保険は「貯金」として使えると思っていませんか?
実は、保険はお金を貯めるための手段ではなく、万が一のリスクに備えるものです。
この記事では、保険で貯金をしてはいけない人の5つの特徴について解説します。
短期間でお金を使いたい人、手数料を気にする人、投資や資産運用の知識がある人にとって、保険を貯蓄手段にするのはリスクが大きいかもしれません。
あなたに合った資産形成方法を見つけるためのヒントを知り、将来のために賢くお金を運用しましょう!
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス代表
【保有資格】
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- CFP®︎ CERTIFIED FINANCIAL PLANNER
- 宅地建物取引士
- 証券外務員1種
はじめに:保険は「貯金」ではない?チェックすべきポイント
保険は「貯金」と混同されやすいですが、実はまったく違うものです。
貯金は、銀行や郵便局などにお金を預けて増やすことができる仕組みで、基本的にはいつでも引き出して使うことができます。
貯金の目的は、将来必要な時に備えてお金を安全に保管し、利息を少しでも増やすことにあります。
一方で、保険はあくまで「万が一の事態」に備えるものです。
たとえば、病気や事故、災害などで大きなお金が急に必要になったとき、その費用をカバーするのが保険の役割です。
では、なぜ保険で「貯金」をしようと考える人がいるのでしょうか?
それは、貯蓄型の保険という商品があるからです。
この保険は、一定期間お金を払うことで、契約が終わった後に一部または全部のお金が戻ってくる仕組みを持っています。
この仕組み自体は、貯蓄をしながら保険をかけることのできる優れたものですが、中には保険で貯蓄を行ってはいけない人もいます。
「保険で貯蓄をしてはいけない人」の特徴について見ていきましょう。
特徴1:短期でお金を使いたい人
短期的にお金が必要になる場合、たとえば数年後に旅行をしたいとか、大きな買い物をする予定があるときには、保険を使って貯金をするのはあまり良い選択ではありません。
なぜなら、保険は基本的に長期的な契約が前提となっているため、短期間でお金を使いたいときには不向きだからです。
まず、保険には契約期間があり、その期間中にお金を引き出すことが難しい場合があります。
もし途中で解約をすると、手数料がかかる上に、払った金額よりも少なくなってしまう、いわゆる「元本割れ」が起こる可能性があります。
これは、せっかく貯めたお金が損になるリスクがあるということです。
貯蓄型保険は運用コストがかかるため、短期間でお金を増やすには効率が悪いです。
仮に保険で貯金をしても、数年後にお金を引き出す時点では、思ったよりも少ない額しか戻ってこないことが多いです。
これでは、目標としていた金額に届かず、計画が崩れてしまうかもしれません。
短期間でお金を貯めたい場合、どのような方法が良いのでしょうか?
「貯める」のであれば、流動性の高い預金口座や定期預金です。
これらはいつでも引き出せる上に、保険のように手数料がかかる心配もありません。
また、短期間での資産形成を目指すなら、貯金の他に少額から始められる積立投資なども検討する価値があります。
積立投資は、毎月少しずつお金を積み立てる方法で、リスクを抑えながら資産を増やす手段です。
短期的な資金ニーズがある人にとって、保険は柔軟性に欠けるため、ほかの選択肢を活用するほうが賢明です。
短期で確実にお金を貯めたい場合には、貯金や定期預金など、いつでも引き出せる方法を選ぶことが大切です。
特徴2:保険の機能がいらない人
保険の機能がいらない人にとって、保険を「貯金」の代わりに使うのは注意が必要です。
保険は、そもそも「保障」を目的として設計されているため、保障にコストが掛かっています。
貯蓄型の保険と同じ利率の商品があるのなら、保険以外の方法を選んだ方が賢明です。
特徴3:流動性を重視する人
流動性を重視する人、つまり
「いつでもすぐにお金を使える状態にしておきたい」
という人にとって、保険で貯金をするのはあまり向いていません。
なぜなら、保険には契約期間があり、その期間中は自由にお金を引き出すことが難しいからです。
特に、貯蓄型保険の場合は契約期間が10年以上に及ぶことが多く、途中で解約するとペナルティとして元本割れが生じることもあります。
流動性を重視する人にとって大切なのは、
「いつでも引き出せるお金」
を持っておくことです。
自由にお金を動かせる方法を選びたいなら、銀行預金など、流動性が高い選択肢を検討するのが良いでしょう。
保険は、あくまで長期的なリスクに備える手段として使うべきです。
特徴4:手数料を気にする人
手数料を気にする人にとって、保険でお金を貯めることはあまり良い選択とは言えません。
保険商品には、運用にかかるさまざまな手数料が含まれており、それが最終的に貯金額に大きく影響するからです。
手数料は、目に見えにくい費用ですが、長期的に見るとかなりの金額になることがあります。
たとえば、貯蓄型の保険の場合、毎月保険料を支払いますが、その中には保険会社が管理するための手数料や運用コストが含まれています。
この手数料が多いほど、あなたが実際に積み立てている金額が減ってしまい、結果として「貯金」が思ったよりも増えない、あるいは減ってしまうこともあります。
これは、特に長期間の契約で大きな影響を及ぼします。
さらに、途中で解約するときにも「解約手数料」が発生します。たとえば、保険に5年ほどお金を積み立てていたとしても、その時点で解約すると戻ってくるお金が少なくなります。
場合によっては、積み立てた金額よりもかなり減ってしまうこともあります。
また、手数料がかからない投資商品もあります。たとえば、投資信託の中には「ノーロード」と呼ばれる、購入時に手数料がかからない商品もあります。
こうした商品を選ぶことで、手数料をできるだけ減らし、効率的にお金を運用することができます。
手数料を抑えたいのであれば、保険以外の貯金方法や、低コストの投資商品を検討するのが賢明です。
保険はあくまで万が一のためのリスク分散の手段と考え、貯金目的には避けたほうが良いでしょう。
特徴5:投資や資産運用の知識がある人
投資や資産運用の知識がある人にとって、保険で貯金をするのは非効率な選択肢だと言えます。
なぜなら、保険はあくまで「リスクに備えるための手段」であり、投資のように高いリターンを期待するものではないからです。
もし投資の知識を持っているのであれば、自己運用でより高いリターンを得られる可能性があります。
保険商品は、リスクを分散しながら一定の保障を得ることが目的です。
そのため、保険会社は運用の一部を低リスクの資産に回し、リスクを避ける運用を行います。
これにより、貯蓄型保険のリターンは基本的に低く設定されています。
さらに、保険には手数料や管理費が含まれており、これらのコストが運用益をさらに圧迫します。
結果として、保険にお金を預けても、思ったほどお金が増えない場合が多いのです。
一方、投資の知識がある人は、保険に頼らずに自分でお金を運用することで、より高いリターンを得ることが可能です。
たとえば、株式や投資信託、債券など、リスクを取りながらもリターンを狙う金融商品があります。
これらを使って自己運用を行うことで、保険のリターンよりも高い収益を得ることができるかもしれません。
もちろん、リスクが伴いますが、投資の知識がある人はリスク管理をしながら運用を最適化することができるでしょう。
結論として、投資や資産運用の知識がある人にとって、保険を使ってお金を貯めるのはリターンの面でも、柔軟性の面でも非効率です。
自分で投資を運用できる人は、保険を使わずに、リスクとリターンのバランスを考慮した投資方法を選ぶほうが、資産を効果的に増やせるでしょう。
保険はあくまでリスクに備えるためのツールとして使い、投資は別の手段で行うのが賢明です。
まとめ:自分に合った資産形成方法を見つけよう
保険は「貯蓄手段」として適していない人の特徴を、これまで説明してきました。
保険は本来、病気や事故などの「万が一」に備えるためのものであり、リスクに備えることが主な目的です。
したがって、保険を貯金代わりにするのは、思わぬデメリットがあることを理解しておくことが大切です。
では、どうすれば自分に合った資産形成ができるのでしょうか?
まず大事なのは、自分のお金を使う目的と期間をはっきりさせることです。
たとえば、短期的に使いたいお金は、手数料がかからず、いつでも引き出せる普通預金や定期預金が適しています。
長期的にお金を運用して増やしたい場合は、投資信託や株式など、リスクをコントロールしながら資産を成長させる手段を検討してみると良いでしょう。
保険は、あくまでリスクをカバーするための「お守り」として使うべきものであり、貯金や資産運用は別の方法で行うことが基本です。
自分に合った資産形成方法を見つけるためには、目標に応じてさまざまな金融商品を理解し、活用することが大切です。
手数料やリスクをよく確認しながら、自分に最適な方法でお金を賢く運用しましょう。