私立学校に通わせたいと考えているけれど、学費の負担が気になる…。そんな方も多いのではないでしょうか?
実際、私立学校の学費は公立学校に比べてかなり高額ですが、工夫次第で無理なく準備することができます。
本記事では、学費の詳細な内訳や、奨学金・助成金制度の活用法、さらに長期的な資金計画のコツまで、わかりやすく解説していきます。
将来の教育費に対する不安を少しでも解消し、安心して子どもに質の高い教育を提供するためのヒントが満載です。
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス代表
【保有資格】
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- CFP®︎ CERTIFIED FINANCIAL PLANNER
- 宅地建物取引士
- 証券外務員1種
私立学校の学費、どれくらいかかる?基礎知識から始めよう!
私立学校に通うための学費は、公立学校に比べて大きな違いがあります。
ここでは、学費を理解するために知っておくべき基本情報をお伝えします。
私立学校と公立学校の学費の違い
私立学校の学費は、公立学校の数倍高いことが特徴です。
文部科学省の調査によると、例えば、私立の小学校に通わせる場合、年間の学費は約 160万円。
一方、公立の小学校の学費は約 35万円 です。
つまり、私立学校の費用は公立の約4.7倍になります。
中学校や高校でも同様で、私立の中学校の学費は年間約 140万円、公立の中学校では約 54万円。
高校では、私立が約 105万円、公立が約 51万円 と、依然として私立の方が約2倍以上の費用がかかるのです。
何にお金がかかるの?
私立学校の学費には、授業料だけでなく、入学金や施設使用料、教材費などが含まれます。
さらに、制服代や修学旅行などの追加費用も必要です。
また、私立では塾や習い事などの課外活動に費用がかかることも多く、これらが学費全体を押し上げる原因となっています。
公立学校と私立学校の選び方
学費の違いは家計に大きな影響を与えるため、子どもにどの学校が適しているかだけでなく、長期的な資金計画も重要です。
公立学校でも、優れた教育環境を提供しているところも多く、家族の状況や目標に合わせた選択が求められます。
私立学校は質の高い教育や充実した施設を提供することが多いですが、そのためにかかる費用を考慮し、無理のない資金計画を立てることが大切です。
学費だけじゃない!私立学校にかかる「隠れた費用」も知っておこう
私立学校に通う際、授業料が最も大きな費用だと思われがちですが、それだけではありません。
実際には授業料以外にもさまざまな「隠れた費用」が存在します。
これらの追加費用も考慮しながら、教育費をしっかり計画することが大切です。
入学金や施設費
私立学校では、多くの場合、初年度に「入学金」と「施設費」がかかります。
入学金は、入学時に一度だけ支払う費用で、これが数十万円に及ぶことがよくあります。
例えば、私立小学校では入学金が 20万~30万円 程度かかる場合があります。
また、施設の維持管理に充てられる「施設費」も、年間 数万円から十数万円 がかかることが一般的です。
教材費とその他の学習費用
教科書やノートといった基本的な教材費に加えて、私立学校では特殊な教材やデジタルツールを使用することがあり、そのための費用が発生します。
特に進学校や専門的なカリキュラムを提供する私立学校では、高度な教材や教育ツールを使用することが一般的です。
そのため、年間の教材費は数万円に達することがあります。
制服代
私立学校では、多くの場合、指定された制服を購入する必要があります。
制服一式(夏服・冬服)に加え、体操服や部活動用のユニフォームなどが必要となるため、その総額は 5万~10万円 程度になることがあります。
さらに、成長に伴い制服を買い替える必要が生じるため、数年ごとに追加の費用が発生します。
クラブ活動や課外活動の費用
私立学校ではクラブ活動が盛んに行われており、特にスポーツや文化活動に熱心な学校では、活動に必要な道具や遠征費がかかることがあります。
例えば、スポーツ部に所属している場合、遠征や合宿にかかる費用が数万円に及ぶことがあります。
また、音楽部や美術部では、専用の楽器や画材が必要となり、それぞれの活動に応じた費用が発生します。
修学旅行や海外研修
私立学校では、公立学校と比べて修学旅行や海外研修の内容が充実していることが多く、その分費用も高額になります。
修学旅行の行き先が国内でも、数万円から10万円以上かかることがあります。
さらに、グローバルな教育を提供する学校では、海外研修が必須となる場合があり、渡航費や滞在費が別途必要になります。
これにより、1回の海外研修で10万~30万円ほどの追加出費が発生することもあります。
その他の費用
その他にも、学校行事や保護者会費、寄付金などの費用も発生することがあります。
特に私立学校では、学校への寄付金をお願いされるケースもあり、これが年間数万円に達することがあります。
また、スクールバスや通学費用も、学校が遠方である場合には大きな負担となるでしょう。
学費はどのくらい?私立小学校・中学校・高校の具体的な費用の目安
私立学校の学費は、公立学校に比べて大幅に高いことが知られています。
ここでは、私立小学校・中学校・高校それぞれの学費の目安と、地域ごとの違いについて詳しく説明します。
私立小学校の学費:年間の平均額と地域差
私立小学校の学費は、全国平均で年間 160万円 前後とされています。
この金額には、授業料、教材費、施設費、制服代などが含まれます。
特に都市部の私立学校は学費が高く、東京や大阪などの大都市圏では年間 200万円 を超えることもあります。
一方、地方の私立学校では、年間 100万円台 前半で済む学校もあります。
学費の内訳には、授業料だけでなく、入学時の入学金や施設整備費、さらには年間の寄付金などが含まれることが多く、これらは学校によって異なるため、事前に学校に確認することが重要です。
私立中学校の学費:どれくらいアップするのか?
私立中学校に進学すると、学費はさらに高くなります。
全国平均では、私立中学校の年間学費は 140万円~150万円 程度となっており、小学校よりも約20~30万円ほど高くなる傾向があります。
都市部の中学校では、学費が年間 180万円~200万円 に達することもあります。
特に進学校や有名校では、より高額な授業料や寄付金が求められる場合もあります。
また、私立中学校では、クラブ活動や習い事、塾などの追加費用が発生することが一般的です。
私立高校の学費:さらに増える負担
私立高校の学費は、中学校と比べてやや上昇し、全国平均では年間 105万円~110万円 程度となっています。
ただし、進学校や特定の専門分野に強い高校では、さらに高額な費用が発生することがあります。
首都圏や大都市圏では、年間 150万円~180万円 ほどかかる場合もあります。
高校になると、修学旅行や海外研修など、特別な行事の費用も加わることが多く、これも学費の一部として考慮する必要があります。
また、私立高校では、大学進学を目指す生徒が多いため、進学塾や予備校に通うケースが増え、その費用も家庭の負担に含めるべきです。
地域ごとの学費の違い
私立学校の学費は地域によって大きく異なります。
東京や大阪などの大都市圏では、競争が激しく、有名校への入学を目指す家庭が多いため、学費が高騰する傾向にあります。
一方、地方では選択肢が少ないため、比較的学費が抑えられることが多いです。
しかし、施設や教育内容の質に大きな差はなく、家族の教育方針や予算に応じた学校選びが重要です。
賢い学費のやりくり術:教育費を無理なく準備するために
私立学校に通わせるための教育資金は大きな出費ですが、しっかりと計画を立てて準備すれば、無理なく支払うことができます。
ここでは、教育資金を準備するための貯蓄方法やプランニングのポイント、学資保険や教育ローンのメリット・デメリットについて説明します。
教育資金のための貯蓄方法やプランニング
教育費を準備するためには、早めに計画を立ててコツコツ貯蓄することが大切です。
- 毎月の積立貯金
定期的に一定額を教育資金として積み立てるのが最も基本的な方法です。
貯蓄用の専用口座を作っておくと、日常の生活費と混ざらず、計画的に資金を貯めることができます。
小さな金額でも積み重ねれば大きな額になりますので、早めに始めることがポイントです。
学資保険のメリット・デメリット
学資保険は、子どもが大学や高校に進学する際に一時金として支払われる保険商品です。以下のようなメリットとデメリットがあります。
- メリット
- 教育費を計画的に貯められる
- 満期保険金を受け取れるため、進学時の大きな出費に備えやすい
- 契約者が万一死亡した場合、以降の保険料支払いが免除されることが多い
- デメリット
- 定期預金と比べて利回りが低いことがある
- 途中解約すると、元本割れ(払込額よりも少なくなる可能性)がある
- 教育資金を貯めるのが目的のため、他の用途には使いづらい
学資保険はリスクが少なく、確実に教育資金を確保したい方に向いていますが、利回りが低いため、インフレなどの影響を考慮すると他の貯蓄手段と併用するのが賢明です。
教育ローンのメリット・デメリット
学資保険に加え、教育費が不足した場合には教育ローンを利用する選択肢もあります。
- メリット
- 大きな一時的な出費にも対応できる
- 返済は長期間にわたり分割で行えるため、家計の負担が分散される
- 公的な教育ローン(例:日本政策金融公庫)の場合、金利が比較的低く抑えられている
- デメリット
- 金利負担が発生するため、借りた金額以上を返済する必要がある
- 長期間にわたる返済計画を立てる必要があり、将来の家計に影響を与えることがある
教育ローンは、急な資金不足に対応できる便利な手段ですが、長期的な返済負担を考慮し、無理のない範囲で借り入れることが大切です。
教育資金の準備には、早めの計画と適切な手段の選択が重要です。
積立貯金でコツコツ貯める、学資保険で確実に準備する、教育ローンを上手に活用するなど、家庭の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
これにより、子どもの教育を支えながらも家計を無理なく維持することができます。
私立学校の学費サポート:奨学金や助成金制度を利用しよう!
私立学校の学費は高額ですが、経済的な理由で進学を諦める必要はありません。
多くの私立学校や自治体、さらには国が提供する奨学金や助成金制度を活用することで、学費の負担を軽減することができます。
ここでは、具体的な奨学金や助成金の種類、そして応募方法や利用条件について説明します。
私立学校で利用できる奨学金や助成金の種類
私立学校で利用できる学費サポート制度には、いくつかの種類があります。
- 国や自治体が提供する奨学金
日本には、私立学校の生徒を対象とした奨学金制度がいくつかあります。
例えば、文部科学省が実施する「高等学校等就学支援金」は、所得に応じて私立高校の授業料を補助する制度です。
年間最大約 39万6千円 の助成金が支給され、これにより授業料の一部がカバーされます。
自治体によっては、さらに独自の補助金を提供しているところもありますので、地域ごとの制度も調べることが重要です。 - 私立学校独自の奨学金制度
多くの私立学校は、成績優秀者や家庭の経済状況に応じた独自の奨学金制度を設けています。
例えば、特待生制度などがあり、学費の全額または一部を免除されることがあります。
また、学校によってはクラブ活動や課外活動で優秀な成績を収めた生徒に対して奨学金を提供するケースもあります。 - 民間企業や財団の奨学金
民間企業や財団も、多くの奨学金を提供しています。
例えば、あしなが育英会などの公益財団法人は、経済的に困難な家庭を対象に無利子の奨学金を提供しています。
このような奨学金は、返済が必要なものもありますが、金利が低く、負担が軽減されるため、非常に有用です。
応募方法や利用条件について知っておくべきポイント
奨学金や助成金を利用する際には、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 収入基準の確認
多くの奨学金や助成金制度は、家計の収入に応じた支給となります。
例えば、国の高等学校等就学支援金は、世帯年収が※約910万円以下である場合に適用されます。
各制度ごとに異なる収入基準が設定されているため、自分の家庭の収入状況と照らし合わせて確認しましょう。
※両親・中学生・高校生の4人家族で、両親の一方が働いている場合 - 応募時期に注意
奨学金や助成金は、応募期間が決まっていることが多く、応募を忘れると利用できないことがあります。
特に進学前後に必要な書類の提出が求められる場合があるので、学校や自治体の情報を定期的にチェックし、期限を守ることが重要です。 - 返済義務の有無を確認
奨学金には、返済が必要な貸与型と、返済が不要な給付型があります。
貸与型奨学金は無利子または低利子で貸し付けられ、卒業後に返済を開始します。
利用する際には、将来的な返済負担を考慮し、自分に合った奨学金を選びましょう。
助成金を活用するためのポイント
助成金は、原則として返済不要な給付型のサポートです。
例えば、前述の高等学校等就学支援金は助成金の一例で、所得基準を満たせば自動的に適用されることが多いですが、申請手続きを忘れないようにすることが重要です。
また、自治体によっては、交通費の助成や給食費の補助を行っているところもあるため、居住地の役所で詳細を確認しましょう。
奨学金や助成金を上手に活用することで、私立学校に通う際の学費負担を大幅に軽減することができます。
自分に合った制度を見つけ、早めに準備を始めることで、安心して学業に専念できる環境を整えましょう。
各制度の応募方法や条件をしっかり確認し、タイミングを逃さないよう注意することが大切です。
実際にかかる費用をシミュレーション!年間の予算を立ててみよう
私立学校に通うためには、授業料だけでなくさまざまな「隠れた費用」が発生します。
ここでは、年間の学費総額をシミュレーションし、未来の費用に備えるための計画的な準備のコツを紹介します。
年間学費の総額をシミュレーション
まず、私立学校に通う際にかかる一般的な費用を確認してみましょう。
たとえば、私立小学校の年間の平均的な学費は以下の通りです。
- 授業料:平均約 100万円~120万円
- 入学金(初年度のみ): 20万円~30万円
- 施設費や教材費:年間 10万円~20万円
- 制服代やクラブ活動費、修学旅行費:年間 5万円~10万円
これらを合計すると、年間で 約130万円~150万円 程度の費用がかかることが一般的です。
さらに、地域や学校によってはこれより高額になる場合もあります。
同じように、中学校や高校でもシミュレーションを行ってみましょう。
たとえば、私立中学校や高校では以下のような費用が想定されます。
- 私立中学校の年間総額:150万円~180万円
- 私立高校の年間総額:100万円~150万円
このように、各段階でかかる費用を見積もることで、家庭の予算に合った学校選びや教育資金の準備ができます。
未来の費用を見越して計画的に準備を始めるコツ
私立学校にかかる学費は、進学する学校のレベルや地域によって異なりますが、共通して重要なのは計画的に教育資金を準備することです。
以下のポイントに注目して、未来の費用に備えましょう。
- 早めに貯蓄を始める
学費はまとまった額が必要になるため、子どもが生まれた時点から少額でもコツコツと積み立てることが重要です。
例えば、毎月 2万円 を教育費として積み立てれば、18年間で 約432万円 の貯蓄ができます。 - 学資保険や定期積立を活用
学資保険 や 定期積立 は、確実にお金を貯めるための有効な手段です。
これらを利用することで、将来の教育費用を計画的に準備でき、家計の負担を軽減することができます。
学資保険には、特定の年齢でまとまった金額を受け取れるタイプや、親の死亡時に保険料免除となるタイプもあり、リスク管理としても有効です。 - 生活費や教育費のバランスを考える
教育資金を貯めることも大切ですが、生活費や日常の支出とのバランスも考える必要があります。教育費だけに偏らないように、日々の家計簿 をつけて無駄遣いを減らし、適切な配分で教育費を確保しましょう。 - 将来のインフレを考慮する
将来、インフレが進むことで学費がさらに高くなる可能性があります。
そのため、インフレの影響を考慮して資金を運用することも大切です。
低リスクで資産を運用できる方法として、ジュニアNISA や積立投資 などの金融商品を利用するのも一つの選択肢です。
私立学校に通うための学費は高額ですが、しっかりとした計画と準備があれば、無理なく支払うことができます。
まずは、学校ごとの費用を正確に把握し、家計に合った選択をすることが重要です。
また、早めの貯蓄や奨学金制度の活用、そして長期的な視点での資金計画を通じて、安心して教育を提供できるようにしましょう。