な貯蓄を求める人は、変額保険ではなく、もっと安定的な保険商品や貯蓄型の保険を検討するほうが安心です。
リスクを許容できるかどうかは、変額保険を選ぶ上で大切なポイントになります。
特徴2:投資や資産運用に興味がない・知識が少ない人
変額保険は、生命保険でありながら投資信託のような「資産運用」の要素を持っています。
そのため、投資や資産運用に興味がない、または知識が少ない人には向いていません。
なぜなら、変額保険では保険料の一部が株式や債券などの投資に使われるため、その運用結果によって最終的に受け取るお金の額が大きく変わってしまうからです。
まず、投資に興味がない人にとっては、どんな投資商品にお金が運用されているのか、どのようなリスクがあるのかを理解するのが難しいと感じるかもしれません。
変額保険では、運用する資産の内容や市場の動きによって結果が大きく変わるため、ある程度の知識がないと、自分がどのようなリスクを取っているのか把握しづらいのです。
さらに、変額保険は自分で運用先を選ぶことができ、そうした場合には、定期的に運用状況を確認して、必要に応じて運用先を変更することも重要です。
投資や資産運用に興味がない人は、こうした「運用の見直し」を怠ってしまい、気がつけば運用がうまくいっていない状況に陥ることもあります。
また、投資に関する知識が少ないと、マーケットの動きや経済状況に左右される資産運用の結果を理解するのが難しいため、不安や不信感が増してしまうこともあります。
たとえば、株価が下がると運用資産が減り、元本割れを起こすリスクがあるため、そうしたリスクに対して適切に対応できないと、予想外の損失を出してしまう可能性もあります。
変額保険は投資に対する興味や知識がある人向けの商品です。
自分でリスクを理解し、必要に応じて資産を管理・調整できる人でないと、そのメリットを十分に活かすことが難しく、逆に不利益を被ることもあります。
投資や資産運用に興味がない人は、もっとシンプルでリスクの少ない保険商品を検討する方が安心です。
特徴3:長期で資産をロックしたくない人
変額保険は保険商品であるため、短期間での解約は元本割れを引き起こし、自由に引き出したり使ったりすることに支障が出ます。
言い換えると一定期間の間「資産をロックされてしまう」という事になります。
特に、長期間にわたって資産を動かせないことがデメリットになる場合があります。
保険商品は、契約期間中に毎月保険料を払い続け、満期になるまで基本的にはそのお金を使うことができません。
変額保険も同様で、長期的な運用を前提としているため、資産をすぐに引き出したり、途中で解約したりするのは簡単ではありません。
もし途中で解約してしまうと、解約手数料がかかったり、元本割れを起こして投資したお金よりも少ない金額しか返ってこないことが多いのです。
たとえば、数年後に大きな支出が予定されている場合や、将来お金が急に必要になるかもしれないと考えている人にとって、資産がロックされる変額保険は不便に感じるかもしれません。
必要な時にお金が自由に使えないと、生活の計画が狂ってしまうこともあるでしょう。
また、変額保険では運用が長期間にわたることが前提となっているため、短期間での利益を期待することは難しいです。
資産が増えるかどうかは、長い時間をかけて経済の動きに左右されるため、短期間でお金を増やしたい人や、すぐに資産を動かしたい人にはあまり向いていません。
そのため、
「いつでもお金を使える状態で保ちたい」
という人には、変額保険は不向きな選択肢です。
そういった人には、流動性が高く、必要な時にすぐに資産を取り崩せるような他の金融商品や保険を検討する方が適しているでしょう。
特徴4:手数料やコストを気にする人には負担が大きい
変額保険は、保険料の一部を投資に回すことで資産を増やすことを目的としていますが、その一方で、手数料や運用コストがかかります。
これらのコストは、契約者にとって負担が大きく、特に手数料やコストに敏感な人にとっては注意が必要です。
まず、変額保険では主に以下のような手数料やコストが発生します。
1. 保険の基本的な手数料
変額保険は保険商品の一つなので、通常の生命保険と同様に保険会社に支払う基本的な手数料がかかります。
この手数料は、保険料に含まれており、保障を受けるためのコストとして毎月引かれます。
2. 運用管理費
変額保険の大きな特徴である「資産運用」に関しても、運用管理費がかかります。
保険会社が投資信託などを通じて資産を運用する際に、その管理や運用のために必要なコストが発生します。
この費用は投資信託の運用成績にかかわらず支払わなければならないため、運用がうまくいかない時でもこの費用はかかります。
3. 解約手数料
もし途中で解約した場合、解約手数料が発生します。
特に契約から数年以内に解約すると、解約手数料が高額になることが多く、投資した額よりも少ないお金しか手元に戻らないことがあります。
解約したいと思った時に、思った以上に費用がかかる場合があるので、これも注意が必要です。
4. その他の手数料
場合によっては、運用先を変更するための手数料や、契約の変更に伴う費用が発生することもあります。
これらの細かい手数料が積み重なると、トータルで大きなコストになることがあります。
変額保険は、手数料や運用コストが他の保険商品よりも高くなることが多いです。
そのため、コストに敏感な人や、
「少しでも手数料を抑えたい」
と考える人にとっては、変額保険は負担が大きく感じられるかもしれません。
特に、長期間運用することを前提としているため、手数料やコストが長期間にわたってかかり続ける点も考慮する必要があります。
運用の結果次第では手数料以上のリターンが得られる場合もありますが、必ずしもそうとは限らないため、リスクとコストのバランスをしっかり理解することが大切です。
手数料やコストをしっかり確認した上で、
「このコストに見合うリターンが期待できるかどうか」
を自分自身で判断することが重要です。
特徴5:安定的な保障を求める人は他の保険を検討すべき
変額保険は、保険と投資が組み合わさった商品ですが、その保障内容は投資の運用状況によって変動します。
運用がうまくいけば、保険金額が増えることもありますが、逆に運用が悪化すれば、最終的に受け取るお金が少なくなってしまうことがあります。
こうした特性のため、
「毎月決まった金額の保障を安定的に受け取りたい」
と考える人にはあまり向いていません。
たとえば、定期的な生活費や子どもの教育費、老後の資金を見越して
「必ずこの金額を確保したい」
という方にとっては、変額保険の変動する保障はリスクが高すぎるかもしれません。
投資の運用が思わしくなければ、必要な時に思ったよりも少ない保障金しか受け取れない可能性があるため、安定的な計画が立てづらいのです。
一方、通常の終身保険や定期保険では、契約時に決めた保障額が固定されているため、景気の影響や株価の変動に関係なく、一定の保障を受けることができます。
これにより、毎月の支払い額と受け取る保障額が予測しやすく、安心感があります。
変額保険では、最低限の保障額が設定されていることもありますが、その金額が自分のニーズに対して十分かどうかを見極める必要があります。
さらに、投資が好調な時には保険金が増える可能性がありますが、逆に不調な時には最低保障だけに頼る形となり、結果的に予想を下回る場合もあります。
安定した保障が重要な方、特に将来の計画が確実であることを求める人は、変額保険以外の保険商品を検討する方が安心です。
変額保険を選ぶ際には、まず
「自分がどれくらいリスクを取れるか」
をしっかり考えることが大切です。
変額保険は、投資の要素が含まれているため、運用次第で大きな利益が得られる可能性がある一方、損をしてしまうリスクもあります。
このリスクをしっかりと理解し、自分がそれに耐えられるかを確認することが重要です。
まず、自分がどれくらい
「お金が減るかもしれない」
という状況に耐えられるかを考えてみましょう。
たとえば、投資の運用が悪くなって、将来の保障額が想定よりも減ってしまった場合、その影響に対処できるかどうかです。
リスクを取っても良いと思える人は、変額保険のメリットを活かせるかもしれませんが、少しでも不安がある場合は慎重に考えるべきです。
また、長期間資産がロックされることにも注意が必要です。
途中でお金を使いたくなったり、別の用途に資金が必要になる可能性があるなら、流動性の高い別の保険や金融商品を検討する方が安心です。変額保険は短期的な運用には向いていません。
変額保険は「リスクを取りつつ、資産を増やしたい」という人向けの商品です。
もし安定した保障を求めるなら、他のタイプの保険を検討した方が良いかもしれません。
変額保険に加入する前に、自分のリスク許容度や資産の目標をしっかり見直し、慎重に判断することが、後悔しないための鍵となります。