家計簿はつけているのに、将来の不安が消えない。
そう感じている方は少なくありません。
理由はシンプルで、家計簿とマネープランは役割が違うからです。
家計簿が見ているのは過去1ヶ月、マネープランが見るのはこれから50年です。
- 家計簿は過去の記録、マネープランは将来の予測です
- いま月7万円の黒字でも、15年後に月7.8万円の赤字になることがあります
- そのとき変わっているのは教育費だけ。収入も生活費も同じです
- 家計簿に載りにくい特別費(年30万円)が、黒字を実質ゼロにします
- 必要なのは節約の工夫より、いつ山場が来るかを知ることです
こんな方に読んでほしい記事です
- 家計簿はつけているが、これで足りているのか分からない
- 毎月黒字なのに、なぜか貯蓄が増えない
- 教育費と住宅ローンを両立できるか不安がある
- 何から手をつければよいのか分からない
✍️ この記事の監修者
代表・監修者
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス 代表
千葉・東京エリアを拠点に、住宅購入前の家計相談・生命保険の見直し・ライフプラン設計を専門とする独立系FP。
銀行・保険会社とは利害関係のない中立な立場で、30〜40代の子育て世帯を中心に相談をお受けしています。
「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」から一緒に考えることを大切にしています。
家計簿とマネープランは、見ている期間が違う
マネープランとは、これから先のお金の出入りを、年単位で予測して並べたものです。
家計簿と混同されやすいのですが、目的がまったく違います。
- 先月いくら使ったかが分かる
- 使いすぎた費目が分かる
- つけた分だけ精度が上がる
- 将来のことは分からない
- 何年後にいくら必要か分かる
- 貯蓄が底をつく年が分かる
- 住宅・教育・老後の重なりが見える
- 先に手を打てる
家計簿は、車のバックミラーのようなものです。
通ってきた道は正確に映りますが、この先のカーブは映りません。
マネープランは、前を向いて道路の先を見る作業です。
見ている長さも大きく違います。
家計簿が扱うのは1ヶ月です。
38歳の方が90歳までのマネープランを作ると、624ヶ月分を見ることになります。
家計簿をやめる必要はありません。
マネープランを作るときには、いまの生活費がいくらかという出発点が必要です。その数字を持っているのは家計簿だけです。つまり2つは競合するものではなく、家計簿で集めた数字をマネープランで将来へ伸ばす、という関係になります。
【計算】いま黒字でも、15年後に赤字になることがあります
ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。
実際の数字で確認します。
- 夫38歳(手取り468万円)・妻36歳(手取り234万円)・お子さん6歳と3歳
- 児童手当が年24万円。世帯の収入は合計726万円
- 3,500万円を借りてマンションを購入(金利年1.0%・35年)
- 生活費360万円/保険24万円/特別費30万円(いずれも年間)
この家計を、いまと15年後で比べます。
| 項目(年間) | 2026年・夫38歳 | 2041年・夫53歳 |
|---|---|---|
| 収入 | 726万円 | 702万円 |
| 生活費 | 360万円 | 360万円 |
| 保険料 | 24万円 | 24万円 |
| 特別費 | 30万円 | 30万円 |
| 住居費 | 162万円 | 162万円 |
| 教育費 | 65万円 | 219万円 |
| 収支 | +85万円 | ▲93万円 |
※ 住居費は返済118.6万円と維持費43.4万円の合計です。2041年は上のお子さんが大学2年生、下のお子さんが大学に入学する年で、教育費が最も重くなります。児童手当は支給が終わるため収入から外しています。ご家庭の状況によって金額は変わります。
夫38歳
夫43歳
夫48歳
夫53歳
※ 上と同じ前提での試算です。教育費の増加にともなう収支の推移を示しています。
収入は減っていません。
生活費も、住居費も、保険料も同じです。
変わったのは教育費だけです。
年65万円だったものが、219万円になりました。
差は154万円です。
そして収支は、+85万円から▲93万円へ変わります。
月あたりでいえば、7.1万円の黒字が7.8万円の赤字になる計算です。
この変化は、家計簿では見えません。
家計簿をつけていれば「今月も黒字だった」と毎月確認できます。けれども15年後に赤字になることは、どれだけ丁寧に記録しても分かりません。分かるのは、将来の支出を先に並べたときだけです。
FP伊藤ご相談では「毎月きちんと家計簿をつけています」という方が多くいらっしゃいます。
とても良い習慣です。
ただ、そのうえで不安が消えないのは、記録が足りないからではありません。
将来の支出を並べていないからです。
教育費がいつ、いくらに膨らむかを知れば、いま何をすればよいかが決まります。
ただし、赤字になること自体は問題ではありません。
教育費のピークは数年で終わります。
それまでに貯蓄を積み上げておけば、取り崩して乗り切れます。
問題なのは、その年が来てから初めて気づくことです。
教育費が実際にいくらかかるかは、こちらで詳しく試算しています。


家計簿に載りにくい3つのお金
「黒字なのに貯まらない」という声もよく伺います。
多くの場合、家計簿から抜けているお金があります。
特に①の特別費は、影響が分かりやすい項目です。
| 特別費の例 | 年間の目安 |
|---|---|
| 車検・自動車税 | 10万円 |
| 帰省・旅行 | 8万円 |
| 家電・家具の買い替え | 5万円 |
| 冠婚葬祭 | 4万円 |
| 年払いの保険料 | 3万円 |
| 合計 | 30万円(月2.5万円) |
※ 一般的な目安として置いた例です。お車の有無、ご実家との距離、お住まいの地域によって大きく変わります。
月2.5万円の黒字が出ていても、特別費を入れると実質ゼロになります。
「黒字なのに貯まらない」の正体は、これであることが多いのです。
対策はシンプルです。
特別費を年間で見積もり、12で割った金額を毎月別口座によけておきます。
こうすると、家計簿上の黒字と実際に残る金額が一致します。
マネープランの作り方は4ステップです
難しい道具は必要ありません。
紙とペン、または表計算ソフトがあれば作れます。
作ってみると、多くの方が同じことをおっしゃいます。
「心配していた場所と、実際に苦しい時期が違った」ということです。
住宅ローンを組む瞬間を心配していた方が、実際には15年後の教育費のほうが重いと気づく。
これはよくあるケースです。
お金の使い道全体の優先順位は、こちらで整理しています。




つまずきやすい3つのこと
① 完璧に作ろうとする
すべての金額を正確に出そうとすると、途中で終わります。
1万円単位で合っている必要はありません。
10万円単位のざっくりした数字で構いませんので、まず最後まで作りきってください。
② 一度作って終わりにする
収入も進路も、必ず変わります。
年に1回、見直す機会を決めておいてください。
お正月やお子さんの誕生月など、覚えやすい時期がよいでしょう。
③ ひとりで作って共有しない
ご夫婦のどちらかだけが把握している状態は、うまくいきません。
お互いが「いつ、いくら必要か」を知っていることが大切です。
金額そのものより、山場がいつ来るかを共有してください。
商品選びから入らないでください。
「何に積み立てればよいか」を先に決めようとすると、判断を誤りやすくなります。必要な金額と時期が決まって、はじめて置き場所が決まります。10年以上先に使うお金と、3年以内に使うお金では、置き場所が変わるためです。
教育資金の準備方法や、老後資金の考え方はこちらで解説しています。




人生全体のお金の流れを整理する方法は、こちらでまとめています。


まとめ|必要なのは節約の工夫より、山場を知ることです
マネープランを作る目的は、節約することではありません。
いつ、いくら必要になるかを先に知ることです。
それが分かれば、いま何をすればよいかが決まります。
逆に分からないままだと、漠然とした不安だけが残り続けます。
まずは、ご家族の年齢を50年分並べてみてください。
それだけでも、見える景色が変わります。
わが家の山場がいつ来るか、一緒に確認しませんか
マネープランを自分で作ると、金額の置き方に迷う場面が必ず出てきます。
教育費をいくらで見るか、老後の年金をいくらで見るか。
ここが変わると、結果は大きく変わります。
伊藤FPオフィスのマイホーム購入診断では、90歳までの貯蓄残高の推移を1枚の表にしてお渡しします。
教育費のピークがいつ来るか、そのとき貯蓄がいくら残っているか。
数字で確認できる状態にしてお返しします。
金融商品を販売していないため、特定の商品や金融機関をおすすめすることはありません。
- 90歳までの貯蓄残高の推移を1枚の表に
- 教育費のピーク時に、いくら残っているかの確認
- 住宅ローンの完済時期と、老後資金への影響
- 特別費を含めた、実際に残る金額の把握
- 加入中の保険が過不足ないかの確認
- ご夫婦で見返せる資料をお渡しします
千葉県市川市を拠点に、対面・オンラインでご相談をお受けしています。
よくある質問
気になる質問をタップすると、回答が開きます。
Q. 家計簿とマネープランは、どちらを先に始めるべきですか?
家計簿を先に1〜2ヶ月つけてみてください。マネープランを作るには「いまの生活費がいくらか」という出発点が必要だからです。ただし何年も家計簿だけを続けても、将来の見通しは立ちません。生活費のおおよその金額がつかめたら、マネープランに進んでください。
Q. 家計簿をつけているのに貯まらないのはなぜですか?
毎月は出ていかない特別費が抜けていることが多くあります。車検・帰省・家電の買い替え・年払いの保険料などで、年間30万円ほど(月2.5万円)になるご家庭が多いです。年間で見積もって12で割り、毎月別口座によけておくと、家計簿の黒字と実際に残る金額が一致します。
Q. マネープランは何年先まで作ればよいですか?
90歳までを目安にしてください。老後資金が足りるかどうかは、何歳まで生きるかの前提で結果が変わります。短く区切ると「足りている」という結論になりやすいため、長めに見ておくと安全です。
Q. 収入や進路が決まっていないのに作れますか?
作れます。金額は10万円単位のざっくりした数字で構いません。目的は正確な予測ではなく、いつ山場が来るかを知ることです。進路が決まっていない場合は、公立と私立の両方で作って比べると判断材料になります。
Q. 無料のシミュレーションツールでも大丈夫ですか?
全体像をつかむには十分に役立ちます。ただし、入力項目が限られているため、特別費や収入の変化が反映されないことがあります。また住宅の維持費(固定資産税・修繕費・管理費)が抜けていると、結果が実際より良く出ます。何が含まれていないかを確認して使ってください。
Q. 赤字になる年があったら、住宅購入はあきらめるべきですか?
そうとは限りません。教育費のピークは数年で終わるため、それまでに貯蓄を積み上げておけば取り崩して乗り切れます。確認すべきは、その年の貯蓄残高がマイナスにならないかどうかです。残高が底をつく見通しなら、借入額か購入時期の見直しを検討してください。
Q. 毎月いくら積み立てればよいか、先に知りたいのですが
その金額は、マネープランを作ったあとに決まります。必要な時期と金額が分かって、はじめて毎月の積立額が計算できるためです。参考までに、月1万円を30年続けると360万円になります(年3%で運用できた場合は583万円ですが、元本割れの可能性もあります)。
Q. 夫婦で作るとき、気をつけることはありますか?
金額の細かさより、山場がいつ来るかを共有してください。「上の子が大学に入る年がいちばん厳しい」という認識が揃っていれば、その時期に向けた判断がしやすくなります。どちらか一方だけが把握している状態は避けてください。
この記事の監修者


証券会社・不動産会社・保険会社での実務を経て、FP歴16年。2023年1月に独立し、千葉県市川市で独立系FP事務所を開設。金融商品を販売しない中立な立場で、住宅購入・ライフプラン設計・保険見直しの相談を行っています。家計のご相談では、節約の工夫より先に「いつ、いくら必要になるか」を数字で確認することをお伝えしています。
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