自営業の老後|国民年金だけで足りるか、使える制度をFPが試算

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自営業・フリーランスの公的年金は、国民年金だけです。

満額でも月70,608円です。

会社員にない点は、年金額だけではありません。

一方で、節税しながら積める枠は会社員より大きくなっています。

使える制度を順番に見ていきます。

この記事の結論
  1. 国民年金の満額は月70,608円(2026年度)です
  2. 会社員にないのは遺族厚生年金・障害厚生年金・退職金もです
  3. 付加年金は、いつ始めても2年で元が取れます(月400円)
  4. 小規模企業共済は月7万円まで全額所得控除。会社員にはない制度です
  5. iDeCoの枠の差は2026年12月に3.0倍から1.21倍に縮まります
  6. 2つ合わせると月145,000円が全額所得控除になります
  7. ただし任意解約は20年未満だと元本割れします

こんな方に読んでほしい記事です

  • 自営業・フリーランスで、老後の準備を始めたい
  • 国民年金だけで足りるか知りたい
  • 節税しながら老後資金を積みたい
  • 会社員から独立したばかりで、制度がよく分からない
目次

自営業の公的年金は、満額でも月70,608円

まず、受け取れる金額を確認します。

老齢基礎年金の満額(2026年度)
70,608円
年847,300円。40年間保険料を納めた場合の金額です。
自営業・フリーランスは、ここが上限になります。

夫婦2人がともに満額なら、月141,217円です。

出所:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」。20歳から60歳までの40年間(480月)保険料を納めた場合の金額です。未納や免除の期間があると、その分減ります。

会社員の場合、これに老齢厚生年金が加わります。

自営業には、その上乗せがありません。

※

「老後に6,000万円必要」という計算にご注意ください
生活費の総額から「必要額」を出す計算を見かけます。けれども、そこから年金収入を引いていないことがあります。総務省の家計調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の不足は月34,059円です(2024年)。この記事の以前の版でも「最低でも6,000万円から9,000万円が必要」と書いていましたが、年金収入を引いていない数字だったため削除しました。

老後にいくら不足するかは、こちらで検証しています。

会社員にないのは、年金額だけではありません

自営業と会社員の差は、老後の年金額だけではありません。

現役のうちの保障にも差があります。

自営業にないもの
遺族厚生年金
亡くなったとき
会社員の遺族には、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金が支給されます。自営業は遺族基礎年金だけです。しかも遺族基礎年金は、18歳になる年度末までの子がいることが要件です。
障害厚生年金
働けなくなったとき
会社員は障害基礎年金に加えて障害厚生年金が支給されます。自営業は障害基礎年金だけで、等級も1級・2級に限られます。会社員の障害厚生年金には3級があります。
退職金・傷病手当金
辞めたとき・病気のとき
退職金はありません。また健康保険の傷病手当金(病気で働けないときに支給)も、国民健康保険には原則ありません。

制度の要件は加入状況によって変わります。ご自身の条件は年金事務所・お住まいの自治体でご確認ください。

つまり、老後だけでなく「万一のとき」の備えも自分で用意する必要があります。

どのリスクにいくら備えるかは、こちらで整理しています。

FP伊藤

独立されたばかりの方のご相談で、よくお伝えする点です。
会社員のときにあった保障が、いくつも外れています。
老後の年金が少ないことは知られていますが、遺族厚生年金がないことはあまり知られていません。
お子さんが小さいうちは、ここの備えを先に確認してください。
老後の積立より、優先度が高い場合があります。

付加年金は、いつ始めても2年で元が取れます

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。

付加年金は、自営業だけが使える仕組みです。

国民年金の保険料に、月400円を上乗せして納めます。

すると、受け取る年金に加算がつきます。

付加年金の計算
納める額 … 月400円
年金への加算 … 200円 × 納付した月数(年額)

40年(480月)納めた場合で計算します。

40年(480月)納めた場合
赤が払った総額、緑が1年あたりの加算額です
払った総額 192,000円
年金の加算 年96,000円
2年受け取れば、払った額を超えます
そのあとも、亡くなるまで加算が続きます

400円×480月=192,000円、200円×480月=年96,000円(月8,000円)です。

そして、この「2年」は納付年数によって変わりません。

納付した期間払った総額年金への加算(年)元が取れるまで
10年(120月)48,000円24,000円2年
20年(240月)96,000円48,000円2年
30年(360月)144,000円72,000円2年
40年(480月)192,000円96,000円2年

※ 納付した月数に、払う額は400円・加算は200円が掛かります。そのため払った総額は、常に加算額のちょうど2倍になります。出所:日本年金機構「付加年金」。

なぜ、いつ始めても2年なのか

払う額は「400円 × 納付月数」です。
加算される年金は「200円 × 納付月数」です。

どちらにも同じ納付月数が掛かっています。
そのため、払った総額は加算額のちょうど2倍(400÷200=2)になります。
納付月数が何ヶ月でも、この比は変わりません。

だから「遅く始めたから不利」ということがありません。
2年受け取れば、払った額を回収できます。

40年納めた場合の年金額を見ておきます。

年額月額
老齢基礎年金の満額のみ847,300円70,608円
付加年金(40年分)を加えると943,300円78,608円
差96,000円8,000円

さらに、繰下げると付加年金も一緒に増えます。

70歳まで繰下げれば42%増なので、月111,624円になります。

※ 繰下げ受給による増額率は0.7%×繰下げ月数(最大84%)です。付加年金も同じ率で増額されます。繰下げの判断材料は後述の記事でまとめています。

※

付加年金を使うと、iDeCoの上限が少し下がります
iDeCoの拠出限度額は、国民年金基金の掛金または付加保険料と合算して判定されます。付加保険料の月400円を納める場合、iDeCoの上限はその分だけ下がります。とはいえ400円なので、影響はごくわずかです。

年金を何歳から受け取るかの判断は、こちらで試算しています。

小規模企業共済は、自営業だけの退職金制度

元記事では触れていませんでしたが、ここが中心になる制度です。

会社員には用意されていません。

どういう制度か

独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営する、「経営者の退職金制度」です。小規模企業共済法という法律に基づく制度で、昭和40年に始まりました。

加入できる人

常時使用する従業員が20人以下の個人事業主および会社の役員などです(宿泊業・娯楽業を除くサービス業、商業では5人以下)。個人事業主の共同経営者も、1人につき2人まで加入できます。

掛金

月1,000円〜70,000円の範囲で、500円単位で選べます。加入後に増額・減額もできます。

税制

掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として課税対象所得から控除できます。1年以内の前納分も同様です。

出所:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「小規模企業共済制度」。

掛金月1万円の場合、受け取れる額はこうなります。

掛金月1万円の場合の共済金A(廃業時など)
灰色が払った額、緑が受け取れる額です
5年掛金の 103.6%
払った額 600,000円
受取額 621,400円
10年掛金の 107.5%
払った額 1,200,000円
受取額 1,290,600円
15年掛金の 111.7%
払った額 1,800,000円
受取額 2,011,000円
20年掛金の 116.1%
払った額 2,400,000円
受取額 2,786,400円
30年掛金の 120.8%
払った額 3,600,000円
受取額 4,348,000円

出所:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「小規模企業共済制度」。共済金Aは個人事業の廃止・死亡などの場合の金額です。予定利率は1.0%(平成16年4月から)。共済金等の額は、経済情勢等が大きく変化したときには変更されることがあります。

掛金月1万円を30年続けた場合
120.8%
払った360万円に対して、共済金Aは434.8万円。
長く続けるほど率が上がります。

掛金を月7万円にすれば、金額は7倍になります。

30年なら、払った2,520万円に対して3,044万円という計算です。

節税の効果も大きくなります

掛金が全額所得控除になるため、その年の税金が下がります。

課税される所得金額掛金 月1万円掛金 月3万円掛金 月7万円
200万円20,700円56,900円129,400円
400万円36,500円109,500円241,300円
600万円36,500円109,500円255,600円
800万円40,100円120,500円281,200円
1,000万円52,400円157,300円367,000円

出所:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「小規模企業共済制度」の「掛金の全額所得控除による節税額の一覧表」。1年あたりの所得税・住民税の軽減額です。令和6年10月1日現在の税率に基づき、所得税は復興特別所得税を含めて計算されています。住民税均等割は5,000円として計算されています。「課税される所得金額」は、総所得金額から基礎控除・扶養控除・社会保険料控除等を控除した後の額です。実際の金額は個別の事情で変わるため、税務署または税理士にご確認ください。

課税所得600万円で月7万円なら、年255,600円の軽減です。

30年続ければ、軽減額の累計も大きくなります。

受け取り方と税金

共済金は、廃業時・退職時に受け取ります。

満期はありません。

  • 一括で受け取る … 退職所得として扱われます
  • 分割(10年・15年)で受け取る … 公的年金等の雑所得として扱われます
  • 一括と分割の併用も選べます

※ 分割を選べるのは、共済金が300万円以上(一括と分割の併用の場合は330万円以上)で、共済事由が生じた時点で満60歳以上の方です。65歳以上で180か月(15年)以上納付した方は、請求により老齢給付として受給権を得られます。

iDeCoの枠は、2026年12月に変わります

iDeCoは自営業の拠出枠が大きい制度として知られています。

ただし、その差は2026年12月に縮まります。

区分現行(2026年11月まで)2026年12月から
第1号被保険者(自営業者など)月68,000円月75,000円
会社員(企業年金なし)月23,000円月62,000円
会社員(企業年金あり)月20,000円企業年金と合わせて月62,000円が上限

出所:厚生労働省「iDeCoがパワーアップします!」(令和8年12月から)。第1号被保険者は国民年金基金の掛金・付加保険料と合算して上限です。会社員(企業年金あり)の現行の上限は、企業年金と合わせて55,000円です。2026年12月分(2027年1月引き落とし分)からの適用になります。

自営業と会社員の枠の差(2026年12月から)
1.21倍
現行は68,000円と23,000円で3.0倍でした。
75,000円と62,000円になり、差が縮まります。

「自営業はiDeCoの枠が大きい」という説明は、これから弱くなります。

あわせて2つの変更があります

厚生労働省の資料には、ほかにも変更が示されています。

・70歳になるまで掛金の拠出が可能になります(現行は65歳未満)。50歳で始めても最大20年間積めます
・掛金の所得控除のメリットはそのまま続きます

拠出できる期間が延びるため、独立が遅かった方にも積みやすくなります。

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iDeCoは原則60歳まで引き出せません
老後資金のための制度なので、途中で引き出すことができません。自営業は収入が安定しないことがあるため、手元の資金を確保したうえで金額を決めてください。掛金は年1回変更できます。

NISAとiDeCoの違いと使い分けは、こちらで解説しています。

全部使うと月145,000円。注意点もあります

ここまでの制度を合わせると、枠はこうなります。

全額が所得控除になる枠(2026年12月から・月額)
小規模企業共済は、会社員には用意されていません
自営業
月145,000円
iDeCo 75,000円
小規模企業共済 70,000円
会社員(企業年金なし)
月62,000円
iDeCo 62,000円
自営業は 月145,000円(年174万円)
会社員の2.34倍の枠になります

出所:厚生労働省「iDeCoがパワーアップします!」(令和8年12月から)および独立行政法人 中小企業基盤整備機構「小規模企業共済制度」。付加保険料を納める場合、iDeCoの上限はその分だけ下がります。小規模企業共済は加入できる条件があります(従業員20人以下など)。

iDeCoの差は縮まりますが、小規模企業共済は会社員にはありません。

ここが本当の差になります。

ただし、注意点があります。

  • 小規模企業共済は、任意解約だと20年未満で元本割れします(解約手当金は240か月未満で掛金合計額を下回ります。12〜84か月未満は支給率80%、240〜246か月で100%、最高120%)
  • 納付期間が短いと掛け捨てになります(共済金A・Bは6か月未満、準共済金・解約手当金は12か月未満)
  • iDeCoは原則60歳まで引き出せません
  • 収入が不安定な時期に高額の掛金を設定すると、続けられなくなります(どちらも金額の変更はできますが、下げると効果も下がります)

出所:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「小規模企業共済制度」。掛金月額を変更している場合は、240か月以上でも掛金合計額を下回ることがあります。

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20年続ける前提がないなら、金額を抑えてください
小規模企業共済は、長く続けることで率が上がる制度です。途中でやめる可能性があるなら、元本割れしない範囲で金額を決めるほうが安全です。月1,000円から始められ、あとから増額もできます。まず小さく始めて、収入が安定してから増やす進め方もあります。

始める順番

どれから手をつけるかは、優先度で考えます。

  • 国民年金を満額納める(未納があると老齢基礎年金が減り、障害・遺族の保障にも影響します。払えない時期は免除・納付猶予の手続きをしてください)
  • 付加年金を付ける(月400円で、2年で元が取れます。終身で、繰下げでも増えます)
  • 万一のときの備えを確認する(遺族厚生年金がないため、お子さんが小さいうちは優先度が上がります)
  • 小規模企業共済・iDeCoを始める(続けられる金額から。収入が安定してから増額する進め方もあります)
FP伊藤

ご相談では、節税の話から入る方が多いです。
けれども国民年金の未納があるなら、そこが先です。
未納は老後の年金が減るだけでなく、障害年金や遺族年金が受けられなくなることもあります。
払えない時期は、放置せず免除や納付猶予の手続きをしてください。
手続きをしておけば、受給資格の期間には算入されます。

自営業・フリーランスの保障の考え方は、こちらでも触れています。

まとめ|足りない分を、制度で埋められます

この記事の要点
1 国民年金の満額は月70,608円(2026年度)。夫婦2人で月141,217円
2 会社員にない保障は、遺族厚生年金・障害厚生年金・退職金・傷病手当金
3 付加年金は月400円で、年金に200円×納付月数(年額)が加算される
4 払った額は常に加算額の2倍になるため、いつ始めても2年で元が取れる
5 付加年金は終身で、繰下げると同じ率で増える
6 小規模企業共済は月1,000円〜70,000円で、全額が所得控除
7 掛金月1万円を30年なら、払った360万円に対して共済金A 434.8万円(120.8%)
8 課税所得600万円・掛金月7万円なら、年255,600円の税負担の軽減
9 iDeCoの枠は2026年12月から自営業75,000円・会社員62,000円(差1.21倍)
10 2つ合わせると月145,000円が全額所得控除。会社員の2.34倍
11 小規模企業共済は任意解約だと20年未満で元本割れする

自営業の公的年金は、会社員より少なくなります。

一方で、節税しながら積める枠は大きく用意されています。

付加年金は月400円で、2年で元が取れます。

小規模企業共済は、会社員にはない制度です。

足りない分を、制度で埋めることができます。

まず国民年金を満額納め、そこから順番に進めてください。

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よくある質問

気になる質問をタップすると、回答が開きます。

Q. 自営業の年金は、いくらもらえますか?

老齢基礎年金の満額は年847,300円(月70,608円)です(2026年度)。20歳から60歳までの40年間納めた場合の金額です。夫婦2人がともに満額なら月141,217円になります。未納や免除の期間があると、その分減ります。

Q. 会社員との差は、年金額だけですか?

違います。自営業には遺族厚生年金・障害厚生年金・退職金がありません。国民健康保険には傷病手当金も原則ありません。障害基礎年金は1級・2級に限られ、会社員の障害厚生年金にある3級がありません。老後だけでなく、万一のときの備えも自分で用意する必要があります。

Q. 付加年金とは何ですか?

国民年金の保険料に月400円を上乗せして納めると、受け取る年金に200円×納付した月数(年額)が加算される仕組みです。40年(480月)納めれば、年96,000円(月8,000円)の加算になります。自営業など第1号被保険者が使えます。

Q. 付加年金は、何年で元が取れますか?

2年です。しかも、いつ始めても2年です。払う額は400円×納付月数、加算は200円×納付月数なので、払った総額は常に加算額のちょうど2倍(400÷200=2)になります。納付月数が何ヶ月でもこの比は変わらないため、「遅く始めたから不利」ということがありません。

Q. 付加年金は繰下げでも増えますか?

増えます。繰下げ受給の増額率(0.7%×繰下げ月数・最大84%)が付加年金にも適用されます。40年納めて70歳まで繰下げると、月111,624円という計算になります(基礎年金847,300円+付加年金96,000円=943,300円の42%増)。

Q. 小規模企業共済とは何ですか?

中小企業基盤整備機構が運営する「経営者の退職金制度」です。常時使用する従業員が20人以下の個人事業主・会社役員などが加入できます(宿泊業・娯楽業を除くサービス業、商業では5人以下)。掛金は月1,000円〜70,000円で、全額が所得控除になります。

Q. 小規模企業共済はいくら戻ってきますか?

掛金月1万円の場合、共済金A(個人事業の廃止など)は5年で621,400円、10年で1,290,600円、20年で2,786,400円、30年で4,348,000円(払った額の120.8%)です。長く続けるほど率が上がります。予定利率は1.0%です。

Q. 小規模企業共済の節税効果はどれくらいですか?

課税される所得金額が600万円で掛金が月7万円なら、年255,600円の軽減になります(所得税・住民税の合計)。月1万円なら36,500円、月3万円なら109,500円です。令和6年10月1日現在の税率に基づく中小機構の試算で、実際の金額は個別の事情で変わります。

Q. 小規模企業共済に元本割れはありますか?

あります。任意解約の場合、解約手当金は240か月(20年)未満で掛金合計額を下回ります(12〜84か月未満は支給率80%、240〜246か月で100%、最高120%)。また共済金A・Bは6か月未満、準共済金・解約手当金は12か月未満が掛け捨てです。20年続ける前提がないなら、金額を抑えるほうが安全です。

Q. iDeCoはいくらまで積めますか?

第1号被保険者(自営業者など)は現行で月68,000円、2026年12月からは月75,000円です(国民年金基金の掛金・付加保険料と合算)。あわせて、70歳になるまで拠出できるようになります(現行は65歳未満)。

Q. iDeCoは自営業のほうが有利ですか?

その差は2026年12月に縮まります。現行は自営業68,000円・会社員(企業年金なし)23,000円で3.0倍ですが、2026年12月からは75,000円と62,000円で1.21倍になります。一方で小規模企業共済は会社員にはない制度なので、2つ合わせた枠(月145,000円)では会社員の2.34倍になります。

Q. 何から始めればよいですか?

①国民年金を満額納める(未納は老後の年金が減るだけでなく、障害年金・遺族年金にも影響します。払えない時期は免除・納付猶予の手続きを)。②付加年金を付ける(月400円)。③万一のときの備えを確認する。④小規模企業共済・iDeCoを、続けられる金額から始める。この順番です。

この記事の監修者

伊藤貴徳
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス代表/CFP®認定者・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

FP業界で16年、住宅購入とお金の相談に携わってきました。
2023年1月に独立し、千葉県市川市で事務所を開いています。
家計全体の視点から、ご相談をお受けしています。

本記事の出所・試算条件をみる

【年金額】日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」による老齢基礎年金の満額847,300円(20歳から60歳までの40年間納付した場合)です。未納・免除の期間があると減額されます。
【付加年金】日本年金機構「付加年金」によります。付加保険料は月額400円、付加年金額は200円×付加保険料納付月数(年額)です。第1号被保険者・任意加入被保険者が対象で、国民年金基金に加入している場合は付加保険料を納められません。付加保険料を納める場合、iDeCoの拠出限度額は国民年金基金の掛金・付加保険料と合算して判定されます。
【繰下げ】繰下げ受給の増額率は0.7%×繰下げ月数(最大84%)で、付加年金にも適用されます。
【iDeCo】厚生労働省「iDeCoがパワーアップします!」(令和8年12月から)によります。拠出限度額は第1号被保険者・任意加入被保険者が68,000円→75,000円(国民年金基金と合わせて)、企業年金を実施していない会社員が23,000円→62,000円、企業年金を実施している会社員が企業年金と合わせて55,000円→62,000円が上限です。2026年12月分(2027年1月引き落とし分)からの適用になります。70歳になるまで拠出が可能になります(現行は65歳未満)。iDeCoは原則60歳まで引き出せません。
【小規模企業共済】独立行政法人 中小企業基盤整備機構「小規模企業共済制度」によります。掛金は月1,000円〜70,000円(500円単位)で、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として課税対象所得から控除できます。共済金Aの金額は掛金月1万円の場合で、5年621,400円・10年1,290,600円・15年2,011,000円・20年2,786,400円・30年4,348,000円です。予定利率は1.0%(平成16年4月から)。共済金等の額は、経済情勢等が大きく変化したときには変更されることがあります。掛金納付月数が6か月未満は共済金A・Bが掛け捨て、12か月未満は準共済金・解約手当金が掛け捨てです。解約手当金は240か月未満で掛金合計額を下回ります(12〜84か月未満は支給率80%、240〜246か月で100%、最高120%)。掛金月額を変更している場合は、240か月以上でも掛金合計額を下回ることがあります。
【節税額】同機構の「掛金の全額所得控除による節税額の一覧表」によります。令和6年10月1日現在の税率に基づき、所得税は復興特別所得税を含めて計算されています。住民税均等割は5,000円として計算されています。「課税される所得金額」は、総所得金額から基礎控除・扶養控除・社会保険料控除等を控除した後の額です。実際の金額は個別の事情で変わるため、税務署または税理士にご確認ください。
【ご確認のお願い】制度の要件・金額は改正されることがあります。年金については年金事務所、小規模企業共済については中小企業基盤整備機構、税金については税務署または税理士にご確認ください。
【免責】本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入や契約を勧めるものではありません。個別のご相談は伊藤FPオフィスまでお問い合わせください。

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